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冒険者になる
26 冒険者ギルド本部、再び
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ベッド上で自転車を漕ぐような感じで足の運動をした後、私は床に足を付けて立ち上がった。
よし、しっかり立てる。
私は自分の下着姿の上にいつものワンピースを着る。最近は胸も膨らみ始めているので、ブラは外せない。なんだかんだ成長してきているこの身体。正直前世よりも美人だし、このままいくと魅了の力がなくても男を魅了してしまうかもしれない。うっふん。
いや、そんなことはないな。
ドアがコンコンとノックされる。
「はーい、どうぞ」
ガチャリと開けられた扉の向こうからシェリルとアイリスがやってくる。
「ご主人様、もうお体は大丈夫ですの? まだ体が鈍っているようでしたら、もう少し寝ていた方がよろしいのでは?」
「いや、大丈夫だよアイリス。三日も寝てたんだ。ちょっとの時間でも惜しいよ。私は冒険者になって、世界を巡る旅に出るんだからね」
「でもアイリス様のいう事も大事だよ、フラムちゃん」
そういうシェリルは心配そうだ。でも本当に大丈夫。ただ冒険者ギルドに行って、冒険者登録をするだけなんだもん。さすがにこれ以上の災難は降りかからないよ。あれ、なんかフラグ立った気がする。
私は心配する二人を余所に、冒険者ギルドに向けて出発した。
私が出た所は、騎士団本部に近い場所にある宿屋だった。どうやら私が気絶している間にサンクシオンがここまで運んできてくれたようだ。
サンクシオンに運んでもらうのはこれで二度目ではないか?
一度目は私が彼と最初にあった三年前のあの日だ。
彼は人を運ぶ運命にあるんじゃないだろうか。それか、人を運ぶのが大好きだったりして。
まあそんなことはどうでもいいか。騎士団本部と冒険者ギルドは割と近い場所に位置している。
中央街の門から真っすぐ大通りを進むと騎士団本部とぶつかるが、その過程で右折すると冒険者ギルドがある。つまり、一旦大通りまで出て冒険者ギルドの方へ向かえばいいのだ。
大通りは人通りが多いので、迷わず見つけられた。前回は余り気にせず見ていなかったけど、今見るとたくさんの店が並んでいた。どこからともなくおいしそうなパンの匂いもする。
三日前の魔族の攻撃で被害を受けたにもかかわらず、この街の人々は逞しく生きている。
確かに、ここ大通りには被害がなかったけれど、それでも恐怖心が生まれたはずだ。
みんなそれでも明るく振舞っているなんてすごいな。
私は、匂いの強くなる方へと進んでいく。
「ちょっと、フラムちゃん! そっちはギルドじゃないよ!」
「いいのいいの。お腹空いたから何か食べましょ?」
「そういえば、私たち朝食もまだでしたわね」
私は、大通りに面したパン屋へと入店する。カランカランと音がした後、身体全体がパンの匂いに包まれたかのような錯覚を覚えた。
うん、この店は間違いなくおいしい。
「いらっしゃい」
店員のおばちゃんは、少し小太りで気のよさそうな雰囲気をしていた。あの逞しい腕でパンを練るんだろうな。
私は視界に入ったパンをひたすら頼む。どれもおいしそうなのだ。それをみたアイリスやシェリルも同様に注文する。
あっという間に紙袋いっぱいになってしまった。
「毎度あり~」
私たちは退店してすぐパンに貪りついた。
「うまい!」
「美味ですわ!」
「おいしい!」
三人が一様にそのおいしさに頬を緩めた。これはおいしい。やはり出来立てのパンに敵うものはないね!
前世だってこんなおいしいパンを食べたことないよ。中央街に来た時があれば、あの店を贔屓にすることを心に誓った。
道中で食事をしつつ私たちは冒険者ギルドへと向かった。着いた頃には紙袋は空っぽになっていた。
「おいしかったね」
「ええ、お父様に頼んであの店を大々的に売り出してみましょうか……。あ、でも今私サキュバスでしたの。この姿じゃお父様に会えないわ」
会えないといっている割に別に悲しそうにしていないアイリス。まあもともと外に出かけたかったタイプの子だ。親に固執しないドライな関係なのだろう。
冒険者ギルドの建物に入る。いつみてもこの建物は大きい。あの騎士団本部と並ぶくらいの大きさだ。これをみると前世のショッピングモールを思い出すんだよね。特に、上階と吹き抜けになっているところとかそっくりだ。
入って直ぐにある総合受付嬢に話を聞きに行く。
「はい、今回はどのような御用件でしょうか」
「ギルド長に冒険者の手続きをしてくれるといわれて来ました。フラムって言います」
「フラム様ですね。かしこまりました。少々お待ちください。......ただいま確認が取れました。1階の8番の扉まで向かってください」
私は、その扉のところまで歩いて行った。ここは……、確か私がテラスに案内された冒険者登録の部屋だ。なんだか嫌な記憶がよみがえる。
この受付の女性に処断の水晶を使われて、水晶が赤色に光った瞬間、奥の部屋から男たちが追っかけてきたんだよね。思わず逃げ出してしまったのが痛恨のミスだった。
まあおかげでアイリスと出会えたわけだけどね。アイリスがそれを望んでいるかどうかは知らないけど、少なくとも私はあえてうれしいと思っている。
さて、じゃあこの扉をくぐりますか。
私は目の前の扉を開いた。
よし、しっかり立てる。
私は自分の下着姿の上にいつものワンピースを着る。最近は胸も膨らみ始めているので、ブラは外せない。なんだかんだ成長してきているこの身体。正直前世よりも美人だし、このままいくと魅了の力がなくても男を魅了してしまうかもしれない。うっふん。
いや、そんなことはないな。
ドアがコンコンとノックされる。
「はーい、どうぞ」
ガチャリと開けられた扉の向こうからシェリルとアイリスがやってくる。
「ご主人様、もうお体は大丈夫ですの? まだ体が鈍っているようでしたら、もう少し寝ていた方がよろしいのでは?」
「いや、大丈夫だよアイリス。三日も寝てたんだ。ちょっとの時間でも惜しいよ。私は冒険者になって、世界を巡る旅に出るんだからね」
「でもアイリス様のいう事も大事だよ、フラムちゃん」
そういうシェリルは心配そうだ。でも本当に大丈夫。ただ冒険者ギルドに行って、冒険者登録をするだけなんだもん。さすがにこれ以上の災難は降りかからないよ。あれ、なんかフラグ立った気がする。
私は心配する二人を余所に、冒険者ギルドに向けて出発した。
私が出た所は、騎士団本部に近い場所にある宿屋だった。どうやら私が気絶している間にサンクシオンがここまで運んできてくれたようだ。
サンクシオンに運んでもらうのはこれで二度目ではないか?
一度目は私が彼と最初にあった三年前のあの日だ。
彼は人を運ぶ運命にあるんじゃないだろうか。それか、人を運ぶのが大好きだったりして。
まあそんなことはどうでもいいか。騎士団本部と冒険者ギルドは割と近い場所に位置している。
中央街の門から真っすぐ大通りを進むと騎士団本部とぶつかるが、その過程で右折すると冒険者ギルドがある。つまり、一旦大通りまで出て冒険者ギルドの方へ向かえばいいのだ。
大通りは人通りが多いので、迷わず見つけられた。前回は余り気にせず見ていなかったけど、今見るとたくさんの店が並んでいた。どこからともなくおいしそうなパンの匂いもする。
三日前の魔族の攻撃で被害を受けたにもかかわらず、この街の人々は逞しく生きている。
確かに、ここ大通りには被害がなかったけれど、それでも恐怖心が生まれたはずだ。
みんなそれでも明るく振舞っているなんてすごいな。
私は、匂いの強くなる方へと進んでいく。
「ちょっと、フラムちゃん! そっちはギルドじゃないよ!」
「いいのいいの。お腹空いたから何か食べましょ?」
「そういえば、私たち朝食もまだでしたわね」
私は、大通りに面したパン屋へと入店する。カランカランと音がした後、身体全体がパンの匂いに包まれたかのような錯覚を覚えた。
うん、この店は間違いなくおいしい。
「いらっしゃい」
店員のおばちゃんは、少し小太りで気のよさそうな雰囲気をしていた。あの逞しい腕でパンを練るんだろうな。
私は視界に入ったパンをひたすら頼む。どれもおいしそうなのだ。それをみたアイリスやシェリルも同様に注文する。
あっという間に紙袋いっぱいになってしまった。
「毎度あり~」
私たちは退店してすぐパンに貪りついた。
「うまい!」
「美味ですわ!」
「おいしい!」
三人が一様にそのおいしさに頬を緩めた。これはおいしい。やはり出来立てのパンに敵うものはないね!
前世だってこんなおいしいパンを食べたことないよ。中央街に来た時があれば、あの店を贔屓にすることを心に誓った。
道中で食事をしつつ私たちは冒険者ギルドへと向かった。着いた頃には紙袋は空っぽになっていた。
「おいしかったね」
「ええ、お父様に頼んであの店を大々的に売り出してみましょうか……。あ、でも今私サキュバスでしたの。この姿じゃお父様に会えないわ」
会えないといっている割に別に悲しそうにしていないアイリス。まあもともと外に出かけたかったタイプの子だ。親に固執しないドライな関係なのだろう。
冒険者ギルドの建物に入る。いつみてもこの建物は大きい。あの騎士団本部と並ぶくらいの大きさだ。これをみると前世のショッピングモールを思い出すんだよね。特に、上階と吹き抜けになっているところとかそっくりだ。
入って直ぐにある総合受付嬢に話を聞きに行く。
「はい、今回はどのような御用件でしょうか」
「ギルド長に冒険者の手続きをしてくれるといわれて来ました。フラムって言います」
「フラム様ですね。かしこまりました。少々お待ちください。......ただいま確認が取れました。1階の8番の扉まで向かってください」
私は、その扉のところまで歩いて行った。ここは……、確か私がテラスに案内された冒険者登録の部屋だ。なんだか嫌な記憶がよみがえる。
この受付の女性に処断の水晶を使われて、水晶が赤色に光った瞬間、奥の部屋から男たちが追っかけてきたんだよね。思わず逃げ出してしまったのが痛恨のミスだった。
まあおかげでアイリスと出会えたわけだけどね。アイリスがそれを望んでいるかどうかは知らないけど、少なくとも私はあえてうれしいと思っている。
さて、じゃあこの扉をくぐりますか。
私は目の前の扉を開いた。
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