43 / 49
43話 神様、新人達と親睦を深める
しおりを挟む
「今日も頑張るぞ」
パンッ!パンッ!顔を叩きわたしは自分に気合を入れる。
「おはようございます」
「おはようエマ」
「あの、ごはんにお菓子を持ち帰らせてもらってありがとうございました」
「家の人は喜んでくれた」
「弟も妹もお母さんもすごく美味しいってとても喜んでくれました」
「そう、よかった…お父さんは?」
毒父はどうしたんだ?エマが父親のことは言わないので気になったので聞いてみる。
「…」明るかった表情が一変し悲しそうな顔になり下を向くエマ。
「言いたくなかったらいいんだけど、ごめんね」エマの感じを見てわたしは咄嗟に謝る。
「大丈夫です…最近お父さん家にいなくて…でも昨日たまたまお父さんを見かけたんですけど知らない女の人といて『もう俺は家に帰らないから勝手に生きろ』って言われたんです」
なんて勝手な毒父だ。この毒父を囲う女もどういう感覚してるのかな。こういう人って女に捨てられたらまた家に帰って来るんだよね。
「よし、ご飯食べて元気出そう」
「…はい」
エマの家庭の事情もあるし働き始めたばかりで給料もまだ出してない。
昨日話してたら「なにも食べずに来ました。でも慣れてるので大丈夫です。迷惑はかけません」って言うんだけどこんな小さな子供を朝から何も食べないで働かせるわけにもいかないから今日からエマはわたし達と一緒に朝ご飯を食べることになった。ハヤテとレンは食事の準備中。
「あの、わたしもお手伝いしてきます」
「じゃあお願いね」
気がきく頑張り屋さんのエマである。
「おはようございます」
「おはようー」
双子の姉妹のエリーとナタリーが来た。
昨日話していたらナタリーが「それならわたしも一緒に朝ごはん食べたいでーす」と言ってきたのでうちで一緒に食事をすることになった。
「おはようございます」ウィリアムさんが来た。ウィリアムさんも「よろしければわたしもよろしいですかな」と言われたので「いいですよ」と了承した。
同じ従業員で扱いが違うのもよくないからね。でも寝る前に冷静になってよく考えてみるとエマはともかく(なかなか厚かましい新人達だな)と胸の内で思った。
「起きなんしございんす。ふわぁ~」あくびをしてまだ眠そうな顔のカミラが来た。「わっちもいただかせておくんなんし」と当然カミラも一緒に朝ご飯を食べたいと主張したというわけだ。
これで朝と店が閉店してから夕方と一日に2回も従業員と一緒にご飯を食べることが決まった。まあ別に問題ないけどね。いいことじゃないか。同じ釜の飯を食べたら親しくなるっていうし従業員と親睦を深めることは悪くはない。
さあ、みんなで朝ご飯を食べたらコックコートに着替えて身だしなみを整えて仕事に取り掛かる。作業台を綺麗に拭いて清潔になったらスポンジケーキを冷凍庫から出して解凍する。スポンジケーキは今からも作るけどね。
2日目だけどみんな動けて作業できてていい感じだね。
「カパレコさん」
「なに?」
エリーに声をかけられる。
「こんな感じでいいですかね」
「上手だよ」
綺麗に生クリームでコーティングできている。昨日から働き始めたとは思えないような出来栄えだ。
「難しいな~」
「生クリームを塗るのに時間かけてたらクリームが硬くなってしまって美味しくなくなるから手早くだよ」
「はい!」
いい返事のナタリー。
そう言ってわたしも新人達を教えてるんだけど、ハヤテとレンのほうがわたしよりもはるかに上手に仕上げるんだよね…。
「これはどうするんでありんすか」
「それはここに入れるです」
「味見していいでありんすか」
「ダメです!」
おお、レンがカミラを指導してるぞ。
お菓子作りが終わったら店の清掃に外の掃除をしてもうそろそろ開店だ。相変わらず早くから並んでいる人がいて50人くらいの行列ができていた。ありがたいね。
そして昼になり開店。
「いらっしゃいませ」
「ケーキにプリンに…全種類ください。あと持ち帰る分は全部5個ずつで」
「かしこまりました」
「ありがとうございました」
そして店が終了し従業員みんなで食事タイムだ。
「もう仕事は慣れた?」
「そうですね」
「だいたい」
「な、なんとか」
「ある程度は…」
「わっちも問題ありんせん」
「そろそろ国王の誕生祭で城に行くことはみんなにも話したけど、その間店はどうしようか?わたしとハヤテとレンいなくて大丈夫そう?」
「大変そうですね」エリーが言う。
「そのことなのですが…誕生祭にはわたしも出席することになりまして…」
「わかりました。ウィリアムさんいないんじゃ厳しいかな。やっぱり店休みにしようか」
「急に言いまして申し訳ございません。昨日国王の側近の者に通達されまして」
ウィリアムさんはこの国で重要な地位の人みたいだし、参加するのは当然だろうね。なぜそんな偉い人がうちのお菓子屋で働いているのかってことなんだけどね…。店は休むことに決まった。わたし達は3人で店をまわしていたけど、新人達にはまだ厳しいからね。
パンッ!パンッ!顔を叩きわたしは自分に気合を入れる。
「おはようございます」
「おはようエマ」
「あの、ごはんにお菓子を持ち帰らせてもらってありがとうございました」
「家の人は喜んでくれた」
「弟も妹もお母さんもすごく美味しいってとても喜んでくれました」
「そう、よかった…お父さんは?」
毒父はどうしたんだ?エマが父親のことは言わないので気になったので聞いてみる。
「…」明るかった表情が一変し悲しそうな顔になり下を向くエマ。
「言いたくなかったらいいんだけど、ごめんね」エマの感じを見てわたしは咄嗟に謝る。
「大丈夫です…最近お父さん家にいなくて…でも昨日たまたまお父さんを見かけたんですけど知らない女の人といて『もう俺は家に帰らないから勝手に生きろ』って言われたんです」
なんて勝手な毒父だ。この毒父を囲う女もどういう感覚してるのかな。こういう人って女に捨てられたらまた家に帰って来るんだよね。
「よし、ご飯食べて元気出そう」
「…はい」
エマの家庭の事情もあるし働き始めたばかりで給料もまだ出してない。
昨日話してたら「なにも食べずに来ました。でも慣れてるので大丈夫です。迷惑はかけません」って言うんだけどこんな小さな子供を朝から何も食べないで働かせるわけにもいかないから今日からエマはわたし達と一緒に朝ご飯を食べることになった。ハヤテとレンは食事の準備中。
「あの、わたしもお手伝いしてきます」
「じゃあお願いね」
気がきく頑張り屋さんのエマである。
「おはようございます」
「おはようー」
双子の姉妹のエリーとナタリーが来た。
昨日話していたらナタリーが「それならわたしも一緒に朝ごはん食べたいでーす」と言ってきたのでうちで一緒に食事をすることになった。
「おはようございます」ウィリアムさんが来た。ウィリアムさんも「よろしければわたしもよろしいですかな」と言われたので「いいですよ」と了承した。
同じ従業員で扱いが違うのもよくないからね。でも寝る前に冷静になってよく考えてみるとエマはともかく(なかなか厚かましい新人達だな)と胸の内で思った。
「起きなんしございんす。ふわぁ~」あくびをしてまだ眠そうな顔のカミラが来た。「わっちもいただかせておくんなんし」と当然カミラも一緒に朝ご飯を食べたいと主張したというわけだ。
これで朝と店が閉店してから夕方と一日に2回も従業員と一緒にご飯を食べることが決まった。まあ別に問題ないけどね。いいことじゃないか。同じ釜の飯を食べたら親しくなるっていうし従業員と親睦を深めることは悪くはない。
さあ、みんなで朝ご飯を食べたらコックコートに着替えて身だしなみを整えて仕事に取り掛かる。作業台を綺麗に拭いて清潔になったらスポンジケーキを冷凍庫から出して解凍する。スポンジケーキは今からも作るけどね。
2日目だけどみんな動けて作業できてていい感じだね。
「カパレコさん」
「なに?」
エリーに声をかけられる。
「こんな感じでいいですかね」
「上手だよ」
綺麗に生クリームでコーティングできている。昨日から働き始めたとは思えないような出来栄えだ。
「難しいな~」
「生クリームを塗るのに時間かけてたらクリームが硬くなってしまって美味しくなくなるから手早くだよ」
「はい!」
いい返事のナタリー。
そう言ってわたしも新人達を教えてるんだけど、ハヤテとレンのほうがわたしよりもはるかに上手に仕上げるんだよね…。
「これはどうするんでありんすか」
「それはここに入れるです」
「味見していいでありんすか」
「ダメです!」
おお、レンがカミラを指導してるぞ。
お菓子作りが終わったら店の清掃に外の掃除をしてもうそろそろ開店だ。相変わらず早くから並んでいる人がいて50人くらいの行列ができていた。ありがたいね。
そして昼になり開店。
「いらっしゃいませ」
「ケーキにプリンに…全種類ください。あと持ち帰る分は全部5個ずつで」
「かしこまりました」
「ありがとうございました」
そして店が終了し従業員みんなで食事タイムだ。
「もう仕事は慣れた?」
「そうですね」
「だいたい」
「な、なんとか」
「ある程度は…」
「わっちも問題ありんせん」
「そろそろ国王の誕生祭で城に行くことはみんなにも話したけど、その間店はどうしようか?わたしとハヤテとレンいなくて大丈夫そう?」
「大変そうですね」エリーが言う。
「そのことなのですが…誕生祭にはわたしも出席することになりまして…」
「わかりました。ウィリアムさんいないんじゃ厳しいかな。やっぱり店休みにしようか」
「急に言いまして申し訳ございません。昨日国王の側近の者に通達されまして」
ウィリアムさんはこの国で重要な地位の人みたいだし、参加するのは当然だろうね。なぜそんな偉い人がうちのお菓子屋で働いているのかってことなんだけどね…。店は休むことに決まった。わたし達は3人で店をまわしていたけど、新人達にはまだ厳しいからね。
0
お気に入りに追加
51
あなたにおすすめの小説
異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。
そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。
【カクヨムにも投稿してます】
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
王女殿下は家出を計画中
ゆうゆう
ファンタジー
出来損ないと言われる第3王女様は家出して、自由を謳歌するために奮闘する
家出の計画を進めようとするうちに、過去に起きた様々な事の真実があきらかになったり、距離を置いていた家族との繋がりを再確認したりするうちに、自分の気持ちの変化にも気付いていく…
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?
たまご
ファンタジー
アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。
最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。
だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。
女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。
猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!!
「私はスローライフ希望なんですけど……」
この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。
表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。
小さいぼくは最強魔術師一族!目指せ!もふもふスローライフ!
ひより のどか
ファンタジー
ねぇたまと、妹と、もふもふな家族と幸せに暮らしていたフィリー。そんな日常が崩れ去った。
一見、まだ小さな子どもたち。実は国が支配したがる程の大きな力を持っていて?
主人公フィリーは、実は違う世界で生きた記憶を持っていて?前世の記憶を活かして魔法の世界で代活躍?
「ねぇたまたちは、ぼくがまもりゅのら!」
『わふっ』
もふもふな家族も一緒にたくましく楽しく生きてくぞ!
他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!
七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?
今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる