転生辺境伯次男はチートが過ぎる

如月 満月

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子供時代

第14話 シルフィ、初めての旅行編⑥

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【名前】シルフィリア・ワーマイア
【称号】辺境伯家次男・創造神の愛し子・竜王の番・クラフトレベル初級《NEW》
【年齢】10歳
【魔法適性】火・水・風・土・光・闇・無
【備考】ガイナス・ドラグニアから番と認められる。前世の世界においてクラフト系ゲームで色々なものを作り、それが評価され国内のみならずその世界の人々を楽しませたとして創造神から目をつけられ…目をかけられ愛されていた。
前世の世界で死亡後、創造神によって無理矢…目をかけた愛し子として称号を付与され比較的平和な世界へと導かれる。
強引なガイナスの事をなんだかんだでちょっと好きになりかけている。わりとチョロい。
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…………ちょっと待て。

色々つっこみたい所があるんだけど、とりあえず最後!
最後の方の文よ!
なんだか小っ恥ずかしい事を書かれている上に一番最後の「わりとチョロい。」ってなんだよ!
ちょっと自覚があるのに本人に見られたら元も子もないじゃん!!


「……ふふ、心を通わせるにはもっと時間がかかると思っていたが、少しでも俺の事を好いてくれているんだと分かってとても嬉しいよ」

そう言ってガイナス様は言葉通りとても嬉しそうに微笑んで俺の頭を撫でた。
その微笑みがとても居た堪れずに思わず目を逸らした。
でもたぶん俺の顔は真っ赤になってると思うのであまり効果は無さそう……うぅぅ。


「それにしてもまさかシルフィが〈創造神の愛し子〉という称号を神から与えられていたとはね。下手すると神の代弁者である『聖女』より凄いかもしれないな。それに〈クラフトレベル初心者〉という称号は今までに大勢の人間を鑑定してきたが、一度も見た事もないし聞いた事もない」

そう言うとガイナス様は俺の頭を撫でていた手を下に動かすと今度は頬を指先でするりと撫でた。
そして少し表情を引き締める。

「正直、称号だけでもシルフィは規格外だと言っていい。そして魔法適性。本来なら人族の魔法適性は多くて3属性ほどなんだ。シルフィの父であるアーノルド殿がそれで、火・風・光の適性を持っている。それだけでも充分貴重な存在なのに、シルフィは全種族の中でも稀な全属性に適性がある。……これは神によって秘匿されてて当然だし、逆に秘匿されていて良かったよ」
「そう……なんですか」

竜王様にそこまで言われると、なんだか本当に自分がとても貴重な人間のような気がしてくる。
実際、神様から色々としてもらっている時点で俺は普通の人とは比べて“規格外”なのだろうけど。


「【備考】の説明文で最初の方にあるゲーム?などの部分は俺にはよく分からない。だがいいかい、シルフィ。先程も言ったがシルフィはこの世界では規格外の存在だ。だが、君は人族でまだ10歳の子供。とてつもない能力をその身に秘めていたとしても、君はまだそれらを全て把握も理解も出来ていないし、思い通りに操る事も出来ていない。そうだろう?」

確認しているようで断定しているようなガイナス様の問いかけに、俺は素直に「はい」と答える。

「だからこそ用心しないといけない。もし悪意を持った第三者が君の存在を知った時、そいつらはきっと君を無理矢理にでも手に入れようとするだろう。そして必ず利用しようとする。それが例え君の意に反する事だとしても」

ガイナス様の言葉はもっともだ。
よほどの馬鹿でなければ深く考えずともそうなるだろうと予測出来る。
ただでさえ俺はまだこの世界について充分に理解出来ていないし、まだまだ知らない事が多すぎる。
だからこそどこかで隙が生まれる可能性があるし、そこに付け込まれる可能性もある。

「俺はこの世界で神の次に最強であると自負している竜人族の王だ。だからちょっとやそっとの事ではやられたりしない。だがそれが“絶対”ではない事も理解している。現にこの世界ではイレギュラーで予測不能な存在である『勇者』という者もいる」

そう言って俺を真っ直ぐ見つめてくるガイナス様の真摯な瞳を俺は真正面から受け止める。
目が逸らせないし逸らしてはいけない。


「最初に会った時から何度も言い続けているが、シルフィは俺の番だ。ただ1人の伴侶だ。失えない半身だ。だからこそシルフィのことに関しては過剰にもなる。それに君は恐らく『聖女』より貴重な存在だ。その存在が世界に知られればきっと大変な事になるだろう」

そう言うとガイナス様は目を伏せ、俺の背に腕を伸ばしそのまま抱き寄せた。
自分より少し低めの体温と力強い鼓動を感じる。

「会ったばかりの俺に対して同じだけの熱量を返して欲しいだなんて言わない。だが、君の事は他の奴には絶対任せたくない。シルフィ、君の事は…君だけは俺がどんな悪意からも守り抜きたいというこの自己満足な想いだけは……どうか拒否しないでほしい」
「拒否だなんてそんな……」

番というだけで竜王様に……こんな立派な人にここまで想われていいのだろうか。
俺はこの人に一体何が返せるのだろう?

俺はガイナス様の背に回した手に力を込めた。





──────────────





「…………あぁ、そうだ。シルフィだけ見せてもらって俺のは見せないなんてフェアじゃないね。シルフィも自分自身を鑑定出来るなら俺の事も鑑定出来るんじゃないかな」

そう言われてはたと気付き、ガイナス様の胸に預けていた顔を上げた。

確かに俺自身のステータスを見る事が出来るなら、他人のステータスも見れるかもしれない。

成功するのかちょっとドキドキしながらも、ガイナス様の方を向いて意識しつつ「ステータスオープン!」と唱えた。


ピコン!


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【名前】ガイナス・ドラグニア
【称号】トライア・ドラグーン王国竜王陛下
【年齢】104歳
【魔法適性】火・水・風・土・闇・無
【備考】トライア・ドラグーン王国の3人居る竜王の内の一人。シルフィリア・ワーマイアを番と認める。ファープニルとマッケンとは幼馴染。シルフィリア強火担当、同担拒否(他はぶっ殺す)。古代竜エンシェントドラゴンを祖に持ち、先祖返りなだけあって他の竜人族よりも強い力を持つ。もっと鍛えれば竜人族最強になる潜在能力ポテンシャルを秘めている。場合によっては進化も可能。厄介事や公務に縛られるので出来るだけ早く竜王辞めたい。シルフィリアとちゃんと番えたら最速で巣に引きこもりたい。やっぱ今すぐにでも竜王辞めたい。
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…………ねぇ、ガイナス様。
大事な事だから2回言うほど竜王辞めたかったの?
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