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ランキング上位御礼番外編 シルフィとガイナスの3分クッキング~前編~
しおりを挟む「もうすぐバレンタインが近いので今回はチョコラッテケーキを作りたいと思います!」
「ばれんたいん……?」
聞きなれない単語なのか、横にいるガイナス様が不思議そうな顔をしている。
「えっと、簡単に言えば好きな異性にお菓子や贈り物をして好意を示し、時には愛を告白したり愛を深めたりするイベントです!」
「なんと、そんなイベントが!でもシルフィ、無理はするな。気持ちだけでいいんだぞ」
「まだ僕はガイナス様にあげるとは一言も言ってません」
「えっ」
俺の言葉にガイナス様は膝から崩れ落ちた。
・
・
・
・
・
「え~……気を取り直して。用意するのはこちら!」
いちいち材料を1つずつ言っていくのは面倒なのでテーブルに材料をずらーっと並べる。
前世と似たような名称と見た目がほとんどなのだが、一部は名称も見た目も違う食材がある。
その辺はやはり異世界仕様らしい。
「この茶色の固形物は?」
ショックから復活したガイナス様が俺の手元を覗き込んで板チョコみたいなのを指さした。
ついでに頬ずりしてくる。
頬ずり好きね、貴方。
「それはチョコラです」
「あぁ~これがあのチョコラか!」
チョコラとは前世でいう『チョコレート』の事で、チョコラの原料となるカカラの実はクェダット王国の隣にあるリフィルシュタイン公国の一部地域でしか採れない貴重な食材だ。
「シルフィ、これは?」
「あぁ、それは爆麦粉ですね」
「え?あの採取の仕方を間違うと爆発するって言われてるやつ?」
「そうです」
爆麦は採取が難しく、手順通りにやらないと実が成長の際に溜め込んだ魔力を使い爆発してしまう。
その実を採取している者はもちろん、半径10m以内に居た者も爆発に巻き込まれて大なり小なり怪我をしてしまうので採取の際は特に細心の注意が必要な穀物である。
「シルフィが作るってだけで価値があるけど、食材だけでも高級だねぇ」
そう言ってふむふむと並べられている食材を見渡すガイナス様。
だが俺は知っているぞ。
貴方の護衛(マッケン)がこの前「ガイナス様は無駄にグルメだからたまに無茶振りで海や山に高級食材を採りに行かされて辛い」って嘆いていたのを。
「さて、最初の工程からしてると作者が書くのを途中でめんどくさがるので……はい!こちらに食材を混ぜ込んだ生地が入ったボウルがあります!」
「うわ~……メタ発言だね」
ガイナス様が珍しくちょっと引いているが、気にせずサクサクと話を進めていく。
ここで気にしたら負けだ、何に負けるのか知らないが。
「そしてそしてー!ここで僕が8歳の頃に作った『魔法式オーブンレンジ』の登場!その名の通り魔法で動く!前世のは焼き上がるまでに30分くらい時間がかかったけど、これなら数分で焼き上がる!時短ができてとっても便利!!」
「通販番組みたいだね」
この世界、テレビが無いんだから通販番組なんて見た事ないでしょ、貴方。
てか、テレビか……。
いいな、無魔法使ってなんとかテレビ作れないかな。
でも番組の放送とかがないと意味無いか。
「さてさて、焼き上がるまで少し時間がありますが、なんと実はもう既に焼き上がった物がこちらにー!」
「朝から厨房でシェフたちと話しながら何かしてると思ったら既に作っておいたんだな」
「ガイナス様は相変わらず僕のストーカーですよね」
俺の変態を見る冷めた目にも動じず、にこにこと笑みを崩さないガイナス様、っょぃ。
……って、やめて、腰に手を回さないで。
待て、10歳の男の子のお尻を撫でるんじゃない!
お巡りさん、助けてー!
コイツです!竜王ですー!!ってアカーン!!!(混乱)
「……ん?甘い匂いがする……」
俺がガイナス様にセクハラされて声なき絶叫を上げている厨房に1人の青年が現れた。
それは甘い匂いに釣られた俺の兄ーークラウスだった。
「後半に続くっ!」
「シルフィを食べちゃいたいなぁ(小声)」
「滅べ、変態!シルに触るな!!」
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