絶対許さない

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7.復讐の準備①

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ミーツとルイは商業ギルドへ向かっていた。

ルイはミーツをニヤニヤと見ながら聞く。

「今更、商業ギルドって何しに行くの?」

「法律については法律士に相談しないとどうしようもないから」

「裁判の費用がないっていってなかった?」

「商業ギルドに入っていれば法律に関する相談は無料だから。それと離職証明の進み具合を聞きたくて」


石造りの立派な建物が商業ギルドで、内装も貴族の相手ができるように質素だが品の良い設えになっている。

ミーツはギルド職員に法律士の相談について聞くために受付へ行った。

「おやおや、無職のミーツ君じゃないか?次の仕事は決まったかね?」

離職証明書を作成しない張本人のブー子爵がいた。

「これはこれは離職証明書を作成しないブー子爵ではないですか!今日こそは作成にいらしたのですか?」

「いや、君のようなものが今の商会には多いようだから、一度たたんで再度新しい商会を立てようかと思ってね。」

ニヤニヤと気持ちの悪い笑みを浮かべてブー子爵が言う。

ブー子爵の受付をしているギルド員は顔をしかめていた。

「子爵、この書類にある、予算については本当にお持ちですか?」

「貴様、この私の言っていることが信用ならないとでも!」

ギルド員は受付の奥をちらっと振り返り、一度ギルド長にご相談いたしますので少々お待ちくださいといって、引っ込んでいった。

ブー子爵は憤慨しながら机を叩きながら文句をたらたらと言っている。

ブー子爵についてはギルド職員から「こちらで対応しますので直接関わらないように」と言われているため、文句を言いたいのを抑えて、相談受付へと向かう。

「すみません。ミーツと申します。ブー子爵の商会について法律士に相談したく伺いました」

「ああ、ミーツさん。こんにちは。商会の離職証明についてですよね、あと給料未払いの件についてもご相談されてください。ギルドでも何度かブー子爵の方に指導を入れているのですが、全く反応がありません。法律士の方は私たちギルド職員から勧められない方法を提案していただけるので、ぜひ相談してください」

ギルド職員はブー子爵をにらみながら後半部分をミーツに耳打ちした。

「あ、はい。そうします」

どうやらブー子爵はギルド職員にも睨まれているらしい。荒事も涼しい顔してさばく商業ギルド職員が忌々し気にするっていったい…

「ミーツさん、順番が来たのでどうぞ」

少し緊張しつつ法律士のもとへ向かう。

法律士への相談は時間が決まっているため的確に説明する必要がある。証拠などもスムーズに見せるようにミーツは準備していた。

「こんにちは。ミーツさん」

「こんにちは」

「離職証明と給料未払いの件でご相談でしたね」

「はい。資料をもってきているので見ながら説明させてください」

「はい。お願いします」

ミーツは商業ギルドから出されていた求人票と実際に結んだ雇用条件契約書、そして、解雇する旨が載せられた手紙を見せた。また、直前に商業ギルドから渡されたブー子爵に指導を行った記録も見せる。

「私はブー子爵の商会に2か月いましたが、給料を一度も受け取っていません。また、私だけでなく同期の2人と以前いた商会員ももらっていないようです。そして、離職証明をブー子爵に提出するよう私が伝えその後商業ギルドの方が指導されています。しかし離職証明、給料どちらも出す様子がありません」

「離職証明は求められたら提出しなければいけません。これを怠ったら違法になります。もちろん給料については損害賠償を請求できるものです。」

ミーツはメモを取りながら聞く。

「商業ギルドは雇用問題については捜査権を持っていて、今回のような問題は違法として捜査できます。しかし、雇用される側つまり、ミーツさん本人から違法性と捜査願いを申請しない限り商業ギルドは動くことができません。離職証明についてはギルドも確認済みのようですし、すぐ動いてくれますよ。あと、いくつか証拠になるものにつてアドバイスしておきますね」

ミーツはアドバイスをメモに書付けながら、ギルド員が言っていた、自分たちが勧められない方法とは捜査権のことだったのかと考えた。
本当に最終手段でしかもたいていの場合貴族を相手にするから、あまり知られていないのだろ。それにこういった捜査申請をしたことは貴族に広まりやすく、次の仕事に響くため申請するものはほとんどいないのだろう。

ミーツは証拠を手に再度ギルドの受付へと向かう。

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