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48 お忍びデート
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王様が来られた事で女の子達は気をきかせて席を外してくれた。
「何しに来たんですか?視察?」
「そんなのレティに会いに来たに決まってるだろう?」
「嘘ばっかり、そんな理由でお城から出られるわけないじゃないですか。」
「叔父上がこっそり逃がしてくれたんだ。レティがいる場所も教えてくれた。」
ハルトめ。何考えてんの?
「叔父上はしょっちゅうお城を抜け出していたんだって。」
「それは悪いお手本だよ?ロレンス様にも迷惑だよ。」
「いえ、私も楽しんでおりますから。」
と、ロレンス様。
まあ、私にも護衛はついているから大丈夫だとふんでいるのだろう。
「じゃあ、どこ行く?」
せっかく抜け出して来たんだ、遊ばないと損。
「公園でボートに乗ろう!」
「いいね。」
ロレンス様も一緒に乗るのかと思っていたけど、
「お二人でどうぞ。レオンハルト様が「何かあってもレティがなんとかする!」とおっしゃってましたので。」
まあ、なんとかするけどね。
ウィルがボートを漕いでくれた。
本当に元気になったんだね。
「大丈夫?」
「このくらい平気だよ。」
頼もしいじゃないか。
「この間はごめんね。いきなりあんな事言っちゃって。おまけに取り乱したりなんかして。」
告白のことか。
「うん。気持ちには答えられないけど、嬉しかったよ。」
「ありがとう。」
貴族の婚約は家同士の繋がりで、当人同士ではどうする事もできないのが当たり前だ。
「本当は言うつもりなんか無かったんだ。
もう少し、大人になって。
ロズウェル家と手を切る事が出来てから告白する予定だったんだ。
ねえレティ、そしたらその時にもう一度告白してもいい?」
「うーん…あたしって、もてるからね。
ウィルよりいい男から先に告白されたらOKしちゃうかも?」
ぶっちゃけウィルよりいい男はたくさんいる。
「待っててよ。」
「嫌だよ。ふふふっ。」
「ひどいな。ははは。」
まだ子供の恋だ。
ウィルだって今にもっと好きな娘が出来るよ。
あたしは治癒師として特別近くにいたし、側にいれば安心出来るからだろう。それは依存に似た感情だよ。
そろそろ岸に帰ろうとボートを漕ぎはじめたが、少し疲れたようだ。
「回復するね。」
「ありがとう。
レティがいると、僕はなんでも出来る気がするよ。」
ほらね。それはあまりいい事じゃない。
だけどこの子の場合はそうしてあげないと生きれ無かった。
もっと元気になってあたしなんて要らないって言われるくらいが理想なんだけどな。乳離れならぬ治癒師離れが出来るようにならないと。
何日かが過ぎ、雑誌が出来上がった。
なぜかボートに乗っていたのを画家が見てたみたいで、微笑ましいデート風景として載せられていた。
でも相手はウィルじゃなくてロレンス様になってた。
「なんで?」
「お嬢様、趣味が悪いですよ。
もう一人の彼のほうがいけてたじゃないですか?」
これみたらウィルがまた拗ねちゃうな。
「何しに来たんですか?視察?」
「そんなのレティに会いに来たに決まってるだろう?」
「嘘ばっかり、そんな理由でお城から出られるわけないじゃないですか。」
「叔父上がこっそり逃がしてくれたんだ。レティがいる場所も教えてくれた。」
ハルトめ。何考えてんの?
「叔父上はしょっちゅうお城を抜け出していたんだって。」
「それは悪いお手本だよ?ロレンス様にも迷惑だよ。」
「いえ、私も楽しんでおりますから。」
と、ロレンス様。
まあ、私にも護衛はついているから大丈夫だとふんでいるのだろう。
「じゃあ、どこ行く?」
せっかく抜け出して来たんだ、遊ばないと損。
「公園でボートに乗ろう!」
「いいね。」
ロレンス様も一緒に乗るのかと思っていたけど、
「お二人でどうぞ。レオンハルト様が「何かあってもレティがなんとかする!」とおっしゃってましたので。」
まあ、なんとかするけどね。
ウィルがボートを漕いでくれた。
本当に元気になったんだね。
「大丈夫?」
「このくらい平気だよ。」
頼もしいじゃないか。
「この間はごめんね。いきなりあんな事言っちゃって。おまけに取り乱したりなんかして。」
告白のことか。
「うん。気持ちには答えられないけど、嬉しかったよ。」
「ありがとう。」
貴族の婚約は家同士の繋がりで、当人同士ではどうする事もできないのが当たり前だ。
「本当は言うつもりなんか無かったんだ。
もう少し、大人になって。
ロズウェル家と手を切る事が出来てから告白する予定だったんだ。
ねえレティ、そしたらその時にもう一度告白してもいい?」
「うーん…あたしって、もてるからね。
ウィルよりいい男から先に告白されたらOKしちゃうかも?」
ぶっちゃけウィルよりいい男はたくさんいる。
「待っててよ。」
「嫌だよ。ふふふっ。」
「ひどいな。ははは。」
まだ子供の恋だ。
ウィルだって今にもっと好きな娘が出来るよ。
あたしは治癒師として特別近くにいたし、側にいれば安心出来るからだろう。それは依存に似た感情だよ。
そろそろ岸に帰ろうとボートを漕ぎはじめたが、少し疲れたようだ。
「回復するね。」
「ありがとう。
レティがいると、僕はなんでも出来る気がするよ。」
ほらね。それはあまりいい事じゃない。
だけどこの子の場合はそうしてあげないと生きれ無かった。
もっと元気になってあたしなんて要らないって言われるくらいが理想なんだけどな。乳離れならぬ治癒師離れが出来るようにならないと。
何日かが過ぎ、雑誌が出来上がった。
なぜかボートに乗っていたのを画家が見てたみたいで、微笑ましいデート風景として載せられていた。
でも相手はウィルじゃなくてロレンス様になってた。
「なんで?」
「お嬢様、趣味が悪いですよ。
もう一人の彼のほうがいけてたじゃないですか?」
これみたらウィルがまた拗ねちゃうな。
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