24 / 71
24
しおりを挟む
陛下は治癒の効果が現れ、すこぶる元気になられたそうだ。
だけどまだまだ治療は続けなくてはいけない。王様にはこの旅行中に何度かお会いして治療する事になった。
良かった。倒れたかいがあったよ。
兄様はずっと倒れたあたしの側にいてくれたらしい。心配かけちゃったな。
今も、
「お風呂は長湯してはいけないよ。」
「お腹がすいただろう?食事を部屋に運んでもらおうね。」
とかいがいしく世話をする。
「ありがとう兄様。せっかく旅行に来たのに、遊べなくてごめんね。」
「いいんだよ。そんな事より陛下の病気を見つけるなんてお手柄だぞ。」
本当に良かった。
これで王様は死ぬ事は無い。
そしたらエディの王室での立場だって前ほどは悪くはならないはず。
食事が終わると、部屋をノックする音がした。
「サラ、具合はどう?」
バネッサだ。
「もう大丈夫よ。」
「驚いたわ、急に熱を出すなんて。」
王様には聖女である事や治癒能力は隠してもらうようお願いしておいた。
バネッサは私が暇なんじゃないかと、手持ちの本を持ってきてくれたのだった。
鉱石の本だった。
「もっと面白い物語の本でもあれば良かったんだけど、手持ちの本はこんなのしかなくてごめんね。」
「ううん、ありがとう。バネッサは本当に鉱石が好きなのね。」
「ええ、私、目が悪いから遠くの美しい景色はよく見えないのだけど、鉱石は手にとって見る事ができる物だから大好きなの。」
そうだったんだ。バネッサにはこの別荘地の美しい景色は見えてなかったんだ。
それなのに私達は綺麗な景色やお城にはしゃいだりしていたんだわ。
口には出さなかったけれど、きっとさみしく感じていたはずだ。
「私の母様も生まれつき目が悪いの。
でもね、光だけはかろうじて感じる事ができてね、この間もサファイアを日に透かして綺麗だって喜んでいたのよ。」
「そうだったの。お気の毒ね。
私は生まれつきでもないし、なんとか生活できるからまだありがたいって思わなくちゃね。」
「生まれつきじゃないの?」
「ええ、幼い頃の火事で火の粉が目に入ってしまったの。」
生まれつきじゃないのなら治せるんじゃないの?
だけどまだまだ治療は続けなくてはいけない。王様にはこの旅行中に何度かお会いして治療する事になった。
良かった。倒れたかいがあったよ。
兄様はずっと倒れたあたしの側にいてくれたらしい。心配かけちゃったな。
今も、
「お風呂は長湯してはいけないよ。」
「お腹がすいただろう?食事を部屋に運んでもらおうね。」
とかいがいしく世話をする。
「ありがとう兄様。せっかく旅行に来たのに、遊べなくてごめんね。」
「いいんだよ。そんな事より陛下の病気を見つけるなんてお手柄だぞ。」
本当に良かった。
これで王様は死ぬ事は無い。
そしたらエディの王室での立場だって前ほどは悪くはならないはず。
食事が終わると、部屋をノックする音がした。
「サラ、具合はどう?」
バネッサだ。
「もう大丈夫よ。」
「驚いたわ、急に熱を出すなんて。」
王様には聖女である事や治癒能力は隠してもらうようお願いしておいた。
バネッサは私が暇なんじゃないかと、手持ちの本を持ってきてくれたのだった。
鉱石の本だった。
「もっと面白い物語の本でもあれば良かったんだけど、手持ちの本はこんなのしかなくてごめんね。」
「ううん、ありがとう。バネッサは本当に鉱石が好きなのね。」
「ええ、私、目が悪いから遠くの美しい景色はよく見えないのだけど、鉱石は手にとって見る事ができる物だから大好きなの。」
そうだったんだ。バネッサにはこの別荘地の美しい景色は見えてなかったんだ。
それなのに私達は綺麗な景色やお城にはしゃいだりしていたんだわ。
口には出さなかったけれど、きっとさみしく感じていたはずだ。
「私の母様も生まれつき目が悪いの。
でもね、光だけはかろうじて感じる事ができてね、この間もサファイアを日に透かして綺麗だって喜んでいたのよ。」
「そうだったの。お気の毒ね。
私は生まれつきでもないし、なんとか生活できるからまだありがたいって思わなくちゃね。」
「生まれつきじゃないの?」
「ええ、幼い頃の火事で火の粉が目に入ってしまったの。」
生まれつきじゃないのなら治せるんじゃないの?
0
お気に入りに追加
54
あなたにおすすめの小説
聖女に巻き込まれた、愛されなかった彼女の話
下菊みこと
恋愛
転生聖女に嵌められた現地主人公が幸せになるだけ。
主人公は誰にも愛されなかった。そんな彼女が幸せになるためには過去彼女を愛さなかった人々への制裁が必要なのである。
小説家になろう様でも投稿しています。
死んで巻き戻りましたが、婚約者の王太子が追いかけて来ます。
拓海のり
恋愛
侯爵令嬢のアリゼは夜会の時に血を吐いて死んだ。しかし、朝起きると時間が巻き戻っていた。二度目は自分に冷たかった婚約者の王太子フランソワや、王太子にべったりだった侯爵令嬢ジャニーヌのいない隣国に留学したが──。
一万字ちょいの短編です。他サイトにも投稿しています。
残酷表現がありますのでR15にいたしました。タイトル変更しました。
聖女じゃないからと婚約破棄されましたが計画通りです。これからあなたの領地をいただきにいきますね。
和泉 凪紗
恋愛
「リリアーナ、君との結婚は無かったことにしてもらう。君の力が発現しない以上、君とは結婚できない。君の妹であるマリーベルと結婚することにするよ」
「……私も正直、ずっと心苦しかったのです。これで肩の荷が下りました。昔から二人はお似合いだと思っていたのです。マリーベルとお幸せになさってください」
「ありがとう。マリーベルと幸せになるよ」
円満な婚約解消。これが私の目指したゴール。
この人とは結婚したくない……。私はその一心で今日まで頑張ってきた。努力がようやく報われる。これで私は自由だ。
土地を癒やす力を持つ聖女のリリアーナは一度目の人生で領主であるジルベルト・カレンベルクと結婚した。だが、聖女の仕事として領地を癒やすために家を離れていると自分の妹であるマリーベルと浮気されてしまう。しかも、子供ができたとお払い箱になってしまった。
聖女の仕事を放り出すわけにはいかず、離婚後もジルベルトの領地を癒やし続けるが、リリアーナは失意の中で死んでしまう。人生もこれで終わりと思ったところで、これまでに土地を癒した見返りとしてそれまでに癒してきた土地に時間を戻してもらうことになる。
そして、二度目の人生でもジルベルトとマリーベルは浮気をしてリリアーナは婚約破棄された。だが、この婚約破棄は計画通りだ。
わたしは今は二度目の人生。ジルベルトとは婚約中だけれどこの男は領主としてふさわしくないし、浮気男との結婚なんてお断り。婚約破棄も計画通りです。でも、精霊と約束したのであなたの領地はいただきますね。安心してください、あなたの領地はわたしが幸せにしますから。
*過去に短編として投稿したものを長編に書き直したものになります。
家路を飾るは竜胆の花
石河 翠
恋愛
フランシスカの夫は、幼馴染の女性と愛人関係にある。しかも姑もまたふたりの関係を公認しているありさまだ。
夫は浮気をやめるどころか、たびたびフランシスカに暴力を振るう。愛人である幼馴染もまた、それを楽しんでいるようだ。
ある日夜会に出かけたフランシスカは、ひとけのない道でひとり置き去りにされてしまう。仕方なく徒歩で屋敷に帰ろうとしたフランシスカは、送り犬と呼ばれる怪異に出会って……。
作者的にはハッピーエンドです。
表紙絵は写真ACよりchoco❁⃘*.゚さまの作品(写真のID:22301734)をお借りしております。
この作品は、別サイトにも投稿しております。
(小説家になろうではホラージャンルに投稿しておりますが、アルファポリスではカテゴリーエラーを避けるために恋愛ジャンルでの投稿となっております。ご了承ください)
逆行令嬢は聖女を辞退します
仲室日月奈
恋愛
――ああ、神様。もしも生まれ変わるなら、人並みの幸せを。
死ぬ間際に転生後の望みを心の中でつぶやき、倒れた後。目を開けると、三年前の自室にいました。しかも、今日は神殿から一行がやってきて「聖女としてお出迎え」する日ですって?
聖女なんてお断りです!
【完結】魅了が解けたあと。
乙
恋愛
国を魔物から救った英雄。
元平民だった彼は、聖女の王女とその仲間と共に国を、民を守った。
その後、苦楽を共にした英雄と聖女は共に惹かれあい真実の愛を紡ぐ。
あれから何十年___。
仲睦まじくおしどり夫婦と言われていたが、
とうとう聖女が病で倒れてしまう。
そんな彼女をいつまも隣で支え最後まで手を握り続けた英雄。
彼女が永遠の眠りへとついた時、彼は叫声と共に表情を無くした。
それは彼女を亡くした虚しさからだったのか、それとも・・・・・
※すべての物語が都合よく魅了が暴かれるとは限らない。そんなお話。
______________________
少し回りくどいかも。
でも私には必要な回りくどさなので最後までお付き合い頂けると嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる