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ヴァイオレットとその取り巻き達の空気が微妙。
先日、サミュエル兄様が言った言葉と、ヴァイオレットに対する態度で不信感が出来てしまったみたい。
なにせ兄様は学園でも人気No.1だからね。
常に成績はトップで皇太子殿下の信頼も厚い。
そしてやっぱり容姿の美しさ!
爽やかで一見クールなんだけど、微笑まれるともうとろとろにとろける!
あたしってば偉い!こんな逸材の損失を阻止したなんて偉い!
そしてあたしが兄様にかわいがられているとわかったみたいで、あたしに意地悪はしなくなった。
おまけに兄様には婚約者がいない。
あわよくばその座につきたい令嬢はたくさんいる。
あたしはといえば、相変わらずエディのストーキングがやめられない。
でも見てるだけだもん。
前回みたいにあざとくぶつかったり、デートに誘ったりしていない。
エディはちょろいから、ちょっと色仕掛けしてやるとすぐに落とせる。
そんなのはわかっているから、見てるだけ。
見てるだけでもあたしには思い出があるから幸せ。
でもどうしよう。
エディは幸せそうじゃないな。
ヴァイオレットは冷たいし、兄様は厳しいし。
兄様はエディの為だって言うけど。…まあ、確かに前回と違ってエディのポンコツ感は無くなった。きっと兄様が教育してくれたのだろう。
だけど、エディ…笑ってない。
上品に微笑んでいるけど、あんなのはエディじゃないよ。
入学してから3ヶ月ほど過ぎると長期休暇に入る。
その前には学期末テストとパーティーがある。
テストはもちろんトップ…とはならなかった。
筆記試験は満点だったけど、マナーの授業での実技の成績がよくなかったから。
頑張っているんだけど、何が違うのかわかんない。やっぱり本物のお嬢様じゃないから、安っぽさが滲み出ちゃってるのかな?
でも3位だったから家族は誉めてくれた。
1位はやっぱりヴァイオレットで、2位はジュリアス・カーライル・ガルシアン。エディの弟だ。
焦げ茶の髪にエメラルドの瞳で、兄と比べると地味に見えてしまうけど、整った顔立ちで、真面目で誠実そうな印象。
パーティーでは兄様がエスコートしてくれた。
学園のパーティーはマナーを学ぶために行われる。だけど、そんな事は生徒達には関係ない。皆、長期休暇前で浮かれて楽しんでいるみたい。
ファーストダンスも兄様が踊ってくれた。
あたしはパーティーで踊るなんて初めてだったからすごく緊張していた。
「に、兄様。足、踏んじゃったらごめんなさい。」
「サラに踏まれたって、痛くもなんともないよ。だから、そんなに緊張しないで楽しもうよ。
僕はサラの初めての相手になれて、光栄だよ。」
兄様が優しくリードしてくれたおかげで、なんとか踊る事が出来た。
踊り終わると兄様は飲み物を取ってくるからと、あたしを椅子に座らせて離れた。
エディはどこだろう?
あー…女の子に囲まれてる。
婚約者がいたって皆王子様と踊りたいもんね。
兄様は…こっちも囲まれたか。なかなか戻っては来れなさそう。
そんなあたしの前にも数人の男性が。
一度に声をかけられ、返答に困っていると、
「私と踊っていただけませんか?」
ジュリアス殿下が手を差し出した。
先日、サミュエル兄様が言った言葉と、ヴァイオレットに対する態度で不信感が出来てしまったみたい。
なにせ兄様は学園でも人気No.1だからね。
常に成績はトップで皇太子殿下の信頼も厚い。
そしてやっぱり容姿の美しさ!
爽やかで一見クールなんだけど、微笑まれるともうとろとろにとろける!
あたしってば偉い!こんな逸材の損失を阻止したなんて偉い!
そしてあたしが兄様にかわいがられているとわかったみたいで、あたしに意地悪はしなくなった。
おまけに兄様には婚約者がいない。
あわよくばその座につきたい令嬢はたくさんいる。
あたしはといえば、相変わらずエディのストーキングがやめられない。
でも見てるだけだもん。
前回みたいにあざとくぶつかったり、デートに誘ったりしていない。
エディはちょろいから、ちょっと色仕掛けしてやるとすぐに落とせる。
そんなのはわかっているから、見てるだけ。
見てるだけでもあたしには思い出があるから幸せ。
でもどうしよう。
エディは幸せそうじゃないな。
ヴァイオレットは冷たいし、兄様は厳しいし。
兄様はエディの為だって言うけど。…まあ、確かに前回と違ってエディのポンコツ感は無くなった。きっと兄様が教育してくれたのだろう。
だけど、エディ…笑ってない。
上品に微笑んでいるけど、あんなのはエディじゃないよ。
入学してから3ヶ月ほど過ぎると長期休暇に入る。
その前には学期末テストとパーティーがある。
テストはもちろんトップ…とはならなかった。
筆記試験は満点だったけど、マナーの授業での実技の成績がよくなかったから。
頑張っているんだけど、何が違うのかわかんない。やっぱり本物のお嬢様じゃないから、安っぽさが滲み出ちゃってるのかな?
でも3位だったから家族は誉めてくれた。
1位はやっぱりヴァイオレットで、2位はジュリアス・カーライル・ガルシアン。エディの弟だ。
焦げ茶の髪にエメラルドの瞳で、兄と比べると地味に見えてしまうけど、整った顔立ちで、真面目で誠実そうな印象。
パーティーでは兄様がエスコートしてくれた。
学園のパーティーはマナーを学ぶために行われる。だけど、そんな事は生徒達には関係ない。皆、長期休暇前で浮かれて楽しんでいるみたい。
ファーストダンスも兄様が踊ってくれた。
あたしはパーティーで踊るなんて初めてだったからすごく緊張していた。
「に、兄様。足、踏んじゃったらごめんなさい。」
「サラに踏まれたって、痛くもなんともないよ。だから、そんなに緊張しないで楽しもうよ。
僕はサラの初めての相手になれて、光栄だよ。」
兄様が優しくリードしてくれたおかげで、なんとか踊る事が出来た。
踊り終わると兄様は飲み物を取ってくるからと、あたしを椅子に座らせて離れた。
エディはどこだろう?
あー…女の子に囲まれてる。
婚約者がいたって皆王子様と踊りたいもんね。
兄様は…こっちも囲まれたか。なかなか戻っては来れなさそう。
そんなあたしの前にも数人の男性が。
一度に声をかけられ、返答に困っていると、
「私と踊っていただけませんか?」
ジュリアス殿下が手を差し出した。
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