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しおりを挟む 新しく住人が増えた事をミカエル様にも報告しなくちゃな。
レナードを連れていく。
おきてるかな?
ミカエル様は普通におきている事のほうが多くなったからちゃんとドアをノックする。
「入れ。」
「失礼します。」
「人間?めずらしいな。」
「恋人のレナードです。」
「…。
男だな。」
レナードは固まっている。
ちょっとつつくと、
「レナードと申します。
実家とは縁を切ってまいりましたので、家名はございません。」
「ミカエルだ。
ここでは家名など何の意味ももたぬ。
ジュリアスの眷族ならば魔族に襲われる心配はない。好きに暮らせ。」
「ありがとうございます。」
部屋から出ると、
「驚いた。アーサー殿下かと思った。」
「あはは、そっくりでしょ。
マーカスは悲鳴をあげたよ。ひどいよね。」
マーカスは、
「ジュリアスは知らないんだ。
アーサー殿下が優しいのはジュリアスにだけだよ。」
「それはわかる。
俺も最初に会った時は殺されるかと思ったから。」
「殺されるなら優しいほうだよ。」
ひどいな二人とも。
ふと、マーカスは立ち止まり、
「あのさ、積もる話もあるだろ?
俺はちょっと席をはずすから二人で話しなよ。」
やっぱりちょっとは気を使ってくれてるみたいだ。
「あ、うん。ありがとう。」
二人で僕の私室に行った。
何から話せばいいのか、二人でソファーに並んで座り、しばらくの沈黙が続いた後、
「正直、ここに来るのは怖かった。」
「そうだろうね、よく来れたと思ったよ。
どんな所かわかんないし、だいたいあの森を通り抜ける事が出来るなんて信じられないよ。」
「…そうじゃないんだ。
お前に…ジュリアスに会うのが怖かった。」
「え?」
「きっと俺の為を思って、俺を連れて行こうとはしなかったのだろう。
けれど、本当は俺はもういらないんじゃないかとか。
俺は愚かで、ここに来たら来たで自分の選択が間違っていたのではないかとまたぐずぐずと悩んだかもしれない。
またお前を傷つけてしまうだろう。
お前に嫌われるかもしれない。
そして長い年月を無意味にただ側にいるだけになるかもしれない。
もう三年近く、ずっと悩みながら歩いてきた。
ここに向かう意味があるのかを。」
「答えは見つかった?」
首を横に振り、
「みつからない。
だけど歩き続ける事はやめられなかった。
きっとそれが答えだ。」
手を取り、僕の目をみつめて、
「俺はただお前に会いたかった。」
「レナード…。」
お互いに引き寄せられるようにキスをした。
抱き寄せられ首筋に熱い息がかかると、体が反応してしまう。びくびくして恥ずかしい。
「レ、レナード…疲れているんじゃない?」
「さっきお前が回復魔法をかけてくれたじゃないか。」
抱きしめていた手をシャツの中に滑らせ、探るように撫で、次第に硬くなる乳首を指先で弄びながら耳や首筋を吸ったり、軽く歯をたてる。
「は…あっ、あ…まだ、明るいし…。」
「嫌なのか?」
そんなすがるような目で僕をみるなんて。
胸がきゅうっってなる。
レナードを連れていく。
おきてるかな?
ミカエル様は普通におきている事のほうが多くなったからちゃんとドアをノックする。
「入れ。」
「失礼します。」
「人間?めずらしいな。」
「恋人のレナードです。」
「…。
男だな。」
レナードは固まっている。
ちょっとつつくと、
「レナードと申します。
実家とは縁を切ってまいりましたので、家名はございません。」
「ミカエルだ。
ここでは家名など何の意味ももたぬ。
ジュリアスの眷族ならば魔族に襲われる心配はない。好きに暮らせ。」
「ありがとうございます。」
部屋から出ると、
「驚いた。アーサー殿下かと思った。」
「あはは、そっくりでしょ。
マーカスは悲鳴をあげたよ。ひどいよね。」
マーカスは、
「ジュリアスは知らないんだ。
アーサー殿下が優しいのはジュリアスにだけだよ。」
「それはわかる。
俺も最初に会った時は殺されるかと思ったから。」
「殺されるなら優しいほうだよ。」
ひどいな二人とも。
ふと、マーカスは立ち止まり、
「あのさ、積もる話もあるだろ?
俺はちょっと席をはずすから二人で話しなよ。」
やっぱりちょっとは気を使ってくれてるみたいだ。
「あ、うん。ありがとう。」
二人で僕の私室に行った。
何から話せばいいのか、二人でソファーに並んで座り、しばらくの沈黙が続いた後、
「正直、ここに来るのは怖かった。」
「そうだろうね、よく来れたと思ったよ。
どんな所かわかんないし、だいたいあの森を通り抜ける事が出来るなんて信じられないよ。」
「…そうじゃないんだ。
お前に…ジュリアスに会うのが怖かった。」
「え?」
「きっと俺の為を思って、俺を連れて行こうとはしなかったのだろう。
けれど、本当は俺はもういらないんじゃないかとか。
俺は愚かで、ここに来たら来たで自分の選択が間違っていたのではないかとまたぐずぐずと悩んだかもしれない。
またお前を傷つけてしまうだろう。
お前に嫌われるかもしれない。
そして長い年月を無意味にただ側にいるだけになるかもしれない。
もう三年近く、ずっと悩みながら歩いてきた。
ここに向かう意味があるのかを。」
「答えは見つかった?」
首を横に振り、
「みつからない。
だけど歩き続ける事はやめられなかった。
きっとそれが答えだ。」
手を取り、僕の目をみつめて、
「俺はただお前に会いたかった。」
「レナード…。」
お互いに引き寄せられるようにキスをした。
抱き寄せられ首筋に熱い息がかかると、体が反応してしまう。びくびくして恥ずかしい。
「レ、レナード…疲れているんじゃない?」
「さっきお前が回復魔法をかけてくれたじゃないか。」
抱きしめていた手をシャツの中に滑らせ、探るように撫で、次第に硬くなる乳首を指先で弄びながら耳や首筋を吸ったり、軽く歯をたてる。
「は…あっ、あ…まだ、明るいし…。」
「嫌なのか?」
そんなすがるような目で僕をみるなんて。
胸がきゅうっってなる。
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