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第10話・女剣士と酒場、ソロでコボルトリーダー戦
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ボスも倒したし、レイナと飲みにいく仲にもなった!本当にいい日だ。
舞い上がり終わると冷静になってくる。
さ、切り替えていこう。飲みに行くのは楽しみだが、裏世界でコボルトリーダーをソロ討伐という目標はまだ残っている。いつもの狩場に行って、ウインドブレイドを試してみよう。
コボルト2体が前から歩いてくる。
ウインドブレイドの火力を検証できるチャンスだ。
「ダブルウインドブレイド!」
コボルト2体へ大振りの風の刃2つが飛んでいく。コボルト2体が風の刃で真っ二つになり、光の泡となって消えていった。
ウインドカッターはカマイタチっていうようなイメージだったけど、ウインドブレイドはごつい風の刃ってイメージ。クールタイムはウインドランスより長めか?
コボルトリーダーとの闘いでウインドシールドやサドゥンウインドの有用性は分かったし、いざとなったら撤退するのも問題なさそうだから、今日の裏世界でコボルトリーダーに挑戦するぞー!と気合を入れて狩りをする。
もうすぐ日没だ。
今日は早めに切り上げよ、レイナとの飲み会に遅れたくないし。
本日の成果はワイルドドッグの牙20本、ボロ切れ6枚、銀貨5枚、銅貨10枚。
一旦宿舎へ行って、保管箱から裏世界のドロップ品を取り出して協会へ。
「マリさん、精算お願いします」
「はい、かしこまりました。それにしても、ワイルドドッグの牙の納品本数が40本を当たり前のようにこえだしましたね」
「ペアで狩りをしてくれる人がすごいんですよ」
・・・
「ゼロさん、そろそろ教えてくれてもいいのですよ?」
マリさんは、にこやかだった。
怒気が滲み出てるような気がするが、気のせいだと必死に言い聞かせる。
ここは冗談っぽく、楽しく話しをすれば丸く収まるはずだ!
「マリさん、なにをいってるんですか~。俺がマリさんに色々と教えて欲しいですよ」
「尋問の仕方とかですか?」
・・・
「ははは、精算をお願いします」
「ゼロさん。ここは引いてあげますが、分かっていますね」
「はい・・・」
すごい笑顔なのに怖い。
「今回は、ワイルドドッグの牙51本で255枚になりますが、ダンさんへの支払いが40枚、サティさんへの支払いが100枚、仮登録の支払いが3枚で銅貨112枚お渡しです」
「ありがとうございます」
貨幣を受け取った手をマリさんにガシっと両手で握られ、ビクッとなってしまう。
「ゼロさん、くれぐれも!お願いしますね」
「は、はい・・・」
うーん、マリさんにどう話すべきか。
ドロップ品を人から強奪するような犯罪者だと思われたら困るけど、正直に話をしたら嘘をつかないでくださいってなるだろうし・・・思いつかない!後の事は、未来の俺に丸投げしよう。
ゼロは協会を出て、この後の事を考える。
レイナと初飲みか~、というかこの世界にきて外食自体が初では?宿舎が家と言っていいのかという話はあるけども。なんか、色々と初めてでウキウキしちゃうな!
宿舎に着くと、レイナが部屋から降りてきた。
「イーナさんにご飯はいらないと話を通してあるから、行きましょ」
「ありがとうございます」
レイナに連れられて宿舎を出て少し歩くと、酒場が見えてきた。
「あそこよ、この街では評判のお店なのよ」
「それは楽しみですね、俺は宿舎以外でご飯を食べたことがないので」
「そうなの。じゃあ、とっても美味しく感じられるわね」
酒場に入ると、酒場特有の騒がしさに一気に包まれる。
「ねえちゃん!酒もってこい!」
「あの時に、ずばっと剣で切り裂かないからいけないのよ!」
「どうして、俺には女が寄り付かないんだ・・・」
色々な人の声も聞こえながら、レイナと席へ座る。
ファンタジー世界の酒場はこんな感じだよな~と、辺りを見回しながら和んでしまう。
すぐに金髪でショートの元気いっぱいそうなお姉さんが俺達の席にやってくる。
「いっらっしゃいませ~あれ?レイナ~そちらの男性は?」
「宿舎仲間のゼロっていうの」
「宿舎仲間してます、ゼロといいます」
お姉さんもファンタジー世界の酒場店員って感じが良く伝わって素晴らしい!ファンタジー世界最高!
「はじめまして~、この酒場の看板娘でウェイトレスのミラっていいます~」
「よろしく」
「へぇ~、結構話せそうじゃない。レイナなんて初対面で話す気ないオーラ全開だったから、そういう連れかと」
「レイナは結構怖いですよね」
レイナが俺のことをめっちゃ睨んできた、怖っ!この席は無礼講じゃないのんですか?!でもレイナのツンツンキャラは俺に対してだけじゃなかったことに、少しホッとする。嫌われたくないんだよ!
レイナは俺の事を睨み終えると、不機嫌そうにミラへ注文する。
「とりあえずエール二つと適当につまめるものを。ミラ、早く注文通して」
「ええ~、つれないな~」
と言いながら、ミラさんは注文を通しに奥へ戻っていく。
「ゼロって、初対面は敬語じゃないの?」
「いや、人によってですね。話しやすそうな雰囲気の方にはラフに話します。まあ使い分けるほど、上手くしゃべれるわけじゃないですけど」
現実では、会社の上司や部下とは会話できても、ハイテンションな人やパリピ的なノリで会話するのは得意じゃなかったからな。
「そうなの、私と話すときに敬語ってことは話しにくいってことね」
「そ、そういうわけではないのですが」
やべえ困ったなと思っていると、ミラがエールジョッキ2つとチャーシューみたいなものを運んできた。
「レイナ~、あんまりゼロを困らせないの~。ただでさえ怖いんだから」
「そんなことないでしょ!」
「では、ごゆっくり~」
ここは今までのやり取りをなかったことにして乾杯するしかない!
「レイナ、コボルトリーダー討伐に乾杯しよう!」
「露骨すぎでしょ、乾杯」
「乾杯!」
「聞いてみたかったんだけど、レイナはなんでソロで狩りをしているんですか?」
「私、パーティーに依存しない自立した冒険者になりたいのよ。そのために、誰よりも強くなる努力を怠れないと思っているわ」
うわー、その考え方、ものすごく共感できる。パーティーでしか狩りができないキャラは嫌だよな、パーティー狩りもできるけど、ソロで狩りもできる的な存在になれるように作るべきだ。
やっぱりレイナは俺が尊敬するタイプだ、目標のために努力ができる人間は輝いてみえるよな。
「ゼロは?」
「俺がソロで狩りしているのは、面倒だからですかね?パーティーってみんなの時間が合ったときしか組めないじゃないですか。だから、俺が狩りに行くぞ!と言っても、予定があるとか今日は休みたいとかでメンツが揃わない可能性もある。その度に、狩り場所を変えたりするから予定どおりに物事が進まなくなる可能性がある、そんな理由でソロ狩りメインです。でも、狩り効率が段違いとか、パーティーでしか狩れないボスならもちろんパーティー歓迎です」
「ふーん、面白い考え方ね」
そのあとは飲みながら、コボルトリーダー戦についてとか、魔法やスキル、狩場などを二人で話しあっているとレイナの様子が変わってきた。
「だ~か~ら~、ゼロは他人行儀すぎるのよ!」
「はい・・・」
「そういうところなの。私以外の女性とは簡単に仲良くなるのに、私とは仲良くしようとしないじゃない!ボスも一緒に倒した仲なのに!」
「はい・・・」
「だ~か~ら~、ゼロは~」
レイナはまさかの酒乱だった。レイナにお酒を飲ませると、やばいことになるという教訓を得た。
そして当然のように支払いは俺だ。銀貨6枚の出費で酒癖の悪い女に絡まれたという結果になったが、こういうのもありかなと笑えてくる。
レイナはもう寝てしまっており、背負って宿舎まで帰り、布団に寝かせる。
ふー。
女性を背負うのは香りやら、背中やら色々でドキドキものだ。役得というやつだな。
現実ではこんな体験できないから、純粋に嬉しい。俺も寝ることにしよう。
----8日目裏世界----
チュンチュン。
さて、あんなに楽しい夜だったけど、すぐに裏世界の始まりだ。
ウインドブレイドも手にはいったし、コボルトリーダーソロ戦いってみるか!あの広場からコボルトリーダーは出れないらしいから、広場から出るスレスレの場所で戦えばリスクもだいぶ少なくなると思う。
初心者の森の最奥へ行く。途中の邪魔なmobは速攻で倒した。
さあ今回はソロだ、気合いれていくぞ!
最奥の広場へ入ると、すぐにコボルト3体が吠えて走ってくる。
コボルトは広場に入った瞬間に走ってくるため、広場に入った瞬間の場所で立ち止まり、コボルトが魔法の射程に入るまで待つ。
この戦法でコボルトを倒せば、コボルトリーダーが走ってくる時間のクールタイムが稼せげる。
「お前らに用はねえ!ダブルウインドランス!」
ウインドランスでコボルト2体を倒し、すぐにダブルウインドカッターを放ちコボルト1体を倒す。
「ガァガァガァヴァァァウ!!!!!」
初戦と同じようにコボルトが倒されるとコボルトリーダーは叫び、こちらへ向かって走ってくる。その姿は迫力満点だ。
今回はレイナという前衛がいないために、一方的に勝つ作戦が必要だ。コボルトリーダーの攻撃は1度だけウインドシールドで防げるけど、回避能力のない俺では2度目は防ぎきれないと思ったほうがいい。その条件を含めてコボルトリーダーのHPを削り切るには、ダウンのような状態にさせておいて、ウインドカッターを当てる回数を増やす。そこにしか勝機はない。
「一手目!ダブルウインドブレイド!」
この2つのウインドブレイドをただ単純に当てても、コボルトリーダーは止まらないだろう。
だから考えた、2つの高火力魔法を片足に集中させて打ち込めば時間を稼ぐことができるんじゃないかと。
「ガヴァ!?」
2つの風の刃が、コボルトリーダーの右足脛辺りを水平に切りつけた。結構深手にみえるぐらいに抉ってそうだ。
コボルトリーダーは片足を切り裂かれ、地面に片膝をついた。目論見通り!
ダメージを稼ぐぞ!
「ダブルウインドカッター!」
「ダブルウインドカッター!」
コボルトリーダーは立ち上がり、怒りの形相で槍を突き出してくる。
「ダブルウインドシールド!」
コボルトリーダーはシールドに弾かれて体制を崩す。
「ダブルサドゥンウインド!」
ゴーッという突風が吹き荒れ、コボルトリーダーは後ろ向きに倒れる。
「ダブルウインドカッター!」
「ダブルウインドカッター!」
コボルトリーダーがよろよろと立ち上がろうとしてる時に、ウインドランスのクールタイムが戻ってくる。
「ダブルウインドランス!」
「ガヴァァァァァ・・・」
2つの風の槍が当たるとコボルトリーダーは白目を剥いて倒れた。
「よっしゃー!コボルトリーダーを倒したぞー!」
頭に描いたとおりに作戦が上手くいってくれて助かった。別の行動パターンをされたら、パニックになっていたと思うしな。
結果は、ボスを危なげなくソロで倒した。これは相当大きいぞ。
これでコボルトリーダーを毎日狩れるぜ。毎日狩りたいのにも理由がある。
コボルトリーダーのドロップ品に激レアで、幻クラスの早足の腕輪という移動速度が早くなる装備がでると。
移動速度向上アイテムは足装備にしかないそうだが、腕という場所に装備する事で足装備の邪魔にならずに移動速度を上げれるという破格の性能との事。それもコボルトリーダーしかださない。
だから本当は大人気ボスになり得るのだが、ならないのには理由がある。
それは、LV差がありすぎるとドロップ率が下がるという仕様らしい。
という事は適正パーティーで挑むべきだが、あの攻撃力をもつボスの攻撃を受けて立ち回れるタンクがどれほどいるのだろうか?経験の浅い者同士パーティーを組めば間違いなく崩壊する。だったら、コボルトリーダーは諦めてLV上げようってなる。
そのため挑む人がいなくなるわけだ。そのような理由から超高値で取引されるとの事だから大金になるだろうが、手に入れば売らずに装備一択の予定。移動速度は狩りやクエスト、移動に必要なものだ。
ただ、目の前にあるのは木箱だから、間違いなく腕輪は入っていないだろうけどな!
と色々思っても、LVが上がったら飽きて次の狩り場へ行ってしまうんだよな。
木箱を開けると、ボロ切れと銀貨5枚。
これはヒドい。
その後は憂さ晴らしにワイルドドッグ共を狩る。そろそろ次の狩場を探してもいいかもな。
日没だ。
成果はワイルドドッグの牙27本、ボロ切れ9枚、銀貨5枚、銅貨11枚。
舞い上がり終わると冷静になってくる。
さ、切り替えていこう。飲みに行くのは楽しみだが、裏世界でコボルトリーダーをソロ討伐という目標はまだ残っている。いつもの狩場に行って、ウインドブレイドを試してみよう。
コボルト2体が前から歩いてくる。
ウインドブレイドの火力を検証できるチャンスだ。
「ダブルウインドブレイド!」
コボルト2体へ大振りの風の刃2つが飛んでいく。コボルト2体が風の刃で真っ二つになり、光の泡となって消えていった。
ウインドカッターはカマイタチっていうようなイメージだったけど、ウインドブレイドはごつい風の刃ってイメージ。クールタイムはウインドランスより長めか?
コボルトリーダーとの闘いでウインドシールドやサドゥンウインドの有用性は分かったし、いざとなったら撤退するのも問題なさそうだから、今日の裏世界でコボルトリーダーに挑戦するぞー!と気合を入れて狩りをする。
もうすぐ日没だ。
今日は早めに切り上げよ、レイナとの飲み会に遅れたくないし。
本日の成果はワイルドドッグの牙20本、ボロ切れ6枚、銀貨5枚、銅貨10枚。
一旦宿舎へ行って、保管箱から裏世界のドロップ品を取り出して協会へ。
「マリさん、精算お願いします」
「はい、かしこまりました。それにしても、ワイルドドッグの牙の納品本数が40本を当たり前のようにこえだしましたね」
「ペアで狩りをしてくれる人がすごいんですよ」
・・・
「ゼロさん、そろそろ教えてくれてもいいのですよ?」
マリさんは、にこやかだった。
怒気が滲み出てるような気がするが、気のせいだと必死に言い聞かせる。
ここは冗談っぽく、楽しく話しをすれば丸く収まるはずだ!
「マリさん、なにをいってるんですか~。俺がマリさんに色々と教えて欲しいですよ」
「尋問の仕方とかですか?」
・・・
「ははは、精算をお願いします」
「ゼロさん。ここは引いてあげますが、分かっていますね」
「はい・・・」
すごい笑顔なのに怖い。
「今回は、ワイルドドッグの牙51本で255枚になりますが、ダンさんへの支払いが40枚、サティさんへの支払いが100枚、仮登録の支払いが3枚で銅貨112枚お渡しです」
「ありがとうございます」
貨幣を受け取った手をマリさんにガシっと両手で握られ、ビクッとなってしまう。
「ゼロさん、くれぐれも!お願いしますね」
「は、はい・・・」
うーん、マリさんにどう話すべきか。
ドロップ品を人から強奪するような犯罪者だと思われたら困るけど、正直に話をしたら嘘をつかないでくださいってなるだろうし・・・思いつかない!後の事は、未来の俺に丸投げしよう。
ゼロは協会を出て、この後の事を考える。
レイナと初飲みか~、というかこの世界にきて外食自体が初では?宿舎が家と言っていいのかという話はあるけども。なんか、色々と初めてでウキウキしちゃうな!
宿舎に着くと、レイナが部屋から降りてきた。
「イーナさんにご飯はいらないと話を通してあるから、行きましょ」
「ありがとうございます」
レイナに連れられて宿舎を出て少し歩くと、酒場が見えてきた。
「あそこよ、この街では評判のお店なのよ」
「それは楽しみですね、俺は宿舎以外でご飯を食べたことがないので」
「そうなの。じゃあ、とっても美味しく感じられるわね」
酒場に入ると、酒場特有の騒がしさに一気に包まれる。
「ねえちゃん!酒もってこい!」
「あの時に、ずばっと剣で切り裂かないからいけないのよ!」
「どうして、俺には女が寄り付かないんだ・・・」
色々な人の声も聞こえながら、レイナと席へ座る。
ファンタジー世界の酒場はこんな感じだよな~と、辺りを見回しながら和んでしまう。
すぐに金髪でショートの元気いっぱいそうなお姉さんが俺達の席にやってくる。
「いっらっしゃいませ~あれ?レイナ~そちらの男性は?」
「宿舎仲間のゼロっていうの」
「宿舎仲間してます、ゼロといいます」
お姉さんもファンタジー世界の酒場店員って感じが良く伝わって素晴らしい!ファンタジー世界最高!
「はじめまして~、この酒場の看板娘でウェイトレスのミラっていいます~」
「よろしく」
「へぇ~、結構話せそうじゃない。レイナなんて初対面で話す気ないオーラ全開だったから、そういう連れかと」
「レイナは結構怖いですよね」
レイナが俺のことをめっちゃ睨んできた、怖っ!この席は無礼講じゃないのんですか?!でもレイナのツンツンキャラは俺に対してだけじゃなかったことに、少しホッとする。嫌われたくないんだよ!
レイナは俺の事を睨み終えると、不機嫌そうにミラへ注文する。
「とりあえずエール二つと適当につまめるものを。ミラ、早く注文通して」
「ええ~、つれないな~」
と言いながら、ミラさんは注文を通しに奥へ戻っていく。
「ゼロって、初対面は敬語じゃないの?」
「いや、人によってですね。話しやすそうな雰囲気の方にはラフに話します。まあ使い分けるほど、上手くしゃべれるわけじゃないですけど」
現実では、会社の上司や部下とは会話できても、ハイテンションな人やパリピ的なノリで会話するのは得意じゃなかったからな。
「そうなの、私と話すときに敬語ってことは話しにくいってことね」
「そ、そういうわけではないのですが」
やべえ困ったなと思っていると、ミラがエールジョッキ2つとチャーシューみたいなものを運んできた。
「レイナ~、あんまりゼロを困らせないの~。ただでさえ怖いんだから」
「そんなことないでしょ!」
「では、ごゆっくり~」
ここは今までのやり取りをなかったことにして乾杯するしかない!
「レイナ、コボルトリーダー討伐に乾杯しよう!」
「露骨すぎでしょ、乾杯」
「乾杯!」
「聞いてみたかったんだけど、レイナはなんでソロで狩りをしているんですか?」
「私、パーティーに依存しない自立した冒険者になりたいのよ。そのために、誰よりも強くなる努力を怠れないと思っているわ」
うわー、その考え方、ものすごく共感できる。パーティーでしか狩りができないキャラは嫌だよな、パーティー狩りもできるけど、ソロで狩りもできる的な存在になれるように作るべきだ。
やっぱりレイナは俺が尊敬するタイプだ、目標のために努力ができる人間は輝いてみえるよな。
「ゼロは?」
「俺がソロで狩りしているのは、面倒だからですかね?パーティーってみんなの時間が合ったときしか組めないじゃないですか。だから、俺が狩りに行くぞ!と言っても、予定があるとか今日は休みたいとかでメンツが揃わない可能性もある。その度に、狩り場所を変えたりするから予定どおりに物事が進まなくなる可能性がある、そんな理由でソロ狩りメインです。でも、狩り効率が段違いとか、パーティーでしか狩れないボスならもちろんパーティー歓迎です」
「ふーん、面白い考え方ね」
そのあとは飲みながら、コボルトリーダー戦についてとか、魔法やスキル、狩場などを二人で話しあっているとレイナの様子が変わってきた。
「だ~か~ら~、ゼロは他人行儀すぎるのよ!」
「はい・・・」
「そういうところなの。私以外の女性とは簡単に仲良くなるのに、私とは仲良くしようとしないじゃない!ボスも一緒に倒した仲なのに!」
「はい・・・」
「だ~か~ら~、ゼロは~」
レイナはまさかの酒乱だった。レイナにお酒を飲ませると、やばいことになるという教訓を得た。
そして当然のように支払いは俺だ。銀貨6枚の出費で酒癖の悪い女に絡まれたという結果になったが、こういうのもありかなと笑えてくる。
レイナはもう寝てしまっており、背負って宿舎まで帰り、布団に寝かせる。
ふー。
女性を背負うのは香りやら、背中やら色々でドキドキものだ。役得というやつだな。
現実ではこんな体験できないから、純粋に嬉しい。俺も寝ることにしよう。
----8日目裏世界----
チュンチュン。
さて、あんなに楽しい夜だったけど、すぐに裏世界の始まりだ。
ウインドブレイドも手にはいったし、コボルトリーダーソロ戦いってみるか!あの広場からコボルトリーダーは出れないらしいから、広場から出るスレスレの場所で戦えばリスクもだいぶ少なくなると思う。
初心者の森の最奥へ行く。途中の邪魔なmobは速攻で倒した。
さあ今回はソロだ、気合いれていくぞ!
最奥の広場へ入ると、すぐにコボルト3体が吠えて走ってくる。
コボルトは広場に入った瞬間に走ってくるため、広場に入った瞬間の場所で立ち止まり、コボルトが魔法の射程に入るまで待つ。
この戦法でコボルトを倒せば、コボルトリーダーが走ってくる時間のクールタイムが稼せげる。
「お前らに用はねえ!ダブルウインドランス!」
ウインドランスでコボルト2体を倒し、すぐにダブルウインドカッターを放ちコボルト1体を倒す。
「ガァガァガァヴァァァウ!!!!!」
初戦と同じようにコボルトが倒されるとコボルトリーダーは叫び、こちらへ向かって走ってくる。その姿は迫力満点だ。
今回はレイナという前衛がいないために、一方的に勝つ作戦が必要だ。コボルトリーダーの攻撃は1度だけウインドシールドで防げるけど、回避能力のない俺では2度目は防ぎきれないと思ったほうがいい。その条件を含めてコボルトリーダーのHPを削り切るには、ダウンのような状態にさせておいて、ウインドカッターを当てる回数を増やす。そこにしか勝機はない。
「一手目!ダブルウインドブレイド!」
この2つのウインドブレイドをただ単純に当てても、コボルトリーダーは止まらないだろう。
だから考えた、2つの高火力魔法を片足に集中させて打ち込めば時間を稼ぐことができるんじゃないかと。
「ガヴァ!?」
2つの風の刃が、コボルトリーダーの右足脛辺りを水平に切りつけた。結構深手にみえるぐらいに抉ってそうだ。
コボルトリーダーは片足を切り裂かれ、地面に片膝をついた。目論見通り!
ダメージを稼ぐぞ!
「ダブルウインドカッター!」
「ダブルウインドカッター!」
コボルトリーダーは立ち上がり、怒りの形相で槍を突き出してくる。
「ダブルウインドシールド!」
コボルトリーダーはシールドに弾かれて体制を崩す。
「ダブルサドゥンウインド!」
ゴーッという突風が吹き荒れ、コボルトリーダーは後ろ向きに倒れる。
「ダブルウインドカッター!」
「ダブルウインドカッター!」
コボルトリーダーがよろよろと立ち上がろうとしてる時に、ウインドランスのクールタイムが戻ってくる。
「ダブルウインドランス!」
「ガヴァァァァァ・・・」
2つの風の槍が当たるとコボルトリーダーは白目を剥いて倒れた。
「よっしゃー!コボルトリーダーを倒したぞー!」
頭に描いたとおりに作戦が上手くいってくれて助かった。別の行動パターンをされたら、パニックになっていたと思うしな。
結果は、ボスを危なげなくソロで倒した。これは相当大きいぞ。
これでコボルトリーダーを毎日狩れるぜ。毎日狩りたいのにも理由がある。
コボルトリーダーのドロップ品に激レアで、幻クラスの早足の腕輪という移動速度が早くなる装備がでると。
移動速度向上アイテムは足装備にしかないそうだが、腕という場所に装備する事で足装備の邪魔にならずに移動速度を上げれるという破格の性能との事。それもコボルトリーダーしかださない。
だから本当は大人気ボスになり得るのだが、ならないのには理由がある。
それは、LV差がありすぎるとドロップ率が下がるという仕様らしい。
という事は適正パーティーで挑むべきだが、あの攻撃力をもつボスの攻撃を受けて立ち回れるタンクがどれほどいるのだろうか?経験の浅い者同士パーティーを組めば間違いなく崩壊する。だったら、コボルトリーダーは諦めてLV上げようってなる。
そのため挑む人がいなくなるわけだ。そのような理由から超高値で取引されるとの事だから大金になるだろうが、手に入れば売らずに装備一択の予定。移動速度は狩りやクエスト、移動に必要なものだ。
ただ、目の前にあるのは木箱だから、間違いなく腕輪は入っていないだろうけどな!
と色々思っても、LVが上がったら飽きて次の狩り場へ行ってしまうんだよな。
木箱を開けると、ボロ切れと銀貨5枚。
これはヒドい。
その後は憂さ晴らしにワイルドドッグ共を狩る。そろそろ次の狩場を探してもいいかもな。
日没だ。
成果はワイルドドッグの牙27本、ボロ切れ9枚、銀貨5枚、銅貨11枚。
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その文章とは『さぁ、あなたの物語の始まりです。』と…。
次の瞬間、僕は気を失い、異世界冒険の旅が始まったのだった…。
本作品は『カクヨム』で掲載している物を『アルファポリス』用に少しだけ修正した物となります。
天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜
八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。
第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。
大和型三隻は沈没した……、と思われた。
だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。
大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。
祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。
※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています!
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※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※
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