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第6話・魔法使いへの転職と女剣士との和解
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----6日目表世界----
チュンチュン。
「今日もいい天気、転職日和だな!」
朝のルーティンをこなして転職の仕方を考える。
・・・
って、転職する場所さえ知らないじゃないかー!
ただでさえ怪しまれているため、レイナには絶対に聞けない。
冒険者協会の受付嬢にも、転職LVになったと知られるのは怪しまれるので聞けない。
ならば、最終奥義!・・・道で歩いてる人に聞こう。
魔法使いっぽいローブを着た、グラマラスで気だるそうなお姉さまが歩いている。
「すみません、魔法使いに転職する場所を知りませんか?」
「あら、魔法使いになりたいの?なら、私が連れて行ってあげましょうか?」
「是非お願いします」
一人目で教えてもらえるなんてラッキーと思いつつ、頭を下げ後をついていく。
お姉さまはステラという名前で、職業はハイウィザードとの事。
ハイウィザードはどんな魔法が使えるんだ?と思っていると、俺の冒険者事情を聞いてきた。
俺は縁あって高価な杖を買い、ワイルドドッグをメインにソロで狩りをしています。と答えると、ステラさんはビックリしたような顔をしていた。
隠しておけばよかったかと後悔していると、魔法使い協会と書かれた看板の建物に着いた。
「わざわざ連れてきていただきまして、ありがとうございました」
「うふふ、ではさっそく転職試験を始めましょうか」
おお、転職試験官だったのか。
魔法使い協会に入ると高LVっぽい魔法使いの方々がいらっしゃる。
こいつら全員すぐに追い抜いてやるぜ。
ステラさんに転職試験の説明を受ける。
一つ目は、LV10以上。
二つ目は、この建物にある転移陣から転移した部屋で、敵を倒してゼリー10個を手にいれること。ゼリー?
三つ目は、銀貨3枚。
これが課せられた内容だ。
LV10で転職できる試験だから難しくなさそうだな。
すぐに転移陣に乗ると、広くて大きな部屋へ飛ぶ。俺が転移してきた影響なのか部屋に10体のスライムが湧いた。
やばっ!10体同時戦闘か、これは気を付けないとまずいぞ。
スライム達はポヨンポヨンしながら近寄ってくる。が、めちゃくちゃ移動速度は遅い。
気を付けなくてもいいかもしれない・・・
結果、ウインドカッターの1撃でスライムを倒せたためヒット&アウェイで余裕だった。1体につきゼリー1個を落としたので、10体を倒しゼリー10個を手にいれて転移陣から部屋へ戻る。
「ヒュー♪歴代最速タイムかな?あのスライムはHPは低くなかったと思うけど、もう10体倒したの?」
「ええ、ウインドカッターで1撃でしたよ」
「それはそれは、将来有望ね」
とウインクされる。ありがとうございます!
転職手数料の銀貨3枚を払うと、いかにもなゲーム音が流れた。転職が完了したようだ。
「あなたは魔法使い見習いを卒業して魔法使いとなりました。願わくば、あなたが偉大な魔法使いとなり他を導く存在とならんことを」
ステラさんから、マニュアルっぽいセリフも頂いたから終了だな。
-ステラside-
あの子、不思議ね。魔法使い協会を出たゼロを見つめる。
あのLVで高価な風の杖を持っていたことや防具を全く装備していないこと、ワイルドドッグをソロで狩りしていることなど全てが不思議。
一般的に魔法使いはHPや防御力が低いからこそ、固定砲台としてパーティに入りLVを上げるというのが常識。
なのに、あの子は複数体で襲ってくるワイルドドッグをソロで倒し続けて転職LVまで上げてきたのよね。普通なら死んでるわ。
あの子、化けるかもしれないわね。顔も悪くないし、ちょっかいをかけてようかな♪
よし、転職できたぞ。
ゼロはガッツポーズしながら喜ぶ。
職業:魔法使い
LV10
女神の加護
女神の祝福
ステータスの職業も魔法使いだ。
ちなみに新しい魔法も手に入ったんじゃないですか?ドン!
・ファイヤーボール
・アイスボルト
・サドゥンウインド
ほら~、あるじゃないですか!
ゼロは新しい風魔法が出たことに満面の笑みを浮かべる。
待ちに待った風魔法が出たのだから、当然サドゥンウインドを取得する。
せっかく新しい風魔法も手に入ったし、狩りにいくかー!
新しい魔法の性能が分からないから、まずはミニコボルトで試し打ちしよう。
「サドゥンウインド!」
ミニコボルトは新魔法によって光の泡になった。
この魔法は・・・範囲攻撃だ!サドゥンウインドは前方に突風が吹き荒れる魔法だ、攻撃範囲の幅はだいたい2m程度ありそう。
最高の魔法がキタ!
後は火力的にどうかな?範囲攻撃は単体攻撃より弱いのが当たり前だからな。
サドゥンウインドがワイルドドッグにどの程度効くかを検証するために、いつもの狩場まで行って試してみる。
検証結果としては、ワイルドドッグを倒せるほどの火力はないけど吹き飛ばす事はできる。クールタイムは10秒ぐらい。
俺の頭の中で、ワイルドドッグ4体と戦ってみる。
・・・所持する魔法をフル回転させれば安全に倒せそうだ。ここまできたら、ワイルドドッグ4体湧きの狩場へ行くしかないよな。
いつもの狩場よりさらに奥へ歩いていくと、ワイルドドッグ4体が襲ってきた。
4体のエンカウントは初めてだが、倒すイメージはできてる。
「「ガゥガゥ!」」
「ウインドランス!」
ウインドランスで1体を倒して、速攻でウインドカッターを放ち2体目を倒す。
その後、新しい魔法を使う。
「サドゥンウインド!」
「キャィン!」
前方に突風が吹き荒れワイルドドッグ2体は吹き飛んでいく。
そこへ追撃のウインドカッターで1体を仕留めておいて、最後の1体は体勢を整えて走ってきたところを、ウインドカッターで倒す。
ふー、なんとかなったな。
ウインドシールドを残しワイルドドッグ4体を倒せたから、これからの狩場はここにしよう。ただコボルトとは出会ってないから気を付けないと。
その後もワイルドドッグが3体~4体襲撃してきたところを倒し続けていると、俺と同じぐらいの身長のコボルトが現れた。
「ググルゥ!」
今検索しますって言わなかったか?
こいつはミニコボルトがでかくなっただけ、本当にそのまま大きくなっただけ。ただ、走る速度は俺と同じぐらいの速度で走れるようになっている。ヒット&アウェイは使えないな。
「ウインドランス!」
「グゥアッ!!」
コボルトはウインドランスを喰らって一瞬下がるが、倒れない。
ミニコボルトならウインドランスは貫通したが、コボルトには貫通せずに消えてしまった。
ウインドランスが貫通せずに消えたということはHPが多いのだろう。とはいえ、追撃のウインドカッター1発で倒せたため問題にはならない。
その後も、狩りを続けた。
LVは11となったが、風魔法の出現はなし。
本日の成果はワイルドドッグの牙15本、ぼろ切れ5枚、銅貨15枚。コボルトの槍は捨てた。
日没だ。
初の転職で舞い上がり、初範囲魔法を駆使してワイルドドッグ4体も倒せるようになった、最高の1日だ!なんて思っていたが忘れていた。この後、協会宿舎の保管箱から裏世界のドロップ品を回収しにいかないといけないんだ。レイナがいなかったら嬉しいのだが・・・
協会宿舎まで帰ってきて、部屋の扉の前で合掌する。
レイナさん、今日はたまたま外出中でいないって事でお願いします。いらっしゃったとしても俺のすることはいつものことだと関心をもたないようにお願い申し上げます。
なにを言っているのか分からないが、部屋の扉をノックして開ける。
「お疲れ様」
「お疲れ様です・・・」
レイナさんは出迎えてくれた。
そそくさと保管箱の中から裏世界のドロップ品を回収する。
じー。
背中にすごい視線を感じる、ものすごーく感じる。
これほどまでに視線を感じたことは人生で一度もないかもしれない。冷や汗が止まらない。
「ねえ」
「はい」
「私の知る限り、ゼロが保管箱の中にアイテムを保管しているところを見たことないんだけど」
確かに!レイナさんのおっしゃるとおりです!
「いやー、実は狩りの途中で荷物になっちゃうんで、途中で協会宿舎に戻って保管箱に保管してるんですよ。あははは」
「私、イーナさんにゼロが狩りの途中で帰ってきたかを聞いたのよ。帰ってないって」
「・・・」
「・・・」
「よし!じゃあ精算に行ってきます!」
「あ、ゼロ!ちょっと、まだ話終わってないわよー!」
裏世界のドロップ品をポーチに詰めて、ビシッと立ち上がり協会に行くことを宣言し、ダッシュで部屋を飛び出す。
後ろから大きな声が聞こえてくるが、今は無視するしかない!未来のことは未来の自分に投げるしかないんだ!
ああ、昨日と同じデジャブ。
じー。
冒険者協会に入り、受付嬢に精算したいものを提出するとすごい視線を感じる。ものすっごく感じる。
受付嬢さんは俺に惚れてるのかな?と目を合わすと、強烈な疑惑の目だ。
決してかっこいい、好き。なんてLOVEな目ではない。
「・・・」
「・・・」
ええっと、そんな目を向けられても精算がしたいとしか言えないんだけどなーと思いつつ、あらぬ方向に視線を向けてぼんやりしているように装う。
「ゼロさん、なんでワイルドドッグの牙がこんなにあるんですか?」
迫力のある声で言われる。
確かにレイナも受付嬢も、俺のLVは6くらいだろうと思っているのだから不思議でしょうがないのだろう。
俺が今日から狩りしだしたのは、LV9以上のパーティ狩り推奨場所だ。その場所をソロで1確狩りしてきましたなんて言えない!俺はLV6と思われているのだから!
唯一の救いは、冒険者へ無暗にLVを聞くのは失礼という暗黙のルールがある事だ。
例えLV6の魔法使いがワイルドドッグの牙を25本も手に入れたとしても、知ろうとしてはいけないのだ。
「ゼロさん、私と出会って1週間立ちましたよね。それなのに受付嬢としか呼んでもくれないし、名前も聞いてくれないじゃないですか。距離感じちゃうなって、ゼロさんにとって私ってそんなに興味ないんですか?」
気落ちしたような振る舞いで受付嬢が話す。
ぐっ、ここにきてNPCへの興味のなさが仇に!
正直言ってNPCなんて取引かクエストぐらいしか用がないので、名前なんて覚えたことがない。とはいえ、この世界はNPCも人のように行動するから、人に接するように対応しないと色々不都合がでそうだ。
「申し訳ありませんでした。どうも女性と話すのが苦手でして、お名前を聞いてもよろしいですか?」
「もう、ゼロさんはしょうがないですね。あらためまして、冒険者協会受付嬢マリと申します。精一杯サポートいたしますので、ゼロさんも私を頼ってくださいね。あと、女性には優しく・・・」
「あら?ゼロさんじゃないですか」
「あ、ステラさんこんばんわ」
色気を振り撒く魔法使いのお姉さんが現れた。
「こんばんわ。ふふ、またどこかでご一緒しましょ」
「是非お願いします」
魔法協会のステラさんが一声かけてくれた。
ご一緒って冒険のことかな?あの人は高LV魔法使いだと思うから、色々聞きたいし是非ご教授願いたい!
なんて思っていると鬼のような気配が。
「ゼロさん」
「は、はい」
「女性が苦手だと言いましたよね。ご一緒するほどの仲になったんですか?女性が苦手なのに?」
「え、えーっと・・・」
「今日の報酬は銅貨140枚で仮登録料3枚とダンさんへ40枚の支払いですので、97枚のお渡しです!次の方~」
早口でまくられ追い立てられたので、ギルドの出口へ向かいつつ振り返って伝える。
「マリさん!今後ともよろしくお願いします!」
マリさんはしょうがないな~的な優しい顔をしてくれた。
実際のところ、現実世界では女性に苦手意識もあるから言い訳にはピッタリだと思って説明したのに、ステラさんが声をかけてくるんだもんなー。
やはり魔女か、なんて事を思いつつ協会宿舎へ帰る途中で思い出した。レイナへの返答を全く考えてないじゃないか。
「レイナさん、本当に申し訳ありませんでした!」
「え、なに?」
部屋に入る早々で、謝罪する。
「実はドロップ品の事は事情があって話すことができないんです。悪いことはしていませんので、ご理解いただきたいです!」
「もう・・・、色々言いたいことや聞きたいこともあったけどわかったわ。話すことができないと正直に話してくれれば、冒険者として追及するわけにもいかないしね。悪いことはしていないんだよね、でもいつか教えてくれると嬉しいな」
レイナは笑顔で納得してくれた。この件、犯罪者と罵られてもおかしくないと思うから本当に怖かった。
時と場合にもよるが、話せないことなら正直に話せないと言うことで相手の信頼を得られる場合がある。
話を隠し通せるならそれでいいのだが、ばれているなら誠実に話すことが大事。そんな事を思いながら寝る。
チュンチュン。
「今日もいい天気、転職日和だな!」
朝のルーティンをこなして転職の仕方を考える。
・・・
って、転職する場所さえ知らないじゃないかー!
ただでさえ怪しまれているため、レイナには絶対に聞けない。
冒険者協会の受付嬢にも、転職LVになったと知られるのは怪しまれるので聞けない。
ならば、最終奥義!・・・道で歩いてる人に聞こう。
魔法使いっぽいローブを着た、グラマラスで気だるそうなお姉さまが歩いている。
「すみません、魔法使いに転職する場所を知りませんか?」
「あら、魔法使いになりたいの?なら、私が連れて行ってあげましょうか?」
「是非お願いします」
一人目で教えてもらえるなんてラッキーと思いつつ、頭を下げ後をついていく。
お姉さまはステラという名前で、職業はハイウィザードとの事。
ハイウィザードはどんな魔法が使えるんだ?と思っていると、俺の冒険者事情を聞いてきた。
俺は縁あって高価な杖を買い、ワイルドドッグをメインにソロで狩りをしています。と答えると、ステラさんはビックリしたような顔をしていた。
隠しておけばよかったかと後悔していると、魔法使い協会と書かれた看板の建物に着いた。
「わざわざ連れてきていただきまして、ありがとうございました」
「うふふ、ではさっそく転職試験を始めましょうか」
おお、転職試験官だったのか。
魔法使い協会に入ると高LVっぽい魔法使いの方々がいらっしゃる。
こいつら全員すぐに追い抜いてやるぜ。
ステラさんに転職試験の説明を受ける。
一つ目は、LV10以上。
二つ目は、この建物にある転移陣から転移した部屋で、敵を倒してゼリー10個を手にいれること。ゼリー?
三つ目は、銀貨3枚。
これが課せられた内容だ。
LV10で転職できる試験だから難しくなさそうだな。
すぐに転移陣に乗ると、広くて大きな部屋へ飛ぶ。俺が転移してきた影響なのか部屋に10体のスライムが湧いた。
やばっ!10体同時戦闘か、これは気を付けないとまずいぞ。
スライム達はポヨンポヨンしながら近寄ってくる。が、めちゃくちゃ移動速度は遅い。
気を付けなくてもいいかもしれない・・・
結果、ウインドカッターの1撃でスライムを倒せたためヒット&アウェイで余裕だった。1体につきゼリー1個を落としたので、10体を倒しゼリー10個を手にいれて転移陣から部屋へ戻る。
「ヒュー♪歴代最速タイムかな?あのスライムはHPは低くなかったと思うけど、もう10体倒したの?」
「ええ、ウインドカッターで1撃でしたよ」
「それはそれは、将来有望ね」
とウインクされる。ありがとうございます!
転職手数料の銀貨3枚を払うと、いかにもなゲーム音が流れた。転職が完了したようだ。
「あなたは魔法使い見習いを卒業して魔法使いとなりました。願わくば、あなたが偉大な魔法使いとなり他を導く存在とならんことを」
ステラさんから、マニュアルっぽいセリフも頂いたから終了だな。
-ステラside-
あの子、不思議ね。魔法使い協会を出たゼロを見つめる。
あのLVで高価な風の杖を持っていたことや防具を全く装備していないこと、ワイルドドッグをソロで狩りしていることなど全てが不思議。
一般的に魔法使いはHPや防御力が低いからこそ、固定砲台としてパーティに入りLVを上げるというのが常識。
なのに、あの子は複数体で襲ってくるワイルドドッグをソロで倒し続けて転職LVまで上げてきたのよね。普通なら死んでるわ。
あの子、化けるかもしれないわね。顔も悪くないし、ちょっかいをかけてようかな♪
よし、転職できたぞ。
ゼロはガッツポーズしながら喜ぶ。
職業:魔法使い
LV10
女神の加護
女神の祝福
ステータスの職業も魔法使いだ。
ちなみに新しい魔法も手に入ったんじゃないですか?ドン!
・ファイヤーボール
・アイスボルト
・サドゥンウインド
ほら~、あるじゃないですか!
ゼロは新しい風魔法が出たことに満面の笑みを浮かべる。
待ちに待った風魔法が出たのだから、当然サドゥンウインドを取得する。
せっかく新しい風魔法も手に入ったし、狩りにいくかー!
新しい魔法の性能が分からないから、まずはミニコボルトで試し打ちしよう。
「サドゥンウインド!」
ミニコボルトは新魔法によって光の泡になった。
この魔法は・・・範囲攻撃だ!サドゥンウインドは前方に突風が吹き荒れる魔法だ、攻撃範囲の幅はだいたい2m程度ありそう。
最高の魔法がキタ!
後は火力的にどうかな?範囲攻撃は単体攻撃より弱いのが当たり前だからな。
サドゥンウインドがワイルドドッグにどの程度効くかを検証するために、いつもの狩場まで行って試してみる。
検証結果としては、ワイルドドッグを倒せるほどの火力はないけど吹き飛ばす事はできる。クールタイムは10秒ぐらい。
俺の頭の中で、ワイルドドッグ4体と戦ってみる。
・・・所持する魔法をフル回転させれば安全に倒せそうだ。ここまできたら、ワイルドドッグ4体湧きの狩場へ行くしかないよな。
いつもの狩場よりさらに奥へ歩いていくと、ワイルドドッグ4体が襲ってきた。
4体のエンカウントは初めてだが、倒すイメージはできてる。
「「ガゥガゥ!」」
「ウインドランス!」
ウインドランスで1体を倒して、速攻でウインドカッターを放ち2体目を倒す。
その後、新しい魔法を使う。
「サドゥンウインド!」
「キャィン!」
前方に突風が吹き荒れワイルドドッグ2体は吹き飛んでいく。
そこへ追撃のウインドカッターで1体を仕留めておいて、最後の1体は体勢を整えて走ってきたところを、ウインドカッターで倒す。
ふー、なんとかなったな。
ウインドシールドを残しワイルドドッグ4体を倒せたから、これからの狩場はここにしよう。ただコボルトとは出会ってないから気を付けないと。
その後もワイルドドッグが3体~4体襲撃してきたところを倒し続けていると、俺と同じぐらいの身長のコボルトが現れた。
「ググルゥ!」
今検索しますって言わなかったか?
こいつはミニコボルトがでかくなっただけ、本当にそのまま大きくなっただけ。ただ、走る速度は俺と同じぐらいの速度で走れるようになっている。ヒット&アウェイは使えないな。
「ウインドランス!」
「グゥアッ!!」
コボルトはウインドランスを喰らって一瞬下がるが、倒れない。
ミニコボルトならウインドランスは貫通したが、コボルトには貫通せずに消えてしまった。
ウインドランスが貫通せずに消えたということはHPが多いのだろう。とはいえ、追撃のウインドカッター1発で倒せたため問題にはならない。
その後も、狩りを続けた。
LVは11となったが、風魔法の出現はなし。
本日の成果はワイルドドッグの牙15本、ぼろ切れ5枚、銅貨15枚。コボルトの槍は捨てた。
日没だ。
初の転職で舞い上がり、初範囲魔法を駆使してワイルドドッグ4体も倒せるようになった、最高の1日だ!なんて思っていたが忘れていた。この後、協会宿舎の保管箱から裏世界のドロップ品を回収しにいかないといけないんだ。レイナがいなかったら嬉しいのだが・・・
協会宿舎まで帰ってきて、部屋の扉の前で合掌する。
レイナさん、今日はたまたま外出中でいないって事でお願いします。いらっしゃったとしても俺のすることはいつものことだと関心をもたないようにお願い申し上げます。
なにを言っているのか分からないが、部屋の扉をノックして開ける。
「お疲れ様」
「お疲れ様です・・・」
レイナさんは出迎えてくれた。
そそくさと保管箱の中から裏世界のドロップ品を回収する。
じー。
背中にすごい視線を感じる、ものすごーく感じる。
これほどまでに視線を感じたことは人生で一度もないかもしれない。冷や汗が止まらない。
「ねえ」
「はい」
「私の知る限り、ゼロが保管箱の中にアイテムを保管しているところを見たことないんだけど」
確かに!レイナさんのおっしゃるとおりです!
「いやー、実は狩りの途中で荷物になっちゃうんで、途中で協会宿舎に戻って保管箱に保管してるんですよ。あははは」
「私、イーナさんにゼロが狩りの途中で帰ってきたかを聞いたのよ。帰ってないって」
「・・・」
「・・・」
「よし!じゃあ精算に行ってきます!」
「あ、ゼロ!ちょっと、まだ話終わってないわよー!」
裏世界のドロップ品をポーチに詰めて、ビシッと立ち上がり協会に行くことを宣言し、ダッシュで部屋を飛び出す。
後ろから大きな声が聞こえてくるが、今は無視するしかない!未来のことは未来の自分に投げるしかないんだ!
ああ、昨日と同じデジャブ。
じー。
冒険者協会に入り、受付嬢に精算したいものを提出するとすごい視線を感じる。ものすっごく感じる。
受付嬢さんは俺に惚れてるのかな?と目を合わすと、強烈な疑惑の目だ。
決してかっこいい、好き。なんてLOVEな目ではない。
「・・・」
「・・・」
ええっと、そんな目を向けられても精算がしたいとしか言えないんだけどなーと思いつつ、あらぬ方向に視線を向けてぼんやりしているように装う。
「ゼロさん、なんでワイルドドッグの牙がこんなにあるんですか?」
迫力のある声で言われる。
確かにレイナも受付嬢も、俺のLVは6くらいだろうと思っているのだから不思議でしょうがないのだろう。
俺が今日から狩りしだしたのは、LV9以上のパーティ狩り推奨場所だ。その場所をソロで1確狩りしてきましたなんて言えない!俺はLV6と思われているのだから!
唯一の救いは、冒険者へ無暗にLVを聞くのは失礼という暗黙のルールがある事だ。
例えLV6の魔法使いがワイルドドッグの牙を25本も手に入れたとしても、知ろうとしてはいけないのだ。
「ゼロさん、私と出会って1週間立ちましたよね。それなのに受付嬢としか呼んでもくれないし、名前も聞いてくれないじゃないですか。距離感じちゃうなって、ゼロさんにとって私ってそんなに興味ないんですか?」
気落ちしたような振る舞いで受付嬢が話す。
ぐっ、ここにきてNPCへの興味のなさが仇に!
正直言ってNPCなんて取引かクエストぐらいしか用がないので、名前なんて覚えたことがない。とはいえ、この世界はNPCも人のように行動するから、人に接するように対応しないと色々不都合がでそうだ。
「申し訳ありませんでした。どうも女性と話すのが苦手でして、お名前を聞いてもよろしいですか?」
「もう、ゼロさんはしょうがないですね。あらためまして、冒険者協会受付嬢マリと申します。精一杯サポートいたしますので、ゼロさんも私を頼ってくださいね。あと、女性には優しく・・・」
「あら?ゼロさんじゃないですか」
「あ、ステラさんこんばんわ」
色気を振り撒く魔法使いのお姉さんが現れた。
「こんばんわ。ふふ、またどこかでご一緒しましょ」
「是非お願いします」
魔法協会のステラさんが一声かけてくれた。
ご一緒って冒険のことかな?あの人は高LV魔法使いだと思うから、色々聞きたいし是非ご教授願いたい!
なんて思っていると鬼のような気配が。
「ゼロさん」
「は、はい」
「女性が苦手だと言いましたよね。ご一緒するほどの仲になったんですか?女性が苦手なのに?」
「え、えーっと・・・」
「今日の報酬は銅貨140枚で仮登録料3枚とダンさんへ40枚の支払いですので、97枚のお渡しです!次の方~」
早口でまくられ追い立てられたので、ギルドの出口へ向かいつつ振り返って伝える。
「マリさん!今後ともよろしくお願いします!」
マリさんはしょうがないな~的な優しい顔をしてくれた。
実際のところ、現実世界では女性に苦手意識もあるから言い訳にはピッタリだと思って説明したのに、ステラさんが声をかけてくるんだもんなー。
やはり魔女か、なんて事を思いつつ協会宿舎へ帰る途中で思い出した。レイナへの返答を全く考えてないじゃないか。
「レイナさん、本当に申し訳ありませんでした!」
「え、なに?」
部屋に入る早々で、謝罪する。
「実はドロップ品の事は事情があって話すことができないんです。悪いことはしていませんので、ご理解いただきたいです!」
「もう・・・、色々言いたいことや聞きたいこともあったけどわかったわ。話すことができないと正直に話してくれれば、冒険者として追及するわけにもいかないしね。悪いことはしていないんだよね、でもいつか教えてくれると嬉しいな」
レイナは笑顔で納得してくれた。この件、犯罪者と罵られてもおかしくないと思うから本当に怖かった。
時と場合にもよるが、話せないことなら正直に話せないと言うことで相手の信頼を得られる場合がある。
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見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!
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2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。
ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。
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男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
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転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
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※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
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