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第二章、国王を粛正するまで
第36話・「心のない宴からの帝国将軍レイラ」
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森に待ち構えた魔族はソルの召喚した赤黒い巨体の鬼に追い詰められ、仲間の魔族を呼ぶ。ソルは赤黒い巨体の鬼を大量に召喚し、魔族全員を処分する。村へ戻り村長に討伐依頼をこなしたと報告した。
しばらくベッドで寝転がっていると村長が部屋へ呼びに来る。
村長宅のリビングには豪勢な食事がテーブルへ並び、綺麗な村娘2人が笑顔で迎えてくれる。
「いやぁ、本当にありがとうございました」
「いえいえ、困っている時はお互い様です」
「今日は村一番の美人どころをご用意いたしましたので楽しんでください」
テーブルにつくと村長に紹介された村娘2人が俺にすり寄ってくる。
「私はアンと申します、ソル様がこの村を救ってくださったんですよね!本当にありがとうございました」
「私はランと申します、魔族に立ち向かえるソル様を尊敬しております」
そういって、娘たちはソルのコップにワインを注ぎだす。
ソルはワインを飲みながら豪勢な食事を食べる。
毒を盛られるかと思ったのだがそれはなさそうだ。村娘や村長がご飯を食べた後の様子を伺っていなかったためだ。
食事についてはビーフシチューが絶品だった。アンデッドの体でもおいしく食事がとれることが分かっただけでも収穫だ。ワインもおいしいとは思う、ただアンデッドのせいか酔う気配がない。村娘達に死ぬほど飲まされたのだが素面だ。
村長も村娘達も、大量のワインを飲ませたのに酔いつぶれないソルに引いてしまっている。
食事やワインは満足いくものだったが、どうしても不快なことが。
それは村娘共のヨイショだ。
こいつらが旅の話を聞いてきたので塔の話をぼんやりと語ったが、すごーいみたいなのを連発しまくる。俺には見える、こいつらが全く心にない発言をしていることを。
それを裏付けるようにシャーロットから次々とメッセージがきており、この娘共はソルが魔王軍に捧げられたことを喜んでいたやつらとも報告を受けている。他にも面白いことを聞いたのでシャーロットと打ち合わせておく。
俺一人でワインを飲みながら食事ができたら最高だったのに、人間のクズが周りにいるせいで気分は台無しだ。飯がまずくなるからと村娘を処分することは簡単だが、それでは面白くない。ソルも顔だけは笑顔にして楽しそうに振舞いつづける。
この場の誰一人として本心を見せることなく時は過ぎていく。
「ソル様、夜も深くなってきましたので今日はお開きにしましょう。報酬の話しは明日にでも」
「そうですね、本当に楽しかったです」
「次は二人っきりで食事したいです」
「私も二人っきりで食事したいです」
最後までクズだった、輩確定。
村長は寝る部屋を用意していると案内してくれた。
俺はベッドで横になりながらぼーっとする。
そこへシャーロットからメッセージが届く。
村長と村娘は、あいつなんで酔いつぶれないんだと相当荒れております。貴重なワインも飲みまくりやがって!酔いつぶれたなら殺せたかもしれないのに、ただ寝ているだけじゃ殺せない!とほざいておりました。
俺は飲まされただけなのにひどい言いぐさだ。
ソル様への侮辱、目に余ります。もう殺してしまってもよろしいのでは?
いやいや、明日になれば全ては報われるはずだ。我慢しよう。
かしこまりました。
そうだ、頼んでいた件はどうなった?
順調です、ですが誰に指導させるのですか?
だよなぁ。とりあえず候補を元魔王に選別させようかな。
それはいい考えです。
じゃあ行動に移そう。
ソルは元魔王にメッセージを送る。
ソルは寝ているという設定を守る為にベッドで寝転がっておき、誰かが起こしにくるのを待つ。
「ソル様!大変です!帝国の将軍が見えました」
村長が血相を変えてソルの部屋をノックし叫ぶ。
ちなみにこれも予定通りだ。シャーロットから、村長が魔族を倒した旅人がいると帝国の将軍へ報告をしていたと。その将軍は転移魔法が使えるのか、朝には到着できると話していたそうだ。
ここまで完璧な流れを作るとは、村長はなかなかに頭の回る人間だったのか?魔族が倒されたら帝国の将軍を頼るという2段構えとは恐れ入った・・・なんてな。
あの輩村長が考えたことじゃないだろう、この策を考えたのは帝国だと思っている。
俺は寝起きのフリをしつつ、村長に連れられ玄関から外に出る。
「初めまして。私は帝国将軍が一人、神速のレイラです」
待ち構えていたのは高身長にキレイな顔立ち、金髪ロングを靡かせ、軍服に帯剣した女性だった。その立ち姿から強者の風格が滲み出ている。人間という種族の中では最強に近いのではないだろうか。
「どうされましたか?」
「いえ、あまりにも綺麗だったので見惚れてしまいました。私は旅人のソルと申します」
レイラはソルのまっすぐな言葉に頬が薄っすらと赤みを帯びる。レイラほどになると下心も透けてみえるが、ソルからは全く感じない。心の底からレイラが綺麗だから見惚れていたと言われたために動揺してしまう。
「あ、あー、ありがとう。そんな真面目に口説かれたのは初めてだ」
「申し訳ないです」
しばらくベッドで寝転がっていると村長が部屋へ呼びに来る。
村長宅のリビングには豪勢な食事がテーブルへ並び、綺麗な村娘2人が笑顔で迎えてくれる。
「いやぁ、本当にありがとうございました」
「いえいえ、困っている時はお互い様です」
「今日は村一番の美人どころをご用意いたしましたので楽しんでください」
テーブルにつくと村長に紹介された村娘2人が俺にすり寄ってくる。
「私はアンと申します、ソル様がこの村を救ってくださったんですよね!本当にありがとうございました」
「私はランと申します、魔族に立ち向かえるソル様を尊敬しております」
そういって、娘たちはソルのコップにワインを注ぎだす。
ソルはワインを飲みながら豪勢な食事を食べる。
毒を盛られるかと思ったのだがそれはなさそうだ。村娘や村長がご飯を食べた後の様子を伺っていなかったためだ。
食事についてはビーフシチューが絶品だった。アンデッドの体でもおいしく食事がとれることが分かっただけでも収穫だ。ワインもおいしいとは思う、ただアンデッドのせいか酔う気配がない。村娘達に死ぬほど飲まされたのだが素面だ。
村長も村娘達も、大量のワインを飲ませたのに酔いつぶれないソルに引いてしまっている。
食事やワインは満足いくものだったが、どうしても不快なことが。
それは村娘共のヨイショだ。
こいつらが旅の話を聞いてきたので塔の話をぼんやりと語ったが、すごーいみたいなのを連発しまくる。俺には見える、こいつらが全く心にない発言をしていることを。
それを裏付けるようにシャーロットから次々とメッセージがきており、この娘共はソルが魔王軍に捧げられたことを喜んでいたやつらとも報告を受けている。他にも面白いことを聞いたのでシャーロットと打ち合わせておく。
俺一人でワインを飲みながら食事ができたら最高だったのに、人間のクズが周りにいるせいで気分は台無しだ。飯がまずくなるからと村娘を処分することは簡単だが、それでは面白くない。ソルも顔だけは笑顔にして楽しそうに振舞いつづける。
この場の誰一人として本心を見せることなく時は過ぎていく。
「ソル様、夜も深くなってきましたので今日はお開きにしましょう。報酬の話しは明日にでも」
「そうですね、本当に楽しかったです」
「次は二人っきりで食事したいです」
「私も二人っきりで食事したいです」
最後までクズだった、輩確定。
村長は寝る部屋を用意していると案内してくれた。
俺はベッドで横になりながらぼーっとする。
そこへシャーロットからメッセージが届く。
村長と村娘は、あいつなんで酔いつぶれないんだと相当荒れております。貴重なワインも飲みまくりやがって!酔いつぶれたなら殺せたかもしれないのに、ただ寝ているだけじゃ殺せない!とほざいておりました。
俺は飲まされただけなのにひどい言いぐさだ。
ソル様への侮辱、目に余ります。もう殺してしまってもよろしいのでは?
いやいや、明日になれば全ては報われるはずだ。我慢しよう。
かしこまりました。
そうだ、頼んでいた件はどうなった?
順調です、ですが誰に指導させるのですか?
だよなぁ。とりあえず候補を元魔王に選別させようかな。
それはいい考えです。
じゃあ行動に移そう。
ソルは元魔王にメッセージを送る。
ソルは寝ているという設定を守る為にベッドで寝転がっておき、誰かが起こしにくるのを待つ。
「ソル様!大変です!帝国の将軍が見えました」
村長が血相を変えてソルの部屋をノックし叫ぶ。
ちなみにこれも予定通りだ。シャーロットから、村長が魔族を倒した旅人がいると帝国の将軍へ報告をしていたと。その将軍は転移魔法が使えるのか、朝には到着できると話していたそうだ。
ここまで完璧な流れを作るとは、村長はなかなかに頭の回る人間だったのか?魔族が倒されたら帝国の将軍を頼るという2段構えとは恐れ入った・・・なんてな。
あの輩村長が考えたことじゃないだろう、この策を考えたのは帝国だと思っている。
俺は寝起きのフリをしつつ、村長に連れられ玄関から外に出る。
「初めまして。私は帝国将軍が一人、神速のレイラです」
待ち構えていたのは高身長にキレイな顔立ち、金髪ロングを靡かせ、軍服に帯剣した女性だった。その立ち姿から強者の風格が滲み出ている。人間という種族の中では最強に近いのではないだろうか。
「どうされましたか?」
「いえ、あまりにも綺麗だったので見惚れてしまいました。私は旅人のソルと申します」
レイラはソルのまっすぐな言葉に頬が薄っすらと赤みを帯びる。レイラほどになると下心も透けてみえるが、ソルからは全く感じない。心の底からレイラが綺麗だから見惚れていたと言われたために動揺してしまう。
「あ、あー、ありがとう。そんな真面目に口説かれたのは初めてだ」
「申し訳ないです」
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