35 / 36
第二章、国王を粛正するまで
第35話・「森で待ち構えた魔族の末路」
しおりを挟む
村長は村に訪れた旅人を魔王軍へ差し出すことで報酬をもらい私腹を肥やしていた。それもその報酬の一部を村民に分け与えることで悪いことだという感情を薄れさせ、共犯者に仕立て上げていた。村民達は旅人を魔王軍へ差し出すことが仕事とまで思っている。そして、その旅人ことソルは魔王軍と対峙する。
魔族は笑みを浮かべながら両爪をソルの腹に向かって突き出す。
両爪はとてつもなく硬いものへ突き立てたために、バキッ!という音が鳴り響き折れてしまった。
「な、なんだ?!」
そこにいたのは、全身の筋肉がムキムキな赤黒い巨体の鬼。
魔族はいきなり現れた巨体の鬼に慄く、あきらかな格上だ。確実に勝てないと悟り反転して逃げようとする。
「ギャッ!!!」
赤黒い巨体の鬼は図体に似合わず、瞬時に魔族の体を片手で握る。
ふむ、この鬼強いな。
あの魔族の爪を折るほどの強度に加え、巨体から繰り出される瞬発力。これで遠距離攻撃があれば兵器だろ。
「グッ、お前、ら、殺す!!!!」
魔族は巨体の鬼に握られながら何かしたようだ。
すると魔族の周囲の空間が歪められ洞窟のようなものが現れる。そこからたくさんの魔族が出てくる。
「ひゃっ、ひゃっ、ぴぎゅ」
「うるさい」
ソルの一言で魔族は巨体の鬼に握り殺される。いつの間にかソルの瞳は狂気に染まっている。
うーん、こうなったら実験に付き合ってもらうしかないよな。
今度はあの強い鬼を何体召喚できるかやってみよう。イメージが大事。
「鬼召喚」
ものすごい数の魔法陣が地面に描かれ、そこから赤黒い巨体の鬼が一斉に出てくる。
「な、なんだぁ!?」
「おかしいぞ!ど、どうして高位の鬼があんなにも!」
「か、勝てない!逃げよう、ギィヤァ!」
ものすごい数の巨体の鬼を見て、魔族達は騒ぎ出し全員が逃走を図ろうとする。
全鬼は瞬時に魔族達を握りにいく、羽の生えた魔族も飛んで逃げようとしたが巨体の鬼はジャンプし魔族を握って着地する。
・・・ものすごい光景だな、これ。
ソルは笑ってしまう。鬼達がみんな玩具を持っているかのように魔族を握っている。握れなかった鬼達はぼーっとソルの指示を待っている状態だ。
鬼を何体召喚できたか調べるのは、俺一人では面倒くさすぎる。たくさん召喚できたとだけ覚えておこう。
でも全員の鬼が魔族を握りに行く姿は圧巻だった、素晴らしい。
握られた魔族達は当然のようにわめく。
ソルへ助けを乞うもの、ソルを罵倒するもの、魔王様に縋るものなど様々だ。俺が魔王様だけどな。
どいつもこいつも自分が傷つきたくないなら他者を傷つけるなよとソルは溜息をつく、全員に一から説教したいが面倒だ。
俺を殺しにきたのだから殺されてもしょうがないを適用しよう。
ソルは自分の考えを正当化する。
「やれ」
巨体の鬼達は一斉に魔族を握りこむ。
巨体の鬼に握られた魔族達はいたるところから血が噴き出し、見るも無残な姿となった。
「グロッ!!!」
ソルはこの光景を作り出した張本人ではあったが、鬼達の所業に引いていた。輩を処分することは当然だと思っていても人間的な感情も持ち合わせているのがソルである。
鬼達の召喚解除を行う。
・・・
この魔族達の死体どうしよう、放置するとやばいかな?
シャーロットへメッセージを送る。
シャーロット、大量の魔族達が森で死んでんだけど放置しとくとまずい?
そうですね、生態系が崩れてしまう可能性もあるので後で処分しておきますよ。
助かった、ありがとう。それでひとつお願いがあるのだが・・・
かしこまりました。後はお任せください
「ふ一、ひと仕事終わったな。次は村かぁ」
ソルは村のもの達がどういう反応をしてくるかを考えながら、村へと戻っていく。
村に辿り着くと村民達は誰も外へ出ていないようだったので、村長宅を訪ねる。
「村長、今帰りました」
「うお!ソ、ソル様!!!まさか、モンスターを討伐できたのですか!?」
「え、ええ。森にいたのはモンスターではなく魔族でしたが」
「そ、そうでしたか。それはめでたい!今日は宴会をしようと準備しておったのです。是非参加してください」
「分かりました」
村長はうろたえながらソルを出迎える。
ソルは、村長のうろたえに多少引きながら宴に参加することとする。宴までの間、ベッドでゆっくりしてくだされとのことで一室へ通された。
ベッドに寝ころがってぼーっとしていると、シャーロットからメッセージが入る。
村長や村民達はソル様を魔王軍に捧げた祝杯をあげようとしておりましたが、ソル様が帰ってきたことにより大パニックになっております。
はぁ、クズばっかりだな。これからクズ共の宴会に付き合うと思うと疲れるよ。
皆殺しにしては?
それが手っ取り早いんだけど、この後どうするのか見てみたいよね。俺への報酬も支払わないといけないから手を打ってくるだろうしさ。あとは人間の食事がおいしいのかも検証したいからこの後もがんばるよ。
かしこまりました、ご自愛ください。
ありがと。
あの輩共、ここからどうするのか色々と楽しみだ。
ソルは狂気に染まった目をしながら時を待つ。
魔族は笑みを浮かべながら両爪をソルの腹に向かって突き出す。
両爪はとてつもなく硬いものへ突き立てたために、バキッ!という音が鳴り響き折れてしまった。
「な、なんだ?!」
そこにいたのは、全身の筋肉がムキムキな赤黒い巨体の鬼。
魔族はいきなり現れた巨体の鬼に慄く、あきらかな格上だ。確実に勝てないと悟り反転して逃げようとする。
「ギャッ!!!」
赤黒い巨体の鬼は図体に似合わず、瞬時に魔族の体を片手で握る。
ふむ、この鬼強いな。
あの魔族の爪を折るほどの強度に加え、巨体から繰り出される瞬発力。これで遠距離攻撃があれば兵器だろ。
「グッ、お前、ら、殺す!!!!」
魔族は巨体の鬼に握られながら何かしたようだ。
すると魔族の周囲の空間が歪められ洞窟のようなものが現れる。そこからたくさんの魔族が出てくる。
「ひゃっ、ひゃっ、ぴぎゅ」
「うるさい」
ソルの一言で魔族は巨体の鬼に握り殺される。いつの間にかソルの瞳は狂気に染まっている。
うーん、こうなったら実験に付き合ってもらうしかないよな。
今度はあの強い鬼を何体召喚できるかやってみよう。イメージが大事。
「鬼召喚」
ものすごい数の魔法陣が地面に描かれ、そこから赤黒い巨体の鬼が一斉に出てくる。
「な、なんだぁ!?」
「おかしいぞ!ど、どうして高位の鬼があんなにも!」
「か、勝てない!逃げよう、ギィヤァ!」
ものすごい数の巨体の鬼を見て、魔族達は騒ぎ出し全員が逃走を図ろうとする。
全鬼は瞬時に魔族達を握りにいく、羽の生えた魔族も飛んで逃げようとしたが巨体の鬼はジャンプし魔族を握って着地する。
・・・ものすごい光景だな、これ。
ソルは笑ってしまう。鬼達がみんな玩具を持っているかのように魔族を握っている。握れなかった鬼達はぼーっとソルの指示を待っている状態だ。
鬼を何体召喚できたか調べるのは、俺一人では面倒くさすぎる。たくさん召喚できたとだけ覚えておこう。
でも全員の鬼が魔族を握りに行く姿は圧巻だった、素晴らしい。
握られた魔族達は当然のようにわめく。
ソルへ助けを乞うもの、ソルを罵倒するもの、魔王様に縋るものなど様々だ。俺が魔王様だけどな。
どいつもこいつも自分が傷つきたくないなら他者を傷つけるなよとソルは溜息をつく、全員に一から説教したいが面倒だ。
俺を殺しにきたのだから殺されてもしょうがないを適用しよう。
ソルは自分の考えを正当化する。
「やれ」
巨体の鬼達は一斉に魔族を握りこむ。
巨体の鬼に握られた魔族達はいたるところから血が噴き出し、見るも無残な姿となった。
「グロッ!!!」
ソルはこの光景を作り出した張本人ではあったが、鬼達の所業に引いていた。輩を処分することは当然だと思っていても人間的な感情も持ち合わせているのがソルである。
鬼達の召喚解除を行う。
・・・
この魔族達の死体どうしよう、放置するとやばいかな?
シャーロットへメッセージを送る。
シャーロット、大量の魔族達が森で死んでんだけど放置しとくとまずい?
そうですね、生態系が崩れてしまう可能性もあるので後で処分しておきますよ。
助かった、ありがとう。それでひとつお願いがあるのだが・・・
かしこまりました。後はお任せください
「ふ一、ひと仕事終わったな。次は村かぁ」
ソルは村のもの達がどういう反応をしてくるかを考えながら、村へと戻っていく。
村に辿り着くと村民達は誰も外へ出ていないようだったので、村長宅を訪ねる。
「村長、今帰りました」
「うお!ソ、ソル様!!!まさか、モンスターを討伐できたのですか!?」
「え、ええ。森にいたのはモンスターではなく魔族でしたが」
「そ、そうでしたか。それはめでたい!今日は宴会をしようと準備しておったのです。是非参加してください」
「分かりました」
村長はうろたえながらソルを出迎える。
ソルは、村長のうろたえに多少引きながら宴に参加することとする。宴までの間、ベッドでゆっくりしてくだされとのことで一室へ通された。
ベッドに寝ころがってぼーっとしていると、シャーロットからメッセージが入る。
村長や村民達はソル様を魔王軍に捧げた祝杯をあげようとしておりましたが、ソル様が帰ってきたことにより大パニックになっております。
はぁ、クズばっかりだな。これからクズ共の宴会に付き合うと思うと疲れるよ。
皆殺しにしては?
それが手っ取り早いんだけど、この後どうするのか見てみたいよね。俺への報酬も支払わないといけないから手を打ってくるだろうしさ。あとは人間の食事がおいしいのかも検証したいからこの後もがんばるよ。
かしこまりました、ご自愛ください。
ありがと。
あの輩共、ここからどうするのか色々と楽しみだ。
ソルは狂気に染まった目をしながら時を待つ。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
おっさんの神器はハズレではない
兎屋亀吉
ファンタジー
今日も元気に満員電車で通勤途中のおっさんは、突然異世界から召喚されてしまう。一緒に召喚された大勢の人々と共に、女神様から一人3つの神器をいただけることになったおっさん。はたしておっさんは何を選ぶのか。おっさんの選んだ神器の能力とは。
異世界でネットショッピングをして商いをしました。
ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。
それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。
これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ)
よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m
hotランキング23位(18日11時時点)
本当にありがとうございます
誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。
女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません
青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。
だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。
女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。
途方に暮れる主人公たち。
だが、たった一つの救いがあった。
三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。
右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。
圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。
双方の利害が一致した。
※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる