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第一章、魔王を粛清するまで
第21話・ラスボス戦「真相」
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ヴィシャがボス鬼をシャーロットはボス蜘蛛を倒し、アンが次のボスは俺だと言い張る。だが、次のボスはラスボスだったため、どうしたものやらと思いながら扉を開ける。ラスボスは人の姿をしており大した装備もなく帯剣しているだけ、そのせいか強さが全く見えない。不穏な空気が漂うため、アンに任せてもよいものかと思案しているとラスボスが陽気な声で話しかけてきた。
「おーい!そんなところにいないでこっち来てよー」
ラスボスとは思えない陽気な声で話しかけてきたぞ。
「ソル、行かないのぉ?」
「行かないのぉ?ってあれラスボスだぞ」
「そうね、接近すれば全員斬られる可能性もあるわ」
ユニが間の抜けた声で行こうと言い、ルナが抑える。
「ソル兄!次は俺だよね!ね!」
アンが早く早くと急かしてくるので頭を撫でる。
さて、ルナの言う通り全員で近寄るのは愚策だ。もし俺達の目に映らないほどの速度で接近され斬られれば全滅まで見えてくる。
ラスボス戦は俺、アン、シャーロット、ヴィシャで行こう。
理由はアンを戦わせると約束があるためと、シャーロットはアンの護衛兼おもり、ヴィシャは唯一ラスボスの剣技と渡り合える可能性があること、俺は不測の事態をなんとかできるかもしれない、以上だ。
「決めた。ユニ、ルナ、ガブリエルは後方で待機していてくれ。ゾンビ20体もラスボスには壁としかならないだろうから置いておく」
「えー、また待機ぃ?」
「私も戦えると思うんだけど?」
「いや、召喚したものたちは死んでも再召喚もできるはずなんだ。俺はお前達を失いたくない、だから頼む」
「分かったよぉ、絶対死なないようにね」
「な、なによ、分かったわよ・・・」
俺が真剣に伝えるとユニは嬉しそうにし、ルナは顔を赤らめて照れる。
最後にガブリエルへ告げる。
「ガブリエル、命に代えてもこの二人を守れ」
「はい、お任せください!」
ガブリエルは主からの守護する任に使命感を燃やす。
ソル、アン、シャーロット、ヴィシャはラスボスに向けて歩き出す。
「アン、ラスボスと話しができそうだから戦うのは待ってくれ」
「えぇー、まだ戦っちゃだめなのかー?」
「ああ、シャーロット頼むぞ」
「まずはアンが飛び出さないように見張ることですね」
アンは拗ねたような顔をし、シャーロットは優し気な顔だ。ソルは皆に笑いかけながらラスボスと対峙する。
不意打ちで全員斬られる可能性も視野にいれておく。
相手はラスボスだ、生き残れるのは俺だけかもしれない。そうなったら俺の持てる全てを召喚し圧倒的な数で葬る。なんとかユニとルナだけでも助ける、それが最低条件だ。
「はじめまして、僕がここのラスボスを務めるカイだよ。名前を聞いてもいいかな?」
「俺はソル、後はアン、シャーロット、ヴィシャだ」
「ありがとう、長い間会話をしていなかったから嬉しくてさ!」
カイは心底嬉しそうに話しかけてくる。
なんだこのラスボス、物凄く人だ。ラスボスというからには物凄い化け物を想定していたのに、会話したことが嬉しいなんて気の抜けることを。とはいえ裏があるはずだ。
「あ、そうだよね!ごめんごめん、まだ戦うつもりはないから警戒しなくていいよ。と言っても信じられないかもしれないけどね」
「・・・分かった。会話するってことでいいんだな?」
カイはにこやかな顔で頷く。
ソルはヴィシャにメッセージを送る。
ヴィシャ、油断するなよ。相手は剣士だ、最速の一撃を放ってくる可能性がある。
はっ、おまかせを。
「さて、色々と聞いてみたいんだけど敵対しているからなぁ、どんな事ができるの?とかは聞けないね。うーん、じゃあここまでくるのに大変だったこととかはあった?」
「大変なことか・・・そう対してなかったかもな」
今まで戦ってきたボス戦は楽勝な記憶しかない。俺召喚士だしな。
それに召喚士だとバレたくないから余計な事は話せない。
「本当に!?それはすごいね。んー、確かに僕も登ってきて嫌だと思うことはあったけど大変ではなかったかな」
「ん?カイもここを登ってきたということか?」
「そそ、僕はね勇者なんだよ」
勇者・・・勇者!?
待て待て、勇者だって?ここは本当にどんな場所なんだ?
俺が戦ってきたもの達は魔のものが多かった気がする。そんな場所のラスボスが勇者なんて意味が分からない。
ん?登ってきたと言ったか?
「僕は魔王に敗れて、ここで修行してこいって閉じ込められてるわけ」
「修行してこい?ラスボスになることが修行になるのか?」
「実は魔王から一つ提案されてさ、お前が塔のラスボスを倒し終わっても我に挑むほどの力がないと判断したら塔のラスボスとなれ。そして我を越えれると判断した時点で挑みに来いって言うんだよ。魔王の優しさを見たね」
それは優しさなのか?とはいえ、ここは塔と呼ばれているのか。で、勇者は塔に放り込まれて魔王を倒せるまでラスボスとして君臨する道を選んだと。う、うーん、納得いくようないかないような話だな。でも結構色々知ってそうだし聞いてみるか。
「カイ、この塔はなんのために存在する?」
「ここは次期魔王候補を選抜する場所さ」
「・・・カイは勇者なんだろ?魔王候補にされていいのか?」
「僕はあくまで勇者だ。魔王を倒したところで魔王にはならないから安心して、ただ君達は魔王になってしまうだろうね」
「おーい!そんなところにいないでこっち来てよー」
ラスボスとは思えない陽気な声で話しかけてきたぞ。
「ソル、行かないのぉ?」
「行かないのぉ?ってあれラスボスだぞ」
「そうね、接近すれば全員斬られる可能性もあるわ」
ユニが間の抜けた声で行こうと言い、ルナが抑える。
「ソル兄!次は俺だよね!ね!」
アンが早く早くと急かしてくるので頭を撫でる。
さて、ルナの言う通り全員で近寄るのは愚策だ。もし俺達の目に映らないほどの速度で接近され斬られれば全滅まで見えてくる。
ラスボス戦は俺、アン、シャーロット、ヴィシャで行こう。
理由はアンを戦わせると約束があるためと、シャーロットはアンの護衛兼おもり、ヴィシャは唯一ラスボスの剣技と渡り合える可能性があること、俺は不測の事態をなんとかできるかもしれない、以上だ。
「決めた。ユニ、ルナ、ガブリエルは後方で待機していてくれ。ゾンビ20体もラスボスには壁としかならないだろうから置いておく」
「えー、また待機ぃ?」
「私も戦えると思うんだけど?」
「いや、召喚したものたちは死んでも再召喚もできるはずなんだ。俺はお前達を失いたくない、だから頼む」
「分かったよぉ、絶対死なないようにね」
「な、なによ、分かったわよ・・・」
俺が真剣に伝えるとユニは嬉しそうにし、ルナは顔を赤らめて照れる。
最後にガブリエルへ告げる。
「ガブリエル、命に代えてもこの二人を守れ」
「はい、お任せください!」
ガブリエルは主からの守護する任に使命感を燃やす。
ソル、アン、シャーロット、ヴィシャはラスボスに向けて歩き出す。
「アン、ラスボスと話しができそうだから戦うのは待ってくれ」
「えぇー、まだ戦っちゃだめなのかー?」
「ああ、シャーロット頼むぞ」
「まずはアンが飛び出さないように見張ることですね」
アンは拗ねたような顔をし、シャーロットは優し気な顔だ。ソルは皆に笑いかけながらラスボスと対峙する。
不意打ちで全員斬られる可能性も視野にいれておく。
相手はラスボスだ、生き残れるのは俺だけかもしれない。そうなったら俺の持てる全てを召喚し圧倒的な数で葬る。なんとかユニとルナだけでも助ける、それが最低条件だ。
「はじめまして、僕がここのラスボスを務めるカイだよ。名前を聞いてもいいかな?」
「俺はソル、後はアン、シャーロット、ヴィシャだ」
「ありがとう、長い間会話をしていなかったから嬉しくてさ!」
カイは心底嬉しそうに話しかけてくる。
なんだこのラスボス、物凄く人だ。ラスボスというからには物凄い化け物を想定していたのに、会話したことが嬉しいなんて気の抜けることを。とはいえ裏があるはずだ。
「あ、そうだよね!ごめんごめん、まだ戦うつもりはないから警戒しなくていいよ。と言っても信じられないかもしれないけどね」
「・・・分かった。会話するってことでいいんだな?」
カイはにこやかな顔で頷く。
ソルはヴィシャにメッセージを送る。
ヴィシャ、油断するなよ。相手は剣士だ、最速の一撃を放ってくる可能性がある。
はっ、おまかせを。
「さて、色々と聞いてみたいんだけど敵対しているからなぁ、どんな事ができるの?とかは聞けないね。うーん、じゃあここまでくるのに大変だったこととかはあった?」
「大変なことか・・・そう対してなかったかもな」
今まで戦ってきたボス戦は楽勝な記憶しかない。俺召喚士だしな。
それに召喚士だとバレたくないから余計な事は話せない。
「本当に!?それはすごいね。んー、確かに僕も登ってきて嫌だと思うことはあったけど大変ではなかったかな」
「ん?カイもここを登ってきたということか?」
「そそ、僕はね勇者なんだよ」
勇者・・・勇者!?
待て待て、勇者だって?ここは本当にどんな場所なんだ?
俺が戦ってきたもの達は魔のものが多かった気がする。そんな場所のラスボスが勇者なんて意味が分からない。
ん?登ってきたと言ったか?
「僕は魔王に敗れて、ここで修行してこいって閉じ込められてるわけ」
「修行してこい?ラスボスになることが修行になるのか?」
「実は魔王から一つ提案されてさ、お前が塔のラスボスを倒し終わっても我に挑むほどの力がないと判断したら塔のラスボスとなれ。そして我を越えれると判断した時点で挑みに来いって言うんだよ。魔王の優しさを見たね」
それは優しさなのか?とはいえ、ここは塔と呼ばれているのか。で、勇者は塔に放り込まれて魔王を倒せるまでラスボスとして君臨する道を選んだと。う、うーん、納得いくようないかないような話だな。でも結構色々知ってそうだし聞いてみるか。
「カイ、この塔はなんのために存在する?」
「ここは次期魔王候補を選抜する場所さ」
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