記憶を無くしている俺が、この世界に蔓延る輩を一人残らず粛清するまで(第一章、魔王を粛清するまで完結)

ぎたー

文字の大きさ
上 下
3 / 37
第一章、魔王を粛清するまで 

第3話・新たなる敵は赤色の

しおりを挟む
 ゾンビ1号と仲間になりたがったものがいた、その名はゾンビ2号。by俺





 ここはレンガ作りで汚い不衛生な場所だ。その場所で俺ことゾンビ1号と相手さんゾンビ2号は一緒に彷徨っている。ずーっと同じような景色にうんざりだ。

 ここはどういう目的の場所なのだろうか。
 アニメやゲームのダンジョン的な場所にも見えるけど、人が一人もいない。ダンジョンなら冒険者がきてモンスターを駆逐してやるー!なんて展開が普通だろ?誰もいないダンジョンなんて意味がない、分からない事だらけだ。

 あれから2号は常についてくる。モンスターがいれば一緒に倒し、声を掛ければ声を出す(全く会話になっていないが)、それはもう仲間と言って差し支えないと言いたいのだが会話はできないんだよな。


 俺「2号聞いてくれよぉ、今日さぁ、スライムを殴り倒した時に手が汚れちゃったよ~」

 2号「え~、1号と同じでキモ~イ、近寄らないでほしぃ~☆」

 俺「そんなこと言うなよ~(号泣)」


 とかさ!そういう会話をしてみたいのよ!
 2号が女子っぽく話しをしているのは俺の妄想であり願望です。なぜに2号が女子という妄想をしているかというと、俺から見た2号は容姿や服から見ても男女の判別がつかず男ゾンビなのか女ゾンビなのか分からない。
 ならば、綺麗なお姉さんがゾンビになってしまったかもしれないと考えてしまうのが男というもんだろ、分かるだろ?



 どれぐらい時間が経っただろうか、現状を振り返ってみる。
 ゾンビ2号は本当に働きものだ。俺がモンスターに攻撃しようとすると、私も一緒に倒すの!と言わんばかりに必ず追撃しに来てくれる、優秀かつ可愛い。
 俺に関してはLv9まで上がっており、少しだけ強くなったのかもしれない。強くなったと実感できたのは、5割ぐらいでスライムやネズミを1撃で倒せるようになったからだ。ただ、1撃で倒してしまうと2号が俺に優しくパンチしてくる、キャッキャウフフをしたいのだろう、可愛い。
 とまあ、このようなゾンビコントを繰り広げつつ、楽しくLv上げをしております。
 
 ただこの楽しいLv上げを労働になぞらえると、俺と2号どちらも睡眠不要で食欲もないために24時間労働無休で働いております。労働者の中では神とも言える存在になりました、ありがとうございます。



 労働し続けた先に、明るい未来があると信じて歩んでいた俺と2号は反射的に立ち止まる。そこには見たことのない、いや正確には色違いのモンスターがいた。赤い色をしたネズミだ。
 通常のネズミは皆さんもご存じのとおり灰色で、遭遇したのは上位種よろしく赤色。色以外は灰色のねずみと同じ。

 うーん、どうしたもんか。
 赤色がどの程度の強さなのか分からないんだよな、俺と2号で戦うので必然的に2対1という有利な状況ではあるんだけど、2号にも意見を聞いてみるか。

 俺「あ”あ”あ”あぁぁ」(赤色ネズミ倒しにいってみる?)

 2号「あ”あ”ああ」

 ふむふむ。
 俺が2号のうめき声を推測するに、上目遣いをしながら可愛い声で「赤色ネズミが襲ってきても1号が守ってくれるんでしょ?☆」と言ってくれている気がする。俺も「もちろんさ!」と答えるためにキリッとした目で2号をよく見る。

 ・・・ただの腐ったゾンビだ。
 2号は俺にパンチしてくる、なぜに。



 よし、現実を見て悲しくなったところで赤色ネズミを倒すことに。
 俺から先陣を切る!と意気込んで赤色ネズミへ慎重に近づいていく、2号も後ろからついてくる。

 赤色ネズミは俺達を確認すると、目を光らせてこちらに向かって走ってくる。
 俺は走り出した赤色ネズミに動揺した、今までのモンスターとは違いこちらを確認しただけで動き出したからだ。俺は気持ちをすぐに切り替え、引きずっているほうの足でタイミングを合わせて蹴りをぶち込んでやる。
 幸いにも蹴りはHITし、赤色ネズミはズルっと後退した。2号は俺の脇をすり抜け、後退した赤色ネズミに追撃の蹴りを入れる、俺も間髪いれずに赤色ネズミを追撃したいのだが2号と違って足を引きずっているために間に合わない。それでも急ぐことでなんとか2号の前に出られたが、赤色ネズミは体勢を立て直して俺の引きずってないほうの左足を噛んできた。

 俺「あ”あ”あ”ぁ」(ギャー!)

 今まで一度も噛まれたことないのに!と錯乱するが痛みは全く感じない。
 ゾンビのためか痛覚がない模様、これなら戦闘も安心だね!と言いたいところだが、噛まれたためにバランスを崩して尻もちをついてしまう。
 赤色ネズミは足の肉を嚙みちぎると、俺の顔面に向かってジャンプしてくる。

 口を開け鋭い歯を見せる。
 や、やばい、喰われる!!!


 そこへ2号が颯爽と現れ、ジャンプしている赤色ネズミを横から蹴り飛ばした。赤色ネズミはものすごい勢いで壁に叩きつけられて動かなくなった。

 「キャー!2号カッコイイ!」と女性なら言っているだろう、イケメンすぎる。俺からの好感度はうなぎ上りよ。

 俺と2号は共にLvアップの黒い靄がまとわりついた。色々とグッジョブ!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生家族の異世界紀行 ~中流家庭が異世界で大貴族になりました~

安曇野レイ
ファンタジー
ブラックなIT企業で働く主人公。人生で初めての家族旅行に出発したものの、あおり運転を受け、さらに逆走してくる車に遭遇し、大事故で一家は死に瀕する。 気がつくとそこはワームホールの真っ只中。 固い絆で結ばれた仲良し家族は、異世界でも挫けず、力を合わせて困難や危機に立ち向かっていく! はたして一家は異世界を救い、元の世界へ帰ることができるのか。

スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?

山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。 2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。 異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。 唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。

アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。 両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。 両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。 テッドには、妹が3人いる。 両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。 このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。 そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。 その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。 両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。 両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…   両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが… 母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。 今日も依頼をこなして、家に帰るんだ! この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。 お楽しみくださいね! HOTランキング20位になりました。 皆さん、有り難う御座います。

転生しても山あり谷あり!

tukisirokou
ファンタジー
「転生前も山あり谷ありの人生だったのに転生しても山あり谷ありの人生なんて!!」 兎にも角にも今世は “おばあちゃんになったら縁側で日向ぼっこしながら猫とたわむる!” を最終目標に主人公が行く先々の困難を負けずに頑張る物語・・・?

アイスさんの転生記 ~貴族になってしまった~

うしのまるやき
ファンタジー
郡元康(こおり、もとやす)は、齢45にしてアマデウス神という創造神の一柱に誘われ、アイスという冒険者に転生した。転生後に猫のマーブル、ウサギのジェミニ、スライムのライムを仲間にして冒険者として活躍していたが、1年もしないうちに再びアマデウス神に迎えられ2度目の転生をすることになった。  今回は、一市民ではなく貴族の息子としての転生となるが、転生の条件としてアイスはマーブル達と一緒に過ごすことを条件に出し、神々にその条件を呑ませることに成功する。  さて、今回のアイスの人生はどのようになっていくのか?  地味にフリーダムな主人公、ちょっとしたモフモフありの転生記。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

魔法を求めて

ファンタジー
魔法が消えた世界で繰り広げられる、戦いの物語

処理中です...