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第七章 終わりという名の始まり
198 もう一つの問題
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アスは、目をキラキラさせつつそう言った。
僕は、頭を痛めつつ理由を聞く。
「そうしないと陛下が、ヘタレだから。」
アスの答えは簡単だった。
つまり、きちんと夫婦になれという事らしい。
アスの中では、僕が行動を起こせば陛下の覚悟が決まるだろうという事になっているらしい。
僕は、ため息をつく。
もう一つの問題にそれは直結する。
「…もう一つ報告があります。」
アスは頷く。
「…陛下に言われたんだ。自由になっていいよと。」
アスは首を傾げた。
つまり、ジークハルトがアスと一緒になるならないはアスの意志に任せるけれどジークハルトがきちんと後継者になると決めてくれたので陛下は引退する方向で考えると言い出した。
それで、僕に言ったのだ。
僕にも自由になる権利がある…と。
陛下はしばらく、ジークハルトを支えて時期が来たら引退すると。
僕自身がどうするか、決めてほしいと。
「僕ももう…一人前だから…陛下と分かれて別の道を行くなら応援すると言われたんだ。」
アスは目を丸くしていたが、しばらくすると目を吊り上げた。
「…ラス…なんて答えたの…」
僕は、首を横に振る。
「応えずに…逃げちゃった。」
アスはじっと僕を見ている。
どうする気だと。
「…アスは…僕は陛下を襲ったら…ジークハルトのパートナーになるの?」
アスは、首をかしげたが少し考えてから頷く。
僕は、そうではないよと眉を寄せる。
「いいかい…僕が陛下から自由になったら…陛下はフリーだよ。君だってチャンスがあるってことだ。」
アスは首をかしげる。
「アスは陛下が好きだろう。」
アスは頷く。
「アスが陛下のパートナーになることも可能だよ?」
アスは、呆れたようにため息をついた。
「ない。」
きっぱりとアスは言う。
「ラス…覚悟をきめなさい。」
アスはまっすぐに僕を見る。
僕は首を傾げた。
覚悟とは。
陛下と別れる覚悟か。
僕はそう思いながらアスを見る。
なんの覚悟だよと情けなくなりながら。
「…ラスは…陛下嫌い?」
僕は首を振る。
「…好きだよ。」
そうだ。
僕は陛下が好きだ。
この感情が何だとは正直分からない。
けど、好きか嫌いかと言われたらやっぱり好きだ。
そうアスに応える。
けど、陛下はどうなのだろう。
僕がそう思っていたらアスは、眉を寄せる。
「…僕は…見てないから。」
アスは、眉を寄せてままつぶやく。
「…陛下とラスティの結婚式見てない。」
そういえば…してないなと僕は思う。
というか結婚式などこの世界には無い。
無いというか…パートナー契約の契約式のようなものはあるはずだが。
けど、永遠の愛を誓うなどということがない。
「この世界では、ないね。」
パートナーが変わることも多いこの世界。
王族の儀式的なものはあるようだけど。
神の前で永遠の愛を誓うという事は無いだろう。
「両親がきちんとしてくれないと、僕もできない。」
ジークハルトと一緒になれというなら自分たちが、まずきっちりしろとアスは言う。
「ラスティ、陛下の寝込み襲って!」
いやいや…それで解決するか?
アスはぷぅと頬を膨らませた。
「陛下…一人にするの?」
僕は、アスを見る。
「陛下は…強いから、いたいのになれてわからなくなってるんだよ。」
そう言うとアスは、僕を見る。
琥珀色の瞳が瞬いた。
「…ラスがいらないなら…僕がもらう。けど…いるなら覚悟して。」
アスの陛下を襲えというのは、僕に覚悟を促しているのだろう。
曖昧な僕の態度を見て陛下は僕を自由にさせようしている。
「ラスの自由な意志は…誰を選ぶの?」
アスの琥珀色の瞳をじっと見つめ返す。
「…ねぇ…アス…陛下は僕に自由になっていいと言った。だから…僕も自由に選んでいいという事だよね。」
そうだねとアスは頷く。
なら、そうするかと僕はアスに頷いた。
「うん…そうだね。自由に選ぶことにするよ。」
僕はそう言うと潜り込んだベットから降りる。
「いってらっしゃい。今夜は帰ってこなくていいよ。」
アスの微妙な応援を聞きながら僕は部屋を抜け出した。
僕は、頭を痛めつつ理由を聞く。
「そうしないと陛下が、ヘタレだから。」
アスの答えは簡単だった。
つまり、きちんと夫婦になれという事らしい。
アスの中では、僕が行動を起こせば陛下の覚悟が決まるだろうという事になっているらしい。
僕は、ため息をつく。
もう一つの問題にそれは直結する。
「…もう一つ報告があります。」
アスは頷く。
「…陛下に言われたんだ。自由になっていいよと。」
アスは首を傾げた。
つまり、ジークハルトがアスと一緒になるならないはアスの意志に任せるけれどジークハルトがきちんと後継者になると決めてくれたので陛下は引退する方向で考えると言い出した。
それで、僕に言ったのだ。
僕にも自由になる権利がある…と。
陛下はしばらく、ジークハルトを支えて時期が来たら引退すると。
僕自身がどうするか、決めてほしいと。
「僕ももう…一人前だから…陛下と分かれて別の道を行くなら応援すると言われたんだ。」
アスは目を丸くしていたが、しばらくすると目を吊り上げた。
「…ラス…なんて答えたの…」
僕は、首を横に振る。
「応えずに…逃げちゃった。」
アスはじっと僕を見ている。
どうする気だと。
「…アスは…僕は陛下を襲ったら…ジークハルトのパートナーになるの?」
アスは、首をかしげたが少し考えてから頷く。
僕は、そうではないよと眉を寄せる。
「いいかい…僕が陛下から自由になったら…陛下はフリーだよ。君だってチャンスがあるってことだ。」
アスは首をかしげる。
「アスは陛下が好きだろう。」
アスは頷く。
「アスが陛下のパートナーになることも可能だよ?」
アスは、呆れたようにため息をついた。
「ない。」
きっぱりとアスは言う。
「ラス…覚悟をきめなさい。」
アスはまっすぐに僕を見る。
僕は首を傾げた。
覚悟とは。
陛下と別れる覚悟か。
僕はそう思いながらアスを見る。
なんの覚悟だよと情けなくなりながら。
「…ラスは…陛下嫌い?」
僕は首を振る。
「…好きだよ。」
そうだ。
僕は陛下が好きだ。
この感情が何だとは正直分からない。
けど、好きか嫌いかと言われたらやっぱり好きだ。
そうアスに応える。
けど、陛下はどうなのだろう。
僕がそう思っていたらアスは、眉を寄せる。
「…僕は…見てないから。」
アスは、眉を寄せてままつぶやく。
「…陛下とラスティの結婚式見てない。」
そういえば…してないなと僕は思う。
というか結婚式などこの世界には無い。
無いというか…パートナー契約の契約式のようなものはあるはずだが。
けど、永遠の愛を誓うなどということがない。
「この世界では、ないね。」
パートナーが変わることも多いこの世界。
王族の儀式的なものはあるようだけど。
神の前で永遠の愛を誓うという事は無いだろう。
「両親がきちんとしてくれないと、僕もできない。」
ジークハルトと一緒になれというなら自分たちが、まずきっちりしろとアスは言う。
「ラスティ、陛下の寝込み襲って!」
いやいや…それで解決するか?
アスはぷぅと頬を膨らませた。
「陛下…一人にするの?」
僕は、アスを見る。
「陛下は…強いから、いたいのになれてわからなくなってるんだよ。」
そう言うとアスは、僕を見る。
琥珀色の瞳が瞬いた。
「…ラスがいらないなら…僕がもらう。けど…いるなら覚悟して。」
アスの陛下を襲えというのは、僕に覚悟を促しているのだろう。
曖昧な僕の態度を見て陛下は僕を自由にさせようしている。
「ラスの自由な意志は…誰を選ぶの?」
アスの琥珀色の瞳をじっと見つめ返す。
「…ねぇ…アス…陛下は僕に自由になっていいと言った。だから…僕も自由に選んでいいという事だよね。」
そうだねとアスは頷く。
なら、そうするかと僕はアスに頷いた。
「うん…そうだね。自由に選ぶことにするよ。」
僕はそう言うと潜り込んだベットから降りる。
「いってらっしゃい。今夜は帰ってこなくていいよ。」
アスの微妙な応援を聞きながら僕は部屋を抜け出した。
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