不遇王子は、何故かラスボス達に溺愛される。

神島 すけあ

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第六章 運命の一年間

195 蒼い蝶と金の蝶

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目の前で息巻いているノーマをどうにかする方法。
エスターと言う障害の排除だ。

ノーマがエスターを離さないのは、僕の死因だからだろう。
言霊の力をノーマが重視しているならば、エスターは僕の弱点になる。
陛下にとっても死因になりえる。
リオンとそろっていればだが。
言霊の力が強いのならば、リオンも危険ではあるけれど、ここではエスターが障害だ。

「はぁ…意外にエスター強いものなぁ。」

エスターが弱ければ力押しも考えられるが、それば無理だろう。
意外にエスターは強い。
いろいろやらかして、幼い頃から教会に行き、ジークハルトの件からは騎士団で訓練を地味に積んでいた。
エスターは、地味に意外に頑張っていたのだ。

本当に地味に…。

地味に頑張っていた。
ジークハルトには適わないが。
地味にコツコツと強くなっていたのだ。
そもそも真面目でまっすぐな愚直な男だ。
愚直すぎて僕を死なせまくったわけだが。
真面目なので一度決めたらコツコツと頑張るタイプだ。
そういうことで結構強い。
実は。
まぁ何かにつけてジークハルトにべこべこにやられていたから自信は喪失しているらしいが僕よりは強いだろう。
マールとノルンに騎士団で訓練はしているとのことだが、従者の仕事もあるし、エスターとの実力差はわからない。
けれど、従者である彼らも
どちらかというと、魔法が得意らしいマールはなんとなく実力はわかるけれど、ノルンの実力がわからないなと僕はぼんやりと思う。
2人とも普通よりは強いが、エスターにはどうだろう。
リオンも油断さえなければ僕より強いし、ここで最弱は僕かなぁと思う。

前世の記憶とか繰り返しの知識もここにきたらあまり役に立たないし、子供の頃はそのおかげでかなり強い方だったけど結局抜かされてる。

たぶん、だけども。

ついでに、アスが抜けた分魔力保有量も減っている。
弱体化はしていると思った方がいいだろう。

たぶん、だけども。

あまり自覚が無いのだから困ったものだけれども。
ため息をつきながら魔石を握る。
リオンとエスターをのければノーマだけにすること。
別に倒さなくてもいいのだ。
ノーマと距離を取らせて転移させれば、竜が抑えてくれるはずだ。
僕ができることはないだろうかとマールとノルンを見る。
2人ともリオンとノーマの攻撃の対応をしていた。
マールは、リオンからの攻撃を防いでいる。
ノルンが、前に出てノーマの炎の獣に氷の魔法を叩き込んて霧散させる。
それを繰り返している状態だった。
僕の方へと飛んでくる攻撃は蒼い蝶が、ひらひらと受けて消滅させている。
僕の周りをひらひらと飛ぶ蒼い蝶からはアスの魔力を感じていた。
アスが援護に送ってくれたのだろう。
この蝶が傍に居る限りアスは無事だと思う。

「アスも力をかなり取り戻しているという事かな。」

ふわふわと飛びながら次々と数を増やす蒼い蝶を燃やすためのいろいろな形の炎の獣が同じように次々と生み出されるが、ノルンが炎の獣を氷の魔法で消していく。

「ノーマの魔力保有量ならばとっくに尽きているはずなのですけれど…やはり依り代になっているので魔力の保有量は上がっているのですね。」

はぁ、と息と整えながらノルンが言う。
このままだと、こちらが魔力切れを起こす。

どうするかなと蒼い蝶を見る。

蝶は元々は伝言の使い魔。
数が多く増えるのは言葉を確実に伝えるため。
敵に襲われた時に、消えるのはそのためだ。
蒼い蝶は、言葉は持っているが伝えるためではなくその言葉を実行しようとしている。
蒼い蝶は、守護と言う言葉をもって飛んでいる。

言霊の力で何とかならないだろうか。

ちらりと炎の獣を見る。
そうかと、僕は使い魔を作る魔石を取り出して足元に投げつけて叩き割る。
細かな欠片達が金の蝶へと変わった。
ひらひらと蒼い蝶と同じように飛び回りながら、リオンの方へと向かう。
炎の獣が金の蝶に襲い掛かってきた。
だが、金の蝶に触れると炎の獣はかき消えた。

「え?」

ノルンは不思議そうに蝶を見て苦笑した。

そう、あの金の蝶には二つの言葉と乗せている。

一つは守護。
もう一つは、消火。

金の蝶は、何事も無かったかのようにひらひらと飛びまわっている。

僕の使い魔では妨害程度だろうけれども。
これで少しは状況は良くなっただろうと、マールとノルンをみる。

と、リオンの様子がおかしい。

「あ…ああ…金の…ラスティ…僕が…僕が殺した…僕が…ぼくが…」

まずいと感じで僕はマールとノルンを守るための防御魔法を展開する。

「ああ…僕が…僕が…」

頭を抱えてのたうち回るリオンの体が光ったのは、僕が防御魔法を展開するのと同時だった。
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