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第六章 運命の一年間
189 意外な待ち人 ディオスside
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ため息をつきつつバルハルトとジェンはディオスを見ている。
ディオスもそれを感じつつ、ジェンの魔力を使って魔法陣を書き暴走状態の人間たちを地下に送る。
転移先は、アスとマールが隠れていた祭壇のある大きな通路。
あの場に、送られた人間を拘束する魔法陣を無数に設置している。
竜と妖精に説明をしておいたから拘束までは上手くするだろ。
それからはラスティ達が、竜からの伝言を受けて上手くやっていると信じたい。
というか信じている。
なので遠慮なく、地下に転移させる。
ジェンの魔力をつかっているのは、ディオスの力温存のためだ。
「まぁ…時間稼ぎなんだけれどね…」
おそらく…地下が多少でも落ち着いたら…早々に送ったトリスティが、正気に戻れば…ジークハルトは確実にこちらに来るだろう。
ラスティもついてくるかもしれない。
流石にアスは、あの状態なので足手まといでこないだろが。
ディオスは冷静に考えていた。
バルハルトとジェンもある程度したら引き上げてもらうつもりだった。
おそらく…陽の欠片に人では勝てない。
陽の欠片は、自分が選んだ物語をめちゃくちゃにして主人公として選んだリオンの魂を苦しめて散々楽しんでからこの世界に何らかの結末を作り出して…天に帰るつもりなのだろうとディオスは思う。
なる程、王の一族が御伽噺の欠片たちを子供と称したわけだとディオスは納得する。
子供なのだ。
彼らにとってはこの世界が、ままごとの道具。
おもちゃで思い入れがない陽の欠片にとっては、壊して楽しむものだった。
遊びは終わったから家に帰る。
陽の欠片は当然と考えているのだろう。
「…けどなぁ…」
遊んだ後はきちんとお片付けが出来なければならない。
陽の欠片はそれが出来ていない。
陰の欠片に任せて知らん顔の子供が浮かんでディオスはため息をつく。
自分の中にそれの兄弟の魂か何かがいるのならば、躾をしなければならないのだろう。
「アスはともかく…他の欠片とか言うのに思い入れがないんだよなぁ…」
記憶と記録は違う。
アスは記憶だ。
感情を伴う思いとなってディオスの心に、やわらかに入ってくる。
だが、欠片の記録らしい繰り返しの世界の記録は、ただの記録だった。
感情に色はつかない。
領地の報告書の方がまだ、感情が動く。
本当にどうでもいいことだった。
襲ってくる暴走している人々を、魔法陣に誘いながらディオスは思う。
陽の欠片には、人は勝てない。
ラスティとジークハルトは自分が倒されれば、力をつけるまでは戦うことを避けるだろうと。
「…頭のいい子達だからね…」
感情としては戦いたいと思うだろうが自分たちの背負っているモノを良く知っているだろう。
2人で陽の欠片が去ったあとの世界をアスを支えてうまく納めるだろうと思う。
バルハルトとジェンには、二人を支えてほしいと言えばしぶしぶとでも引くことを頷くだろうと。
「…トリスティだけしか…来ないのは不思議だな。」
教会の入り口まできたが、ディオスのまわりの人間で襲ってきたのはトリスティだけだった。
他は、面識のない人々ばかりが襲ってきた。
ディオスは、周りに見えていた暴走した人たちを地下に遅れただろうとバルハルトとジェンを見る。
「おかしいと思わないか?」
教会の扉の前に居たのは、神官たちが主だった。
中には、何人いるのだろうとディオスは首をかしげる。
バルハルトとジェンは、ため息をついた。
「まぁ…陽の欠片は戦う気はないのだろう。この世界の人間たちの小競り合いを楽しんでいると言ったところだとは思うが。」
警戒したほうがいいかと、ディオスは二人を見る。
「なぁ…」
「「断る!!」」
バルハルトとジェンは、声をそろえた。
「帰れというのだろうが断る。」
ディオスは、眉を寄せる。
「後継者がいるのはお前だけではないぞ。」
ジェンは両手を広げた。
「お前と違ってきちんと自分の子がこっちはいるんだ。お前こそかえれ。妃が一人になる。」
ディオスはため息をついた。
「今更か…」
バルハルトにディオスは苦笑する。
「玉砕覚悟になるが…」
ディオスの言葉に二人は知っていると答える。
頷きあい、教会の扉に手をかけた。
勢いをつけバンと音を立てて扉を開ける。
ジェンが炎の魔法を発動させようとして、祭壇を見つめ目を丸くする。
「え…?ラスティ??いや…違う…あの子は…」
祭壇に金髪の青年がぼんやりと座っている。
不思議そうに三人を見ると笑った。
彼の足元には神官たちが倒れていた。
そう、教会の中には人々が倒れていた。
「っ…これは…どういう…」
闘いの後の様だった。
ディオスが眉を寄せて青年を見る。
時間を考えるとオカシイ。
彼がここに居るはずがない。
「……アス?……」
ディオスに呼ばれてこてりと首を横にかしげる。
「へーか…おそい…みんな…ちかしつだよ?」
人差し指を唇に当ててアスは、ないしょと笑う。
「ラスティがおこってるから、アスはちちうえによわいからね?」
そう言ってアスはにっこりと笑ったのだ。
ディオスもそれを感じつつ、ジェンの魔力を使って魔法陣を書き暴走状態の人間たちを地下に送る。
転移先は、アスとマールが隠れていた祭壇のある大きな通路。
あの場に、送られた人間を拘束する魔法陣を無数に設置している。
竜と妖精に説明をしておいたから拘束までは上手くするだろ。
それからはラスティ達が、竜からの伝言を受けて上手くやっていると信じたい。
というか信じている。
なので遠慮なく、地下に転移させる。
ジェンの魔力をつかっているのは、ディオスの力温存のためだ。
「まぁ…時間稼ぎなんだけれどね…」
おそらく…地下が多少でも落ち着いたら…早々に送ったトリスティが、正気に戻れば…ジークハルトは確実にこちらに来るだろう。
ラスティもついてくるかもしれない。
流石にアスは、あの状態なので足手まといでこないだろが。
ディオスは冷静に考えていた。
バルハルトとジェンもある程度したら引き上げてもらうつもりだった。
おそらく…陽の欠片に人では勝てない。
陽の欠片は、自分が選んだ物語をめちゃくちゃにして主人公として選んだリオンの魂を苦しめて散々楽しんでからこの世界に何らかの結末を作り出して…天に帰るつもりなのだろうとディオスは思う。
なる程、王の一族が御伽噺の欠片たちを子供と称したわけだとディオスは納得する。
子供なのだ。
彼らにとってはこの世界が、ままごとの道具。
おもちゃで思い入れがない陽の欠片にとっては、壊して楽しむものだった。
遊びは終わったから家に帰る。
陽の欠片は当然と考えているのだろう。
「…けどなぁ…」
遊んだ後はきちんとお片付けが出来なければならない。
陽の欠片はそれが出来ていない。
陰の欠片に任せて知らん顔の子供が浮かんでディオスはため息をつく。
自分の中にそれの兄弟の魂か何かがいるのならば、躾をしなければならないのだろう。
「アスはともかく…他の欠片とか言うのに思い入れがないんだよなぁ…」
記憶と記録は違う。
アスは記憶だ。
感情を伴う思いとなってディオスの心に、やわらかに入ってくる。
だが、欠片の記録らしい繰り返しの世界の記録は、ただの記録だった。
感情に色はつかない。
領地の報告書の方がまだ、感情が動く。
本当にどうでもいいことだった。
襲ってくる暴走している人々を、魔法陣に誘いながらディオスは思う。
陽の欠片には、人は勝てない。
ラスティとジークハルトは自分が倒されれば、力をつけるまでは戦うことを避けるだろうと。
「…頭のいい子達だからね…」
感情としては戦いたいと思うだろうが自分たちの背負っているモノを良く知っているだろう。
2人で陽の欠片が去ったあとの世界をアスを支えてうまく納めるだろうと思う。
バルハルトとジェンには、二人を支えてほしいと言えばしぶしぶとでも引くことを頷くだろうと。
「…トリスティだけしか…来ないのは不思議だな。」
教会の入り口まできたが、ディオスのまわりの人間で襲ってきたのはトリスティだけだった。
他は、面識のない人々ばかりが襲ってきた。
ディオスは、周りに見えていた暴走した人たちを地下に遅れただろうとバルハルトとジェンを見る。
「おかしいと思わないか?」
教会の扉の前に居たのは、神官たちが主だった。
中には、何人いるのだろうとディオスは首をかしげる。
バルハルトとジェンは、ため息をついた。
「まぁ…陽の欠片は戦う気はないのだろう。この世界の人間たちの小競り合いを楽しんでいると言ったところだとは思うが。」
警戒したほうがいいかと、ディオスは二人を見る。
「なぁ…」
「「断る!!」」
バルハルトとジェンは、声をそろえた。
「帰れというのだろうが断る。」
ディオスは、眉を寄せる。
「後継者がいるのはお前だけではないぞ。」
ジェンは両手を広げた。
「お前と違ってきちんと自分の子がこっちはいるんだ。お前こそかえれ。妃が一人になる。」
ディオスはため息をついた。
「今更か…」
バルハルトにディオスは苦笑する。
「玉砕覚悟になるが…」
ディオスの言葉に二人は知っていると答える。
頷きあい、教会の扉に手をかけた。
勢いをつけバンと音を立てて扉を開ける。
ジェンが炎の魔法を発動させようとして、祭壇を見つめ目を丸くする。
「え…?ラスティ??いや…違う…あの子は…」
祭壇に金髪の青年がぼんやりと座っている。
不思議そうに三人を見ると笑った。
彼の足元には神官たちが倒れていた。
そう、教会の中には人々が倒れていた。
「っ…これは…どういう…」
闘いの後の様だった。
ディオスが眉を寄せて青年を見る。
時間を考えるとオカシイ。
彼がここに居るはずがない。
「……アス?……」
ディオスに呼ばれてこてりと首を横にかしげる。
「へーか…おそい…みんな…ちかしつだよ?」
人差し指を唇に当ててアスは、ないしょと笑う。
「ラスティがおこってるから、アスはちちうえによわいからね?」
そう言ってアスはにっこりと笑ったのだ。
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