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第六章 運命の一年間
183 おせっかいな助言 ノルンside
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ようやくの春と言うところかなとノルンは、のんびりとジークハルトを眺めていた。
楽しそうに、でも少し戸惑っている様子のジークハルトにノルンは苦笑する。
先ほどまで離れて眺めていたラスティとマールは納得したらしくディオスの所にいったようだった。
珍しくラスティに気が付いていなかったジークハルトは、自分の気持ちに戸惑っているのだろう。
ジークハルトは、ディオスとラスティを大切にしている。
それは間違いない。
普通に愛していると言っていいのだ、その愛は恋愛感情とは少し違うと彼を知る人は皆言うだろう。
ディオスとラスティは気が付いていないようだがとノルンは思う。
たぶん、アスも分かっていないかとノルンは思いながら、苦笑する。
ジークハルトが二人を愛して守りたいと感じているのは、確かだ。
けれども、その愛はどこか家族愛のようなものだ。
ジークハルトはそのことに、今、ようやく気が付いたのだろうとノルンは思う。
瞳に宿る熱が違う。
自覚は無いようだけどとノルンは苦笑した。
「前途多難ですね。」
アスという存在を手に入れて漸くジークハルトは、完成するだろうと思いながら自分の考えに首をかしげる。
何故、完成などと思ったのか。
ノルンはふぅと息を吐く。
ここ数日の自分は少しおかしいなとノルンは思う。
アスと言う存在が目の前に来て自分の中で何かが変わった。
何がと言うのも良くわからない。
幼いことも一度同じことがあった。
ーラスティ様とあった時みたいだ。ー
薬学に興味を持っているという幼い王妃候補。
そんな彼に会った時に、感じたのは謝罪だった。
自分自身は初めてあった彼に何故か思ったのはすまないという気持ち。
彼を幸せにしないと…と言う気持ちだった。
アスに会った時も同じだ。
ただ、どこかマールのように親しみもアスに感じているのは、元々彼がラスティの従者、いや、最初は小鳥だという話だったから使い魔として自分たちの同僚になる予定だったからかもしれない。
その所為か、一目見た時にアスが人になっていたことに驚いたもののとても安堵した。
ディオスがアスを王子とするといた時も、妙に安心した。
彼らならば、任せられると。
奇妙な感覚だった。
けれども…何故か安心したのだ。
ノルンは、少しジークハルト手助けすることにした。
ーあまり…時間がない。アスがアス様が無理しないように…ジークハルト様には自覚してもらわないと。ー
ノルンは、コホンと小さく咳をする。
ジークハルトがノルンの方に顔を向けた。
「かわいいですよね?」
ジークハルトは、そうだなと苦笑する。
「僕…アス様の恋人候補に立候補しようかな?」
ノルンの言葉にジークハルトは目を丸くする。
それから少し考えて、ノルンをジークハルトは見た。
「…本気なのか…俺は…てっきり…ノルンは…」
そこでジークハルトは黙ってしまう。
ノルンは、笑いながらどうします?とジークハルトに問う。
ジークハルトは、不思議そうにノルンを見つめる。
「アス様を…私がもらっても?」
ジークハルトは、戸惑いアスを見ると首を横に振った。
「…勝てたら…いいぞ…」
ノルンは首をかしげる。
「俺に勝てたら…考える…」
ジークハルトの言葉にノルンは噴き出した。
ノルンはあわててアスを見る。
少し眉を寄せたが、また大人しく眠っている。
ほっとしつつノルンは、眉を寄せたままのジークハルトを見る。
「うふふ…私の好みはしっているでしょう?たくましい人が好きなので。」
ジークハルトは、ああと頷く。
ノルンはくすくすと笑っていたが首をかしげる。
「ジークハルト様。そろそろ…自分のことを考えてもいいと思うのですが。」
ノルンの言葉にジークハルトは目を伏せる。
「…俺は…」
ノルンは、ええと頷く。
「知っています。だから言っているのです。ラスティ様もきっとジークハルト様の幸せを望んでいる。」
それにとノルンは微笑む。
「きっと、安心するでしょうし。」
ジークハルトは安心と言いながら首をかしげた。
「陛下も…ラスティ様も半分冗談で半分本気ですよ。アス様は自分たちの子供なのだとおっしゃっているでしょう。自分の大切な家族を、自分の好きな人に任せれるのは…安心で幸せなことだと思いませんか?」
ジークハルトは、ため息をついた。
「言いたいことはわかるが…俺はまだわからないんだ。」
あらあらとノルンは苦笑する。
「けど…アスも守りたいとは思う。」
ノルンは、今はそれでもいいですよと微笑む。
「ああ…でも…ロイスにとられても知りませんよ?」
楽しそうに、でも少し戸惑っている様子のジークハルトにノルンは苦笑する。
先ほどまで離れて眺めていたラスティとマールは納得したらしくディオスの所にいったようだった。
珍しくラスティに気が付いていなかったジークハルトは、自分の気持ちに戸惑っているのだろう。
ジークハルトは、ディオスとラスティを大切にしている。
それは間違いない。
普通に愛していると言っていいのだ、その愛は恋愛感情とは少し違うと彼を知る人は皆言うだろう。
ディオスとラスティは気が付いていないようだがとノルンは思う。
たぶん、アスも分かっていないかとノルンは思いながら、苦笑する。
ジークハルトが二人を愛して守りたいと感じているのは、確かだ。
けれども、その愛はどこか家族愛のようなものだ。
ジークハルトはそのことに、今、ようやく気が付いたのだろうとノルンは思う。
瞳に宿る熱が違う。
自覚は無いようだけどとノルンは苦笑した。
「前途多難ですね。」
アスという存在を手に入れて漸くジークハルトは、完成するだろうと思いながら自分の考えに首をかしげる。
何故、完成などと思ったのか。
ノルンはふぅと息を吐く。
ここ数日の自分は少しおかしいなとノルンは思う。
アスと言う存在が目の前に来て自分の中で何かが変わった。
何がと言うのも良くわからない。
幼いことも一度同じことがあった。
ーラスティ様とあった時みたいだ。ー
薬学に興味を持っているという幼い王妃候補。
そんな彼に会った時に、感じたのは謝罪だった。
自分自身は初めてあった彼に何故か思ったのはすまないという気持ち。
彼を幸せにしないと…と言う気持ちだった。
アスに会った時も同じだ。
ただ、どこかマールのように親しみもアスに感じているのは、元々彼がラスティの従者、いや、最初は小鳥だという話だったから使い魔として自分たちの同僚になる予定だったからかもしれない。
その所為か、一目見た時にアスが人になっていたことに驚いたもののとても安堵した。
ディオスがアスを王子とするといた時も、妙に安心した。
彼らならば、任せられると。
奇妙な感覚だった。
けれども…何故か安心したのだ。
ノルンは、少しジークハルト手助けすることにした。
ーあまり…時間がない。アスがアス様が無理しないように…ジークハルト様には自覚してもらわないと。ー
ノルンは、コホンと小さく咳をする。
ジークハルトがノルンの方に顔を向けた。
「かわいいですよね?」
ジークハルトは、そうだなと苦笑する。
「僕…アス様の恋人候補に立候補しようかな?」
ノルンの言葉にジークハルトは目を丸くする。
それから少し考えて、ノルンをジークハルトは見た。
「…本気なのか…俺は…てっきり…ノルンは…」
そこでジークハルトは黙ってしまう。
ノルンは、笑いながらどうします?とジークハルトに問う。
ジークハルトは、不思議そうにノルンを見つめる。
「アス様を…私がもらっても?」
ジークハルトは、戸惑いアスを見ると首を横に振った。
「…勝てたら…いいぞ…」
ノルンは首をかしげる。
「俺に勝てたら…考える…」
ジークハルトの言葉にノルンは噴き出した。
ノルンはあわててアスを見る。
少し眉を寄せたが、また大人しく眠っている。
ほっとしつつノルンは、眉を寄せたままのジークハルトを見る。
「うふふ…私の好みはしっているでしょう?たくましい人が好きなので。」
ジークハルトは、ああと頷く。
ノルンはくすくすと笑っていたが首をかしげる。
「ジークハルト様。そろそろ…自分のことを考えてもいいと思うのですが。」
ノルンの言葉にジークハルトは目を伏せる。
「…俺は…」
ノルンは、ええと頷く。
「知っています。だから言っているのです。ラスティ様もきっとジークハルト様の幸せを望んでいる。」
それにとノルンは微笑む。
「きっと、安心するでしょうし。」
ジークハルトは安心と言いながら首をかしげた。
「陛下も…ラスティ様も半分冗談で半分本気ですよ。アス様は自分たちの子供なのだとおっしゃっているでしょう。自分の大切な家族を、自分の好きな人に任せれるのは…安心で幸せなことだと思いませんか?」
ジークハルトは、ため息をついた。
「言いたいことはわかるが…俺はまだわからないんだ。」
あらあらとノルンは苦笑する。
「けど…アスも守りたいとは思う。」
ノルンは、今はそれでもいいですよと微笑む。
「ああ…でも…ロイスにとられても知りませんよ?」
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