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第六章 運命の一年間
176 悪夢の始まり リオンside
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リオンは自由に動かない体で目の前の光景を見つめていた。
以前の繰り返しの生で自分が体を重ねたもの達が暴れている。
何回繰り返したのわからない生の繰り返し。
それはいろいろあった。
リオンも途中の記憶はない。
覚えていたら、まともでいることができない。
だから、リオンは細かいことは忘れている。
忘れるようになっている。
だから、覚えてはいないが、今狂った人たちは自分に関わった人だ。
深く交わった人ばかりではない。
おそらくは、直接祝福を与えた人も含まれていると思う。
平和な国だったのに。
吐きそうな嫌悪感が体の中を渦巻いていた。
なんでこんなことになったのか。
リオンの隣には、エスターを座らせてその膝の上に座ったノーマがいる。
操られているエスターの膝の上で彼に甘えながらノーマは笑う。
「他の国も同じようなものだよ。君はいろいろな国でやらかしてくれているからね。どこもかしこも…地上は暴走している。この国はいいさ。まだ、魔族が暴走していないからね。外は魔族も暴走している。君が過去に滅ぼした魔族たちが狂っているから。まぁ…この世界で暴走していないのは、地下の五番目の…陰の欠片の管轄のもの達と三番目の名無しの欠片の周り…も暴走しているか?王国がこの隙に責められることはないかな。しかし…王宮の中のラスティがいる離宮は守りが固いな。ジークハルトとロイスの意識が途切れているから意外とやるねぇ、あの二人がとっておきだったのだけど…。悪運強いな、今回のラスティは。陰はまだ起きてないみたいだし…陰の駒の大物が一匹残っていたと思うけどそいつが頑張っているなぁ。まぁ陛下は師匠さんに苦戦して騎士団長と魔術長もほぼ脱落。うふふ~地下に逃げたら、その間に地上は火の海。ぜーんぶなくなるけど、どうするかなぁ。まぁ…何もなくなったら僕はしばらく寝てて、陰が頑張って復活させたら出て行って滅ぼすというのも楽しいかな~繁栄したらそのまま僕の手柄にすり替えて天にかえるけども。」
リオンが聞いても居ないことをノーマの姿をした者は楽し気に話している。
そもそも帰る資格というものは何なのか。
「しかし…数が多いねぇ。全部か全部と言う事ではないだろうけど…君をただ慕っていたものとかも狂ったみたいだし。可哀そうに~聖者なんて名前ばっかり、ひどい奴だね君は。」
炎がいたるところで上がっている。
「君なんか愛しちゃったばっかりにねぇ?」
くすくすとノーマは笑う。
「愛かぁ…僕は愛がわからないんだ。」
ふっとノーマはエスターを見る。
「エスターを可愛いと思うのは愛ではないのだよねぇ。」
ノーマは、エスターはこの世界ではお気に入りなんだと笑う。
「僕は星が大好きだ。でも陰と名無しは苦手、天は嫌い。星の傍に居れたらいいと思ってここに一緒に来たんだけど星はね~ここで愛を見つけたのだという。名無しも見つけたみたいだし…天のやつにもいるんだよな…パートナーってやつが。星の愛はまだ天に昇っていないらしいけどね。なんか陰の所の子らしいから陰が天に帰らないと星のところにはいかない。星は僕を捨てて天に帰ったからね。陰にこの世界を押し付けたら星の愛は天に行かない。このくらいの意地悪はしてもいいと思うんだ。」
街にいくつかの煙が上がっている。
まともな人たちが必死に消火しているのだろう。
炎が広がるという事は今のところ抑えられている。
けれども、頼りの騎士団が出てきていない。
たぶん…騎士団の中で暴動が起きているのだろう。
「いい気味だと思わない?君のことをひどい目に合わせてたやつらがあんな感じになってさぁ」
もちろんリオンだっていい気味だと思う部分は心の中にある。
けれど、全部が全部リオンにひどいことをした者ではない。
今暴走させられている人たちの一部であってほとんどが巻き込まれているだけだ。
巻き込んで申し訳ないという気持ちの方が大きかった。
リオンの表情を見てノーマはつまらないとつぶやく。
「はは~だ…はやく出てこないかなぁ~陰のやつ。何、のんびりしてるんだか。」
ノーマはつまらないなと再度つぶやく。
「外にある壁をぶっ壊してやろうかな。そうしたらもっと流れ込んでくるよなぁ…」
あ~でも、力は温存しておくか。とノーマは言う。
「教会に君の手足を集めている…上手くやってね聖者様。」
うふふとノーマは笑う。
「たまには君がラスボスしてみるといい。」
ラスティ達がここに来るしかないようにするつもりらしいノーマは、操れる人たちの中で力のあるものを教会に呼びよせるかとつぶやく。
「あ~ジークハルトとロイスは向こうの手に早々に落ちたか…あと門番なのに妙に強い人も拘束されたみたいだな。残念だなぁ。まぁ騎士とか冒険者とかを配置は出来るし…トリスティはこっちに向かっているな。向こうの手に落ちた~と言っても、ジークハルトとロイスはもう戦えないだろうけど…陛下が居るからねぇ…ふふ~…でも手駒は陛下だけだよね。陰の欠片は陛下を戦わせる気は無いだろうけど、自分は復活したばっかりだと動けないだろうし…陛下に頼るしかないよなぇ。そうしたら確実に名無しもこの世界に縛られる。」
ノーマは首をかしげる。
「こっちの戦力的には、トリスティとエスターか…レスリルとウェルタもいるけど…」
ノーマはどうしようかな~と笑っている。
リオンは、ジークハルトとロイスは暴走している人間の原因をしったら気まずいだろうなと思いながら少しばかりざまぁみろとも思ってしまう。
「ふふ~だよねぇ~ざまぁっみろだよねぇ。」
ノーマはリオンの感情を読み取ったのか上機嫌になった。
「さってと…暇つぶしに君の能力を上げようか~ラスボスにふさわしく…」
にやりと笑うノーマに、リオンは睨むしか出来ない自分の無力を呪っていた。
以前の繰り返しの生で自分が体を重ねたもの達が暴れている。
何回繰り返したのわからない生の繰り返し。
それはいろいろあった。
リオンも途中の記憶はない。
覚えていたら、まともでいることができない。
だから、リオンは細かいことは忘れている。
忘れるようになっている。
だから、覚えてはいないが、今狂った人たちは自分に関わった人だ。
深く交わった人ばかりではない。
おそらくは、直接祝福を与えた人も含まれていると思う。
平和な国だったのに。
吐きそうな嫌悪感が体の中を渦巻いていた。
なんでこんなことになったのか。
リオンの隣には、エスターを座らせてその膝の上に座ったノーマがいる。
操られているエスターの膝の上で彼に甘えながらノーマは笑う。
「他の国も同じようなものだよ。君はいろいろな国でやらかしてくれているからね。どこもかしこも…地上は暴走している。この国はいいさ。まだ、魔族が暴走していないからね。外は魔族も暴走している。君が過去に滅ぼした魔族たちが狂っているから。まぁ…この世界で暴走していないのは、地下の五番目の…陰の欠片の管轄のもの達と三番目の名無しの欠片の周り…も暴走しているか?王国がこの隙に責められることはないかな。しかし…王宮の中のラスティがいる離宮は守りが固いな。ジークハルトとロイスの意識が途切れているから意外とやるねぇ、あの二人がとっておきだったのだけど…。悪運強いな、今回のラスティは。陰はまだ起きてないみたいだし…陰の駒の大物が一匹残っていたと思うけどそいつが頑張っているなぁ。まぁ陛下は師匠さんに苦戦して騎士団長と魔術長もほぼ脱落。うふふ~地下に逃げたら、その間に地上は火の海。ぜーんぶなくなるけど、どうするかなぁ。まぁ…何もなくなったら僕はしばらく寝てて、陰が頑張って復活させたら出て行って滅ぼすというのも楽しいかな~繁栄したらそのまま僕の手柄にすり替えて天にかえるけども。」
リオンが聞いても居ないことをノーマの姿をした者は楽し気に話している。
そもそも帰る資格というものは何なのか。
「しかし…数が多いねぇ。全部か全部と言う事ではないだろうけど…君をただ慕っていたものとかも狂ったみたいだし。可哀そうに~聖者なんて名前ばっかり、ひどい奴だね君は。」
炎がいたるところで上がっている。
「君なんか愛しちゃったばっかりにねぇ?」
くすくすとノーマは笑う。
「愛かぁ…僕は愛がわからないんだ。」
ふっとノーマはエスターを見る。
「エスターを可愛いと思うのは愛ではないのだよねぇ。」
ノーマは、エスターはこの世界ではお気に入りなんだと笑う。
「僕は星が大好きだ。でも陰と名無しは苦手、天は嫌い。星の傍に居れたらいいと思ってここに一緒に来たんだけど星はね~ここで愛を見つけたのだという。名無しも見つけたみたいだし…天のやつにもいるんだよな…パートナーってやつが。星の愛はまだ天に昇っていないらしいけどね。なんか陰の所の子らしいから陰が天に帰らないと星のところにはいかない。星は僕を捨てて天に帰ったからね。陰にこの世界を押し付けたら星の愛は天に行かない。このくらいの意地悪はしてもいいと思うんだ。」
街にいくつかの煙が上がっている。
まともな人たちが必死に消火しているのだろう。
炎が広がるという事は今のところ抑えられている。
けれども、頼りの騎士団が出てきていない。
たぶん…騎士団の中で暴動が起きているのだろう。
「いい気味だと思わない?君のことをひどい目に合わせてたやつらがあんな感じになってさぁ」
もちろんリオンだっていい気味だと思う部分は心の中にある。
けれど、全部が全部リオンにひどいことをした者ではない。
今暴走させられている人たちの一部であってほとんどが巻き込まれているだけだ。
巻き込んで申し訳ないという気持ちの方が大きかった。
リオンの表情を見てノーマはつまらないとつぶやく。
「はは~だ…はやく出てこないかなぁ~陰のやつ。何、のんびりしてるんだか。」
ノーマはつまらないなと再度つぶやく。
「外にある壁をぶっ壊してやろうかな。そうしたらもっと流れ込んでくるよなぁ…」
あ~でも、力は温存しておくか。とノーマは言う。
「教会に君の手足を集めている…上手くやってね聖者様。」
うふふとノーマは笑う。
「たまには君がラスボスしてみるといい。」
ラスティ達がここに来るしかないようにするつもりらしいノーマは、操れる人たちの中で力のあるものを教会に呼びよせるかとつぶやく。
「あ~ジークハルトとロイスは向こうの手に早々に落ちたか…あと門番なのに妙に強い人も拘束されたみたいだな。残念だなぁ。まぁ騎士とか冒険者とかを配置は出来るし…トリスティはこっちに向かっているな。向こうの手に落ちた~と言っても、ジークハルトとロイスはもう戦えないだろうけど…陛下が居るからねぇ…ふふ~…でも手駒は陛下だけだよね。陰の欠片は陛下を戦わせる気は無いだろうけど、自分は復活したばっかりだと動けないだろうし…陛下に頼るしかないよなぇ。そうしたら確実に名無しもこの世界に縛られる。」
ノーマは首をかしげる。
「こっちの戦力的には、トリスティとエスターか…レスリルとウェルタもいるけど…」
ノーマはどうしようかな~と笑っている。
リオンは、ジークハルトとロイスは暴走している人間の原因をしったら気まずいだろうなと思いながら少しばかりざまぁみろとも思ってしまう。
「ふふ~だよねぇ~ざまぁっみろだよねぇ。」
ノーマはリオンの感情を読み取ったのか上機嫌になった。
「さってと…暇つぶしに君の能力を上げようか~ラスボスにふさわしく…」
にやりと笑うノーマに、リオンは睨むしか出来ない自分の無力を呪っていた。
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