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第六章 運命の一年間
175 陽の欠片の罠
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アスは再び眠りについた。
子竜が言うには、アスがあの状態になったのは途中で起こした所為もあるらしい。
運動能力は、どこまで復活するかはわからないが、本当は普通に話せるくらいまでにはなるはずなのだという。
ノルンの眠りの香を充満させた部屋に、アスとジークハルトとロイスを寝かせている。
あの香は、かなり強力なので、そうそう起きないだろう。
アスとジークハルトは一緒のベットに転がしている。
2人が一緒なのは、ジークハルトがアスの手を握って離さないからだ。
ロイスも重症なので二人に危害を加えるような状態にはならないと思う。
それにしても…陛下が来ないことが気にかかった。
マールが慌てて走って来たのは陛下のことを考えている時だった。
「大変です!!門番さんと陛下が戦っています!!」
僕はあわてて門の方へと行こうとする。
「危険です!!ラスティ様!!」
ノルンが止めるが、どういうことなのかこの目で見たい。
と、子竜が僕の服を引っ張った。
『おそらくは…かつての生でその門番と言う男も聖者と縁が出来てしまっているのだろう。聖者は相当ひどい生活をしていたようだからな。』
眩暈がした。
「ねぇ…子竜…一つ聞いていい?」
どうぞと子竜は頷く。
リオンとの縁についてだ。
そもそも、ジークハルトにあってロイスに無い僕との縁。
この生でなく過去の生と考えると思いつくものは二つある。
一つは、ジークハルトは僕の味方でロイスは敵だったということ。
でもそれだと、リオンの場合はオカシイ。
だから、その縁は…えっちぃことしてるかしてないかだと思った。
さて…ここで気になることが2点。
門番さんがおかしくなっていることと、ロイスがノーマに反応したことだ。
どういうこと?と子竜に小声で聞く。
子竜は首を傾げた。
『聖者は、陽の欠片の性質に近いものが選ばれるという。陽の欠片は奔放な生活だからな。パートナーは問わずだったと聞く。聖者もそういう性格なのか、陽の欠片の用意した運命がそうだったのだろう。より多くの魂を聖者と縁をつくり、主が目覚めた時にはその縁で罠が動くようにしていたのだろう。少しタイミングがずれているのは気になるが…。』
僕はやはりそうなのかと肩を落としつつ首をかしげる。
ならば、ロイスとノルンはどうしてなのだろう。
『縁は、今世でも影響が出る。思いあっておれば陽の欠片の罠も超えよう。』
よいのぉと子竜は頷く。
いや、まてまて、それだとロイスとノルンがってことになる。
けどロイスは、ジークハルトが…僕は混乱しつつ子竜を見る。
『……王の番…肉体関係ばかりが縁ではないぞ?そなたは、少し反省したほうがいい。騎士王子との縁がまだまだだ。主が手を貸さねば騎士王子もあちらに奪われておったではないか。まぁ…そなたの番は王だから仕方の無い事ではあるのだが…』
僕はショックを受けつつ子竜を連れて門まで行く。
子竜は、目の前の光景にため息をついた。
僕はただ目を丸くするだけだ。
陛下と門番さんが戦っている。
だが、目が付いていかない。
キンキンと言う金属の触れ合う音が右や左から聞こえるだけだ。
何?この超人の戦い。
バルハルト公とジェン公が脇でケガをしてうずくまっている。
門番さん強すぎなのですが。
というかリオンさん…いつの間にこの方を落としたのですか?
僕は恐怖を感じつつ、バルハルト公とジェン公の元に行く。
「…だめだ…ラスティ…はやく中に入りなさい…」
ジェン公は、わき腹から血を流しながら僕を部屋の方へと押す。
中に入れという事なのだろう。
「おそらく奥の間くらいしか安全な場所はないから…城下町も戦いが起こっている…何故か暴れ出しているものがいるんだ…門番殿も…何かに狂わされている。」
僕は腕の中の子竜を見る。
ジークハルト達のように何とかできないかと僕は子竜に問う。
『……いけるとは思うが…意識がもどるかどうかはわからぬ…お前は…王を呼べ。王が想定通りの動きをすれば、我が一旦あの門番と言う男をのけよう。』
子竜は、地面に降りると構えた。
『はぁ…老骨に鞭を打つか…主にあとで甘やかしてもらおう…』
つくづく疲れると子竜はため息をつく。
僕は、心の中でごめんねと言いながら、息を吸った。
「へいかぁぁーーー」
思いっきり陛下を呼ぶ。
陛下は一瞬肩を震わせたが、門番から目を離さないようにしながら僕の方に来てくれる。
子竜は、うーむと眉を寄せる。
『うむ…王の動きが想定外…すこしばかり隙をつくって囮に泣てくれたらと思ったのだが…警戒崩さずか…それほど強敵か…もしくは…まぁよい…王、あの男の注意を引いてくれ。』
子竜は、そう言うと陛下が応える前に、走り出しだした。
陛下が、どういうことだと慌てて一瞬子竜の方に目を向ける。
門番がその隙を逃すことはなく剣を大きく振りかぶった。
陛下は、しまったと言いながら、剣を横にして防御魔法を展開した。
僕とバルハルト公とジェン公を庇うためだ。
門番の剣が光り輝いいた時、子竜から青い光の衝撃波が門番を襲う。
在らぬ方向からの攻撃に門番の動きが一瞬止まる。
だが、門番は子竜の衝撃波を剣で受け散らしてしまう。
失敗かと僕が思っていると陛下が門番の前まで進んでおり剣を門番のわき腹めがけて大きく振った。
門番はそれも、後ろに大きく飛び避けた。
がその真後ろに子竜が転移していた。
そして子竜は再び衝撃波を門番に叩きつける。
衝撃波と共に門番が地面にたたきつけられた。
「師匠!!何故!!!」
陛下が門番の剣を蹴り飛ばしつつ彼を抱き起す。
門番は完全に気を失っている。
『うむ…縁は薄いはずだが…やむを得ない…一旦この男は地下に連れて行くぞ。あの場所は主の領域。陽の欠片は手出しできぬ。もし手出ししてきたとしても弱体化するからな。しかし…ここまでとはな…』
子竜は尻尾を振りながら、奥の間に準備すると言って走り出した。
子竜が言うには、アスがあの状態になったのは途中で起こした所為もあるらしい。
運動能力は、どこまで復活するかはわからないが、本当は普通に話せるくらいまでにはなるはずなのだという。
ノルンの眠りの香を充満させた部屋に、アスとジークハルトとロイスを寝かせている。
あの香は、かなり強力なので、そうそう起きないだろう。
アスとジークハルトは一緒のベットに転がしている。
2人が一緒なのは、ジークハルトがアスの手を握って離さないからだ。
ロイスも重症なので二人に危害を加えるような状態にはならないと思う。
それにしても…陛下が来ないことが気にかかった。
マールが慌てて走って来たのは陛下のことを考えている時だった。
「大変です!!門番さんと陛下が戦っています!!」
僕はあわてて門の方へと行こうとする。
「危険です!!ラスティ様!!」
ノルンが止めるが、どういうことなのかこの目で見たい。
と、子竜が僕の服を引っ張った。
『おそらくは…かつての生でその門番と言う男も聖者と縁が出来てしまっているのだろう。聖者は相当ひどい生活をしていたようだからな。』
眩暈がした。
「ねぇ…子竜…一つ聞いていい?」
どうぞと子竜は頷く。
リオンとの縁についてだ。
そもそも、ジークハルトにあってロイスに無い僕との縁。
この生でなく過去の生と考えると思いつくものは二つある。
一つは、ジークハルトは僕の味方でロイスは敵だったということ。
でもそれだと、リオンの場合はオカシイ。
だから、その縁は…えっちぃことしてるかしてないかだと思った。
さて…ここで気になることが2点。
門番さんがおかしくなっていることと、ロイスがノーマに反応したことだ。
どういうこと?と子竜に小声で聞く。
子竜は首を傾げた。
『聖者は、陽の欠片の性質に近いものが選ばれるという。陽の欠片は奔放な生活だからな。パートナーは問わずだったと聞く。聖者もそういう性格なのか、陽の欠片の用意した運命がそうだったのだろう。より多くの魂を聖者と縁をつくり、主が目覚めた時にはその縁で罠が動くようにしていたのだろう。少しタイミングがずれているのは気になるが…。』
僕はやはりそうなのかと肩を落としつつ首をかしげる。
ならば、ロイスとノルンはどうしてなのだろう。
『縁は、今世でも影響が出る。思いあっておれば陽の欠片の罠も超えよう。』
よいのぉと子竜は頷く。
いや、まてまて、それだとロイスとノルンがってことになる。
けどロイスは、ジークハルトが…僕は混乱しつつ子竜を見る。
『……王の番…肉体関係ばかりが縁ではないぞ?そなたは、少し反省したほうがいい。騎士王子との縁がまだまだだ。主が手を貸さねば騎士王子もあちらに奪われておったではないか。まぁ…そなたの番は王だから仕方の無い事ではあるのだが…』
僕はショックを受けつつ子竜を連れて門まで行く。
子竜は、目の前の光景にため息をついた。
僕はただ目を丸くするだけだ。
陛下と門番さんが戦っている。
だが、目が付いていかない。
キンキンと言う金属の触れ合う音が右や左から聞こえるだけだ。
何?この超人の戦い。
バルハルト公とジェン公が脇でケガをしてうずくまっている。
門番さん強すぎなのですが。
というかリオンさん…いつの間にこの方を落としたのですか?
僕は恐怖を感じつつ、バルハルト公とジェン公の元に行く。
「…だめだ…ラスティ…はやく中に入りなさい…」
ジェン公は、わき腹から血を流しながら僕を部屋の方へと押す。
中に入れという事なのだろう。
「おそらく奥の間くらいしか安全な場所はないから…城下町も戦いが起こっている…何故か暴れ出しているものがいるんだ…門番殿も…何かに狂わされている。」
僕は腕の中の子竜を見る。
ジークハルト達のように何とかできないかと僕は子竜に問う。
『……いけるとは思うが…意識がもどるかどうかはわからぬ…お前は…王を呼べ。王が想定通りの動きをすれば、我が一旦あの門番と言う男をのけよう。』
子竜は、地面に降りると構えた。
『はぁ…老骨に鞭を打つか…主にあとで甘やかしてもらおう…』
つくづく疲れると子竜はため息をつく。
僕は、心の中でごめんねと言いながら、息を吸った。
「へいかぁぁーーー」
思いっきり陛下を呼ぶ。
陛下は一瞬肩を震わせたが、門番から目を離さないようにしながら僕の方に来てくれる。
子竜は、うーむと眉を寄せる。
『うむ…王の動きが想定外…すこしばかり隙をつくって囮に泣てくれたらと思ったのだが…警戒崩さずか…それほど強敵か…もしくは…まぁよい…王、あの男の注意を引いてくれ。』
子竜は、そう言うと陛下が応える前に、走り出しだした。
陛下が、どういうことだと慌てて一瞬子竜の方に目を向ける。
門番がその隙を逃すことはなく剣を大きく振りかぶった。
陛下は、しまったと言いながら、剣を横にして防御魔法を展開した。
僕とバルハルト公とジェン公を庇うためだ。
門番の剣が光り輝いいた時、子竜から青い光の衝撃波が門番を襲う。
在らぬ方向からの攻撃に門番の動きが一瞬止まる。
だが、門番は子竜の衝撃波を剣で受け散らしてしまう。
失敗かと僕が思っていると陛下が門番の前まで進んでおり剣を門番のわき腹めがけて大きく振った。
門番はそれも、後ろに大きく飛び避けた。
がその真後ろに子竜が転移していた。
そして子竜は再び衝撃波を門番に叩きつける。
衝撃波と共に門番が地面にたたきつけられた。
「師匠!!何故!!!」
陛下が門番の剣を蹴り飛ばしつつ彼を抱き起す。
門番は完全に気を失っている。
『うむ…縁は薄いはずだが…やむを得ない…一旦この男は地下に連れて行くぞ。あの場所は主の領域。陽の欠片は手出しできぬ。もし手出ししてきたとしても弱体化するからな。しかし…ここまでとはな…』
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