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第六章 運命の一年間
169 陛下起床
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3時間ほどして陛下が目を覚ました。
寝起きで眠そうな陛下が、むくりと起きる。
大きく伸びをして、目の前に『俺』しかいないことに首をかしげた。
「ふわぁ~良く寝た…って…ラスティがもう起きてる!!!時間を読み間違えた!!!」
頭を抱える陛下に子竜がなるほどと頷く。
『王の番は、元主の現の器。主の回復に対して能力に対して時間を初見で見誤っても仕方なし。おそらく通常の3倍程度か…。しかし、王…主を急速回復場所のような扱いは許容しかねるが。』
子竜の苦情に悪い悪いと言いながらたぶん『俺』を急速回復場所?として使う気満々なのだろう。
子竜はうろんとした表情で陛下を見た。
陛下はちょっとそう言うところがある。
『騎士王子はまだ3時間ほどは寝ているだろう。騎士も同じくらいだろうな』
そうと答えながら陛下はベットで寝ている『俺』と、ジークハルトを見る。
少し微笑んでから、周りを見る。
陛下は、ソファで寝ているロイスを見て頭をかいた。
ちいさく、ロイスもかとつぶやく。
「王家の血が少しでも入っていたら影響あるのか?」
子竜は僕をちらりと僕を見た。
僕に応えろといっているようだ。
「えっと…そうみたいですけど…それよりなんでこんなことに?」
陛下は子竜を見た。
「説明しなかったの?」
子竜は首をかしげる。
『王が従者に言ったのだろう?自分が説明すると。主の眠りの効力については多少言ったが我はあとは言っておらぬ。存分に話すがいい。誰も邪魔せぬ。』
陛下は、はいはいと言いながら僕の前の書類を見る。
「ごめんね…すっかり寝てて」
書類は結構終わっている。
陛下は、僕に種類の処理をさせていたのを申し訳ないと思っているようだった。
とはいても殆ど、バルハルト公とジェン公がやってくれているし、ノルンとマールの手伝いも多かった。
別に僕一人でやったわけでもない。
陛下にそれを伝えると、そうと少し苦笑された。
「陛下が働きすぎという事が良くわかりました。僕もこれくらいできるのですから…」
陛下はそんなことはないよと笑うと、なにがあったのか話さないとねと笑う。
椅子に座ると少し考えて頭を整理しているようだった。
まずは、『俺』の名前はアスになったこと。
アスカではないのだなと思ったけれど。
僕らは地下に落ちた。
アスは気絶した僕の代わりに頑張ってくれていたと陛下は笑った。
地下の奥には祭壇があった。
魔石が輝く祭壇が。
陛下は、少しだけ悲しそうに眼を伏せた。
祭壇には大きな魔石があって子竜は仮の姿でその魔石の守護竜であったこと。
大きな魔石は、神の欠片と言う王家に伝わる御伽噺の子供たちの亡骸だったこと。
天然の魔石は魔法生物やそれに近い者が亡くなった時に出来るものだから。
『俺』、いや…アスはその魂だったらしい。
リオンの魔力の動力にされていた彼は記憶も力もなくなってリオンは無意識に彼の魂を王城の魔法陣に埋め込んでしまったらしい。
僕はその魔法陣から、彼を受け取ったらしい。
アスは、魔石に戻り今の姿は魂の姿らしい。
僕は無言で陛下の言葉を聞く。
竜は嘘は言わない。
その話のほとんどが、子竜が語ったことだという。
嘘はない。
けれど秘密はあると竜が言う。
陛下の悲しそうな表情は、アスのためか…別の事なのか。
僕が考えていると陛下が遠慮がちに言ってきた。
「それで…なのだけど…」
陛下が少し言いずらそうにしていた。
「…アスを…王子の一人にしようと思う…」
僕は、目を伏せる。
アスの気持ちを知っているから、息子として陛下に扱われるのは彼にとってつらいのではと思ったからだ。
「……」
複雑だった。
「ラスティは…アスが傍にいる方がいいと思ったし…アスも君の傍に居たいと思う。」
どうだろうかと言う陛下に僕は何を答えるのが正解なのか。
アスの気持ちを言う?
言ってどうするのか。
でもここで言わないまま、頷くこともできない。
子竜が僕を見上げた。
『王の番よ…王妃よ…優しいな。だが…主はすでに自分の気持ちにはけじめをつけた。そなたが悩むことではない。そなたの憐憫は、主への侮辱にすらなる。そなたが思うままにこたえることを主も望むだろう。』
僕は、子竜の厳しい目に何度も瞬きを繰り返した。
アスは気持ちにけじめをつけた?
僕は陛下を見る。
「王子にというのは…アスの意見を聞いてからにしてください。けれど…僕はアスと一緒に居たいです。アスが望んでくれるなら…。」
僕は、眠るアスを見る。
「アスに幸せになってほしい。」
けれど、幸せとはなんだろう。
ふと思う。
アスの幸せ。
「アスが…僕の傍に居たいと言ってくれたら…」
陛下は、そうと頷く。
「起きたら、アスに聞いてくれるかい?」
僕は、はいと頷く。
子竜は人は面倒だなとつぶやいた。
僕は、ベットに眠るアスと、アスに寄り添うように眠っているジークハルトを見る。
「…君の幸せは…なんだろうね…」
寝起きで眠そうな陛下が、むくりと起きる。
大きく伸びをして、目の前に『俺』しかいないことに首をかしげた。
「ふわぁ~良く寝た…って…ラスティがもう起きてる!!!時間を読み間違えた!!!」
頭を抱える陛下に子竜がなるほどと頷く。
『王の番は、元主の現の器。主の回復に対して能力に対して時間を初見で見誤っても仕方なし。おそらく通常の3倍程度か…。しかし、王…主を急速回復場所のような扱いは許容しかねるが。』
子竜の苦情に悪い悪いと言いながらたぶん『俺』を急速回復場所?として使う気満々なのだろう。
子竜はうろんとした表情で陛下を見た。
陛下はちょっとそう言うところがある。
『騎士王子はまだ3時間ほどは寝ているだろう。騎士も同じくらいだろうな』
そうと答えながら陛下はベットで寝ている『俺』と、ジークハルトを見る。
少し微笑んでから、周りを見る。
陛下は、ソファで寝ているロイスを見て頭をかいた。
ちいさく、ロイスもかとつぶやく。
「王家の血が少しでも入っていたら影響あるのか?」
子竜は僕をちらりと僕を見た。
僕に応えろといっているようだ。
「えっと…そうみたいですけど…それよりなんでこんなことに?」
陛下は子竜を見た。
「説明しなかったの?」
子竜は首をかしげる。
『王が従者に言ったのだろう?自分が説明すると。主の眠りの効力については多少言ったが我はあとは言っておらぬ。存分に話すがいい。誰も邪魔せぬ。』
陛下は、はいはいと言いながら僕の前の書類を見る。
「ごめんね…すっかり寝てて」
書類は結構終わっている。
陛下は、僕に種類の処理をさせていたのを申し訳ないと思っているようだった。
とはいても殆ど、バルハルト公とジェン公がやってくれているし、ノルンとマールの手伝いも多かった。
別に僕一人でやったわけでもない。
陛下にそれを伝えると、そうと少し苦笑された。
「陛下が働きすぎという事が良くわかりました。僕もこれくらいできるのですから…」
陛下はそんなことはないよと笑うと、なにがあったのか話さないとねと笑う。
椅子に座ると少し考えて頭を整理しているようだった。
まずは、『俺』の名前はアスになったこと。
アスカではないのだなと思ったけれど。
僕らは地下に落ちた。
アスは気絶した僕の代わりに頑張ってくれていたと陛下は笑った。
地下の奥には祭壇があった。
魔石が輝く祭壇が。
陛下は、少しだけ悲しそうに眼を伏せた。
祭壇には大きな魔石があって子竜は仮の姿でその魔石の守護竜であったこと。
大きな魔石は、神の欠片と言う王家に伝わる御伽噺の子供たちの亡骸だったこと。
天然の魔石は魔法生物やそれに近い者が亡くなった時に出来るものだから。
『俺』、いや…アスはその魂だったらしい。
リオンの魔力の動力にされていた彼は記憶も力もなくなってリオンは無意識に彼の魂を王城の魔法陣に埋め込んでしまったらしい。
僕はその魔法陣から、彼を受け取ったらしい。
アスは、魔石に戻り今の姿は魂の姿らしい。
僕は無言で陛下の言葉を聞く。
竜は嘘は言わない。
その話のほとんどが、子竜が語ったことだという。
嘘はない。
けれど秘密はあると竜が言う。
陛下の悲しそうな表情は、アスのためか…別の事なのか。
僕が考えていると陛下が遠慮がちに言ってきた。
「それで…なのだけど…」
陛下が少し言いずらそうにしていた。
「…アスを…王子の一人にしようと思う…」
僕は、目を伏せる。
アスの気持ちを知っているから、息子として陛下に扱われるのは彼にとってつらいのではと思ったからだ。
「……」
複雑だった。
「ラスティは…アスが傍にいる方がいいと思ったし…アスも君の傍に居たいと思う。」
どうだろうかと言う陛下に僕は何を答えるのが正解なのか。
アスの気持ちを言う?
言ってどうするのか。
でもここで言わないまま、頷くこともできない。
子竜が僕を見上げた。
『王の番よ…王妃よ…優しいな。だが…主はすでに自分の気持ちにはけじめをつけた。そなたが悩むことではない。そなたの憐憫は、主への侮辱にすらなる。そなたが思うままにこたえることを主も望むだろう。』
僕は、子竜の厳しい目に何度も瞬きを繰り返した。
アスは気持ちにけじめをつけた?
僕は陛下を見る。
「王子にというのは…アスの意見を聞いてからにしてください。けれど…僕はアスと一緒に居たいです。アスが望んでくれるなら…。」
僕は、眠るアスを見る。
「アスに幸せになってほしい。」
けれど、幸せとはなんだろう。
ふと思う。
アスの幸せ。
「アスが…僕の傍に居たいと言ってくれたら…」
陛下は、そうと頷く。
「起きたら、アスに聞いてくれるかい?」
僕は、はいと頷く。
子竜は人は面倒だなとつぶやいた。
僕は、ベットに眠るアスと、アスに寄り添うように眠っているジークハルトを見る。
「…君の幸せは…なんだろうね…」
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