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第六章 運命の一年間
137 試練開始??
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城に帰りまずは、医療班に徹底的に調べられ何ともないという事をきちんと診断してもらった。
薬も彼らに渡し、僕は奥の間で陛下の帰りを待っていた。
陛下は、慌てて帰ってきて僕の顔を見るとほっとした様子だった。
やはりディーから送られてきた情報で無事とは知っていたけれど、やはり直接見ないとねと笑っていた。
「あの…それでですね?」
たぶん、僕の言いたいことはディーが伝えているのだろう。
陛下は、分かっているよと頷く。
ただ、少し困っているようだった。
陛下でも無理という事なのだろうか。
「うん…君に別の人格と言うか…助けるための何かがいることは知っていたんだけど…まぁ…そこまで人格と言うか感情があるとは思っていなかったのは正直な所かな。だから…ラスティと区別がついていなかったのは少しショックと言うか…まぁ…結局…もう一人のラスティなんだろうなと思う。もう一人のラスティを別の器に移して生かすことはできるよ。たぶん…ディーみたいな小鳥になるけど…それでも彼はいいかな?」
少し間があったが、『俺』は、はいと頷いた。
陛下は、少し首をかしげる。
「えっと…もう一人のラスティ…君は…我慢していないかい?嫌だったら他のものも考えて、見るけど…」
人は難しいかなと陛下は言う。
たとえば、小人のような人の形は出来るだろうけれど、大きさが頑張っても子犬レベルだろうと陛下は申し訳なさそうに言った。
小鳥の姿を提案したのは、大きさを抑えた分、ディーのように色々出来るように出来るからだという。
意思を失うことのない、今の状態に近い状態を保とうとすればそちらに魔力消費を考えねばならない。
子犬サイズになると、機能が身体能力は高くなるけど意思疎通などがむずかしいだろうという。
たとえば、子ザルの姿にすると言葉がしゃべれないので、筆談になるだろうと陛下は言った。
あとは『俺』は意思がきっちりあるし、他の情報量が多いので、身体のほうに力を入れてしまうと『俺』という人格を納めることができないのだと陛下は申し訳なさそうに言った。
「それでもいいかい?」
陛下の言葉に『俺』は頷く。
僕は少し考えてから本当にいいのか?と彼に聞いたが大丈夫と返事をした。
陛下は、ごめんねと、理由を説明してくれた。
常時、存在する陛下の使い魔は世界に漂っている魔力を利用しているのだという。
陛下の魔力も多少与えているようなのだが、それよりは世界に影響のない程度の魔力を利用して、存在したほうが、使い魔は自由に過ごせる。
ディーはそうやって長く存在しているのだという。
まぁ、ディーは陛下と僕の魔力を使っているので他の使い魔よりいろいろな機能も持っているのだという。
ディーを一回り大きくすると数日だけしか存在できない使い魔になるだろうと陛下は言う。
魔力が保てないからと陛下は言った。
「あとは…核かな…」
陛下はうーんと眉を寄せる。
「今良い核になる物が無いからなぁ…」
どこかに取りに行くかな?と陛下はうんうん悩んでいる。
僕は、核?と首を傾げた。
「そう核…魔力とか神力とかをよく貯めることができるような…うーん…そうだな…」
陛下は僕を見るとそうだなと頷く。
「ラスティ…お使いに行ってきてくれるかい?」
僕は目を丸くする。
陛下は、城から出て街の反対側に…天然の魔法石が取れる洞窟があるのだと説明してくれた。
「結界の効果で洞窟からは出てこないけど、地下には居ると思う。危険なお使いになるけれど…どうする?」
陛下の言葉に僕は首を傾げた。
「それが、核になるのですか?」
陛下は頷いた。
僕と言うか『俺』が探すことに意味があるらしい。
相性の良い核が見つかれば、『俺』の体を長く安定させることが出来るだろうと陛下は説明してくれた。
ならばと僕は頷いた。
「うーん…ジークハルトは別の用事を頼むんだよなぁ…ロイスと…マールと…トリスティと一緒に行ってくれるかい?」
僕が首をかしげると、陛下は微笑んだ。
トリスティの気晴らしにもなるのではないかなと。
今回のことはトリスティが悪いわけではないが、彼が原因になってしまった。
トリスティも結構、気落ちしている。
マールは理解しているが、トリスティの方が思い悩んでいるようだと陛下は言った。
僕は、そういえば、『俺』のことが気になってトリスティのことを考えていなかったなと思う。
一杯いっぱいだったとはいえ、トリスティとマールの気持ちを考えれば少しくらいフォローするべきだった。
「そろそろ…ラスティにも選択肢を見せないとなぁ…」
そういって陛下は寂しそうに笑った。
選択肢?と僕は首をかしげる。
たぶん…陛下のいう選択肢は、僕の将来のことなのだろう。
冒険者とか興味あるかなぁと陛下が笑ってそういうと、首をかしげた。
「魔法は使えるから…たぶん大丈夫だとは思うけど…魔物と言っても弱い魔物が多い場所だし、どうかな?」
僕は大丈夫です。行きますと陛下に応える。
陛下はそうかと、笑っていたがふと思う。
規模は違うが、リオンの試練に何かの核になる魔法石を探すというあったなぁと思う。
あまり内容は覚えていないが。
「そうそう…ディーは僕の魔力も少し与えているけどラスティの傍にいることが多いからラスティの魔力を多めに貰って存在しているんだ。元々ラスティの護衛兼使い魔だから…もう一人のラスティを小鳥に移したら…僕の傍にいてもらおうかな。」
陛下の言葉に『俺』が慌てているのを感じる。
まぁ…『俺』は陛下が大好きだからなぁと僕はため息をつく。
良いけども…少し妬けるかもしれない。
僕の感情に『俺』が苦笑する。
『よかったのかもしれないな…俺が人の姿をとれなくて…もし人の姿になったとしたら…あきらめれなかったかもしれないし。』
そういって笑う『俺』の少し悲しみの混じった安堵の感情を感じて僕は少し複雑な気分になっていた。
薬も彼らに渡し、僕は奥の間で陛下の帰りを待っていた。
陛下は、慌てて帰ってきて僕の顔を見るとほっとした様子だった。
やはりディーから送られてきた情報で無事とは知っていたけれど、やはり直接見ないとねと笑っていた。
「あの…それでですね?」
たぶん、僕の言いたいことはディーが伝えているのだろう。
陛下は、分かっているよと頷く。
ただ、少し困っているようだった。
陛下でも無理という事なのだろうか。
「うん…君に別の人格と言うか…助けるための何かがいることは知っていたんだけど…まぁ…そこまで人格と言うか感情があるとは思っていなかったのは正直な所かな。だから…ラスティと区別がついていなかったのは少しショックと言うか…まぁ…結局…もう一人のラスティなんだろうなと思う。もう一人のラスティを別の器に移して生かすことはできるよ。たぶん…ディーみたいな小鳥になるけど…それでも彼はいいかな?」
少し間があったが、『俺』は、はいと頷いた。
陛下は、少し首をかしげる。
「えっと…もう一人のラスティ…君は…我慢していないかい?嫌だったら他のものも考えて、見るけど…」
人は難しいかなと陛下は言う。
たとえば、小人のような人の形は出来るだろうけれど、大きさが頑張っても子犬レベルだろうと陛下は申し訳なさそうに言った。
小鳥の姿を提案したのは、大きさを抑えた分、ディーのように色々出来るように出来るからだという。
意思を失うことのない、今の状態に近い状態を保とうとすればそちらに魔力消費を考えねばならない。
子犬サイズになると、機能が身体能力は高くなるけど意思疎通などがむずかしいだろうという。
たとえば、子ザルの姿にすると言葉がしゃべれないので、筆談になるだろうと陛下は言った。
あとは『俺』は意思がきっちりあるし、他の情報量が多いので、身体のほうに力を入れてしまうと『俺』という人格を納めることができないのだと陛下は申し訳なさそうに言った。
「それでもいいかい?」
陛下の言葉に『俺』は頷く。
僕は少し考えてから本当にいいのか?と彼に聞いたが大丈夫と返事をした。
陛下は、ごめんねと、理由を説明してくれた。
常時、存在する陛下の使い魔は世界に漂っている魔力を利用しているのだという。
陛下の魔力も多少与えているようなのだが、それよりは世界に影響のない程度の魔力を利用して、存在したほうが、使い魔は自由に過ごせる。
ディーはそうやって長く存在しているのだという。
まぁ、ディーは陛下と僕の魔力を使っているので他の使い魔よりいろいろな機能も持っているのだという。
ディーを一回り大きくすると数日だけしか存在できない使い魔になるだろうと陛下は言う。
魔力が保てないからと陛下は言った。
「あとは…核かな…」
陛下はうーんと眉を寄せる。
「今良い核になる物が無いからなぁ…」
どこかに取りに行くかな?と陛下はうんうん悩んでいる。
僕は、核?と首を傾げた。
「そう核…魔力とか神力とかをよく貯めることができるような…うーん…そうだな…」
陛下は僕を見るとそうだなと頷く。
「ラスティ…お使いに行ってきてくれるかい?」
僕は目を丸くする。
陛下は、城から出て街の反対側に…天然の魔法石が取れる洞窟があるのだと説明してくれた。
「結界の効果で洞窟からは出てこないけど、地下には居ると思う。危険なお使いになるけれど…どうする?」
陛下の言葉に僕は首を傾げた。
「それが、核になるのですか?」
陛下は頷いた。
僕と言うか『俺』が探すことに意味があるらしい。
相性の良い核が見つかれば、『俺』の体を長く安定させることが出来るだろうと陛下は説明してくれた。
ならばと僕は頷いた。
「うーん…ジークハルトは別の用事を頼むんだよなぁ…ロイスと…マールと…トリスティと一緒に行ってくれるかい?」
僕が首をかしげると、陛下は微笑んだ。
トリスティの気晴らしにもなるのではないかなと。
今回のことはトリスティが悪いわけではないが、彼が原因になってしまった。
トリスティも結構、気落ちしている。
マールは理解しているが、トリスティの方が思い悩んでいるようだと陛下は言った。
僕は、そういえば、『俺』のことが気になってトリスティのことを考えていなかったなと思う。
一杯いっぱいだったとはいえ、トリスティとマールの気持ちを考えれば少しくらいフォローするべきだった。
「そろそろ…ラスティにも選択肢を見せないとなぁ…」
そういって陛下は寂しそうに笑った。
選択肢?と僕は首をかしげる。
たぶん…陛下のいう選択肢は、僕の将来のことなのだろう。
冒険者とか興味あるかなぁと陛下が笑ってそういうと、首をかしげた。
「魔法は使えるから…たぶん大丈夫だとは思うけど…魔物と言っても弱い魔物が多い場所だし、どうかな?」
僕は大丈夫です。行きますと陛下に応える。
陛下はそうかと、笑っていたがふと思う。
規模は違うが、リオンの試練に何かの核になる魔法石を探すというあったなぁと思う。
あまり内容は覚えていないが。
「そうそう…ディーは僕の魔力も少し与えているけどラスティの傍にいることが多いからラスティの魔力を多めに貰って存在しているんだ。元々ラスティの護衛兼使い魔だから…もう一人のラスティを小鳥に移したら…僕の傍にいてもらおうかな。」
陛下の言葉に『俺』が慌てているのを感じる。
まぁ…『俺』は陛下が大好きだからなぁと僕はため息をつく。
良いけども…少し妬けるかもしれない。
僕の感情に『俺』が苦笑する。
『よかったのかもしれないな…俺が人の姿をとれなくて…もし人の姿になったとしたら…あきらめれなかったかもしれないし。』
そういって笑う『俺』の少し悲しみの混じった安堵の感情を感じて僕は少し複雑な気分になっていた。
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