155 / 233
第六章 運命の一年間
137 試練開始??
しおりを挟む
城に帰りまずは、医療班に徹底的に調べられ何ともないという事をきちんと診断してもらった。
薬も彼らに渡し、僕は奥の間で陛下の帰りを待っていた。
陛下は、慌てて帰ってきて僕の顔を見るとほっとした様子だった。
やはりディーから送られてきた情報で無事とは知っていたけれど、やはり直接見ないとねと笑っていた。
「あの…それでですね?」
たぶん、僕の言いたいことはディーが伝えているのだろう。
陛下は、分かっているよと頷く。
ただ、少し困っているようだった。
陛下でも無理という事なのだろうか。
「うん…君に別の人格と言うか…助けるための何かがいることは知っていたんだけど…まぁ…そこまで人格と言うか感情があるとは思っていなかったのは正直な所かな。だから…ラスティと区別がついていなかったのは少しショックと言うか…まぁ…結局…もう一人のラスティなんだろうなと思う。もう一人のラスティを別の器に移して生かすことはできるよ。たぶん…ディーみたいな小鳥になるけど…それでも彼はいいかな?」
少し間があったが、『俺』は、はいと頷いた。
陛下は、少し首をかしげる。
「えっと…もう一人のラスティ…君は…我慢していないかい?嫌だったら他のものも考えて、見るけど…」
人は難しいかなと陛下は言う。
たとえば、小人のような人の形は出来るだろうけれど、大きさが頑張っても子犬レベルだろうと陛下は申し訳なさそうに言った。
小鳥の姿を提案したのは、大きさを抑えた分、ディーのように色々出来るように出来るからだという。
意思を失うことのない、今の状態に近い状態を保とうとすればそちらに魔力消費を考えねばならない。
子犬サイズになると、機能が身体能力は高くなるけど意思疎通などがむずかしいだろうという。
たとえば、子ザルの姿にすると言葉がしゃべれないので、筆談になるだろうと陛下は言った。
あとは『俺』は意思がきっちりあるし、他の情報量が多いので、身体のほうに力を入れてしまうと『俺』という人格を納めることができないのだと陛下は申し訳なさそうに言った。
「それでもいいかい?」
陛下の言葉に『俺』は頷く。
僕は少し考えてから本当にいいのか?と彼に聞いたが大丈夫と返事をした。
陛下は、ごめんねと、理由を説明してくれた。
常時、存在する陛下の使い魔は世界に漂っている魔力を利用しているのだという。
陛下の魔力も多少与えているようなのだが、それよりは世界に影響のない程度の魔力を利用して、存在したほうが、使い魔は自由に過ごせる。
ディーはそうやって長く存在しているのだという。
まぁ、ディーは陛下と僕の魔力を使っているので他の使い魔よりいろいろな機能も持っているのだという。
ディーを一回り大きくすると数日だけしか存在できない使い魔になるだろうと陛下は言う。
魔力が保てないからと陛下は言った。
「あとは…核かな…」
陛下はうーんと眉を寄せる。
「今良い核になる物が無いからなぁ…」
どこかに取りに行くかな?と陛下はうんうん悩んでいる。
僕は、核?と首を傾げた。
「そう核…魔力とか神力とかをよく貯めることができるような…うーん…そうだな…」
陛下は僕を見るとそうだなと頷く。
「ラスティ…お使いに行ってきてくれるかい?」
僕は目を丸くする。
陛下は、城から出て街の反対側に…天然の魔法石が取れる洞窟があるのだと説明してくれた。
「結界の効果で洞窟からは出てこないけど、地下には居ると思う。危険なお使いになるけれど…どうする?」
陛下の言葉に僕は首を傾げた。
「それが、核になるのですか?」
陛下は頷いた。
僕と言うか『俺』が探すことに意味があるらしい。
相性の良い核が見つかれば、『俺』の体を長く安定させることが出来るだろうと陛下は説明してくれた。
ならばと僕は頷いた。
「うーん…ジークハルトは別の用事を頼むんだよなぁ…ロイスと…マールと…トリスティと一緒に行ってくれるかい?」
僕が首をかしげると、陛下は微笑んだ。
トリスティの気晴らしにもなるのではないかなと。
今回のことはトリスティが悪いわけではないが、彼が原因になってしまった。
トリスティも結構、気落ちしている。
マールは理解しているが、トリスティの方が思い悩んでいるようだと陛下は言った。
僕は、そういえば、『俺』のことが気になってトリスティのことを考えていなかったなと思う。
一杯いっぱいだったとはいえ、トリスティとマールの気持ちを考えれば少しくらいフォローするべきだった。
「そろそろ…ラスティにも選択肢を見せないとなぁ…」
そういって陛下は寂しそうに笑った。
選択肢?と僕は首をかしげる。
たぶん…陛下のいう選択肢は、僕の将来のことなのだろう。
冒険者とか興味あるかなぁと陛下が笑ってそういうと、首をかしげた。
「魔法は使えるから…たぶん大丈夫だとは思うけど…魔物と言っても弱い魔物が多い場所だし、どうかな?」
僕は大丈夫です。行きますと陛下に応える。
陛下はそうかと、笑っていたがふと思う。
規模は違うが、リオンの試練に何かの核になる魔法石を探すというあったなぁと思う。
あまり内容は覚えていないが。
「そうそう…ディーは僕の魔力も少し与えているけどラスティの傍にいることが多いからラスティの魔力を多めに貰って存在しているんだ。元々ラスティの護衛兼使い魔だから…もう一人のラスティを小鳥に移したら…僕の傍にいてもらおうかな。」
陛下の言葉に『俺』が慌てているのを感じる。
まぁ…『俺』は陛下が大好きだからなぁと僕はため息をつく。
良いけども…少し妬けるかもしれない。
僕の感情に『俺』が苦笑する。
『よかったのかもしれないな…俺が人の姿をとれなくて…もし人の姿になったとしたら…あきらめれなかったかもしれないし。』
そういって笑う『俺』の少し悲しみの混じった安堵の感情を感じて僕は少し複雑な気分になっていた。
薬も彼らに渡し、僕は奥の間で陛下の帰りを待っていた。
陛下は、慌てて帰ってきて僕の顔を見るとほっとした様子だった。
やはりディーから送られてきた情報で無事とは知っていたけれど、やはり直接見ないとねと笑っていた。
「あの…それでですね?」
たぶん、僕の言いたいことはディーが伝えているのだろう。
陛下は、分かっているよと頷く。
ただ、少し困っているようだった。
陛下でも無理という事なのだろうか。
「うん…君に別の人格と言うか…助けるための何かがいることは知っていたんだけど…まぁ…そこまで人格と言うか感情があるとは思っていなかったのは正直な所かな。だから…ラスティと区別がついていなかったのは少しショックと言うか…まぁ…結局…もう一人のラスティなんだろうなと思う。もう一人のラスティを別の器に移して生かすことはできるよ。たぶん…ディーみたいな小鳥になるけど…それでも彼はいいかな?」
少し間があったが、『俺』は、はいと頷いた。
陛下は、少し首をかしげる。
「えっと…もう一人のラスティ…君は…我慢していないかい?嫌だったら他のものも考えて、見るけど…」
人は難しいかなと陛下は言う。
たとえば、小人のような人の形は出来るだろうけれど、大きさが頑張っても子犬レベルだろうと陛下は申し訳なさそうに言った。
小鳥の姿を提案したのは、大きさを抑えた分、ディーのように色々出来るように出来るからだという。
意思を失うことのない、今の状態に近い状態を保とうとすればそちらに魔力消費を考えねばならない。
子犬サイズになると、機能が身体能力は高くなるけど意思疎通などがむずかしいだろうという。
たとえば、子ザルの姿にすると言葉がしゃべれないので、筆談になるだろうと陛下は言った。
あとは『俺』は意思がきっちりあるし、他の情報量が多いので、身体のほうに力を入れてしまうと『俺』という人格を納めることができないのだと陛下は申し訳なさそうに言った。
「それでもいいかい?」
陛下の言葉に『俺』は頷く。
僕は少し考えてから本当にいいのか?と彼に聞いたが大丈夫と返事をした。
陛下は、ごめんねと、理由を説明してくれた。
常時、存在する陛下の使い魔は世界に漂っている魔力を利用しているのだという。
陛下の魔力も多少与えているようなのだが、それよりは世界に影響のない程度の魔力を利用して、存在したほうが、使い魔は自由に過ごせる。
ディーはそうやって長く存在しているのだという。
まぁ、ディーは陛下と僕の魔力を使っているので他の使い魔よりいろいろな機能も持っているのだという。
ディーを一回り大きくすると数日だけしか存在できない使い魔になるだろうと陛下は言う。
魔力が保てないからと陛下は言った。
「あとは…核かな…」
陛下はうーんと眉を寄せる。
「今良い核になる物が無いからなぁ…」
どこかに取りに行くかな?と陛下はうんうん悩んでいる。
僕は、核?と首を傾げた。
「そう核…魔力とか神力とかをよく貯めることができるような…うーん…そうだな…」
陛下は僕を見るとそうだなと頷く。
「ラスティ…お使いに行ってきてくれるかい?」
僕は目を丸くする。
陛下は、城から出て街の反対側に…天然の魔法石が取れる洞窟があるのだと説明してくれた。
「結界の効果で洞窟からは出てこないけど、地下には居ると思う。危険なお使いになるけれど…どうする?」
陛下の言葉に僕は首を傾げた。
「それが、核になるのですか?」
陛下は頷いた。
僕と言うか『俺』が探すことに意味があるらしい。
相性の良い核が見つかれば、『俺』の体を長く安定させることが出来るだろうと陛下は説明してくれた。
ならばと僕は頷いた。
「うーん…ジークハルトは別の用事を頼むんだよなぁ…ロイスと…マールと…トリスティと一緒に行ってくれるかい?」
僕が首をかしげると、陛下は微笑んだ。
トリスティの気晴らしにもなるのではないかなと。
今回のことはトリスティが悪いわけではないが、彼が原因になってしまった。
トリスティも結構、気落ちしている。
マールは理解しているが、トリスティの方が思い悩んでいるようだと陛下は言った。
僕は、そういえば、『俺』のことが気になってトリスティのことを考えていなかったなと思う。
一杯いっぱいだったとはいえ、トリスティとマールの気持ちを考えれば少しくらいフォローするべきだった。
「そろそろ…ラスティにも選択肢を見せないとなぁ…」
そういって陛下は寂しそうに笑った。
選択肢?と僕は首をかしげる。
たぶん…陛下のいう選択肢は、僕の将来のことなのだろう。
冒険者とか興味あるかなぁと陛下が笑ってそういうと、首をかしげた。
「魔法は使えるから…たぶん大丈夫だとは思うけど…魔物と言っても弱い魔物が多い場所だし、どうかな?」
僕は大丈夫です。行きますと陛下に応える。
陛下はそうかと、笑っていたがふと思う。
規模は違うが、リオンの試練に何かの核になる魔法石を探すというあったなぁと思う。
あまり内容は覚えていないが。
「そうそう…ディーは僕の魔力も少し与えているけどラスティの傍にいることが多いからラスティの魔力を多めに貰って存在しているんだ。元々ラスティの護衛兼使い魔だから…もう一人のラスティを小鳥に移したら…僕の傍にいてもらおうかな。」
陛下の言葉に『俺』が慌てているのを感じる。
まぁ…『俺』は陛下が大好きだからなぁと僕はため息をつく。
良いけども…少し妬けるかもしれない。
僕の感情に『俺』が苦笑する。
『よかったのかもしれないな…俺が人の姿をとれなくて…もし人の姿になったとしたら…あきらめれなかったかもしれないし。』
そういって笑う『俺』の少し悲しみの混じった安堵の感情を感じて僕は少し複雑な気分になっていた。
0
お気に入りに追加
505
あなたにおすすめの小説
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
*
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
本編完結しました!
リクエストの更新が終わったら、舞踏会編をはじめる予定ですー!
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 設定ゆるめ、造語、出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。
★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)


転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!
めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。
ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。
兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。
義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!?
このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。
※タイトル変更(2024/11/27)

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる