153 / 233
第六章 運命の一年間
135 『俺』の存在理由
しおりを挟む
ジークハルトとロイスが迎えに来たので、僕とマールは帰ろうとした。
「…ごめん…少し…話があるんだ。ラスティ…少しでいい。」
思いのほか真剣なリオンの表情に僕は戸惑いながら頷く。
皆、首をかしげたが仕方ないなと廊下に出てくれた。
リオンは少し考えてから僕を見た。
「どうしたの?」
首をかしげる僕にリオンは口を真一文字にして悩んでいる。
とても言いにくそうで、悲痛な表情をしている。
僕は、なんだろうと言葉を待つがなかなか言わない。
『まぁ…『俺』のことだろうな。』
やれやれと『俺』が声を出した。
リオンは、目を見開いたが頷く。
「ごめん…まさかそこまで…人格まで生まれるとは思っていなかったんだ。」
僕は一瞬焦る。
バレていた??と思うがリオンが何故謝ったのかが気になった。
今の言葉だと…リオンの所為なのかと、僕はどういうこと?とリオンを見る。
リオンは、床を見つめていた。
言わないだろうなと、いや、言えないのだろうと『俺』は判断したらしい。
『まぁ…最初は記憶の混乱もあって色々あったけどな。なんとなく…最近になってそうかと思った。お前の仕業ってことだろう?』
リオンは、唇を噛みしめた。
『ラスティという存在が一度は消えなければ…リオンが試練を行っても意味はない。金の瞳のラスティの死…いや…魂の消滅というワードがこの世界に組み込まれた運命だ。リオンの行動の所為でラスティが消えなければならない。』
リオンは、ごめんと小さく呟く。
僕は、リオンが何を言っているか理解が出来なかった。
『俺』は推測があたったのか…リオンが作った疑似人格に与えられた情報なのかわからないがとつぶやいた。
『リオン…ラスティが混乱している…』
きちんと説明をと『俺』は促したがリオンは泣きそうな顔で口を閉じたままだ。
今更だろうと『俺』はため息をつく。
『そうだな…簡単に言うと…あれだ…パスワードといったらいいのか?』
少し考えて『俺』はたぶんあっていると思うのだがとつぶやいた。
『リオンは、運命のキーワードを埋めるために色々仕掛けを作っていたのだと思う。どうやったかはわからないが…おそらく…今回の生だけで仕掛けたわけではないと思う。以前の生で仕掛けて、この生で破滅を回避しようとしたんだろう。』
僕は、内心目を丸くした。
そんなことが可能なのかと。
『本来ラスティが受けるはずのこと…第二王子であったジークハルトが16歳で毒を飲まされたことや、第二王子になったエスターが襲われたり…第二王子と16歳のワードをここで埋められるかどうか試したのだと思う。』
少し考えては『俺』は話しを進める。
自分の考えが、正解かどうかリオンの反応をみているようだ。
たぶん、あっているとは思うが『俺』は考え付いた荒唐無稽の自分の考えに戸惑っているような感じだ。
『おそらく…この世界に封じ込められている何かを開放するためのカギがそのあたりのワードなんだろう。リオンはそれを知っていて…誘導したんだと思う。ワードを埋めるために。何とかして、ラスティの命を守るために…それでもどうしても…ラスティは一度死なないとならない。消えたという事実が必要だった。』
違うか?と『俺』はリオンを見る。
『そのワードを埋めるために…どうやってかまではわからないが…リオンは『俺』という疑似的な人格をラスティの中に仕込んだ。かなり前から…たぶん、陛下のパートナーになったあたりから意識があるのだと思うから…保険のような形で仕込んでいたんだろう。『俺』を時期になったら消すことでラスティが消えたというキーワードを埋めるつもりなのだろう。』
リオンは、そうだよとつぶやく。
『誤算は…疑似人格で意思を持たせるつもりはなかったのに…意志らしきものをもってしまったというところだろうな。まぁ…意識がある状態を消すって言うのは気持ちのいいものではないだろうし。…お前がそういうことに耐えれるだけの精神の強さは持っていないと思う。『俺』がラスティの知っていること以外の…たぶんお前が持っている知識を持っているのは『俺』が消えた時にラスティにその記憶を渡すつもりだったんだろう?』
リオンは眉を寄せる。
「うん…そのとおりだよ。この繰り返しの所為で、僕に与えられた能力なのか…これも試練の一部なのか…以前の所為で、僕が建物とかダンジョンとかに書いた魔法陣とかが残るんだ。いたずら書きが残っていたことでわかったんだけどね。今回の生で世界は崩壊すると思っている。世界自体が繰り返す力がもうないんだ。今回の生で先に進まないと全部終わると思っている。だから…色々やった。王城に仕込んだ魔法陣によって君をラスティ様の中に生み出したのは僕だ。ラスティを守るためにね。君を彼の代わりに消すために。」
リオンはまっすぐに『俺』を見る。
「世界のために…消えてほしい…もう一人のラスティ…」
僕が否定の言葉を吐こうとした瞬間、『俺』がつぶやいた。
『仕方ないよなぁ…』
その声がとてもやさしくて、僕は言葉を失ったのだ。
「…ごめん…少し…話があるんだ。ラスティ…少しでいい。」
思いのほか真剣なリオンの表情に僕は戸惑いながら頷く。
皆、首をかしげたが仕方ないなと廊下に出てくれた。
リオンは少し考えてから僕を見た。
「どうしたの?」
首をかしげる僕にリオンは口を真一文字にして悩んでいる。
とても言いにくそうで、悲痛な表情をしている。
僕は、なんだろうと言葉を待つがなかなか言わない。
『まぁ…『俺』のことだろうな。』
やれやれと『俺』が声を出した。
リオンは、目を見開いたが頷く。
「ごめん…まさかそこまで…人格まで生まれるとは思っていなかったんだ。」
僕は一瞬焦る。
バレていた??と思うがリオンが何故謝ったのかが気になった。
今の言葉だと…リオンの所為なのかと、僕はどういうこと?とリオンを見る。
リオンは、床を見つめていた。
言わないだろうなと、いや、言えないのだろうと『俺』は判断したらしい。
『まぁ…最初は記憶の混乱もあって色々あったけどな。なんとなく…最近になってそうかと思った。お前の仕業ってことだろう?』
リオンは、唇を噛みしめた。
『ラスティという存在が一度は消えなければ…リオンが試練を行っても意味はない。金の瞳のラスティの死…いや…魂の消滅というワードがこの世界に組み込まれた運命だ。リオンの行動の所為でラスティが消えなければならない。』
リオンは、ごめんと小さく呟く。
僕は、リオンが何を言っているか理解が出来なかった。
『俺』は推測があたったのか…リオンが作った疑似人格に与えられた情報なのかわからないがとつぶやいた。
『リオン…ラスティが混乱している…』
きちんと説明をと『俺』は促したがリオンは泣きそうな顔で口を閉じたままだ。
今更だろうと『俺』はため息をつく。
『そうだな…簡単に言うと…あれだ…パスワードといったらいいのか?』
少し考えて『俺』はたぶんあっていると思うのだがとつぶやいた。
『リオンは、運命のキーワードを埋めるために色々仕掛けを作っていたのだと思う。どうやったかはわからないが…おそらく…今回の生だけで仕掛けたわけではないと思う。以前の生で仕掛けて、この生で破滅を回避しようとしたんだろう。』
僕は、内心目を丸くした。
そんなことが可能なのかと。
『本来ラスティが受けるはずのこと…第二王子であったジークハルトが16歳で毒を飲まされたことや、第二王子になったエスターが襲われたり…第二王子と16歳のワードをここで埋められるかどうか試したのだと思う。』
少し考えては『俺』は話しを進める。
自分の考えが、正解かどうかリオンの反応をみているようだ。
たぶん、あっているとは思うが『俺』は考え付いた荒唐無稽の自分の考えに戸惑っているような感じだ。
『おそらく…この世界に封じ込められている何かを開放するためのカギがそのあたりのワードなんだろう。リオンはそれを知っていて…誘導したんだと思う。ワードを埋めるために。何とかして、ラスティの命を守るために…それでもどうしても…ラスティは一度死なないとならない。消えたという事実が必要だった。』
違うか?と『俺』はリオンを見る。
『そのワードを埋めるために…どうやってかまではわからないが…リオンは『俺』という疑似的な人格をラスティの中に仕込んだ。かなり前から…たぶん、陛下のパートナーになったあたりから意識があるのだと思うから…保険のような形で仕込んでいたんだろう。『俺』を時期になったら消すことでラスティが消えたというキーワードを埋めるつもりなのだろう。』
リオンは、そうだよとつぶやく。
『誤算は…疑似人格で意思を持たせるつもりはなかったのに…意志らしきものをもってしまったというところだろうな。まぁ…意識がある状態を消すって言うのは気持ちのいいものではないだろうし。…お前がそういうことに耐えれるだけの精神の強さは持っていないと思う。『俺』がラスティの知っていること以外の…たぶんお前が持っている知識を持っているのは『俺』が消えた時にラスティにその記憶を渡すつもりだったんだろう?』
リオンは眉を寄せる。
「うん…そのとおりだよ。この繰り返しの所為で、僕に与えられた能力なのか…これも試練の一部なのか…以前の所為で、僕が建物とかダンジョンとかに書いた魔法陣とかが残るんだ。いたずら書きが残っていたことでわかったんだけどね。今回の生で世界は崩壊すると思っている。世界自体が繰り返す力がもうないんだ。今回の生で先に進まないと全部終わると思っている。だから…色々やった。王城に仕込んだ魔法陣によって君をラスティ様の中に生み出したのは僕だ。ラスティを守るためにね。君を彼の代わりに消すために。」
リオンはまっすぐに『俺』を見る。
「世界のために…消えてほしい…もう一人のラスティ…」
僕が否定の言葉を吐こうとした瞬間、『俺』がつぶやいた。
『仕方ないよなぁ…』
その声がとてもやさしくて、僕は言葉を失ったのだ。
0
お気に入りに追加
500
あなたにおすすめの小説
悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
▼毎日18時投稿予定
平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
主人公の兄になったなんて知らない
さつき
BL
レインは知らない弟があるゲームの主人公だったという事を
レインは知らないゲームでは自分が登場しなかった事を
レインは知らない自分が神に愛されている事を
表紙イラストは マサキさんの「キミの世界メーカー」で作成してお借りしています⬇ https://picrew.me/image_maker/54346
主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。
小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~
朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」
普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。
史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。
その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。
外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。
いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。
領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。
彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。
やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。
無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。
(この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)
突然異世界転移させられたと思ったら騎士に拾われて執事にされて愛されています
ブラフ
BL
学校からの帰宅中、突然マンホールが光って知らない場所にいた神田伊織は森の中を彷徨っていた
魔獣に襲われ通りかかった騎士に助けてもらったところ、なぜだか騎士にいたく気に入られて屋敷に連れて帰られて執事となった。
そこまではよかったがなぜだか騎士に別の意味で気に入られていたのだった。
だがその騎士にも秘密があった―――。
その秘密を知り、伊織はどう決断していくのか。
来世にご期待下さい!〜前世の許嫁が今世ではエリート社長になっていて私に対して冷たい……と思っていたのに、実は溺愛されていました!?〜
百崎千鶴
恋愛
「結婚してください……」
「……はい?」
「……あっ!?」
主人公の小日向恋幸(こひなたこゆき)は、23歳でプロデビューを果たした恋愛小説家である。
そんな彼女はある日、行きつけの喫茶店で偶然出会った32歳の男性・裕一郎(ゆういちろう)を一眼見た瞬間、雷に打たれたかのような衝撃を受けた。
――……その裕一郎こそが、前世で結婚を誓った許嫁の生まれ変わりだったのだ。
初対面逆プロポーズから始まる2人の関係。
前世の記憶を持つ恋幸とは対照的に、裕一郎は前世について何も覚えておらず更には彼女に塩対応で、熱い想いは恋幸の一方通行……かと思いきや。
なんと裕一郎は、冷たい態度とは裏腹に恋幸を溺愛していた。その理由は、
「……貴女に夢の中で出会って、一目惚れしました。と、言ったら……気持ち悪いと、思いますか?」
そして、裕一郎がなかなか恋幸に手を出そうとしなかった驚きの『とある要因』とは――……?
これは、ハイスペックなスパダリの裕一郎と共に、少しずれた思考の恋幸が前世の『願望』を叶えるため奮闘するお話である。
(🌸だいたい1〜3日おきに1話更新中です)
(🌸『※』マーク=年齢制限表現があります)
※2人の関係性・信頼の深め方重視のため、R-15〜18表現が入るまで話数と時間がかかります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる