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第六章 運命の一年間
129 三番目に好きな人
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馬車に乗り教会へ行く。
今日は護衛騎士としての護衛はいない。
ジークハルトもロイスも都合がつかなかったのだ。
その代わりと言ってマールが一緒に来てくれた。
マールは一緒に馬車に乗っている。
護衛騎士の代わりと言ってもマールは、僕の従者だ。
マールは、魔術師として登録しているので護衛騎士も可能な実力がもっている。
「少し遅れてトリスティもジークハルト様と一緒にノーマといっしょに来ると言っていました。」
そして、マールはトリスティの婚約者でもある。
来年には結婚するのではとノルンが笑っていたが本人はまだ先だと苦笑していた。
幸せそうな二人を見ていると僕も幸せになる。
馬車の外の街は相変わらずにぎやかでほっとする。
この世界が何度も何度も滅びてはもとにかえっている。
そんなことは僕の妄想なのではと思えるほど、平和な光景だ。
「帰りに寄りますか?」
マールの声にはっと顔を上げる。
ぼんやりと外を眺めていた僕をマールは、何か店に寄りたいと思っていると、とったようだ。
「うん…そうだね…せっかく外に出たし…どこか寄ろうかな…」
マールがそれがいいですと笑った。
帰りは皆が合流するから歩いて帰っても大丈夫だろうと。
「本当は、ロイス様がいたらよかったんですけどね。」
そう言って苦笑するマールの言いたいことはわかる。
ジークハルトは王位継承者だし、王妃の僕の護衛騎士をしているのは普通ではない。
だが、それだけは譲らなかったので議会が折れたのだ。
とはいっても…僕が18歳までという期間はつけられている。
ロイスは、副団長になった。
皆、自分の道を選び進んでいる。
例え選択肢は少なくとも自分でそれを選んでいる。
「僕は…どうなのかな…」
マールが首をかしげて僕を見た。
何でもないよを笑うけれども、心は晴れない。
空を見ると澄み渡った青空だった。
「最近…きちんと空を見た覚えがないなぁ…目に染みる青だ。」
マールがお部屋の中にばかりいるからですよと呆れたように言う。
僕は、ごめんごめんと言いながら、自分はこれからどうしたいのだろうと思う。
生きることを目的に頑張ってきた。
その先を…僕は考えていなかった。
生きて…どうするのだろう。
『ねぇ…マール、トリスティをパートナーにってどうやって決めたの?』
僕の口から言葉が飛び出す。
『俺』が突然マールに聞いたのだ。
マールは首を傾げた。
『あまり…良くわからないなって思ったんだ…ちっちゃいころに陛下のパートナーにってなったから…陛下は良く…好きな人が出来たら…パートナーをやめるって言うけれど…最近思うんだ。好きって何だろうって。何が違うのだろうって。それに、王妃が嫌だったらとか陛下は言うけれど…王妃以外も良くわからないなって。』
マールは困った顔をした。
それはそうだろう。
けれども…確かに『俺』がマールに問うた言葉は僕の心境でもある。
『たとえば…あのお店で働いて…とか考えないでもないけど…想像がつかないんだ。この先、何をしてるかとか…どうしたらいいかがわからない。このまま陛下の…この国の妃をしていいのかなって思う。別に…王妃が嫌と言うわけではないよ。陛下のことも好きだし…でも、他の選択肢があるよと言われても…僕にはその選択肢が見えない。わからない。でも…何も考えずにこのまま流されたら…陛下に申し訳ない気がするんだ。』
そうだなと思う。
陛下は確かにラスティを望んでくれているし、僕も陛下を嫌いではない。
けど…パートナーとして好きかと言われると、どうだろうと思う。
曖昧な気持ちでこのまま先も陛下といることができるのだろうかと。
「うーん…それで私に、トリスティをどうしてパートナーと決めたのかと言う質問になったのですか?」
うんと頷くとマールはうーんと悩み始めた。
「難しいですね…。私とトリスティの場合は…どちらかと言えば利害関係ですから。」
僕が首をかしげるとマールは、微笑む。
「もちろん好きですけど…トリスティは私にとっては三番目に好きな人ですね。」
僕が首をかしげるとマールは微笑む。
「私が一番好きなのは、ラスティ様です。二番目は陛下。三番目がトリスティ。それは彼も…トリスティも一緒なのです。まぁ…トリスティは陛下が一番で二番目がラスティ様、三番目が私と言っていますけれど…三番目はジークハルトではと思っています。」
マールの言葉に僕は首をかしげる。
「彼といるととても楽です。価値観が似ているし…お互いを尊重しあえる。でも…たぶん…私とトリスティの関係はラスティ様の求める関係ではないでしょう。けれど…それでいいと二人とも思ったのです。」
マールは僕の手をとって微笑んだ。
「好きな種類はそれぞれです。だから…ラスティ様の疑問に答えるとしたら…一生一緒で並んで笑いあえる人だと思ったから…だと思います。」
マールは、幸せそうに微笑んだ。
「ゆっくり考えてください…いざとなったら私がラスティ様を攫ってしまいますから。」
そうマールは楽しげに笑ったのだった。
今日は護衛騎士としての護衛はいない。
ジークハルトもロイスも都合がつかなかったのだ。
その代わりと言ってマールが一緒に来てくれた。
マールは一緒に馬車に乗っている。
護衛騎士の代わりと言ってもマールは、僕の従者だ。
マールは、魔術師として登録しているので護衛騎士も可能な実力がもっている。
「少し遅れてトリスティもジークハルト様と一緒にノーマといっしょに来ると言っていました。」
そして、マールはトリスティの婚約者でもある。
来年には結婚するのではとノルンが笑っていたが本人はまだ先だと苦笑していた。
幸せそうな二人を見ていると僕も幸せになる。
馬車の外の街は相変わらずにぎやかでほっとする。
この世界が何度も何度も滅びてはもとにかえっている。
そんなことは僕の妄想なのではと思えるほど、平和な光景だ。
「帰りに寄りますか?」
マールの声にはっと顔を上げる。
ぼんやりと外を眺めていた僕をマールは、何か店に寄りたいと思っていると、とったようだ。
「うん…そうだね…せっかく外に出たし…どこか寄ろうかな…」
マールがそれがいいですと笑った。
帰りは皆が合流するから歩いて帰っても大丈夫だろうと。
「本当は、ロイス様がいたらよかったんですけどね。」
そう言って苦笑するマールの言いたいことはわかる。
ジークハルトは王位継承者だし、王妃の僕の護衛騎士をしているのは普通ではない。
だが、それだけは譲らなかったので議会が折れたのだ。
とはいっても…僕が18歳までという期間はつけられている。
ロイスは、副団長になった。
皆、自分の道を選び進んでいる。
例え選択肢は少なくとも自分でそれを選んでいる。
「僕は…どうなのかな…」
マールが首をかしげて僕を見た。
何でもないよを笑うけれども、心は晴れない。
空を見ると澄み渡った青空だった。
「最近…きちんと空を見た覚えがないなぁ…目に染みる青だ。」
マールがお部屋の中にばかりいるからですよと呆れたように言う。
僕は、ごめんごめんと言いながら、自分はこれからどうしたいのだろうと思う。
生きることを目的に頑張ってきた。
その先を…僕は考えていなかった。
生きて…どうするのだろう。
『ねぇ…マール、トリスティをパートナーにってどうやって決めたの?』
僕の口から言葉が飛び出す。
『俺』が突然マールに聞いたのだ。
マールは首を傾げた。
『あまり…良くわからないなって思ったんだ…ちっちゃいころに陛下のパートナーにってなったから…陛下は良く…好きな人が出来たら…パートナーをやめるって言うけれど…最近思うんだ。好きって何だろうって。何が違うのだろうって。それに、王妃が嫌だったらとか陛下は言うけれど…王妃以外も良くわからないなって。』
マールは困った顔をした。
それはそうだろう。
けれども…確かに『俺』がマールに問うた言葉は僕の心境でもある。
『たとえば…あのお店で働いて…とか考えないでもないけど…想像がつかないんだ。この先、何をしてるかとか…どうしたらいいかがわからない。このまま陛下の…この国の妃をしていいのかなって思う。別に…王妃が嫌と言うわけではないよ。陛下のことも好きだし…でも、他の選択肢があるよと言われても…僕にはその選択肢が見えない。わからない。でも…何も考えずにこのまま流されたら…陛下に申し訳ない気がするんだ。』
そうだなと思う。
陛下は確かにラスティを望んでくれているし、僕も陛下を嫌いではない。
けど…パートナーとして好きかと言われると、どうだろうと思う。
曖昧な気持ちでこのまま先も陛下といることができるのだろうかと。
「うーん…それで私に、トリスティをどうしてパートナーと決めたのかと言う質問になったのですか?」
うんと頷くとマールはうーんと悩み始めた。
「難しいですね…。私とトリスティの場合は…どちらかと言えば利害関係ですから。」
僕が首をかしげるとマールは、微笑む。
「もちろん好きですけど…トリスティは私にとっては三番目に好きな人ですね。」
僕が首をかしげるとマールは微笑む。
「私が一番好きなのは、ラスティ様です。二番目は陛下。三番目がトリスティ。それは彼も…トリスティも一緒なのです。まぁ…トリスティは陛下が一番で二番目がラスティ様、三番目が私と言っていますけれど…三番目はジークハルトではと思っています。」
マールの言葉に僕は首をかしげる。
「彼といるととても楽です。価値観が似ているし…お互いを尊重しあえる。でも…たぶん…私とトリスティの関係はラスティ様の求める関係ではないでしょう。けれど…それでいいと二人とも思ったのです。」
マールは僕の手をとって微笑んだ。
「好きな種類はそれぞれです。だから…ラスティ様の疑問に答えるとしたら…一生一緒で並んで笑いあえる人だと思ったから…だと思います。」
マールは、幸せそうに微笑んだ。
「ゆっくり考えてください…いざとなったら私がラスティ様を攫ってしまいますから。」
そうマールは楽しげに笑ったのだった。
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