146 / 233
第六章 運命の一年間
128 災厄の足音
しおりを挟む
何事も無く2カ月があっさりと過ぎ去った。
その間に僕は薬の強化を図っていた。
完成度は高くなっていたのもあるけれど、どうにも進まなかった。
色々な人にアドバイスを貰って少しずつ改善は出来たと思う。
けれどもまだまだなのだ。
たぶん…僕のやる気の低下もある。
頑張っても頑張っても追ってくる焦燥感。
それに少し…いや…かなり疲れている。
何でかなんて…分からない。
いや…分かっているけれど目を背けている。
やっぱり怖くてどこかあきらめた方が楽なのではと思っている自分が居るからだ。
「はぁ…だめだなぁ…」
学園には、最近はテストのみ受けに行っている状況だった。
日に日に近づいてきている気がする。
いつというのはわからないけれど。
なんとなく、もうすぐ危険だという感じがしていた。
あまり奥の間から出たくない気分はやはりあって、王宮の執務室と奥の間の研究室に引きこもっている時が多くなってた。
ダメだと思うのだけれど。
思うけれども足踏みしている。
そんな僕を呆れつつもいつも『俺』は頑張っている。
毎日魔石を作る練習のために外に出ているようになった。
というか結構な頻度で『俺』が外に出ている。
僕が引きこもろうとするのを阻止するためだろう。
今日も執務室で執務をした後、町まで買い物をしてから研究所で、魔石を作っている。
『うぬぅ…』
唸りながら頑張ってはいるのだがうまく行かない。
何故か彼がつくる魔石はプルプルのままだ。
他の魔法は信じられないくらい使えるのにだ。
相性が悪いのかもしれない。
魔法の中でもそういうものはあるらしい。
属性のようなものだ。
とはいっても『俺』はプルプル魔石を諦めているようでその魔石の活用法を考えているらしい。
前向きだ。
最近は、魔石に登録した成分の物質を登録した魔石間で転送するという実験を行っていた。
かなりの距離も転送できる。
形がわかるプルプル魔石を平たくしてその上に登録した物質を置くと、もう片方の、魔石の上に転送される。
大きいものは無理だが小さなものは転送できるという。
『何かに使えるかなぁと思って』
そういって笑う彼は、失敗作っでも何かに使えないかと色々考えている。
僕は、それをぼんやりと眺めている。
『なぁ…大丈夫か?』
心配されてしまって僕は、大丈夫だとよ頷く。
『俺』はため息をつくと少し考えている。
『まぁ…そうだな…リオンに聞いているのはどうだ?』
僕は彼の言葉に首をかしげる。
『…嫌な予感がしないかとかだけでも聞いてみるのはどうだ?』
つまり、いつ頃何か起きるのか聞けという事なのだろう。
リオンが本当にそれを予知できるかなんてわからない。
たぶん、わからない方が確率は高い。
でも…と『俺』は言う。
『…友人に会いにいく理由には…なるだろう?皆心配しているらしいぞ。』
陛下の言葉を思い出す。
最近様子がおかしい僕をジークハルト達が心配していると。
もちろん陛下も心配してくれているのだ。
『明日…会いに行くと使い魔でも送っておけよ。』
そういって『俺』は作業に没頭し始めた。
僕は、その手元を眺めながらどうしようかと悩む。
でも…確かにここでうずくまっているよりは、無駄でも…友人に会いに行った方がいいかと思う。
しばらく僕も集中してリオンに何を書こうか考える。
『俺』が何か色々やっているみたいだが一旦、僕はそれを遮断して、使い魔を構築する呪文を考えていた。
伝言用の使い魔は少し構築するときに文章を工夫して文章を組み込むので魔法構造が変わるのだ。
気にしない人は気にしないが、きちんと構造が作られている方がきれいに作れる。
使い魔も、、文章も。
明日…リオンは大丈夫かなと考えていると『俺』が、今日の作業は終わったからと言って失敗作の魔石を入れた瓶を棚に並べていく。
僕は彼と交代すると考えていた構造で使い魔を作る。
中々に満足の行く使い魔が出来たと思う。
僕は満足満足と言いながら空に使い魔を放った。
青い空に金の蝶が飛んでいく。
窓際に止まっていた最近出番のないディーが蝶を眺めて小さく鳴いた。
のんびりとした光景。
けれどもまるで嵐の前の静けさの様。
そう…どんなにのんびりとした光景でも…僕にとっての嵐は何時起こっても不思議ではない。
僕はぼんやりと蝶を見上げる。
嫌な予感がする。
災厄はすぐ近くになるように感じる。
優しい風に僕の体が震えた。
災厄の足音が聞こえた気がしたのだ。
その間に僕は薬の強化を図っていた。
完成度は高くなっていたのもあるけれど、どうにも進まなかった。
色々な人にアドバイスを貰って少しずつ改善は出来たと思う。
けれどもまだまだなのだ。
たぶん…僕のやる気の低下もある。
頑張っても頑張っても追ってくる焦燥感。
それに少し…いや…かなり疲れている。
何でかなんて…分からない。
いや…分かっているけれど目を背けている。
やっぱり怖くてどこかあきらめた方が楽なのではと思っている自分が居るからだ。
「はぁ…だめだなぁ…」
学園には、最近はテストのみ受けに行っている状況だった。
日に日に近づいてきている気がする。
いつというのはわからないけれど。
なんとなく、もうすぐ危険だという感じがしていた。
あまり奥の間から出たくない気分はやはりあって、王宮の執務室と奥の間の研究室に引きこもっている時が多くなってた。
ダメだと思うのだけれど。
思うけれども足踏みしている。
そんな僕を呆れつつもいつも『俺』は頑張っている。
毎日魔石を作る練習のために外に出ているようになった。
というか結構な頻度で『俺』が外に出ている。
僕が引きこもろうとするのを阻止するためだろう。
今日も執務室で執務をした後、町まで買い物をしてから研究所で、魔石を作っている。
『うぬぅ…』
唸りながら頑張ってはいるのだがうまく行かない。
何故か彼がつくる魔石はプルプルのままだ。
他の魔法は信じられないくらい使えるのにだ。
相性が悪いのかもしれない。
魔法の中でもそういうものはあるらしい。
属性のようなものだ。
とはいっても『俺』はプルプル魔石を諦めているようでその魔石の活用法を考えているらしい。
前向きだ。
最近は、魔石に登録した成分の物質を登録した魔石間で転送するという実験を行っていた。
かなりの距離も転送できる。
形がわかるプルプル魔石を平たくしてその上に登録した物質を置くと、もう片方の、魔石の上に転送される。
大きいものは無理だが小さなものは転送できるという。
『何かに使えるかなぁと思って』
そういって笑う彼は、失敗作っでも何かに使えないかと色々考えている。
僕は、それをぼんやりと眺めている。
『なぁ…大丈夫か?』
心配されてしまって僕は、大丈夫だとよ頷く。
『俺』はため息をつくと少し考えている。
『まぁ…そうだな…リオンに聞いているのはどうだ?』
僕は彼の言葉に首をかしげる。
『…嫌な予感がしないかとかだけでも聞いてみるのはどうだ?』
つまり、いつ頃何か起きるのか聞けという事なのだろう。
リオンが本当にそれを予知できるかなんてわからない。
たぶん、わからない方が確率は高い。
でも…と『俺』は言う。
『…友人に会いにいく理由には…なるだろう?皆心配しているらしいぞ。』
陛下の言葉を思い出す。
最近様子がおかしい僕をジークハルト達が心配していると。
もちろん陛下も心配してくれているのだ。
『明日…会いに行くと使い魔でも送っておけよ。』
そういって『俺』は作業に没頭し始めた。
僕は、その手元を眺めながらどうしようかと悩む。
でも…確かにここでうずくまっているよりは、無駄でも…友人に会いに行った方がいいかと思う。
しばらく僕も集中してリオンに何を書こうか考える。
『俺』が何か色々やっているみたいだが一旦、僕はそれを遮断して、使い魔を構築する呪文を考えていた。
伝言用の使い魔は少し構築するときに文章を工夫して文章を組み込むので魔法構造が変わるのだ。
気にしない人は気にしないが、きちんと構造が作られている方がきれいに作れる。
使い魔も、、文章も。
明日…リオンは大丈夫かなと考えていると『俺』が、今日の作業は終わったからと言って失敗作の魔石を入れた瓶を棚に並べていく。
僕は彼と交代すると考えていた構造で使い魔を作る。
中々に満足の行く使い魔が出来たと思う。
僕は満足満足と言いながら空に使い魔を放った。
青い空に金の蝶が飛んでいく。
窓際に止まっていた最近出番のないディーが蝶を眺めて小さく鳴いた。
のんびりとした光景。
けれどもまるで嵐の前の静けさの様。
そう…どんなにのんびりとした光景でも…僕にとっての嵐は何時起こっても不思議ではない。
僕はぼんやりと蝶を見上げる。
嫌な予感がする。
災厄はすぐ近くになるように感じる。
優しい風に僕の体が震えた。
災厄の足音が聞こえた気がしたのだ。
0
お気に入りに追加
506
あなたにおすすめの小説

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】

お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた
やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。
俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。
独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。
好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け
ムーンライトノベルズにも掲載しています。
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
*
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
本編完結しました!
リクエストの更新が終わったら、舞踏会編をはじめる予定ですー!

嫁側男子になんかなりたくない! 絶対に女性のお嫁さんを貰ってみせる!!
棚から現ナマ
BL
リュールが転生した世界は女性が少なく男性同士の結婚が当たりまえ。そのうえ全ての人間には魔力があり、魔力量が少ないと嫁側男子にされてしまう。10歳の誕生日に魔力検査をすると魔力量はレベル3。滅茶苦茶少ない! このままでは嫁側男子にされてしまう。家出してでも嫁側男子になんかなりたくない。それなのにリュールは公爵家の息子だから第2王子のお茶会に婚約者候補として呼ばれてしまう……どうする俺! 魔力量が少ないけど女性と結婚したいと頑張るリュールと、リュールが好きすぎて自分の婚約者にどうしてもしたい第1王子と第2王子のお話。頑張って長編予定。他にも投稿しています。

男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる