140 / 233
第六章 運命の一年間
122 一歩
しおりを挟む
『俺』はさっさと風呂に入り汚れを落とすとノルンの用意した服に着替える。
髪を乾かしながら僕に変わるか?と声をかけてくる。
僕は、少し考えてもう少しとつぶやくと『俺』は、ため息をついた。
『扉をさっさと開けて、行ってみたら案外こんなものかって思えると思うんだが?』
もったいないなぁ、と『俺』は僕に言った。
『お前の誕生日だろう?皆お前を祝ってくれている…お前のいままでの頑張りの成果で仲良くなった奴らだっているだろう?おまえがその言葉を受けないでどうするんだよ。』
『俺』の言葉に僕は、うっと唸ってしまった。
『いつまで甘えているんだ?不誠実だとは思いはしないのか?』
僕は、『俺』に怒られ渋々交代した。
『俺』は満足そうによしと笑った気配を送ってきたがそのあとは静かになった。
彼と僕が別の意識だと認識した後、『俺』と僕は互いが言いたいことが違う時は意識がわかれているような感覚がするが、特に意見がない時は僕と『俺』区別がでない。
『俺』が感じていることも僕が感じていることもどちらが表に出ている時でもどちらでもなくなる。
なんというか変な感じしかしないが、いったい何だろうと思う。
『俺』は僕が、この世界の王家の御伽噺の五番目の意識ではないかと言うけれど、僕は最近逆なのでは?とも思う。
まぁ『俺』が僕のストレスか何かの妄想の産物と言う可能性も考えてい居るが。
どうにも、前世の記憶が多少あるとこんな剣と魔法のファンタジーの世界、しかも男ばっかりで男同士で子供までできる僕にとっては未だに謎世界に長く生きているというのに、微妙になんだそれ感を持ってしまう。
たぶん、御伽噺の子供たちは神様感なのだとは思うのだけれど、そもそも前世が無神論者の僕は、どうにも馴染めないのだろう。
『俺』の存在も抑圧されたなんとかで出来た現実逃避の二重人格的なやつではなどと思ってしまう。
などと考えていると『俺』の意識を感じられていた。呆れたようなため息もついでに感じる。
『だから…どうでもいいからお前そういう理屈こねて時間稼ぎするな…さっさと王宮に行け。そんなに陛下の眼が衝撃だったって言うならお前が寝てる間の記憶を渡してやろうか?たぶん、パニック起こすぞ?』
はい?と僕は『俺』の言葉に固まった。
『お前の言う、『俺』がストレスの何とかで出来た仮人格だっていうなら、お前が逃げたいことを引き受ける人格だってことだろう。陛下とラスティはパートバーなんだぞ?多少パートナー…まぁ正式には体をつなげてるわけではないからパートナー未満か?…まぁとにかくそういう手前のことくらいしてるんだが…そういう時はお前無意識に引っ込んでるだろうな。大体この歳で生理現象的なやつの記憶が無いって言うのがおかしいだろうが…。』
そう言って『俺』は記憶を開示してきた。
どうやって隠してたのという悲鳴を飲み込む。
僕は廊下で真っ赤になってうずくまってしまう。
実際は大したことはない。
僕だってやってたちょこっとした口づけとかそういう記憶だけれど、陛下の眼が少し違う。
「あわわ…あわわ…」
僕の動揺というか葛藤と言うか羞恥と言うかその他モロモロを感じ『俺』は、ため息をついた。
『………あのな…ラスティは、陛下のパートナーなんだよ。陛下自身が望んだパートナーだ。最初は…同情とかそう言うのかもしれないけど…もう子供ってわけでもない。ラスティはきちんと育ってるわけだ。陛下がずっと守っていないとならないくらい弱いわけでもないよな?それでも陛下が守ろうとしてくれてるのは、家族だって思ってくれてるということと…きちんとパートバー扱いしてくれてるわけだ。』
『俺』は僕に問いかける。
『そろそろ答えを出せ。』
僕は何の?と首をかしげる。
『陛下に対する態度だ。』
そういうと『俺』は、また気配が消えてしまった。
僕はずるい、いい逃げだと思う。
けれど、彼の言っていることは当たっているのだ。
甘えているという事も、分かっている。
僕にとっての16歳はとても大きな意味がある。
これを超えたら、僕はどうなるのなるのだろう。
中途半端に、『俺』が乾かしていた髪を魔法で乾かす。
もうすぐノルンが迎えに来るだろう。
僕は息を吐くと、窓から外を眺める。
「一度にいろいろ言われてもなぁ…僕は…そこまで器用ではないんだよ。」
まずは、生きて、17歳を迎えて…それからだとダメなのだろうか。
そんなことを思う。
分かっているのだ。
そろそろ、議会から後継者はという話もちらほら出ているとも聞いた。
ジークハルトが次を継いだとしても…その次の王は、陛下の直接血を引いた王子を望むものも多い。
「先なんて…」
無い先を続けさせようと僕はしているのだ。
今までなかった先を…。
「そっか…先…先を考えないとダメなんだよなぁ…」
王宮で待っているだろう大切な人たちとの先を、きちんと考えないとな…僕は、そう思いいたって…ようやく扉に向かって一歩を踏み出すことが出来た。
髪を乾かしながら僕に変わるか?と声をかけてくる。
僕は、少し考えてもう少しとつぶやくと『俺』は、ため息をついた。
『扉をさっさと開けて、行ってみたら案外こんなものかって思えると思うんだが?』
もったいないなぁ、と『俺』は僕に言った。
『お前の誕生日だろう?皆お前を祝ってくれている…お前のいままでの頑張りの成果で仲良くなった奴らだっているだろう?おまえがその言葉を受けないでどうするんだよ。』
『俺』の言葉に僕は、うっと唸ってしまった。
『いつまで甘えているんだ?不誠実だとは思いはしないのか?』
僕は、『俺』に怒られ渋々交代した。
『俺』は満足そうによしと笑った気配を送ってきたがそのあとは静かになった。
彼と僕が別の意識だと認識した後、『俺』と僕は互いが言いたいことが違う時は意識がわかれているような感覚がするが、特に意見がない時は僕と『俺』区別がでない。
『俺』が感じていることも僕が感じていることもどちらが表に出ている時でもどちらでもなくなる。
なんというか変な感じしかしないが、いったい何だろうと思う。
『俺』は僕が、この世界の王家の御伽噺の五番目の意識ではないかと言うけれど、僕は最近逆なのでは?とも思う。
まぁ『俺』が僕のストレスか何かの妄想の産物と言う可能性も考えてい居るが。
どうにも、前世の記憶が多少あるとこんな剣と魔法のファンタジーの世界、しかも男ばっかりで男同士で子供までできる僕にとっては未だに謎世界に長く生きているというのに、微妙になんだそれ感を持ってしまう。
たぶん、御伽噺の子供たちは神様感なのだとは思うのだけれど、そもそも前世が無神論者の僕は、どうにも馴染めないのだろう。
『俺』の存在も抑圧されたなんとかで出来た現実逃避の二重人格的なやつではなどと思ってしまう。
などと考えていると『俺』の意識を感じられていた。呆れたようなため息もついでに感じる。
『だから…どうでもいいからお前そういう理屈こねて時間稼ぎするな…さっさと王宮に行け。そんなに陛下の眼が衝撃だったって言うならお前が寝てる間の記憶を渡してやろうか?たぶん、パニック起こすぞ?』
はい?と僕は『俺』の言葉に固まった。
『お前の言う、『俺』がストレスの何とかで出来た仮人格だっていうなら、お前が逃げたいことを引き受ける人格だってことだろう。陛下とラスティはパートバーなんだぞ?多少パートナー…まぁ正式には体をつなげてるわけではないからパートナー未満か?…まぁとにかくそういう手前のことくらいしてるんだが…そういう時はお前無意識に引っ込んでるだろうな。大体この歳で生理現象的なやつの記憶が無いって言うのがおかしいだろうが…。』
そう言って『俺』は記憶を開示してきた。
どうやって隠してたのという悲鳴を飲み込む。
僕は廊下で真っ赤になってうずくまってしまう。
実際は大したことはない。
僕だってやってたちょこっとした口づけとかそういう記憶だけれど、陛下の眼が少し違う。
「あわわ…あわわ…」
僕の動揺というか葛藤と言うか羞恥と言うかその他モロモロを感じ『俺』は、ため息をついた。
『………あのな…ラスティは、陛下のパートナーなんだよ。陛下自身が望んだパートナーだ。最初は…同情とかそう言うのかもしれないけど…もう子供ってわけでもない。ラスティはきちんと育ってるわけだ。陛下がずっと守っていないとならないくらい弱いわけでもないよな?それでも陛下が守ろうとしてくれてるのは、家族だって思ってくれてるということと…きちんとパートバー扱いしてくれてるわけだ。』
『俺』は僕に問いかける。
『そろそろ答えを出せ。』
僕は何の?と首をかしげる。
『陛下に対する態度だ。』
そういうと『俺』は、また気配が消えてしまった。
僕はずるい、いい逃げだと思う。
けれど、彼の言っていることは当たっているのだ。
甘えているという事も、分かっている。
僕にとっての16歳はとても大きな意味がある。
これを超えたら、僕はどうなるのなるのだろう。
中途半端に、『俺』が乾かしていた髪を魔法で乾かす。
もうすぐノルンが迎えに来るだろう。
僕は息を吐くと、窓から外を眺める。
「一度にいろいろ言われてもなぁ…僕は…そこまで器用ではないんだよ。」
まずは、生きて、17歳を迎えて…それからだとダメなのだろうか。
そんなことを思う。
分かっているのだ。
そろそろ、議会から後継者はという話もちらほら出ているとも聞いた。
ジークハルトが次を継いだとしても…その次の王は、陛下の直接血を引いた王子を望むものも多い。
「先なんて…」
無い先を続けさせようと僕はしているのだ。
今までなかった先を…。
「そっか…先…先を考えないとダメなんだよなぁ…」
王宮で待っているだろう大切な人たちとの先を、きちんと考えないとな…僕は、そう思いいたって…ようやく扉に向かって一歩を踏み出すことが出来た。
0
お気に入りに追加
506
あなたにおすすめの小説

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた
やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。
俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。
独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。
好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け
ムーンライトノベルズにも掲載しています。
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
*
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
本編完結しました!
リクエストの更新が終わったら、舞踏会編をはじめる予定ですー!

嫁側男子になんかなりたくない! 絶対に女性のお嫁さんを貰ってみせる!!
棚から現ナマ
BL
リュールが転生した世界は女性が少なく男性同士の結婚が当たりまえ。そのうえ全ての人間には魔力があり、魔力量が少ないと嫁側男子にされてしまう。10歳の誕生日に魔力検査をすると魔力量はレベル3。滅茶苦茶少ない! このままでは嫁側男子にされてしまう。家出してでも嫁側男子になんかなりたくない。それなのにリュールは公爵家の息子だから第2王子のお茶会に婚約者候補として呼ばれてしまう……どうする俺! 魔力量が少ないけど女性と結婚したいと頑張るリュールと、リュールが好きすぎて自分の婚約者にどうしてもしたい第1王子と第2王子のお話。頑張って長編予定。他にも投稿しています。

男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる