不遇王子は、何故かラスボス達に溺愛される。

神島 すけあ

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閑章 リオンside 月

閑話 17 教会の伝説 ※

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恐怖を覚える快楽にリオンは喘いでいた。
堕ちそうになる意思を必死にかき集める。

「あ…ふぁあ…あふ…」

揺れる体は、快楽に堕ちている。
徐々に激しくなっていく行為に溺れようとリオンの思考を快楽に染めようとしている。
快楽に飲まれたら終わりだとリオンは考えながら、理性をかき集めてつなぎ止める。
リオンにとっては、ただの意地だ。
必死に終わりまでの時間を稼ぐ。
ゆるゆると快楽を更に得ようと望む体は、レスリルの動きに合わせて腰を動かしている。
レスリルの冷たい視線を感じながらリオンの精神は快楽と羞恥と屈辱に揺れた。

「やだ…やぁ…くそぉ……言う事…きけってぇ…んぁ…」

溶けそうになる理性を必死に保とうとリオンは目の前のシーツを破れても構わないと握り締めた。
何か…なんでもいいと溶けかけた思考を回す。
自分を抱く男から情報をとリオンは、ともすれば快楽に傾く自分の思考をまともにしようと足掻く。

「あん…ふぁ…や…だ…だめだ…」

思考をなんとか巡らせようとリオンは自分の中の知識を漁る。
自分の中で、もういいだろう?という言葉が回る。
ここまで頑張ったんだと、あきらめろと囁く意思にリオンは口汚く罵りの言葉を叩きつけた。

「ふぁぁ…んぁ…っでも…なんで…も……いぃ……からぁ…」

なんでもいいとリオンは、思いながら自分を犯す男から情報をだけ思う。
今の残り時間を考えてもこの男から情報を引き出すことしかできないとリオンは思った。
男が簡単に情報をくれるとは思っていない。
だが、このままこの男を野放しにしていたら次の生はめちゃくちゃになる。
それだけは、分かっていた。
何でもいいから男から一つでも情報をとリオンは思う。

「ん…んぅ…何か……なにぃかぁ……あ…あぁ…」

そうだとリオンは思い当たる。
繰り返しの生で数度見たことのある経典。
その中にある教え。
リオンは教会の教えを思い出していた。
一般的ではない教えだ。

一般的には神は一人。
けれど、教会の大神官クラスが読める経典には違うことが書かれている。

この世界の神は五人。
役割としては天使と言った方がいいのかもしれない。
世界を作った創造神は別の存在。
教えの内容は大体は王家の御伽噺と同じようなものだった。

世界を外から支えているのは一番目と二番目。
世界を治めているのは、三番目。
世界を導くのは、四番目と五番目。

三番目は、人として王となる。
四番目は、神として人を導く。
五番目は、人として人を導く。

教会は四番目の神を神として仕える機関。
罪を犯して封じられた四番目の神の手足となって世界を導く機関。
大教会の地下で世界を内から支えるために眠る四番目の神を守る機関。
まれに四番目の神は、人の姿の現身をつくり人を観察しているという。
いつか、神が天に帰り人に世界を託すために。

そんな教えとも伝説ともいえる記述。
おそらくは人の都合の良いように捻じ曲げらえている部分はあるだろう。
けれどもまったくの真実でないということもない。

「ひぃ…や…うあ…」

リオンは必死に考えを巡らせる。
世界を守る宝珠を与えてくれる神は二番目の神。
試練は、神から人へ、世界を受け渡すことが出来るかという試験のようなもの。
試練が達成できれば、四番目は任を解かれ天に帰る。

「へいか…は…さんばん…め…あなたは……きょうかい…のぉ…や…やぁ…うごかないでぇ…」

リオンは、後ろから抑え込まれ耳元でレスリルの少し荒くなった吐息を耳元で感じる。
それだけでめまいがするほどに気持ちがいいとリオンは、思う。
まだ、そこまで意識が保てるのかとレスリルは苦笑する。
その頑張りに免じて…教えてあげるよと笑った。

「うん…まぁ…私は…きちんと自分が何者か知っているから…自覚のない兄とは少し違うけれど…そうだよ…私は、王家の御伽噺の中では四番目の子ども…教会では、唯一神になっているけれど…君は他の経典も知っていたか…まぁ…そういう存在の現身…君は、きっと試練を放棄すると思って聖者に選んだんだ。そうしたら…この世界を完全に壊してくれて…私たちは兄様達の元に皆で帰れる。まぁ怒られるとは思うけど…壊れて無くなったものは私達でもどうしようもない。新しく作るしかないんだ。」

だから、兄弟を縛る世界を早々に壊したいと思って、いろいろ、仕組んだんだけどもとレスリルは笑う。
だって、試練を超えて帰るのは、四番目と五番目だけで三番目は帰れない。
三番目は、二番目に帰る権利を渡してしまった。
この世界が壊れてしまうまで三番目はこの世界に人として生き続けるとレスリルはつぶやく。

「だから壊したいんだ。それだけ。」

そうレスリルは言う。
簡単に、それだけを言う。

「…んなの…こっち…には…かんけい…なぁ……ひぃ…」

レスリルは、はぁと息を吐いてリオンの腰をつかむと大きく揺らす。
歓喜の悲鳴をあげるリオンにレスリルは、ため息をついた。

「関係ないのはこっちなのだけどね?なんで君たちの世界のために私たちがこんな目に合うのかわからないよ。隙を見ては陣取り合戦んで殺しあう。おとなしくしていると思ったら余計なものを作って世界を汚し散らかす。何様だい?本当に。さっさと壊して一から作り直した方がいいように思うけど…。」

レスリルは、兄弟たちはダメなのだよねぇと笑う。

「でもまぁ…君のしぶとさを見て…この世界も悪くないのかなど少し思ったけども。」

リオンは、絞り出すように言葉を吐いた。

「こ…この…あくしゅみ…がぁ……」
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