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閑章 リオンside 月
閑話 15 紅い星と蒼い月
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動かないレスリルの前でリオンは己の衣服を脱ぎ棄てていく。
なるべくじらすように、見せつけるようにゆっくりと。
上半身だけ脱いでからレスリルをリオンは見た。
全てを許す慈愛の微笑みの中に情欲を含ませて妖艶ににっこりと笑う。
「いいのですよ?」
ほら…おいでと言いながらゆっくりと誘う。
けれども、レスリルは、動かない。
ただ彼はリオンを見つめていた。
けれど、その見つめる瞳には、欲望の炎を宿している。
リオンは、微笑む。
もう一押し何かがなりないのだろうと。
「ええ…貴方の言う通り…私はラスティ殿下を愛しています。」
ぴくりとレスリルの肩が大きく揺れる。
リオンは、これかと微笑む。
「友人として…家族としてね?」
レスリルが、目を見開いた。
リオンは、柔らかく微笑む。
彼が望む聖者像に近づけるために。
レスリルが望んでいるのは聖者リオンだ。
只人のリオンには用は無いだろう。
心の中では、すでに汚れ切った自分に聖者を見る愚かな男に苦笑しながら。
「友人…家族…?」
リオンは、ええと頷く。
ラスティをリオンは愛している。
確かにそうだと思う。
情欲ももちろんある。
あの可愛らしい人を自分のモノにしたいと望む心は確かにリオンの中にあるのだ。
けれども…どちらかと言えば…リオンのラスティに対する思いは憧れに近い。
リオンに無いものをラスティは持っている。
そして、己の欲を彼で解消したいという思いよりは…彼が愛した者と幸せになってほしいという思いの方が強い。
「ラスティ殿下はまるで…兄のようなところと弟のようなところがある人だと思っていました。尊敬できる…憧れな人なのに…無性に可愛いところのあるとても守りたい人。一緒に居たい人…です。私には…家族の記憶がありません。ラスティ殿下もそうだと伺っていました。同じだと…そう思いました。家族の記憶の無い彼に私は、自分の記憶にない家族の面影を見ていました。だから…守りたいと思いました。…私は彼に幸せになってほしかった。彼が愛する人と幸せになれるように力になりたかった。だってそうでしょう?聖者と金の瞳の者は兄弟なのですから。兄弟の幸せを願わないなんて…『おかしいのですよ』。」
レスリルがふらふらとリオンに近づいてく。
けれど、一定の距離で立ち止まる。
リオンは、近くにあったソファに座って彼の様子をうかがった。
「兄弟…ええ…そうですね…金の瞳の王と…聖者様は…兄弟で…でも二人は……」
リオンは微笑む。
「神から与えられた命の土を二人でこねて人を増やしたのですよ。彼らは、婚姻関係にはなかった。兄弟なのですから。だからこそ…兄弟での結婚は、教えでは禁忌だ。確かに僕は聖者となった時から…金の瞳のラスティ様を愛する運命を持っています。けれども…それは、兄弟として慈しむため。ええ…次こそは僕か彼を守る。だってラスティ様は王にならねばならない方。いえ…彼の場合は…次期王を生む方だ。きっとラスティ様の御子は美しい金髪と金の瞳を持っているでしょう。僕は…兄弟が幸せになる姿を見たいのです。」
レスリルは呆然とリオンを見る。
「兄弟は…そうですね…ダメなのです…だから…ディオス様とラスティ様も……ダメです…だってあの方々の魂は兄弟ではないですか…。」
リオンは、あでやかに笑う。
「ええ…それも僕がきちんと使命を果たせば問題ないですよね?だって僕の使命は…神々を天の庭に返すことだ。陛下は神様そのものだから無理ですけれど…ラスティ殿下は神の魂を封印されている人です。分離させることが出来れば…ラスティ殿下を死なさなくても神の部分だけど天に返すことが出来れば…ラスティ殿下は、ディオス陛下の子を産むことができる…そうすれば…ディオス陛下の本当の意味での後継者が出来る…そうではないですか?」
リオンの言葉をレスリルはゆっくりと飲み込み理解していく。
「私…私たちの神は…どうなるのですか?」
リオンは、微笑む。
「私たちの神も帰ることが出来るでしょう…そのための試練なのですから…今回は遅かったですが…次こそはと思っています。最大の難関が最初にいつもあるので挫折していましたが…次はディオス陛下が協力してくれそうですから…最初の難関の試練を何事も無く進めることが出来れば…他の試練も…。」
レスリルは、首を傾げた。
「最初の試練?」
リオンは、ええと優しく微笑んだ。
「ラスティ殿下を死なせないように最初に彼の中の神に帰って行ってもらうことです。ラスティ殿下が死んでしまったら…神は天に帰れませんからね?」
レスリルは、なる程と頷く。
リオンは、多少妄想も入っているがと自分の考えを告げた。
ラスティが死んで彼の中の神が天に帰っているならば最初の時に帰れるだろう。
けど帰っていないから世界は繰り返してる。
死なせてはダメなのだろう。
「そう言う事なのですね…だから世界は繰り返す…だから何をやっても無駄だったと…」
リオンは、ええと頷く。
レスリルとの会話は、この世界を終わらせたいと思っているモノに伝わっているだろう。
だから、リオンは多少確証の無い妄想部分も多いが、持論を聞かせる。
「ええ…私は…ラスティ殿下を生かしたい…その思いも入っている推測になりますが…。」
そうリオンが微笑むとレスリルは少し不満そうな表情を見せた。
「やはり…貴方は…」
ええと、リオンは頷く。
「ラスティ様を愛しています。ふふ…他の者に心を奪われている者は抱けませんか?」
レスリルは、リオンを見ると困惑した表情を浮かべた。
「リオン様…」
ふふとリオンは微笑む。
「来なさい…レスリル…」
ほらっとリオンは、くすくすと笑いながら彼に手を差し伸べた。
なるべくじらすように、見せつけるようにゆっくりと。
上半身だけ脱いでからレスリルをリオンは見た。
全てを許す慈愛の微笑みの中に情欲を含ませて妖艶ににっこりと笑う。
「いいのですよ?」
ほら…おいでと言いながらゆっくりと誘う。
けれども、レスリルは、動かない。
ただ彼はリオンを見つめていた。
けれど、その見つめる瞳には、欲望の炎を宿している。
リオンは、微笑む。
もう一押し何かがなりないのだろうと。
「ええ…貴方の言う通り…私はラスティ殿下を愛しています。」
ぴくりとレスリルの肩が大きく揺れる。
リオンは、これかと微笑む。
「友人として…家族としてね?」
レスリルが、目を見開いた。
リオンは、柔らかく微笑む。
彼が望む聖者像に近づけるために。
レスリルが望んでいるのは聖者リオンだ。
只人のリオンには用は無いだろう。
心の中では、すでに汚れ切った自分に聖者を見る愚かな男に苦笑しながら。
「友人…家族…?」
リオンは、ええと頷く。
ラスティをリオンは愛している。
確かにそうだと思う。
情欲ももちろんある。
あの可愛らしい人を自分のモノにしたいと望む心は確かにリオンの中にあるのだ。
けれども…どちらかと言えば…リオンのラスティに対する思いは憧れに近い。
リオンに無いものをラスティは持っている。
そして、己の欲を彼で解消したいという思いよりは…彼が愛した者と幸せになってほしいという思いの方が強い。
「ラスティ殿下はまるで…兄のようなところと弟のようなところがある人だと思っていました。尊敬できる…憧れな人なのに…無性に可愛いところのあるとても守りたい人。一緒に居たい人…です。私には…家族の記憶がありません。ラスティ殿下もそうだと伺っていました。同じだと…そう思いました。家族の記憶の無い彼に私は、自分の記憶にない家族の面影を見ていました。だから…守りたいと思いました。…私は彼に幸せになってほしかった。彼が愛する人と幸せになれるように力になりたかった。だってそうでしょう?聖者と金の瞳の者は兄弟なのですから。兄弟の幸せを願わないなんて…『おかしいのですよ』。」
レスリルがふらふらとリオンに近づいてく。
けれど、一定の距離で立ち止まる。
リオンは、近くにあったソファに座って彼の様子をうかがった。
「兄弟…ええ…そうですね…金の瞳の王と…聖者様は…兄弟で…でも二人は……」
リオンは微笑む。
「神から与えられた命の土を二人でこねて人を増やしたのですよ。彼らは、婚姻関係にはなかった。兄弟なのですから。だからこそ…兄弟での結婚は、教えでは禁忌だ。確かに僕は聖者となった時から…金の瞳のラスティ様を愛する運命を持っています。けれども…それは、兄弟として慈しむため。ええ…次こそは僕か彼を守る。だってラスティ様は王にならねばならない方。いえ…彼の場合は…次期王を生む方だ。きっとラスティ様の御子は美しい金髪と金の瞳を持っているでしょう。僕は…兄弟が幸せになる姿を見たいのです。」
レスリルは呆然とリオンを見る。
「兄弟は…そうですね…ダメなのです…だから…ディオス様とラスティ様も……ダメです…だってあの方々の魂は兄弟ではないですか…。」
リオンは、あでやかに笑う。
「ええ…それも僕がきちんと使命を果たせば問題ないですよね?だって僕の使命は…神々を天の庭に返すことだ。陛下は神様そのものだから無理ですけれど…ラスティ殿下は神の魂を封印されている人です。分離させることが出来れば…ラスティ殿下を死なさなくても神の部分だけど天に返すことが出来れば…ラスティ殿下は、ディオス陛下の子を産むことができる…そうすれば…ディオス陛下の本当の意味での後継者が出来る…そうではないですか?」
リオンの言葉をレスリルはゆっくりと飲み込み理解していく。
「私…私たちの神は…どうなるのですか?」
リオンは、微笑む。
「私たちの神も帰ることが出来るでしょう…そのための試練なのですから…今回は遅かったですが…次こそはと思っています。最大の難関が最初にいつもあるので挫折していましたが…次はディオス陛下が協力してくれそうですから…最初の難関の試練を何事も無く進めることが出来れば…他の試練も…。」
レスリルは、首を傾げた。
「最初の試練?」
リオンは、ええと優しく微笑んだ。
「ラスティ殿下を死なせないように最初に彼の中の神に帰って行ってもらうことです。ラスティ殿下が死んでしまったら…神は天に帰れませんからね?」
レスリルは、なる程と頷く。
リオンは、多少妄想も入っているがと自分の考えを告げた。
ラスティが死んで彼の中の神が天に帰っているならば最初の時に帰れるだろう。
けど帰っていないから世界は繰り返してる。
死なせてはダメなのだろう。
「そう言う事なのですね…だから世界は繰り返す…だから何をやっても無駄だったと…」
リオンは、ええと頷く。
レスリルとの会話は、この世界を終わらせたいと思っているモノに伝わっているだろう。
だから、リオンは多少確証の無い妄想部分も多いが、持論を聞かせる。
「ええ…私は…ラスティ殿下を生かしたい…その思いも入っている推測になりますが…。」
そうリオンが微笑むとレスリルは少し不満そうな表情を見せた。
「やはり…貴方は…」
ええと、リオンは頷く。
「ラスティ様を愛しています。ふふ…他の者に心を奪われている者は抱けませんか?」
レスリルは、リオンを見ると困惑した表情を浮かべた。
「リオン様…」
ふふとリオンは微笑む。
「来なさい…レスリル…」
ほらっとリオンは、くすくすと笑いながら彼に手を差し伸べた。
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