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閑章 リオンside 月
閑話 12 初めてだけれど懐かしい街
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たどり着いたのは国境近くの街だった。
しばらくここを拠点としてリオンは動く予定にしていた。
あてがあるわけではない。
ただ、この町はリオンにとって、かつては重要な町だった。
懐かしい…。おかしな話だけれども。
リオンは、そう思いながら内心苦笑し、ただ歩いていた。
今の生では一度も来たことのない街。
けれども…リオンの記憶の中のままそこにある街。
本来ならば、聖者ではなくなったリオンが試練のために拠点を置くはずだった街だ。
今のリオンには初めてだが、馴染んだ街をゆっくりと進む。
レスリルに案内されいてはいるが、リオンは馴染んだ感覚を思い出していた。
「こちらが、しばらくの間のリオン様の住居となります。」
レスリルはディオスが用意してくれたものだとリオンに説明した。
ディオスが、用意してくれた家は、以前の生でリオンが何回か拠点とした家だった。
「お疲れでしょう?私は、買い出しに出かけてきます。」
リオンは懐かしさと少し複雑な感覚を覚える。
念のためにとディオスからもらった結界石をリオンは家へと設置した。
これでリオンに悪意のある者はこの家には入れない。
何から何までディオスに世話になってしまっているとリオンは苦笑する。
悪い王様のはずなのに人がいい。
結局彼は…やはりエスターの父親なのだ。
リオンはそう思いながらディオスとエスターの顔を思い浮かべる。
初めてなのに馴染んだ寝室へと入るとほっと息を吐いた。
ここで生活した仲間は一人の残してこの世界には居ない。
リオンは、寂しさと…少しの安堵を覚える。
かつての仲間たちがいないこと…それは寂しいことだった。
けれども…それと共に安堵も覚えていた。
もう、彼らがひどい目に合っているところを見なくていいのだとリオンは、ベットに寝転び天井を見る。
いや…ひどい目に自分があわせるのだとリオンは眉を寄せた。
鼻の奥で、ツンという感覚を感じる。
リオンは首を横に振った。
自分に泣く資格はないのだと。
あと、どのくらいしたら炎の星は降ってくるのだろう。
リオンはそう思いながら目を閉じる。
王城に仕掛けた仕掛けで自分のこの世界でのやるべきことは思ったと言っても良かった。
あの場で炎の星を待っても良かったリオンは良かった。
けれどもとリオンは思う。
出来る限るのことはしようと。
今更、今更だとリオンはつぶやいた。
「試練に…最後の瞬間まで挑もうと思う。」
すでにこの身は聖者ではない。
聖者には戻れない。
今更試練をこなしたところで世界は救われない。
けれども、次の生で試練をやりやすくするために仕掛けることは出来るだろう。
知識だけは豊富にある。
魔法陣を書きこむことしかできない。
そうリオンは思うと目を開き起き上がり壁に向かう。
ディオスにもらった書き込むと見えなくなるインクをリオンは荷物から取り出した。
リオンが魔法陣を城に仕掛けてるときに、ディオスに渡されたものだ。
仕掛けた魔法陣が目立つよいう理由だった。
神力に反応する魔法陣。
今、ここに書いても意味はない。
リオンは使えないからだ。
けれど…とリオンは思う。
次の生で…もし自分の目論見が当たれば…リオンはディオスの力で一時的に神力が戻るだろう。
数年持てばいいが…とリオンは思う。
大神官たちは、この生でもすでにリオンの力が衰えたことを知っていた。
そして…王家に聖者がいることも知っているとリオンは眉を寄せる。
「ラスティは…命を狙われるか…利用しようとされるか…。」
リオンは悔し気に爪を噛んだ。
この世界で一番神力の余裕量が多いのは、ラスティだとリオンは思う。
ディオスもそこそこにあるが、リオンの全盛期よりは落ちる。
とはいっても、リオンが力を取り戻してもおそらくはディオスよりは落ちる程度しか戻らないだろう。
大神官たちは、幾度かラスティを試して…聖者として試練に向かわせる可能性がある。
「おそらく次が最後だ。後がないから…教会の地下で眠るあの方も本気を出すだろう。」
リオンでなくてもいい。
試練をとにかく超えさせる存在を生み出すために、ラスティを聖者か…リオンの共にしてしまうだろう。
「陛下が許さない場合は…戦いが起こるだろうけど…」
おそらくは陛下はそうしないとは思うとリオンは眉を寄せた。
ラスティをはやく王城に戻せるように。
リオンは必要そうな魔法陣を壁に書き込み始める。
もし、ラスティが聖者として送り出された時に使うことが出来るように。
炎の星が落ちてくるまでに。
そう、リオンは思う。
少しでも…ラスティために。
そう、リオンは思う。
次の生のために。
そう、リオンは思う。
ああ…でも…とリオンは、つぶやいた。
「そっか…初めてかも…自分から試練に挑もうとするのって。」
リオンは苦笑する。
この期に及んで漸く動き出した自分に。
「でも…いいよね…試練…少しでも次につなげたいし…最後くらい…人に喜んでほしいものね。」
リオンは息を吐いて魔法陣を書き進める。
「あ…そうだ…次の自分に…ラスティになるかな…まぁいいや…お手紙も書いておこう。」
しばらくここを拠点としてリオンは動く予定にしていた。
あてがあるわけではない。
ただ、この町はリオンにとって、かつては重要な町だった。
懐かしい…。おかしな話だけれども。
リオンは、そう思いながら内心苦笑し、ただ歩いていた。
今の生では一度も来たことのない街。
けれども…リオンの記憶の中のままそこにある街。
本来ならば、聖者ではなくなったリオンが試練のために拠点を置くはずだった街だ。
今のリオンには初めてだが、馴染んだ街をゆっくりと進む。
レスリルに案内されいてはいるが、リオンは馴染んだ感覚を思い出していた。
「こちらが、しばらくの間のリオン様の住居となります。」
レスリルはディオスが用意してくれたものだとリオンに説明した。
ディオスが、用意してくれた家は、以前の生でリオンが何回か拠点とした家だった。
「お疲れでしょう?私は、買い出しに出かけてきます。」
リオンは懐かしさと少し複雑な感覚を覚える。
念のためにとディオスからもらった結界石をリオンは家へと設置した。
これでリオンに悪意のある者はこの家には入れない。
何から何までディオスに世話になってしまっているとリオンは苦笑する。
悪い王様のはずなのに人がいい。
結局彼は…やはりエスターの父親なのだ。
リオンはそう思いながらディオスとエスターの顔を思い浮かべる。
初めてなのに馴染んだ寝室へと入るとほっと息を吐いた。
ここで生活した仲間は一人の残してこの世界には居ない。
リオンは、寂しさと…少しの安堵を覚える。
かつての仲間たちがいないこと…それは寂しいことだった。
けれども…それと共に安堵も覚えていた。
もう、彼らがひどい目に合っているところを見なくていいのだとリオンは、ベットに寝転び天井を見る。
いや…ひどい目に自分があわせるのだとリオンは眉を寄せた。
鼻の奥で、ツンという感覚を感じる。
リオンは首を横に振った。
自分に泣く資格はないのだと。
あと、どのくらいしたら炎の星は降ってくるのだろう。
リオンはそう思いながら目を閉じる。
王城に仕掛けた仕掛けで自分のこの世界でのやるべきことは思ったと言っても良かった。
あの場で炎の星を待っても良かったリオンは良かった。
けれどもとリオンは思う。
出来る限るのことはしようと。
今更、今更だとリオンはつぶやいた。
「試練に…最後の瞬間まで挑もうと思う。」
すでにこの身は聖者ではない。
聖者には戻れない。
今更試練をこなしたところで世界は救われない。
けれども、次の生で試練をやりやすくするために仕掛けることは出来るだろう。
知識だけは豊富にある。
魔法陣を書きこむことしかできない。
そうリオンは思うと目を開き起き上がり壁に向かう。
ディオスにもらった書き込むと見えなくなるインクをリオンは荷物から取り出した。
リオンが魔法陣を城に仕掛けてるときに、ディオスに渡されたものだ。
仕掛けた魔法陣が目立つよいう理由だった。
神力に反応する魔法陣。
今、ここに書いても意味はない。
リオンは使えないからだ。
けれど…とリオンは思う。
次の生で…もし自分の目論見が当たれば…リオンはディオスの力で一時的に神力が戻るだろう。
数年持てばいいが…とリオンは思う。
大神官たちは、この生でもすでにリオンの力が衰えたことを知っていた。
そして…王家に聖者がいることも知っているとリオンは眉を寄せる。
「ラスティは…命を狙われるか…利用しようとされるか…。」
リオンは悔し気に爪を噛んだ。
この世界で一番神力の余裕量が多いのは、ラスティだとリオンは思う。
ディオスもそこそこにあるが、リオンの全盛期よりは落ちる。
とはいっても、リオンが力を取り戻してもおそらくはディオスよりは落ちる程度しか戻らないだろう。
大神官たちは、幾度かラスティを試して…聖者として試練に向かわせる可能性がある。
「おそらく次が最後だ。後がないから…教会の地下で眠るあの方も本気を出すだろう。」
リオンでなくてもいい。
試練をとにかく超えさせる存在を生み出すために、ラスティを聖者か…リオンの共にしてしまうだろう。
「陛下が許さない場合は…戦いが起こるだろうけど…」
おそらくは陛下はそうしないとは思うとリオンは眉を寄せた。
ラスティをはやく王城に戻せるように。
リオンは必要そうな魔法陣を壁に書き込み始める。
もし、ラスティが聖者として送り出された時に使うことが出来るように。
炎の星が落ちてくるまでに。
そう、リオンは思う。
少しでも…ラスティために。
そう、リオンは思う。
次の生のために。
そう、リオンは思う。
ああ…でも…とリオンは、つぶやいた。
「そっか…初めてかも…自分から試練に挑もうとするのって。」
リオンは苦笑する。
この期に及んで漸く動き出した自分に。
「でも…いいよね…試練…少しでも次につなげたいし…最後くらい…人に喜んでほしいものね。」
リオンは息を吐いて魔法陣を書き進める。
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