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第五章 変わる関係
115 聖者の行方
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馬車にエスターを寝かせて陛下が膝枕をする体制でエスターを寝かせる。
足が長いので窮屈そうに折り曲げているが。
僕は陛下の対面に座ってほぅと息を吐いた。
エスターの馬はバルハルト公が器用に馬に乗ったまま引いている。
陛下は、憂鬱そうにため息をついた。
「まぁ…バレているとは思ってたけども…やっぱりなぁ。とはいってもあいつは王家の伝承も知っていそうだし…分かっていてのあれなんだろうな…。」
聖堂での神官の事だろう。
陛下の認識では、僕は王家の聖者とやらでリオンは教会の聖者という事になっているのだろう。
聖者は、聖者だが種類が違うという感じなのだろう。
「陛下の神力に反応したのでは??」
僕の言葉に陛下は、無いなぁと笑う。
「私の神力はどちらかというとラスティの逆だ。魔力からの精製に近いと思う。多少は自前というのかな、神力は元々は持っているけど器の方が大きいから余剰分の魔力が保管場所代わりに神力になってそこにたまっているのだろう。魔力と神力は結局は元は同じだ。それをどう使えるかの返還方法が違うという事だけだ。」
陛下は、単純に自然界になる魔力の元を取り込んでそれを自分が使えるようになる機能が違うだけだと笑う。
僕は神力の入り口しかないけれど、僕の体に入ってから魔力に変換する機能があるのだろうという。
王族は両方あるけど魔力の方が機能が強いから神力はそこまで使えない。
陛下はその機能は同じだけど貯める器が大きいから強いように見えるだけで他の王族と変わらないと苦笑した。
取り込んでから変換する機能は誰にでもあるけど貯める器の有無や大きさで強さが決まる。
陛下は器の問題だろうとエスターを撫でながら言う。
「聖者というのは、取り込む機能が神力の場合を言うのだと思う。リオンはおそらくその機能が摩耗して変換能力も働かなくなったから今の状況なんだろう。ブレスレットは渡しただろう?」
はいと僕は頷く。
陛下はならいいと頷く。
僕が首をかしげると陛下は少し意地悪な笑みを浮かべた。
「この理論が正解なら…聖者リオンの復活だ。」
僕は目を丸くする。
「あの子に聖者でいてもらわないと…私がラスティを独占できないからね。」
僕は冗談ばかりと笑ってから少し考える。
陛下は本気にされないなぁとぼやいているが。
つまり陛下はブレスレットに何か仕掛けたという事なのだろう。
たとえばリオンの摩耗したという機能を補助するようものを。
僕がちらりと陛下を見ると陛下はそうだよと笑った。
「陛下はなんでもできるのですね。」
僕の言葉に陛下は苦笑する。
「なんでもできるか……そんなことはないよ…一番欲しかったものを破綻させてしまった。」
陛下はエスターを愛し気に撫でる。
エスターが眠っているから出来るのだろうなと思う。
陛下がエスターが起きていたらきっとこんな優し気な顔でエスターを見ない。
なんというか…意地っ張りだ。
変な所で意地を張らなければいいのに。
「…今からでも間に合うのでは?」
陛下はそうだねと悲し気に笑う。
辛いのになんでわらうかなと思うけれど。
「陛下…陛下はずっと頑張っているのですから。無理をする必要はないと思います。」
僕の言葉に陛下はそうだねと頷く。
「ラスティがエスターの母になってくれたら家族になれるけど?」
陛下の言葉に僕は肩をすくめた。
それは無理だろう。
エスターがきっと僕を母だとは認めない。
「陛下?分かっていて言っていますね?」
僕の言葉に陛下は苦笑する。
エスターが僕を嫌っているのを知っているくせにと僕が言うと陛下は困った子だと眉をよせる。
「結構本気なのだけどね。」
そう微笑むと陛下はエスターを優しく撫でている。
「陛下…エスター様は大丈夫ですか?」
陛下は、ああと頷くと僕を見る。
「ラスティ…決して危ない行動はとらないでくれ。ジークに続いてエスターだ…君だって危ないのだよ。軽率に色々な所に首を突っ込んだりしないように。」
いいね?と陛下は言うとため息をついた。
そうはいっても色々とやってしまうのだろうなぁ。
そう陛下がつぶやく。
それから僕をみて少し考えていた。
「聖者リオンにはもう少し聖者でいてもらう必要がある。」
陛下はため息をつく。
「ラスティはいつも通りでいいけど…少しだけ警戒してね」
はいと頷く僕に陛下はエスターを困った表情で見つめる。
「エスターはしばらくは医務室だな。」
そういいながら陛下は、エスターの頭を撫でながらつぶやく。
久しぶりの親子の時間だ。
「エスター様、実は起きてるとかではないですよね?」
ああと陛下はうなずく。
「魔法で眠らせてるからね。」
そういって陛下は、窓の外に目を向けた。
「ひどいと思うかい?」
僕は首を横に振った。
陛下は嬉しそうに頷き、僕の頭を数度なでると微笑んだ。
「絶対にラスティは守るからね。」
陛下の嬉しそうな声に僕はただ、頷いた
足が長いので窮屈そうに折り曲げているが。
僕は陛下の対面に座ってほぅと息を吐いた。
エスターの馬はバルハルト公が器用に馬に乗ったまま引いている。
陛下は、憂鬱そうにため息をついた。
「まぁ…バレているとは思ってたけども…やっぱりなぁ。とはいってもあいつは王家の伝承も知っていそうだし…分かっていてのあれなんだろうな…。」
聖堂での神官の事だろう。
陛下の認識では、僕は王家の聖者とやらでリオンは教会の聖者という事になっているのだろう。
聖者は、聖者だが種類が違うという感じなのだろう。
「陛下の神力に反応したのでは??」
僕の言葉に陛下は、無いなぁと笑う。
「私の神力はどちらかというとラスティの逆だ。魔力からの精製に近いと思う。多少は自前というのかな、神力は元々は持っているけど器の方が大きいから余剰分の魔力が保管場所代わりに神力になってそこにたまっているのだろう。魔力と神力は結局は元は同じだ。それをどう使えるかの返還方法が違うという事だけだ。」
陛下は、単純に自然界になる魔力の元を取り込んでそれを自分が使えるようになる機能が違うだけだと笑う。
僕は神力の入り口しかないけれど、僕の体に入ってから魔力に変換する機能があるのだろうという。
王族は両方あるけど魔力の方が機能が強いから神力はそこまで使えない。
陛下はその機能は同じだけど貯める器が大きいから強いように見えるだけで他の王族と変わらないと苦笑した。
取り込んでから変換する機能は誰にでもあるけど貯める器の有無や大きさで強さが決まる。
陛下は器の問題だろうとエスターを撫でながら言う。
「聖者というのは、取り込む機能が神力の場合を言うのだと思う。リオンはおそらくその機能が摩耗して変換能力も働かなくなったから今の状況なんだろう。ブレスレットは渡しただろう?」
はいと僕は頷く。
陛下はならいいと頷く。
僕が首をかしげると陛下は少し意地悪な笑みを浮かべた。
「この理論が正解なら…聖者リオンの復活だ。」
僕は目を丸くする。
「あの子に聖者でいてもらわないと…私がラスティを独占できないからね。」
僕は冗談ばかりと笑ってから少し考える。
陛下は本気にされないなぁとぼやいているが。
つまり陛下はブレスレットに何か仕掛けたという事なのだろう。
たとえばリオンの摩耗したという機能を補助するようものを。
僕がちらりと陛下を見ると陛下はそうだよと笑った。
「陛下はなんでもできるのですね。」
僕の言葉に陛下は苦笑する。
「なんでもできるか……そんなことはないよ…一番欲しかったものを破綻させてしまった。」
陛下はエスターを愛し気に撫でる。
エスターが眠っているから出来るのだろうなと思う。
陛下がエスターが起きていたらきっとこんな優し気な顔でエスターを見ない。
なんというか…意地っ張りだ。
変な所で意地を張らなければいいのに。
「…今からでも間に合うのでは?」
陛下はそうだねと悲し気に笑う。
辛いのになんでわらうかなと思うけれど。
「陛下…陛下はずっと頑張っているのですから。無理をする必要はないと思います。」
僕の言葉に陛下はそうだねと頷く。
「ラスティがエスターの母になってくれたら家族になれるけど?」
陛下の言葉に僕は肩をすくめた。
それは無理だろう。
エスターがきっと僕を母だとは認めない。
「陛下?分かっていて言っていますね?」
僕の言葉に陛下は苦笑する。
エスターが僕を嫌っているのを知っているくせにと僕が言うと陛下は困った子だと眉をよせる。
「結構本気なのだけどね。」
そう微笑むと陛下はエスターを優しく撫でている。
「陛下…エスター様は大丈夫ですか?」
陛下は、ああと頷くと僕を見る。
「ラスティ…決して危ない行動はとらないでくれ。ジークに続いてエスターだ…君だって危ないのだよ。軽率に色々な所に首を突っ込んだりしないように。」
いいね?と陛下は言うとため息をついた。
そうはいっても色々とやってしまうのだろうなぁ。
そう陛下がつぶやく。
それから僕をみて少し考えていた。
「聖者リオンにはもう少し聖者でいてもらう必要がある。」
陛下はため息をつく。
「ラスティはいつも通りでいいけど…少しだけ警戒してね」
はいと頷く僕に陛下はエスターを困った表情で見つめる。
「エスターはしばらくは医務室だな。」
そういいながら陛下は、エスターの頭を撫でながらつぶやく。
久しぶりの親子の時間だ。
「エスター様、実は起きてるとかではないですよね?」
ああと陛下はうなずく。
「魔法で眠らせてるからね。」
そういって陛下は、窓の外に目を向けた。
「ひどいと思うかい?」
僕は首を横に振った。
陛下は嬉しそうに頷き、僕の頭を数度なでると微笑んだ。
「絶対にラスティは守るからね。」
陛下の嬉しそうな声に僕はただ、頷いた
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