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第五章 変わる関係
107 不穏な不安
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ジークハルトの走り込みを見ながら僕は息を整えつつ木陰で座っていた。
目の前ではジークハルトに周回遅れのノルンと更に遅れてマール、ヘロヘロになっているノーマが走っている。
しびれが残るが走れるからというジークハルトに付き合って走っていたが、基礎体力が違いすぎた。
なんというか…多少感覚がおかしいというがそれでも僕はジークハルトには勝てそうにない。
僕は早々に離脱。
見学だ。
一応言って奥が…僕の体力は同年代では上位だ。
ノルンとマールは騎士並みの体力がある。
ノーマもそこそこある。
ジークハルトは…まぁラスボスの今のところは卵と言った方がいいのか?
もう雛くらいにはなってる??
「いやいや…ちょっと無茶苦茶だよ…」
軽快に走るジークハルトは確かに少し…稀に躓きそうにはなっている。
とはいっても運動神経の塊。
躓いても転ぶことなどない。
流石は、この世界で一番、二番の力を持つくらいに育つ予定の男だ。
ちらりと自分の細い体を見る。
比べないでほしい。
自分で比べておいてなんだが…本当に比べないでほしい。
僕だって鍛えているのだ。
当社にだが。
決して僕が軟弱というわけではない!!…と思いたい。
なまっているなぁとジークハルトはぼやいていたが。
そのなまっているジークハルトに勝てない僕はどうしたらいいのだろう。
無尽蔵かよ。
そう思えるくらいの体力が有り余っているのか。
多少走りずらそうなので速度は前より落ちているのだろうが、僕より倍は以上はやいペースで走っている。
「あ~ん~ラスティさまぁ~」
マールが、もうダメ~と僕の隣に走ってきた。
いや…ダメというわりには余裕っぽい。
僕の隣に座るとマールは、はぁ…と息を整えながら肩を落とした。
「キッツいですねぇ…」
そうだねぇと僕は言いながらマールを見る。
マールは早々に息を整えた。
たぶん…マールはまだまだ余裕はあったはずだ。
けれど…これは僕の護衛するために横に来たのだろう。
「たぶん…ここは大丈夫だと思うのだけど…」
僕の言葉にマールは苦笑したが、疲れたから来ただけですとしれっという。
これは譲る気はないのだなと思いながら、苦笑するとマールは少し言いにくそうに口を開いた。
「トリスティ様の事なのですが…」
僕はうんと頷く。
どうやら、護衛ではなく話があったらしい。
「…僕と勝負したいと…。」
僕はそうかと頷く。
この世界では、それはある意味求婚だろう。
とはいってもマールもまだ成人していないから…婚約したいという事だとは思うが。
勝負したいとは、一昔前には求婚として多く使用されていた言葉だ。
弱肉強食の世界らしい。
まぁ…最近は、そこまで勝負に皆が皆こだわっていない。
そんな状態だというのに、トリスティなどはどちらかと言えばこだわっていなさそうだったのに。
トリスティは意外に古風だなと思いながら首を傾げた。
何か奇妙にかんじるが。
「どうするの?」
マールは眉を寄せている。
「トリスティ様は…何かにおびえて僕を望んでいるように思います。」
僕は嫌な予感を覚えながら首を傾げた。
「おびえて?」
はいとマールは頷く。
「何か…おびえているような…それから逃げるために…いえ…防ぐために僕を求めているように思うんです。」
僕は眉をよせる。
何か…見落としている。
そう感じたからだ。
ここ数日奥の間に引きこもっているうちに外に変化が起こっている…。
そこで僕はある言葉が気になった。
自分が思いついた言葉だ。
「…引きこもっている…?」
僕が、ラスティが引きこもっている。
第二王子となったエスターが引きこもっている…。
それは前の生での僕の状況では?
確かに僕は前の生では引きこもっていた。
今回の生では前ほど引きこもりではないともいえる。
「……まずいかもしれないな……」
僕の言葉にマールは不安げに僕を見た。
でも、僕は外に出るために必要だった護衛騎士を二人とも奪われている。
以前の生ではラスティはあまり外に出ない。
あまり顔を知られていない存在だった。
だから、顔を知らない上に色がわからなくなったロイスが僕を殺した。
けれどだ…今回の生は何もかも違うと…。
トリスティもロイスも大丈夫だと思っていた。
けれど…何か…奇妙な胸騒ぎを覚える。
「…この状況を作り出すためか…?」
陛下が今日、ブレスレットを渡すと言っていた。
2人の様子を陛下からも聞いたほうがいいだろう。
考えすぎだろうか。
僕ば不安そうに見ているマールにもう一つ思いついた言葉をそのまま伝える。
「…マール…トリスティもジークのこと心配で心が弱くなっているんだと思うよ。ジークが元気な顔を出したら元通りさ。」
マールはそうですね…きっとそうですよね…と自分に言い聞かせるように何度も言ってた。
目の前ではジークハルトに周回遅れのノルンと更に遅れてマール、ヘロヘロになっているノーマが走っている。
しびれが残るが走れるからというジークハルトに付き合って走っていたが、基礎体力が違いすぎた。
なんというか…多少感覚がおかしいというがそれでも僕はジークハルトには勝てそうにない。
僕は早々に離脱。
見学だ。
一応言って奥が…僕の体力は同年代では上位だ。
ノルンとマールは騎士並みの体力がある。
ノーマもそこそこある。
ジークハルトは…まぁラスボスの今のところは卵と言った方がいいのか?
もう雛くらいにはなってる??
「いやいや…ちょっと無茶苦茶だよ…」
軽快に走るジークハルトは確かに少し…稀に躓きそうにはなっている。
とはいっても運動神経の塊。
躓いても転ぶことなどない。
流石は、この世界で一番、二番の力を持つくらいに育つ予定の男だ。
ちらりと自分の細い体を見る。
比べないでほしい。
自分で比べておいてなんだが…本当に比べないでほしい。
僕だって鍛えているのだ。
当社にだが。
決して僕が軟弱というわけではない!!…と思いたい。
なまっているなぁとジークハルトはぼやいていたが。
そのなまっているジークハルトに勝てない僕はどうしたらいいのだろう。
無尽蔵かよ。
そう思えるくらいの体力が有り余っているのか。
多少走りずらそうなので速度は前より落ちているのだろうが、僕より倍は以上はやいペースで走っている。
「あ~ん~ラスティさまぁ~」
マールが、もうダメ~と僕の隣に走ってきた。
いや…ダメというわりには余裕っぽい。
僕の隣に座るとマールは、はぁ…と息を整えながら肩を落とした。
「キッツいですねぇ…」
そうだねぇと僕は言いながらマールを見る。
マールは早々に息を整えた。
たぶん…マールはまだまだ余裕はあったはずだ。
けれど…これは僕の護衛するために横に来たのだろう。
「たぶん…ここは大丈夫だと思うのだけど…」
僕の言葉にマールは苦笑したが、疲れたから来ただけですとしれっという。
これは譲る気はないのだなと思いながら、苦笑するとマールは少し言いにくそうに口を開いた。
「トリスティ様の事なのですが…」
僕はうんと頷く。
どうやら、護衛ではなく話があったらしい。
「…僕と勝負したいと…。」
僕はそうかと頷く。
この世界では、それはある意味求婚だろう。
とはいってもマールもまだ成人していないから…婚約したいという事だとは思うが。
勝負したいとは、一昔前には求婚として多く使用されていた言葉だ。
弱肉強食の世界らしい。
まぁ…最近は、そこまで勝負に皆が皆こだわっていない。
そんな状態だというのに、トリスティなどはどちらかと言えばこだわっていなさそうだったのに。
トリスティは意外に古風だなと思いながら首を傾げた。
何か奇妙にかんじるが。
「どうするの?」
マールは眉を寄せている。
「トリスティ様は…何かにおびえて僕を望んでいるように思います。」
僕は嫌な予感を覚えながら首を傾げた。
「おびえて?」
はいとマールは頷く。
「何か…おびえているような…それから逃げるために…いえ…防ぐために僕を求めているように思うんです。」
僕は眉をよせる。
何か…見落としている。
そう感じたからだ。
ここ数日奥の間に引きこもっているうちに外に変化が起こっている…。
そこで僕はある言葉が気になった。
自分が思いついた言葉だ。
「…引きこもっている…?」
僕が、ラスティが引きこもっている。
第二王子となったエスターが引きこもっている…。
それは前の生での僕の状況では?
確かに僕は前の生では引きこもっていた。
今回の生では前ほど引きこもりではないともいえる。
「……まずいかもしれないな……」
僕の言葉にマールは不安げに僕を見た。
でも、僕は外に出るために必要だった護衛騎士を二人とも奪われている。
以前の生ではラスティはあまり外に出ない。
あまり顔を知られていない存在だった。
だから、顔を知らない上に色がわからなくなったロイスが僕を殺した。
けれどだ…今回の生は何もかも違うと…。
トリスティもロイスも大丈夫だと思っていた。
けれど…何か…奇妙な胸騒ぎを覚える。
「…この状況を作り出すためか…?」
陛下が今日、ブレスレットを渡すと言っていた。
2人の様子を陛下からも聞いたほうがいいだろう。
考えすぎだろうか。
僕ば不安そうに見ているマールにもう一つ思いついた言葉をそのまま伝える。
「…マール…トリスティもジークのこと心配で心が弱くなっているんだと思うよ。ジークが元気な顔を出したら元通りさ。」
マールはそうですね…きっとそうですよね…と自分に言い聞かせるように何度も言ってた。
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