不遇王子は、何故かラスボス達に溺愛される。

神島 すけあ

文字の大きさ
上 下
114 / 233
第五章 変わる関係

104 呪い

しおりを挟む
夜寝室で僕は一人、ベットで転がっていた。
陛下は少し離れたソファで、頭に布を置いたまま僕が渡した茶葉を眺めている。
昼間に合ったことを話したが陛下は、少し考え込んだくらいでノルンを罰するという事はなかった。
まぁ、僕は少しぼうっとしただけだし、何か今のところ、所々でおかしなことが起こる。
これは、やはり強制力なのだろうか。

やはり…僕は死ぬのかなぁと少し弱気になってしまう。

陛下は、じっと茶葉を見ていたがちいさく参ったなぁとつぶやく。
何かあったのだろうか。
僕は陛下を見る。
陛下は、僕を見て少し考えていた。

「茶葉には問題ないよ。ただ…まぁなんというか…そうだな…呪いか。」

物騒だなと僕は思う。
陛下はうーんと眉を寄せた。

「まぁ…心配していたほどではないから…そうだな…ラスティ、魔石の練習しようか?」

出来るかい?
と陛下に問われて僕は頷いた。

「エスターには…渡した?」

僕がはいと返事をすると陛下はなら大丈夫かなとつぶやいた。

「…想定ではもっと強い呪いかと思っていたから…一つずつ作ろうかと思っていたけど。これは、はやめに量産してラスティのまわりの子達に持っていた貰った方がいいだろう。しかし…呪いだと思うけど…不特定多数にかけられている可能性があるな。」

陛下は少し考え込んでいる。
僕は、陛下の隣に座ると素石を作り始めた。
陛下は、僕が作った素石を一気に魔石化をしている。
僕のように、魔法陣に頼ることはない。
出来た魔石をブレスレットにしていく。

「陛下…心配していたほどではない…とは?」

陛下は少し考えていた。
話そうか…話さない方がいいのか…それを悩んでいるようだ。
僕は、黙ったまま素石を作る。
上達したなと思う。
20個目を作った時だった。
陛下が結論を出したらしい。

「うーん、そうだねぇ…推測でしかないから、違っているような気もするんだけど…そもそも、一応呪いとは思うけど何か違うんだよね。薬でもないし。ただ…防呪と解呪が反応して効果があるのはわかるから持っていた方がいいかなぁくらいなものだが…状態が状態だからね。」

陛下は、眉を寄せる。

「まだ、人がやる範疇だからなぁ…うーん…出てきてないという考えでいいのかな?」

偽造かもしれないしなぁと陛下はやっぱり考えている。
僕が首をかして陛下を見る。
陛下はそんな僕を見てため息をついた。

「はぁ…ラスティの首をかしげる癖に弱いんだよなぁ…いいかい?あくまで推測。正解ではないよ。前にジェンと話した御伽話があったでしょ?第四の子供は教会に封じられているのだけど…第四の子は皆の元に帰りたいから…帰ろうと思って自分の信徒の人間を操ることがあると言われている。本人の意思を捻じ曲げるという方法らしいが。」

陛下は、茶葉を仕舞いながら首を傾げた。

「けど…呪いに同じような効果があるものはある。呪いならば永続的でないから一時的なものだ。第四の子のものならば永続的なものになるから今回の現象は人の呪いだと思う。けど…かなり強い術者だろう。」

陛下は、ふむ…と考えている。

「………ウェルタ・ブルーパンジー…あの子が中々の術者だったな…」

僕は眉を寄せた。
陛下の出した名前だ。
エスター、リノ、ロイス、そしてトリスティの相棒にな商人の息子、ウェルタが攻略対象。
ウェルタは、商人の息子で色々な所から商品を仕入れている。
薬なども詳しく、この国にない術式なども知っている。
呪いと陛下が言ったが、本当に呪いだけを言っているわけではない。
魔術は、魔術理論で構造を理解されているものを魔術と言う。
魔法陣に書き写せて、属性が無くとも魔力を持っていたら使用できるようになっている。
呪いは、まだ解析されていない魔術の総称。

そういうことを好んで使用するものもいるが、ウェルタは確かにそういう術師だった。

外見は大人しそうな青年で美形ではあるが華やかな周りの攻略者に比べると少し地味な感じだったと思う。
今までの生でも数度会ったか…あまり印象にない。

ラスティとの絡みはあまりない。
リノはエスターの従者なので顔はあわせていたが本来はリノともラスティはあまり話もしていない。
逆に、リオンは街に買い出しに行くリノや、ウェルタとは接点が多かったようとは思う。

「解析されていない呪いなら…僕も危険ですか?」

陛下は、うーんと少し悩んでいる。

「ラスティ自身に掛けることは難しいと思う。ラスティには最も重い呪いがかかっているからね。近くにその呪いがかかっている子がいたら…余波は受けるかもしれないから完全とは言えないけど。」

直接ないだろうが間接的に影響が出るものがあるらしい。
と、そこで僕は首をかしげて陛下を見る。

「最も重い呪い…とは?」

陛下は、ああとにっこりと笑う。

「ラスティには私が呪いをかけているからね。紋章を刻んでいるだろう?あれはこの世界で最上級の呪いだよ。今、一般に使われてるのは簡略化されたものだ。そこまでの威力はない。本来のものを刻めるのは…王家の者だけだろうね。まぁ…バルとジェンも神力が足りなくて簡略のものしか使えない。今のところ…私くらいか?ジークハルトは神力が微妙にわからないから…使えるかどうかはわからないし…ラスティは魔力がないから使えないな。」

僕は首をかしげる。

「この紋章の本来の使い方って…」

陛下は、そうだなぁと頷く。

「簡易のものとあまり変わらないよ。効果が強いだけだ。そうだねぇ…効果は、紋章を刻まれたものを完全に支配することができるんだよ。」

簡単にいうとね。
陛下はそういうとへらりと笑った。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた

やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。 俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。 独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。 好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け ムーンライトノベルズにも掲載しています。

【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!? しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です! めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので! 本編完結しました! リクエストの更新が終わったら、舞踏会編をはじめる予定ですー!

嫁側男子になんかなりたくない! 絶対に女性のお嫁さんを貰ってみせる!!

棚から現ナマ
BL
リュールが転生した世界は女性が少なく男性同士の結婚が当たりまえ。そのうえ全ての人間には魔力があり、魔力量が少ないと嫁側男子にされてしまう。10歳の誕生日に魔力検査をすると魔力量はレベル3。滅茶苦茶少ない! このままでは嫁側男子にされてしまう。家出してでも嫁側男子になんかなりたくない。それなのにリュールは公爵家の息子だから第2王子のお茶会に婚約者候補として呼ばれてしまう……どうする俺! 魔力量が少ないけど女性と結婚したいと頑張るリュールと、リュールが好きすぎて自分の婚約者にどうしてもしたい第1王子と第2王子のお話。頑張って長編予定。他にも投稿しています。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

悪役令息の七日間

リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。 気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。 ※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

処理中です...