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第五章 変わる関係

100 奇妙な感覚

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ノーマが、少し気になったから調べてみるとつぶやいてから黙ってしまった。
とりあえず、危険なことはしないように約束させて、僕は、ぼんやりとロイスの額の汗を拭いているマールの背中を眺める。
どうにも…後付けのように設定が出てくるのはなんだろうと。
どこか、僕を混乱させているのではないか。
続編というルートが増えて、それに僕が生き残れるルートがあるならば喜ばしい。
けれど…どこか不安が残った。
何か…安易に喜んでいたら大切なものがなくなりそうな不安。

「ここで…なんでそんなことが増えたんだろう…。」

気持ち悪い。
不安。
不信。
そんな感覚を感じる。

何か…知らないところで何かが動いているのが気持ち悪い。
こんこんとノックの音。
僕の思考が途切れる。

「あ…はい…」

マールが立ち上って扉を開けに行く。

「ロイスはどうだい?まだ目が覚めない?」

陛下がお仕事終わったよと僕を見て笑った。
今まで感じていた不安がふわりと消えるそんな感じがした。
バルハルト公がロイスが目を覚ましていないのでどうしようか考えている。

「ん~バル、私が連れて帰ろうか?おまえの所は、今は無理だろう?」

バルハルト公は、ジークハルトも預かってもらっているだろうと眉を寄せた。

「マール、頼めるかい?」

はいとマールは頷いた。

「ジークと違ってロイスは目が覚めたら大丈夫だろう。一晩くらいなものだ。」

バルハルト公は、なら頼むかとロイスを肩に担いだ。
軽々と。
すごいなと思っていると陛下が、僕も担ごうとするのでそれはやめてもらった。
楽し気に笑う陛下に僕はなんとなく思う。
たぶん、陛下は何か僕が考え込んでいるのを何とかしようと和ませてくれたのだろう。

「陛下…」

たぶん、ディーを通して先ほどのことは聞いていただろう。
陛下は、どう思うのだろう。
そう思ったが、陛下は、ん?と首をかしげただけだった。

「そういえば…ノーマ、さっきラスティと面白そうなことを話していたね。」

ノーマもディーのことは知っている。
だから、素直に頷いた。

「あとで教えてくれるかい?」

ノーマは、はいと頷く。
バルハルト公が首を傾げた。

「何かあったのか?」

陛下は確認だけだと笑う。
バルハルト公は、あーとため息をついた。

「盗み聞きばかりしていたら嫌われるぞ?」

バルハルト公の言葉に陛下は、ずっとしてるわけではないと口を尖らせた。
陛下はバルハルト公とジェン公の前だと少し子供っぽい部分があるなと思う。

そのまま、奥の間に帰った。
バルハルト公は陛下の指示でロイスを客間に寝かせる。
こんなにホイホイ人が入って後宮問題ないのか??と思ってしまう。
が、後宮の主の陛下がいいというならいいのだろう。

流石に、門番の騎士が陛下に軽く説教をしていたが。

バルハルト公を見送り、ジークハルトの様子を少しだけ見て僕は早々に寝室に引っ込んでいた。
少し、一人で考えたかったのだ。
ごろごろと広いベットを転がる。
シーツの感触が気持ちいい。
やわらかな感触を堪能しつつ転がる。
続編があったとは知らなかったなと思う。

「……なにか…気持ち悪いんだよなぁ。」

ノーマはたぶん、情報をくれようと必死に思い出しているのだろう。
だが、続編の情報はいいことなのだろうか。
奇妙な感覚がある。

「何か…しらない何かが動いてる気がするんだよなぁ。」

物事を素直に表面だけ見ていたら痛い目に合うというのは前世での経験上よくあった。
生き残れるルートあった~と単純に喜んで…例えば…ノルンやマールがひどい目にあったりしたら僕はどうしたらいいのか。
どうせなら…知っている人は皆幸せになれるように…。
そんな選択肢を探したい。

僕だけではないんだよなぁ。

繰り返し、死んでることを不幸に思っていたけれど…繰り返しこの世界が滅んでいるなら皆同じだ。
皆繰り返し辛い思いをして死んでしまっているのだ。
今は僕だけが不幸だなんてそんな風には思えないし、今の生活は幸せなのだ。

複雑な所はあるけれど。

続編か~とため息をついてごろんと転がったところで陛下が部屋に入ってきた。

「どうしたのラスティ、可愛いけど…お行儀悪いぞ?」

陛下はくすくすと笑いながら、転がっている僕の顔を覗き込むようにベットの横に跪いた。
楽し気に笑っている陛下を見ながら僕は、口をとがらせる。

「僕はこれでも悩んでいるのです。」

陛下は、そう?と笑いながら僕をなでる。

「ノーマが面白いことを言っていたね。」

陛下はにこにこと笑いながらそう言うと、僕の耳元であることを囁く。
僕は、目を丸くして陛下を見上げた。

「…陛下は…そう思うのですか?」

陛下はニコニコと笑う。

「そろそろ一回反撃したくないかい?ラスティ?」

陛下の言葉に僕は大きく頷く。
確かにやられてばかりはやってられない。
陛下の言っていることが本当かどうかはわからない。
けれど…。

「陛下に協力して上手く行ったら…何か…くれます?」

陛下は、少し目を見開いて寂し気に笑った。

「私に出来ることを」

僕は、首をかしげて少し考える。

「うーん…だったら…陛下とお出かけしたいです。」

陛下は目を丸くする。

「……それでいいの?」

僕は、はいと頷くと陛下は少し困った顔をした。

「難しいことでしたか?」

陛下は、そうではないよと苦笑する。

「ラスティの…精神年齢は子供では無いと私はわかっているんだから…そんな可愛いお願いではなくていいのだよ?遠慮氏だけれどなくてもいいのだけれど?」

僕は首をかしげる。

「?」

陛下はため息をつく。

「お出かけでいいの?」

僕は頷く。

「はい。その…陛下のことをもっと知りたいなと思って…。」

陛下は、そうかと少し困ったように笑った。
何か他にお願いしてほしかったのだろうかと少し不思議に思うのだった。
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