不遇王子は、何故かラスボス達に溺愛される。

神島 すけあ

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第五章 変わる関係

95 少し複雑な一日の始まり

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朝、ジークハルトの治療のために彼の部屋に行った。
陛下だけでいいとのことだけれど、僕も協力を申し出た。
少し神力を補助する。
それだけでもずいぶん違うから。
陛下と一緒に部屋に入ると皆が驚いたように陛下と僕を見た。

「え???」

バルハルト公とジークハルトは、目を丸くして部屋に入った陛下と僕を見た。

「………何やったんだ?おまえら…」

ジークハルトは不信そうに陛下を見ている。
陛下の頬には、赤い手形が付いている。
僕は目が泣き晴れてるのだろう。
マールが、一応冷やしてくれたりはしたのだが完全には戻っていない。
ノーマも慌てていた。
ノルンが部屋に控えているが、僕を見て首をかしげている。
僕は、頬を膨らませて黙ったまま。
子供っぽいことはわかっている。
あの後…思いっきり陛下を平手打ちにして更に大泣きして僕は泣き疲れて寝てしまった。
癇癪だ。
完全に八つ当たりの暴走。

14にもなって。

中身は大人なのに。
感情のコントロールができなかったのだ。

「……ラスティを怒らせたのだと思うが……ちょっと怒っている理由がわからない。いや…怒らせるようなことを言ってしまったのは言ってしまったんだが…私が思っているところと怒っている理由が違う気がするんだが…教えてくれないんだ。」

陛下は、参ったなぁと頭をかいている。
反省しているということで頬についた手形を治さないでいるようだ。
バルハルト公は、朝議までには消せよと肩をすくめた。
ジークハルトは、陛下を少し睨んでから僕の顔を覗き込んだ。

「ラスティ…どうしたの?」

覗き込んできたジークハルトの綺麗な顔に…僕は…ムカついてしまった。
昨日の前世の記憶についてで別に陛下は少し悪いけどもそこまで怒ることでもないような怒ることのような複雑な感情だけど八つ当たりで…。
今、ジークハルトに感じているのも八つ当たりだとわかっているけども…妙に情けなくなったのだ。
陛下の嫁が嫌なわけではない。
別に、前世で家族や妹のために、彼女が出来なかったというよりは自分に作る気がなかった…作れなかっただけで自分が作れなかっただけで二人が悪いわけでもない。
なのでここで怒るのは、違うのだ。
情緒が不安定になっているのがわかる。
ジークハルトは悪くない。
悪くないが…。
ロイスという彼氏?がいるのに僕に笑いかけるジークのイケメンの顔がものすごくムカついたのだ。
なんだか精神的にダメージの連続でダメっぽい。
暴走が止まらない。

「うう…ジークの…」

ジークハルトは、首をかしげる。
くそう…かっこいいのにかわいいとか卑怯だ。

「うわきものぉぉぉー!!!」

僕は泣きながら傍に立っていたノルンに抱き着いていた。
ノルンは、僕を見て少し慌てていたがキリリを顔を上げると陛下とジークハルトをにらむ。

「陛下…たしかにラスティ様は陛下の奥様ですが…まだ14歳なのです。それはわかっていらっしゃいますか?ジークハルト様も…ラスティ様を好きだと言いながらロイス様と良い仲になるなんて…ラスティを弄ぶつもりですか?常々私も少しどうかと思っていましたが…何をやったらここまでお優しいラスティ様が追い詰められるのですか???お二人ともラスティ様に甘えすぎでは???」

陛下とジークハルトが青くなっている。
僕からは見えないがノルンは怒らせたら怖いとマールは言う。
バルハルト公の乾いた笑い声がしていた。

「いやいや…結構…ディオスもジークも一途だから…ラスティ…誤解があるようだが…怒っている理由はわからんが…浮気とかそういうものなら、ないぞ。たぶん誤解だから許してやってくれ。ディオスもジークも浮気とかはないぞ。重いくらい一途だから。」

陛下が近づいてきてノルンに抱き着いている僕の頭をなでる。

「ラスティ…今日は…ジークの治療私だけでしようか?」

僕は、はっとして顔を上げた。

「します。」

陛下は、やれやれと肩をすくめる。
ノルンが心配そうに僕を見ている。

「大丈夫ですか?」

僕はうんと頷く。

「それとこれは別だから。」

きっちりそこはわけます。
ノルンが不信そうに陛下を見ている。

「……悪いことしませんね?」

ノルンは、再度僕を抱きしめて陛下をにらんでいる。
不敬。不敬になるから。
僕はノルンに更に抱き着く。

「ごめんね…ノルン…僕が悪いだけだから。ちょっと情緒おかしくなってるだけだから。」

ノルンは、いいえと眉を寄せる。

「ラスティ様、ラスティ様がどんなに聡明な方でも…どんな知識があってもまだ庇護されるべき14歳のラスティ様なのです。どうぞ、私共がいることを忘れないでくださいね。」

僕は、頷きながらノルンに甘える。
陛下が、ため息をついている。

「なぁ…バル…私…ノルンに負けてないか?」

バルハルト公はそうだなと頷く。

「まぁ…信用度では負けてると思うぞ…お前ら二人ともな。」


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