不遇王子は、何故かラスボス達に溺愛される。

神島 すけあ

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第五章 変わる関係

93 ノーマの心配事

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ジークハルトの付き添いに今日はバルハルト公が来ていた。
ジェン公とバルハルト公は交互に来るようだ。
ジークハルトは、付き添いはいいと言っていたがこういう時くらい甘えなさいという陛下の言葉に渋々という風に了承していた。

陛下にはバレていたが、僕が生まれる前の記憶があるということを聞いてもマールとロイスは変わらないなと思ってそれとなく二人に聞いてみたのだが…なんと…まったく聞こえなかったという。
どうやら、ディーが結界を作って僕とリノの話が外に漏れないようにしていたらしい。
陛下に、聞いたらそれくらいのことは命じなくてもやるよ~とのこと。
僕に危険になったら結界を解くか陛下を呼ぶかを行うという。

便利すぎないか??ディーさん。

ディーは陛下の使い魔なので、陛下には内容は伝わっている。
陛下は、特に変わらない。

私の妃は、いろいろ秘密があるねと苦笑しただけだ。
ただ、陛下が僕をじっと見てから、教えなくても知ってるという事でいいのかなぁと眉を寄せていたのは何のことだろうとは思ったけれど。

陛下は特に何も変わらない。
なんでだろうなと思う。

「愛でしょ。愛。」

くすくすと目の前でノーマは笑っている。
ディーが僕の肩に止まった。
特に秘密の話をするわけではないけれど。
一応周りに人が居ないことは確認をしてしまう。
マールとノルンは庭の掃除をしている。
陛下とバルハルト公は、ジークハルトの部屋。
ジークハルトは、体調回復のためにはやく寝ると言っていた。
ノーマは、休憩と称して僕の対面のソファに座っていた。

「……僕の執務室でサボり?ノーマ。」

ちがいまーすと言いながらノーマは、首をかしげる。
テーブルの上の書類は今日の僕のノルマだ。
そろそろ、執務も覚えようと陛下から渡された書類。
さほど重要なものはない。
僕自身が決定するわけではないので仕分けくらいのモノしかやっていないが。
軽く読んで、陛下に渡すものと文官に渡すものに分けるだけ。
とは言っても報告書。
間違わないように仕分ける。

「やっぱり、仕事がはやいわ。エスター様はじっくり読んでから仕分けてたけど…どうでもいいことも読み込んじゃうから進んでいなかったみたいだった。」

ふーんと言いながら、書類をまとめる。

「で?」

話があるからここに居るのだろうと促すと、ノーマは少し気まずげに頷いた。

「こんなこと…ラスティ様に頼むのは…違うって分かっているのだけど…」

ノーマは少し戸惑っていたが決心したように顔をあげる。

「エスター様のこと…少し気にしていてほしい。」

僕が首をかしげるとノーマは言いにくそうにしていたが、結審したように口を開いた。

「ほら…エスター様が第二王子になったでしょ?」

うんと僕は頷いた。
ジークハルトを王位継承権をもつものとするという意味で第一王子にすると陛下から少し前に聞いた。
エスターは第二王子だ。
未だに処遇は決まっていない。
本人が望んでいる神官になりたいということにはジェン公が難色を示した。

「16歳の第二王子は…危険な気がするんだ。」

僕は眉を寄せる。

「…罪を軽くしてもらおうとか…そういうことを考えているわけではないよ?ジークハルトに毒を飲ませた時…私の意思だけど…私の意思ではないような…不思議な感覚だったの。」

強制力って言うのかなとノーマは言う。
確かに今のノーマとあの時のリノは少し違う気がする。

「ラスティ様は、16歳になったら要注意だよ。」

ともかくとノーマは眉を寄せた。

「仮にだよ。思いついたようなレベルだから…違うとは思うんだけど…ジークハルト第二王子が16歳になった時に…勘違いで毒を飲まされたわけでしょ?」

ノーマは、眉を寄せた。

「一応難を逃れたとしたら…今度は…第二王子になったエスター様が危険なような気がするんだ。」

僕は眉をよせる。

「第二王子になったエスターを教会は見限ると?」

ノーマは、可能性はあるけどと…それよりリオン様だよ、とつぶやく。

「ジークハルトが、治ったという事は…陛下以上の神力を持つ者が王家にいるってことになるから…癒しの力を失っているリオン様を排除する可能性があるとしたら?」

ゲームで教会が冒険者を雇ったのはリオンの存在を邪魔だと思ったからだ。
リオンを排除するために、冒険者であったロイスを雇った。
そして、過ちでラスティは殺される。

「今度は…その役にエスターが??」

ノーマは可能性だけだよと言いながら頷く。
僕は少し考えてから、エスターの様子を見てみるよとノーマに頷く。


エスター王子が狙われることがあるだろうかという疑問はあった。
けれど…いやな予感を僕も感じていた。



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