不遇王子は、何故かラスボス達に溺愛される。

神島 すけあ

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第四章 波乱の学園生活

75 ブレスレット?

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とりあえず、ジェン公が毎日魔力訓練をしてくれることになった。
陛下とバルハルト公は、空いてたら僕の失敗作を魔石にするからと言っていたから夜は集まるつもりらしい。
僕の訓練は、少し口実のような気もするけど。
三人は本当に仲がいいし。

…別に嫉妬ではないからね。

朝は、今日は護衛はロイスだけだった。
ジークハルトとトリスティは、今日は遅れてくることになっていた。

「昨日いっぱい練習しましたもの!大丈夫です。」

ノルンとマールの励ましを受けて僕は魔術訓練の授業に臨む。
とりあえず、宿題は無事提出が出来た。
授業の次の魔力で魔法陣を書くも難なくクリア。

影では…難はありまくったが。

早起きして、陛下が作った魔石に魔法陣を書きまくって神力を減らしてから学校へ来たからな。
すごく眠い。
せっかくだからと作った魔石は、陛下がブレスレット?に加工してくれた。
腕に巻くやつ。
腕輪か?
あんまりアクセサリー系はわからん。
細かい金のチェーンに均等に淡い紫の魔石と琥珀色の魔石が並んでいる。
紫の物は陛下の魔石で効果は教えてくれなかった。
僕の身を守るものというのは確実のようだが。
学園ではつけていたら目立つので内ポケットに薬と一緒にいれている。
十分効果があるからとのこと。
学園以外では、腕につけてる。
回復魔法と自己回復、防毒、解毒、防呪、解呪、物理防御と魔法防御のセットだ。
毒と呪いは結構高レベルのものも防げるし、解毒も解呪もそこそこ強い毒や呪いも大丈夫。
まぁ…王家の毒程強いものは難しいけど。
でも、ノルンとマールと僕とで作った解毒剤も結構強力だから、魔石の効果と合わせれば王家の毒もなんとかなるかもという希望はある。
マールとノルン分も陛下は用意してくれた。
彼らも、僕と同じように内ポケットに入れている。
ブレスレットは、ジークハルトとトリスティ、ロイスの分もリオンの分もある。
それとエスターの分も。
エスターのモノは陛下が全部作った。
僕の魔石ではなく、陛下が全部作ったものだ。
リオンに渡せば、渡してくれると思うと言ったらそれならって作ったもの。
なんだかんだと言っても陛下もエスターは気になっているみたいだ。

放課後に皆が集まることになっているのでそこで渡そうと少し楽しみだ。
なんとなく、ジークハルトよりロイスに先に渡したらダメな気がして、ロイスにも渡してはいない。
何事も無く、放課後になり僕はきちんと出来たことを皆に報告できるなと少し浮かれつつ、図書館でマールとリオンを一緒に一時間を過ごした。
トリスティとノルンが、図書室に顔を出した。

「ジークハルトは、その…エスター王子が少し話があるってリノが呼びに来てな…。」

トリスティが、もう少し待ってやってくれと眉を寄せつつ言った。

「ジークハルトは、ちょっと気にしていたからな。」

何が?と僕が首をかしげるとどうやら僕が落ち込んでいたから皆言わなかったけど、昨日エスターをジークハルトが手加減無しで手合わせして吹っ飛ばしたらしい。

「ジークハルトも少しやりすぎたかと気にしていたからな。様子を見てくるつもりだろう。」

リオンがそっかと少し安堵したように微笑んだ。

「リオン?」

リオンはうんと頷いた。

「エスターとジークハルトの実力差があそこまであると思わなかったから…ぶっ飛ばしてって僕が言ったことだし、エスターには一応言ったんだ。僕が言ったからジークハルトは君を吹っ飛ばしたんだよって。」

エスターは、もっと強くなれるし、もっと強い人はいっぱいいるんだ、というリオンにエスターは素直に頷いたという。
僕は、そうかと頷く。
どうやら、エスターはリオンの言葉は比較的素直に聞くようだ。

「それに多分だけど…陛下のことも聞きたいのだと思う。」

リオンは親子だものねぇとにこにこと笑っている。
エスターは、陛下を今も慕っているのだろう。
陛下も、エスターを息子と思って大切にしている。

普段は何も言わないけども…。

僕は、ポケットに入れたブレスレットを思う。
よろこんでくれるといいなと、ジークハルトを待つ。

「まぁ…一時間くらい待たないとな。ロイスも今日はまだ来ていないいんだろう?」

僕は頷いた。
ノルンから放課後に集まりたいとリオンが言っていると聞いていたので、ロイスにいつもより二時間ばかり遅れてきてほしいと頼んでいたのだ。
もう一冊本を読んで待とうと、本に目を向けるが、何故か胸がざわざわしてくる。
ジークハルトのことだから心配ないよねと思うけど。

「…ジークハルト…遅くない?」

僕の言葉に、トリスティが首をかしげる。

「そうか?」

時間的には、30分程たっただけだ。
でも、何故か気になってしまう。

「ラスティ?」

リオンが不思議そうに僕を見た。
ざわざわする。

「僕…やっぱり探してくる。」

僕は、本を片付けて図書室の扉に向かう。
嫌な予感がする。

僕が扉に手を賭けようとした瞬間だった。
扉が開いた。
目の前に蒼白になったエスターが息を荒げて立っていた。

「た…大変だ…ジークハルトが、教室で倒れてる!!」

僕は、その言葉を聞いた途端エスターの脇を抜けて走り出していた。

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