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第四章 波乱の学園生活
70 なぞのプルプルの山
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授業も何事も無く終わり、何事も無く帰宅。
のんびりと温室の世話をした後、宿題に取り掛かる。
座学の宿題を終わらせ、さて…と共有スペースの窓際の床にクッションを置いて座る。
夕方の赤くなる空を眺めながら、授業で習った魔石のつくり方を思い出す。
素石というもとになる石がある場合は、魔力を込めるだけと聞いていたので僕が習うのもそれだと思っていたのだけれど、よくよく考えたらそれだったら授業をしない。
誰だってできることだものな。
その素石をつくるところからだった。
初級とのことだったので甘く見ていたなと自分の前でプルプルしているゼリー状のものを見てため息をつく。
先生も困惑する事態となった。
手順も完璧。
魔力の配分も申し分なし。
なのに、固まらないのだ。
ゼリーみたいで美味しそうだ。
そう、リオンにそう慰められた。
とはいっても。
これだと役に立たない。
いや…機能上は問題ないらしい。
ゼリー状でも機能はしているらしいのだが。
携帯するのにも困る。
傷つきやすいから書き込んだ魔法陣に傷が入ってしまったら魔石として使えない。
つまり…僕は最初の初球の一番簡単なところでつまずいたことになる。
魔石を作れない=魔法が習えない。使えない。
それは困る。
どうあがいても。これから起こるだろう僕の死に対抗するための武器がなくなるなんて。
結構何度も事項錯誤したのだが…。
僕の作る魔石は、やはり固まらずぷるぷるした琥珀色のゼリー状のモノになっていたのだ。
目の前にはプルプルと震えるゼリーの山である。
「ぐぬぬぬ…」
大きく息を吐いて吸う。
上手く行かない時ほど、落ち着くことが大切なのだ。
イメージが大切。
一旦とにかくプルプルの山をなんとか頭から消去する。
まずは、散らかった周りを片付けつつ頭の中身を整理する。
手順を反復。
イメージを、固まったイメージを頭に叩き込む。
それから…材料を一つずつ確認。
まずは、魔石の核になる魔法鉱石。
初心者だから使ううけど、そのうちこの核も作れるようになる授業もあると言っていたっけ。
とにかく、魔力に馴染む魔法鉱石。
鉱山があってそこからとれる魔力を吸収する宝石。
これを核に周りに魔力を硬化させるイメージで魔力を練る。
綺麗な琥珀色が一瞬円になる…が。
むにゅりとテーブルに落ちた。
「はぁ~だめかぁ…」
ぷるぷるするそれをつつきながら問題点を考える。
イメージだろうか。
イメージが弱いのか。
カチコチに固まっているイメージ。
石とか。
宝石とか。
鉄とか。
ガチガチカチカチなものをイメージ。
「固いもの固いもの」
石などを想像して再チャレンジするのだ。
カチカチ。
ガチガチ。
口に出しつつ集中する。
そして手順をなぞる。
魔力を纏わせて完成~と思ったらまたぷるるんとした感触が手に落ちた。
「あああ~うそ…。」
ぷるるんとしたやわらかいゼリー状になってしまう。
どうしてだ。
僕は、ため息をついた。
「はぁ…」
マールが、顔をのぞかせたが、頑張ってと握りこぶしを作ってからまた顔をひっこめた。
色々アドバイスをしてくれたのだが。
やっぱりぷるぷるしかできない。
どうにもならない。
マールも、首を傾げた。
先生もこんなやわらかくなるのは初めて見たとのこと。
僕の手順は間違っていないらしい。
方法もタイミングもばっちりらしい。
魔力も問題ない。
でもやわらかい。
でもぷるるるん。
でも手順は問題ない。
でも失敗。
でも原因がわからない。
無数のでもが僕の中で渦巻く。
「むぅ…」
リオンは数回失敗していたけど出来ていた。
皆最初は失敗していたけど。
僕のようにゼリー状になる人はいなかった。
「何が原因なのかな…。」
とはいってもあきらめきれない。
というかあきらめれない。
この魔石が作れないっと僕の作りたい薬が作れないかもしれないのだ。
気合を入れる。
もう一度と、手順をなぞり、最後の工程を少し眺めに魔力を込める。
こんどはドロドロになってしまった。
「込めすぎかな…」
今度は最後の工程を短くすると…固まらずに魔力が霧散した。
「はぁ…」
くじけそうだと失敗作を眺める。
ドロドロになったりしてない。
やわらかいけれど形にはなっている。
魔力量の問題か???
「はぁぁ~わかんなーい」
僕の叫びと同時に扉が開いた。
陛下が王宮から帰ってきたのだ。
僕の目の前の惨状に気が付いた。
「…あらら…」
陛下は首を傾げつつ僕の作った物体をぷにぷにと触っていたが、少し考えてから頷いた。
「なるほど~これは…そういうことかな?」
陛下は、そうつぶやくとちょいちょいとプルプルとしたそれをつついた。
「へぁ???」
僕は思わずへんな声を出す。
固まったのだ。
陛下がちょんとつついただけで。
「え???なんで?」
陛下は、うーんと考えている。
「ラスティに問題はないのだけれど…いや…ラスティの問題か…力が問題なんだろうなぁ。」
陛下は、少し悩んでから自分が固めた魔石を手に取って何か調べている。
「やっぱり…回復特化かぁ…。しかし…どうしようかなぁ」
陛下は、僕と魔石を交互に見てため息をついたのだった。
のんびりと温室の世話をした後、宿題に取り掛かる。
座学の宿題を終わらせ、さて…と共有スペースの窓際の床にクッションを置いて座る。
夕方の赤くなる空を眺めながら、授業で習った魔石のつくり方を思い出す。
素石というもとになる石がある場合は、魔力を込めるだけと聞いていたので僕が習うのもそれだと思っていたのだけれど、よくよく考えたらそれだったら授業をしない。
誰だってできることだものな。
その素石をつくるところからだった。
初級とのことだったので甘く見ていたなと自分の前でプルプルしているゼリー状のものを見てため息をつく。
先生も困惑する事態となった。
手順も完璧。
魔力の配分も申し分なし。
なのに、固まらないのだ。
ゼリーみたいで美味しそうだ。
そう、リオンにそう慰められた。
とはいっても。
これだと役に立たない。
いや…機能上は問題ないらしい。
ゼリー状でも機能はしているらしいのだが。
携帯するのにも困る。
傷つきやすいから書き込んだ魔法陣に傷が入ってしまったら魔石として使えない。
つまり…僕は最初の初球の一番簡単なところでつまずいたことになる。
魔石を作れない=魔法が習えない。使えない。
それは困る。
どうあがいても。これから起こるだろう僕の死に対抗するための武器がなくなるなんて。
結構何度も事項錯誤したのだが…。
僕の作る魔石は、やはり固まらずぷるぷるした琥珀色のゼリー状のモノになっていたのだ。
目の前にはプルプルと震えるゼリーの山である。
「ぐぬぬぬ…」
大きく息を吐いて吸う。
上手く行かない時ほど、落ち着くことが大切なのだ。
イメージが大切。
一旦とにかくプルプルの山をなんとか頭から消去する。
まずは、散らかった周りを片付けつつ頭の中身を整理する。
手順を反復。
イメージを、固まったイメージを頭に叩き込む。
それから…材料を一つずつ確認。
まずは、魔石の核になる魔法鉱石。
初心者だから使ううけど、そのうちこの核も作れるようになる授業もあると言っていたっけ。
とにかく、魔力に馴染む魔法鉱石。
鉱山があってそこからとれる魔力を吸収する宝石。
これを核に周りに魔力を硬化させるイメージで魔力を練る。
綺麗な琥珀色が一瞬円になる…が。
むにゅりとテーブルに落ちた。
「はぁ~だめかぁ…」
ぷるぷるするそれをつつきながら問題点を考える。
イメージだろうか。
イメージが弱いのか。
カチコチに固まっているイメージ。
石とか。
宝石とか。
鉄とか。
ガチガチカチカチなものをイメージ。
「固いもの固いもの」
石などを想像して再チャレンジするのだ。
カチカチ。
ガチガチ。
口に出しつつ集中する。
そして手順をなぞる。
魔力を纏わせて完成~と思ったらまたぷるるんとした感触が手に落ちた。
「あああ~うそ…。」
ぷるるんとしたやわらかいゼリー状になってしまう。
どうしてだ。
僕は、ため息をついた。
「はぁ…」
マールが、顔をのぞかせたが、頑張ってと握りこぶしを作ってからまた顔をひっこめた。
色々アドバイスをしてくれたのだが。
やっぱりぷるぷるしかできない。
どうにもならない。
マールも、首を傾げた。
先生もこんなやわらかくなるのは初めて見たとのこと。
僕の手順は間違っていないらしい。
方法もタイミングもばっちりらしい。
魔力も問題ない。
でもやわらかい。
でもぷるるるん。
でも手順は問題ない。
でも失敗。
でも原因がわからない。
無数のでもが僕の中で渦巻く。
「むぅ…」
リオンは数回失敗していたけど出来ていた。
皆最初は失敗していたけど。
僕のようにゼリー状になる人はいなかった。
「何が原因なのかな…。」
とはいってもあきらめきれない。
というかあきらめれない。
この魔石が作れないっと僕の作りたい薬が作れないかもしれないのだ。
気合を入れる。
もう一度と、手順をなぞり、最後の工程を少し眺めに魔力を込める。
こんどはドロドロになってしまった。
「込めすぎかな…」
今度は最後の工程を短くすると…固まらずに魔力が霧散した。
「はぁ…」
くじけそうだと失敗作を眺める。
ドロドロになったりしてない。
やわらかいけれど形にはなっている。
魔力量の問題か???
「はぁぁ~わかんなーい」
僕の叫びと同時に扉が開いた。
陛下が王宮から帰ってきたのだ。
僕の目の前の惨状に気が付いた。
「…あらら…」
陛下は首を傾げつつ僕の作った物体をぷにぷにと触っていたが、少し考えてから頷いた。
「なるほど~これは…そういうことかな?」
陛下は、そうつぶやくとちょいちょいとプルプルとしたそれをつついた。
「へぁ???」
僕は思わずへんな声を出す。
固まったのだ。
陛下がちょんとつついただけで。
「え???なんで?」
陛下は、うーんと考えている。
「ラスティに問題はないのだけれど…いや…ラスティの問題か…力が問題なんだろうなぁ。」
陛下は、少し悩んでから自分が固めた魔石を手に取って何か調べている。
「やっぱり…回復特化かぁ…。しかし…どうしようかなぁ」
陛下は、僕と魔石を交互に見てため息をついたのだった。
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