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第四章 波乱の学園生活
69 エスターの所為?
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「たぶん…僕が突然エスターを連れてきちゃったからだね。そうだよね…ラスティはエスターにひどいこと言われたって聞いてたのに…ごめん、考えなしだった。怖かったよね。」
エスターあんまり関係ないし。
というか関係ない。
僕は、首を横に振る。
「いや…エスター様は関係ないよ…。」
リオンがぶんぶんと首を横に振った。
「いやいや、無理しないで。あいつもずいぶん変わったんだよ。あれでも…あ…でも朝からにらまれて怖かった??ほんとごめん。怒っとくから。怖くないよ。もしあいつが意地悪して来たら、僕がぶん殴ってやるから。ラスティは何にも心配しなくていいよ!!」
いや…本当にエスター関係ないし。
リオンの必死の訴えに僕は首をふる。
「いや…エスター様は関係ないよ……。本当に。」
リオンが、がたんと椅子を倒して立ち上った。
それから僕に抱き着いてくる。
「はぁ~かわいいなぁラスティは!!無理しない。大丈夫だって、君がエスター苦手なのは当たり前のことなんだから。嫌なら嫌って言えばいいんだよ。我慢しないで。」
助けて…とマールを見るが首を横に振られた。
こうなったリオンは止められないのは、この教室の皆が知っていることだ。
クラスメイトがくすくすと笑っている。
レスリル先生も苦笑して止める気がなさそうだ。
だが、このままでは授業が進まない。
リオンを納得させねばと僕はエスターについて考える。
エスターは苦手だが、嫌いかと言われれば断言できない。
「僕…エスター様は苦手だけど…嫌いではないよ。」
ほとんぼこの生では会っていないから嫌いという感情はわかない。
確かに、今までも死ぬ原因だし、意地悪もいっぱいされた。
けれど、彼は僕が死んだあと一番後悔する人でもある。
ゲームの知識で、実際はどうかわからないけど。
攻略対象は後悔はするけれど、エスター程後悔する人はいない。
エスターは直接、僕が死んでるところを見ているわけだものなぁ。
ロイスは、可哀そうなことをしたな…程度だ。
一番ひどい殺され方をするけど、彼は僕を殺した時には感情が壊れていたから。
感情が戻ってからは、少し僕を思い出すくらいはしてたよな気がする。
トリスティは、薬を作る方向に考えがシフトしているから後悔は一瞬だし、しばらく僕は生きている。
直接死んだのを見たわけでもないし、間に合わなかったけど、僕のような人を増やさないようにと奮起する感じだったと思う。
リノと商人の息子は、手を下しているわけでもない。
巻き込まれたくらいの感情だ。
リノに至っては、エスターを庇って僕が勝手に毒を飲んだんだろうという感じだったと思う。
エスターは、ずっと僕の死を抱えてその後生きている。
意地悪だったけど、弟と認めてくれていたのも知っている。
いや…弟として思うように努力していたことを…と言った方がいいのかもしれない。
以前の生で、常に意地悪されていたわぇでもない。
不器用な彼が本当に稀だけど、誰もいないのを見てから乱暴に撫でられる感触も覚えている。
陛下の愛情を求めて、僕を憎んでいる人だけれど、憎しみばかりではなく弟として愛そうともしてくれていた。
苦手だし、近寄ってほしくはない。
けれども憎み切れない。
嫌いだと断言できない。
不器用だけど、兄だった人だ。
「なら…好き?」
リオンの問いかけに、僕は首を傾げた。
「うーん…僕は小さな頃にエスター様を見かけただけだもの…好きとか嫌いとは、わからない。嫌われていると聞いているから…僕は、近寄ってはダメなのだろうなと思うけれど。」
でもでもというリオンを半ば強引に、席に座らせて、ふぅとため息をつく。
レスリル先生は、口をとがらせているリオンに苦笑すると授業を進め始めた。
そうだ…エスターという兄は苦手だけれど嫌いではないと思う。
家族なのだ。
離れているけれど。
今は、兄弟でもないけれど。
兄…。
そこで、ジークハルトへの思いは、やっぱり大好きな兄をとられたという感情に近いのかなと思う。
しかし、どうにもピンとこない。
ペンを動かしつつ、思い当たる感情を探す。
すごく前に同じようなことを思ったんだよなぁ。
ふと思い当たった。
そうだ…あいつ…妹だ。
妹に彼氏ができたって言われた時だ。
肩の荷が下りたような、ムカつくような…うれしいような悲しいような複雑なあれだ。
つまり…ジークハルトにロイスという彼氏ができて、僕はそう思ってるということなのだろう。
兄をとられたというには、庇護対照的な感情があるのは微妙だが。
なんとなく…ジークハルトが一番この生では変化があるんだよなぁ。
そう、ジークハルトは、変わったと思う。
この生でのジークハルトは、とてもやわらかい。
以前の生のジークハルトは、堅物という感じだった。
優しいけど真面目で、少し融通が利かない。
真面目って、良いところだけど、悪いところでもある。
もう少し緩く生きても良いのに。
そう思ってしまうくらい、まっすぐな人だった。
だから、庇護対象のラスティを守れなかったという事でジークハルトは、折れてしまった。
心が壊れてしまっていた。
冷徹な任務だけに忠実な騎士団長という表面を纏い、何も感じない感情を失った人形のように。
でもだ…今のこの生のジークハルトはきっとそうはならないだろう。
たとえ、僕が死んでも。
きっとロイスやみんなと一緒に悲しんでくれるだろうけど、人間らしく立ち直ってくれるだろう。
ふふ…そう考えたらジークハルトって世話の焼ける弟って感じで僕は見てるのかも。
エスターが、たとえばリオンとくっついてもなんとも思わないというか、へぇ~くらいの感情しかわかないだろうから、僕はエスターよりジークハルトを家族と思ってしまっているんだろうな。
僕は、自分の感情の方向をなんとなくつかんだような感じがしてほっとしていた。
この時の僕は、気が付いていなかった。
僕を見つめる視線に。
エスターあんまり関係ないし。
というか関係ない。
僕は、首を横に振る。
「いや…エスター様は関係ないよ…。」
リオンがぶんぶんと首を横に振った。
「いやいや、無理しないで。あいつもずいぶん変わったんだよ。あれでも…あ…でも朝からにらまれて怖かった??ほんとごめん。怒っとくから。怖くないよ。もしあいつが意地悪して来たら、僕がぶん殴ってやるから。ラスティは何にも心配しなくていいよ!!」
いや…本当にエスター関係ないし。
リオンの必死の訴えに僕は首をふる。
「いや…エスター様は関係ないよ……。本当に。」
リオンが、がたんと椅子を倒して立ち上った。
それから僕に抱き着いてくる。
「はぁ~かわいいなぁラスティは!!無理しない。大丈夫だって、君がエスター苦手なのは当たり前のことなんだから。嫌なら嫌って言えばいいんだよ。我慢しないで。」
助けて…とマールを見るが首を横に振られた。
こうなったリオンは止められないのは、この教室の皆が知っていることだ。
クラスメイトがくすくすと笑っている。
レスリル先生も苦笑して止める気がなさそうだ。
だが、このままでは授業が進まない。
リオンを納得させねばと僕はエスターについて考える。
エスターは苦手だが、嫌いかと言われれば断言できない。
「僕…エスター様は苦手だけど…嫌いではないよ。」
ほとんぼこの生では会っていないから嫌いという感情はわかない。
確かに、今までも死ぬ原因だし、意地悪もいっぱいされた。
けれど、彼は僕が死んだあと一番後悔する人でもある。
ゲームの知識で、実際はどうかわからないけど。
攻略対象は後悔はするけれど、エスター程後悔する人はいない。
エスターは直接、僕が死んでるところを見ているわけだものなぁ。
ロイスは、可哀そうなことをしたな…程度だ。
一番ひどい殺され方をするけど、彼は僕を殺した時には感情が壊れていたから。
感情が戻ってからは、少し僕を思い出すくらいはしてたよな気がする。
トリスティは、薬を作る方向に考えがシフトしているから後悔は一瞬だし、しばらく僕は生きている。
直接死んだのを見たわけでもないし、間に合わなかったけど、僕のような人を増やさないようにと奮起する感じだったと思う。
リノと商人の息子は、手を下しているわけでもない。
巻き込まれたくらいの感情だ。
リノに至っては、エスターを庇って僕が勝手に毒を飲んだんだろうという感じだったと思う。
エスターは、ずっと僕の死を抱えてその後生きている。
意地悪だったけど、弟と認めてくれていたのも知っている。
いや…弟として思うように努力していたことを…と言った方がいいのかもしれない。
以前の生で、常に意地悪されていたわぇでもない。
不器用な彼が本当に稀だけど、誰もいないのを見てから乱暴に撫でられる感触も覚えている。
陛下の愛情を求めて、僕を憎んでいる人だけれど、憎しみばかりではなく弟として愛そうともしてくれていた。
苦手だし、近寄ってほしくはない。
けれども憎み切れない。
嫌いだと断言できない。
不器用だけど、兄だった人だ。
「なら…好き?」
リオンの問いかけに、僕は首を傾げた。
「うーん…僕は小さな頃にエスター様を見かけただけだもの…好きとか嫌いとは、わからない。嫌われていると聞いているから…僕は、近寄ってはダメなのだろうなと思うけれど。」
でもでもというリオンを半ば強引に、席に座らせて、ふぅとため息をつく。
レスリル先生は、口をとがらせているリオンに苦笑すると授業を進め始めた。
そうだ…エスターという兄は苦手だけれど嫌いではないと思う。
家族なのだ。
離れているけれど。
今は、兄弟でもないけれど。
兄…。
そこで、ジークハルトへの思いは、やっぱり大好きな兄をとられたという感情に近いのかなと思う。
しかし、どうにもピンとこない。
ペンを動かしつつ、思い当たる感情を探す。
すごく前に同じようなことを思ったんだよなぁ。
ふと思い当たった。
そうだ…あいつ…妹だ。
妹に彼氏ができたって言われた時だ。
肩の荷が下りたような、ムカつくような…うれしいような悲しいような複雑なあれだ。
つまり…ジークハルトにロイスという彼氏ができて、僕はそう思ってるということなのだろう。
兄をとられたというには、庇護対照的な感情があるのは微妙だが。
なんとなく…ジークハルトが一番この生では変化があるんだよなぁ。
そう、ジークハルトは、変わったと思う。
この生でのジークハルトは、とてもやわらかい。
以前の生のジークハルトは、堅物という感じだった。
優しいけど真面目で、少し融通が利かない。
真面目って、良いところだけど、悪いところでもある。
もう少し緩く生きても良いのに。
そう思ってしまうくらい、まっすぐな人だった。
だから、庇護対象のラスティを守れなかったという事でジークハルトは、折れてしまった。
心が壊れてしまっていた。
冷徹な任務だけに忠実な騎士団長という表面を纏い、何も感じない感情を失った人形のように。
でもだ…今のこの生のジークハルトはきっとそうはならないだろう。
たとえ、僕が死んでも。
きっとロイスやみんなと一緒に悲しんでくれるだろうけど、人間らしく立ち直ってくれるだろう。
ふふ…そう考えたらジークハルトって世話の焼ける弟って感じで僕は見てるのかも。
エスターが、たとえばリオンとくっついてもなんとも思わないというか、へぇ~くらいの感情しかわかないだろうから、僕はエスターよりジークハルトを家族と思ってしまっているんだろうな。
僕は、自分の感情の方向をなんとなくつかんだような感じがしてほっとしていた。
この時の僕は、気が付いていなかった。
僕を見つめる視線に。
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