72 / 233
第四章 波乱の学園生活
65 護衛騎士の二人
しおりを挟む
「おい…ジーク、襟が曲がっている。直してやるからこっちにこい。」
ロイスに呼ばれてジークハルトは、悪いなと言いながらロイスに襟を直してもらっている。
ジークハルトとロイスはとても仲がいい。
同じ騎士同士だし、二人とも強い。
尊敬しあえるのだとジークハルトは、僕にそう言った。
最初は少し距離があったけれども。
というよりは、ジークハルトがロイスを警戒していたけれども。
元々ジークハルトは少し人見知りをするし、結構攻撃的な態度をとることも多い。
ロイスが温和だし優しいので、警戒するジークハルトにも笑って接していた。
ジークハルトがロイスへの態度が変わるのはそこまで時間がかからなかった。
「よし、できた。きちんとしないとラスティ様が恥をかくんだからな?」
ぽんぽんとロイスに肩を叩かれてジークハルトは、むっとしている。
ロイスは首を傾げた。
「なんだ?いつもみたいに反論しないのか?可愛い顔して。」
ジークハルトが、ふんとロイスから顔をそむけた。
「服装を正していなかったのは俺が悪いからな。って可愛いとはなんだ、可愛いとは…。」
ロイスに食ってかかっているジークハルトだが、耳まで赤くなっている。
ジークハルトを可愛いと言えるのは、彼の両親と陛下とロイスくらいだろうなと思う。
身長がかなり高いジークハルトは、今年5年生で16歳になる。
騎士団の方々と並んでいても見劣りしないが、どことなく幼い印象がまだ残っていた。
笑顔も多くて、可愛いと皆が言うのもわかる。
「可愛いと思うが?褒めているつもりなんだが…何かおかしかったか?」
素で不思議そうに首をかしげるロイスに、ジークハルトはぐっと言葉を飲み込んでいる。
「ぅ……褒めてるというなら…一応礼はいうが…その…ありがとう。」
ロイスは、うんうんと嬉しそうに微笑む。
冒険者の時の無表情なロイスのイメージが強かったから、こうやって穏やかに微笑むロイスというのも、変化の一部なのだろうなと思いつつロイスとジークハルトの様子を眺める。
「うん。ジークハルトはそういう素直な所も可愛いな。いいところだ。」
ロイスの言葉に、ジークハルトは、顔を赤くして絶句している。
他意がないロイスの言葉は、ジークハルトは必死に言葉を探している様子だ。
僕は目の前で繰り広げられている光景は前世の妹がいたら、きっと悶えているだろう。
トリスティ曰く、そのうち二人は、勝負でもしてジークハルトは僕の婿候補から降りるのでは?などと冗談半分で言っている。
本人は否定してるが。
リオンはトリスティとロイスには興味なしのようだ。
もちろん、友人としては大切に思っているが。
リオンにその気が無いなら、別の人と恋仲になってもいいよなぁなど、と僕はお気楽に考えてしまう。
「可愛いなどと言うな。俺は…陛下とラスティを嫁にして幸せにするんだからな。可愛いではなくカッコイイを目指しているんだ!」
ジークハルトの言葉に僕は苦笑する。
「僕は、ジークハルトはカッコいいとも思っているよ。」
僕の言葉にジークハルトは、そうかとそうかと微笑む。
カッコいいし、美人さんである。
「あと、綺麗で可愛いとも思ってるけど。」
そう言って笑うと、ジークハルトは、うっと唸った。
「ラスティまでそんなことを…」
こればかりは本心だ。
ジークハルトは、かっこいいし、基本美人で綺麗だし、陛下やロイスと話していると可愛い。
僕には基本的にはカッコいいジークハルトだけども。
陛下やロイスは僕の傍にいるのだから、可愛いジークハルトも見れる。
「僕おかしなこと言った?ほんとのことしか言ってないよ?」
ロイスは、そうですねと頷く。
マールとノルンもそうですよねぇと頷いた。
「みんなして…俺は、陛下とラスティにふさわしい強い男になろうと…。」
僕は頷く。
「うん。ジークハルトはとっても強くてカッコよくて美人でカワイイと思う!すごいと思う。」
ジークハルトは、ああああ~と頭を抱えた。
いや…そうだから仕方ないだろう。
強くて、美人で、可愛いのだから仕方ない。
ジークハルトには悪いが、僕に『俺』の記憶がある限り16歳の少年の行動は初々しくて可愛いところなんぞ数えきれないくらいあるものだ。
「ラスティの曇りのない瞳にそれを言われると、嬉しいんだか悲しいのかわからん。」
もちろん、ジークハルトは未だに陛下に勝負を挑んでいるし、最近はロイスも陛下に勝負を挑んでいる。
ロイスは、どうやら真剣にジークハルトのことを考えているようだ。
どうにも、ロイスも鈍いほうで、自分自身の気持ちを勘違いしているようだけどと陛下は笑っていた。
ロイス曰く、ジークハルトの眼を覚ましてやりたいのだと陛下に挑んでいるらしい。
目を覚まさせるとは?と聞くと、愛情の種類のことだろうねと陛下は笑っていた。
それならば、僕に感じていた。
ジークハルトの僕への思いは、どう考えても親愛だとロイスも思っているらしい。
それを認めてもらうために陛下に挑んでいるという。
なんでそれで陛下に挑むことになるのか。
ちょっと僕にはわからないと陛下に言うと陛下も少し首をかしげていた。
陛下は、ロイスはジークハルトをパートナーにする機会が欲しいと無自覚に思っているのでは?と苦笑した。
勘違いしているジークハルトを何とかしたいと陛下にはロイスは言っているらしいけども。
ジークハルトの陛下と僕を自分の手で幸せにしたいという思いは、恋愛系の好きではないのだろう。
ご両親のバルハルト公とジェン公を知って何となくわかることだが。
二人とも守りたいなら手元に囲えという考えがある。
陛下を嫁にとか、僕を息子にという二人の考えをジークハルトは継いでいる。
大切だから、自分の手元にという考えが、二人とも嫁にという言葉なのだろう。
分かっていて付き合う陛下も陛下だ。
忙しいのに、頻繁にジークハルトとロイスと勝負している。
けれども、陛下もそんな時間が取れるくらい余裕が出てきているのは、良いことだろう。
僕としては、大切な兄であるジークハルトの相手はしっかり見極めたい。
ロイスはいい人だけども…。
ロイスに呼ばれてジークハルトは、悪いなと言いながらロイスに襟を直してもらっている。
ジークハルトとロイスはとても仲がいい。
同じ騎士同士だし、二人とも強い。
尊敬しあえるのだとジークハルトは、僕にそう言った。
最初は少し距離があったけれども。
というよりは、ジークハルトがロイスを警戒していたけれども。
元々ジークハルトは少し人見知りをするし、結構攻撃的な態度をとることも多い。
ロイスが温和だし優しいので、警戒するジークハルトにも笑って接していた。
ジークハルトがロイスへの態度が変わるのはそこまで時間がかからなかった。
「よし、できた。きちんとしないとラスティ様が恥をかくんだからな?」
ぽんぽんとロイスに肩を叩かれてジークハルトは、むっとしている。
ロイスは首を傾げた。
「なんだ?いつもみたいに反論しないのか?可愛い顔して。」
ジークハルトが、ふんとロイスから顔をそむけた。
「服装を正していなかったのは俺が悪いからな。って可愛いとはなんだ、可愛いとは…。」
ロイスに食ってかかっているジークハルトだが、耳まで赤くなっている。
ジークハルトを可愛いと言えるのは、彼の両親と陛下とロイスくらいだろうなと思う。
身長がかなり高いジークハルトは、今年5年生で16歳になる。
騎士団の方々と並んでいても見劣りしないが、どことなく幼い印象がまだ残っていた。
笑顔も多くて、可愛いと皆が言うのもわかる。
「可愛いと思うが?褒めているつもりなんだが…何かおかしかったか?」
素で不思議そうに首をかしげるロイスに、ジークハルトはぐっと言葉を飲み込んでいる。
「ぅ……褒めてるというなら…一応礼はいうが…その…ありがとう。」
ロイスは、うんうんと嬉しそうに微笑む。
冒険者の時の無表情なロイスのイメージが強かったから、こうやって穏やかに微笑むロイスというのも、変化の一部なのだろうなと思いつつロイスとジークハルトの様子を眺める。
「うん。ジークハルトはそういう素直な所も可愛いな。いいところだ。」
ロイスの言葉に、ジークハルトは、顔を赤くして絶句している。
他意がないロイスの言葉は、ジークハルトは必死に言葉を探している様子だ。
僕は目の前で繰り広げられている光景は前世の妹がいたら、きっと悶えているだろう。
トリスティ曰く、そのうち二人は、勝負でもしてジークハルトは僕の婿候補から降りるのでは?などと冗談半分で言っている。
本人は否定してるが。
リオンはトリスティとロイスには興味なしのようだ。
もちろん、友人としては大切に思っているが。
リオンにその気が無いなら、別の人と恋仲になってもいいよなぁなど、と僕はお気楽に考えてしまう。
「可愛いなどと言うな。俺は…陛下とラスティを嫁にして幸せにするんだからな。可愛いではなくカッコイイを目指しているんだ!」
ジークハルトの言葉に僕は苦笑する。
「僕は、ジークハルトはカッコいいとも思っているよ。」
僕の言葉にジークハルトは、そうかとそうかと微笑む。
カッコいいし、美人さんである。
「あと、綺麗で可愛いとも思ってるけど。」
そう言って笑うと、ジークハルトは、うっと唸った。
「ラスティまでそんなことを…」
こればかりは本心だ。
ジークハルトは、かっこいいし、基本美人で綺麗だし、陛下やロイスと話していると可愛い。
僕には基本的にはカッコいいジークハルトだけども。
陛下やロイスは僕の傍にいるのだから、可愛いジークハルトも見れる。
「僕おかしなこと言った?ほんとのことしか言ってないよ?」
ロイスは、そうですねと頷く。
マールとノルンもそうですよねぇと頷いた。
「みんなして…俺は、陛下とラスティにふさわしい強い男になろうと…。」
僕は頷く。
「うん。ジークハルトはとっても強くてカッコよくて美人でカワイイと思う!すごいと思う。」
ジークハルトは、ああああ~と頭を抱えた。
いや…そうだから仕方ないだろう。
強くて、美人で、可愛いのだから仕方ない。
ジークハルトには悪いが、僕に『俺』の記憶がある限り16歳の少年の行動は初々しくて可愛いところなんぞ数えきれないくらいあるものだ。
「ラスティの曇りのない瞳にそれを言われると、嬉しいんだか悲しいのかわからん。」
もちろん、ジークハルトは未だに陛下に勝負を挑んでいるし、最近はロイスも陛下に勝負を挑んでいる。
ロイスは、どうやら真剣にジークハルトのことを考えているようだ。
どうにも、ロイスも鈍いほうで、自分自身の気持ちを勘違いしているようだけどと陛下は笑っていた。
ロイス曰く、ジークハルトの眼を覚ましてやりたいのだと陛下に挑んでいるらしい。
目を覚まさせるとは?と聞くと、愛情の種類のことだろうねと陛下は笑っていた。
それならば、僕に感じていた。
ジークハルトの僕への思いは、どう考えても親愛だとロイスも思っているらしい。
それを認めてもらうために陛下に挑んでいるという。
なんでそれで陛下に挑むことになるのか。
ちょっと僕にはわからないと陛下に言うと陛下も少し首をかしげていた。
陛下は、ロイスはジークハルトをパートナーにする機会が欲しいと無自覚に思っているのでは?と苦笑した。
勘違いしているジークハルトを何とかしたいと陛下にはロイスは言っているらしいけども。
ジークハルトの陛下と僕を自分の手で幸せにしたいという思いは、恋愛系の好きではないのだろう。
ご両親のバルハルト公とジェン公を知って何となくわかることだが。
二人とも守りたいなら手元に囲えという考えがある。
陛下を嫁にとか、僕を息子にという二人の考えをジークハルトは継いでいる。
大切だから、自分の手元にという考えが、二人とも嫁にという言葉なのだろう。
分かっていて付き合う陛下も陛下だ。
忙しいのに、頻繁にジークハルトとロイスと勝負している。
けれども、陛下もそんな時間が取れるくらい余裕が出てきているのは、良いことだろう。
僕としては、大切な兄であるジークハルトの相手はしっかり見極めたい。
ロイスはいい人だけども…。
0
お気に入りに追加
506
あなたにおすすめの小説

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた
やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。
俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。
独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。
好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け
ムーンライトノベルズにも掲載しています。
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
*
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
本編完結しました!
リクエストの更新が終わったら、舞踏会編をはじめる予定ですー!

嫁側男子になんかなりたくない! 絶対に女性のお嫁さんを貰ってみせる!!
棚から現ナマ
BL
リュールが転生した世界は女性が少なく男性同士の結婚が当たりまえ。そのうえ全ての人間には魔力があり、魔力量が少ないと嫁側男子にされてしまう。10歳の誕生日に魔力検査をすると魔力量はレベル3。滅茶苦茶少ない! このままでは嫁側男子にされてしまう。家出してでも嫁側男子になんかなりたくない。それなのにリュールは公爵家の息子だから第2王子のお茶会に婚約者候補として呼ばれてしまう……どうする俺! 魔力量が少ないけど女性と結婚したいと頑張るリュールと、リュールが好きすぎて自分の婚約者にどうしてもしたい第1王子と第2王子のお話。頑張って長編予定。他にも投稿しています。

男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる