71 / 233
第四章 波乱の学園生活
64 変わる関係性
しおりを挟む
少し早く学園についたので、皆で校門近くで立ち話をしていた。
いつものことになっていることだけれど。
あの雑貨屋の事件があってからは、ジークハルトがいても学園の行きかえりは、ロイスも護衛騎士として警護してくれている。
ロイスはメインが聖騎士だから、学園の行き帰りは毎日護衛をしてくれるが、ジークハルトのいる時は聖騎士の任務についている。
少し申し訳ないのは、僕の護衛があるから、ロイスは遠征任務が出来ない。
王宮の警護がメインの任務になってしまっている。
「いつもありがとう、ロイス。」
僕の言葉に、ロイスはにこりと笑って任務ですからお気になさらずという。
ロイスは、僕達が校門の近くに要るときは、僕たちの立ち話に付き合ってくれる。
付き合わせて悪いなぁと思うけれど…ジークハルトがロイスと話す時間を楽しみにしている。
だからいつも、ここで話してしまうのだ。
ジークハルトは、僕達の話を聞きながらロイスと小声で何か話している。
大抵は騎士団のことだけれど。
本当に仲が良くなったものだと僕は思う。
「ラスティ様、今日は帰ったらおやつは何にします?」
マールの言葉にそうだねぇと苦笑する。
昨日、マールがクッキーを作っていたのを知っている。
今日は、トリスティが僕の勉強を見てくれる日だ。
トリスティにマールは食べてもらうつもりなのだろう。
未だにマールはマッチョが好みと言っているけれど、トリスティを目で追っているのは知っている。
「マールに任せるよ。」
僕らにもマールが作ったクッキーを出してくれても嬉しい。
けど、やっぱりトリスティだけにってお土産にするつもりかもしれない。
マールの好きなように出来るように僕はそう言う。
ノルンもマールも幸せになってほしい。
「僕はノルンとマールの選んでくれるお菓子が好きだもの。」
いつも僕のことを考えて、いろいろ準備してくれる彼らの選ぶものに間違いはない。
たまに、とんでもないものを出してくることもあるけれどね。
マールは少し不服そうにしている。
「ラスティ様、知ってて意地悪ですか?」
うんと僕は頷く。
「うん、知ってるけど僕のおやつになるかどうかは知らないもの。」
マールが首を傾げた。
ノルンが笑いを堪えている。
「マールが、プレゼントにするつもりだったら僕が食べるって言うのはおかしいでしょう?」
マールは少し考えて慌てた。
「ちが…違います!!おやつ用です、べ…別にトリスティ様にって作ったわけでも…作ってますけど。今日のお勉強会のおやつにって作ったのものですから…皆様に食べてほしくて…だからトリスティ様にも食べてほしいって言うのはもちろんありますけども…でもラスティ様にも食べてもらうために…」
ノルンがあらあらと笑う。
「陛下と、ジーク様と僕は?」
マールが慌てる。
「もちろん皆さんのものも……もう!!知ってるでしょう!!ノルン!!」
くすくすと笑っていると、ジークハルトはこらっと僕にこつんとこぶしを当てた。
痛くは全くないけれど。
「マールをからかってやるな。ラスティ。」
ジークハルトに僕は笑顔で返す。
「からかってないよ。本当にどうするのか知らなかったんだから。」
そうかとジークハルトは、ため息をつく。
「少し前にクッキーを焼くってマールがトリスティ様と約束したって聞いてたから、それだろうな~とは思ってたから…おやつにって僕が言うのはおかしいでしょう?マールがトリスティ様のために焼いてお土産用にしいているのに僕が食べたいって言ったらその方が意地悪じゃないか。」
ジークハルトは少し考えてから、そうだなと頷いた。
「それなら、そうか…。」
トリスティがジークハルトの後ろで苦笑している。
「トリスティ様だって自分だけに作ってもらった方がうれしいでしょう?」
僕の言葉に、トリスティは目を丸くしてから少し赤くなった。
「それは…そうだけど…みんなと食べるのもうれしいな。」
そういってトリスティはやわらかく微笑んだ。
僕は、内心やれやれと思う。
トリスティは、はやくもう一歩踏み出せばいいのに。
そう思ってしまう。
宰相は、最近のトリスティの様子を見てそろそろ僕の婚約者候補から彼を外して他の婚約者を探してもいいだろうと陛下に言っているらしい。
僕の婚約者候補にトリスティは、なっているけどそれは後宮に入るためだ。
トリスティが落ち着いていることもあるし、僕にはロイスという護衛騎士も増えた。
基本は、ロイスは学園の行き帰りだけれど、一応トリスティとの勉強会も護衛任務に入っている。
滅多にないが、ジークハルトのいない時は、トリスティとの勉強会は、後宮に入れないロイスに合わせて王宮で行う。
図書館でという時もあるし、王宮の研究所で、魔術師長のジェン公と一緒ということもある。
トリスティとの勉強会を後宮でという限定でなくてもいい。
宰相としては、トリスティが本気ならマールを婚約者にとも思っていると陛下から聞いた。
ノルンとマールの両親にしてもそろそろ二人の婚約を考えて居るのだ。
あとはトリスティがきちんと意思表示をするだけだろう。
僕にとっては大きな変化だと思う。
いや…小さな変化かもなのかもしれない。
けれど…確実に、僕の周りは変わっていっている。
そう思う。
いつものことになっていることだけれど。
あの雑貨屋の事件があってからは、ジークハルトがいても学園の行きかえりは、ロイスも護衛騎士として警護してくれている。
ロイスはメインが聖騎士だから、学園の行き帰りは毎日護衛をしてくれるが、ジークハルトのいる時は聖騎士の任務についている。
少し申し訳ないのは、僕の護衛があるから、ロイスは遠征任務が出来ない。
王宮の警護がメインの任務になってしまっている。
「いつもありがとう、ロイス。」
僕の言葉に、ロイスはにこりと笑って任務ですからお気になさらずという。
ロイスは、僕達が校門の近くに要るときは、僕たちの立ち話に付き合ってくれる。
付き合わせて悪いなぁと思うけれど…ジークハルトがロイスと話す時間を楽しみにしている。
だからいつも、ここで話してしまうのだ。
ジークハルトは、僕達の話を聞きながらロイスと小声で何か話している。
大抵は騎士団のことだけれど。
本当に仲が良くなったものだと僕は思う。
「ラスティ様、今日は帰ったらおやつは何にします?」
マールの言葉にそうだねぇと苦笑する。
昨日、マールがクッキーを作っていたのを知っている。
今日は、トリスティが僕の勉強を見てくれる日だ。
トリスティにマールは食べてもらうつもりなのだろう。
未だにマールはマッチョが好みと言っているけれど、トリスティを目で追っているのは知っている。
「マールに任せるよ。」
僕らにもマールが作ったクッキーを出してくれても嬉しい。
けど、やっぱりトリスティだけにってお土産にするつもりかもしれない。
マールの好きなように出来るように僕はそう言う。
ノルンもマールも幸せになってほしい。
「僕はノルンとマールの選んでくれるお菓子が好きだもの。」
いつも僕のことを考えて、いろいろ準備してくれる彼らの選ぶものに間違いはない。
たまに、とんでもないものを出してくることもあるけれどね。
マールは少し不服そうにしている。
「ラスティ様、知ってて意地悪ですか?」
うんと僕は頷く。
「うん、知ってるけど僕のおやつになるかどうかは知らないもの。」
マールが首を傾げた。
ノルンが笑いを堪えている。
「マールが、プレゼントにするつもりだったら僕が食べるって言うのはおかしいでしょう?」
マールは少し考えて慌てた。
「ちが…違います!!おやつ用です、べ…別にトリスティ様にって作ったわけでも…作ってますけど。今日のお勉強会のおやつにって作ったのものですから…皆様に食べてほしくて…だからトリスティ様にも食べてほしいって言うのはもちろんありますけども…でもラスティ様にも食べてもらうために…」
ノルンがあらあらと笑う。
「陛下と、ジーク様と僕は?」
マールが慌てる。
「もちろん皆さんのものも……もう!!知ってるでしょう!!ノルン!!」
くすくすと笑っていると、ジークハルトはこらっと僕にこつんとこぶしを当てた。
痛くは全くないけれど。
「マールをからかってやるな。ラスティ。」
ジークハルトに僕は笑顔で返す。
「からかってないよ。本当にどうするのか知らなかったんだから。」
そうかとジークハルトは、ため息をつく。
「少し前にクッキーを焼くってマールがトリスティ様と約束したって聞いてたから、それだろうな~とは思ってたから…おやつにって僕が言うのはおかしいでしょう?マールがトリスティ様のために焼いてお土産用にしいているのに僕が食べたいって言ったらその方が意地悪じゃないか。」
ジークハルトは少し考えてから、そうだなと頷いた。
「それなら、そうか…。」
トリスティがジークハルトの後ろで苦笑している。
「トリスティ様だって自分だけに作ってもらった方がうれしいでしょう?」
僕の言葉に、トリスティは目を丸くしてから少し赤くなった。
「それは…そうだけど…みんなと食べるのもうれしいな。」
そういってトリスティはやわらかく微笑んだ。
僕は、内心やれやれと思う。
トリスティは、はやくもう一歩踏み出せばいいのに。
そう思ってしまう。
宰相は、最近のトリスティの様子を見てそろそろ僕の婚約者候補から彼を外して他の婚約者を探してもいいだろうと陛下に言っているらしい。
僕の婚約者候補にトリスティは、なっているけどそれは後宮に入るためだ。
トリスティが落ち着いていることもあるし、僕にはロイスという護衛騎士も増えた。
基本は、ロイスは学園の行き帰りだけれど、一応トリスティとの勉強会も護衛任務に入っている。
滅多にないが、ジークハルトのいない時は、トリスティとの勉強会は、後宮に入れないロイスに合わせて王宮で行う。
図書館でという時もあるし、王宮の研究所で、魔術師長のジェン公と一緒ということもある。
トリスティとの勉強会を後宮でという限定でなくてもいい。
宰相としては、トリスティが本気ならマールを婚約者にとも思っていると陛下から聞いた。
ノルンとマールの両親にしてもそろそろ二人の婚約を考えて居るのだ。
あとはトリスティがきちんと意思表示をするだけだろう。
僕にとっては大きな変化だと思う。
いや…小さな変化かもなのかもしれない。
けれど…確実に、僕の周りは変わっていっている。
そう思う。
0
お気に入りに追加
506
あなたにおすすめの小説

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた
やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。
俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。
独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。
好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け
ムーンライトノベルズにも掲載しています。
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
*
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
本編完結しました!
リクエストの更新が終わったら、舞踏会編をはじめる予定ですー!

嫁側男子になんかなりたくない! 絶対に女性のお嫁さんを貰ってみせる!!
棚から現ナマ
BL
リュールが転生した世界は女性が少なく男性同士の結婚が当たりまえ。そのうえ全ての人間には魔力があり、魔力量が少ないと嫁側男子にされてしまう。10歳の誕生日に魔力検査をすると魔力量はレベル3。滅茶苦茶少ない! このままでは嫁側男子にされてしまう。家出してでも嫁側男子になんかなりたくない。それなのにリュールは公爵家の息子だから第2王子のお茶会に婚約者候補として呼ばれてしまう……どうする俺! 魔力量が少ないけど女性と結婚したいと頑張るリュールと、リュールが好きすぎて自分の婚約者にどうしてもしたい第1王子と第2王子のお話。頑張って長編予定。他にも投稿しています。

男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる