不遇王子は、何故かラスボス達に溺愛される。

神島 すけあ

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第四章 波乱の学園生活

63 魔石

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「ラスティ様が作りたいものがもっとはっきりわかったら僕らも、もっと力がかせるのだけど。」

不服そうなマールにごめんねと謝る。

「僕もよくわかってないから…ごめんね。でも何でも聞く解毒剤みたいなものが作りたいんだと思う。」

僕が作ろうとしているモノは、ノルンやマールの協力をしてもらうのが難しい。
というか、僕が説明できないのだ。
説明出来たら二人も、協力してくれるだろう。
ノルンとマールも僕が何かを薬を中和する物を作りたいのはわかっているようだが。

「解毒薬と解呪薬が合わさったようなものでしょうか?」

そんな感じかなぁと僕は首をかしげる。
たぶん、水面下では流通しているだろうその薬を僕が知っているのはおかしい。
どの薬の中和する物かわからねば手伝いようもないのだ。
効果を説明するにしても…閨教育もまともに受けてない僕がそんなことを言えるわけもない。
でも、僕自身が作れるようになれば…きっと研究も進む。
それに魔石は実は、この生で、初めてのことでもある。

「そうだね…魔石が作れるようになったら…色々変わるよね。」

そう魔石が作れるようになったら作業も変わる。
魔石とは文字通り魔法の石。
使いたい魔法が込められている宝石のような石で、誰にでも使える。
戦闘用もあるようだけれど、一般的ではない。

戦闘用の魔石は、爆弾扱いだ。
投げたら爆発する物。
そもそも、魔石に込められる魔力量では大きな爆発は見込めない。
精々撤退用の煙玉くらいなものだろう。

基本は魔石は生活魔法用だ。
少ない魔力で、使える小さな魔法。
それがこの世界の魔石だ。
魔石自体が魔力を込められている。
だから、誰にでも使える。
子供は使用禁止だが。
一応14歳以下は使用禁止。
暴発する可能性が全くないわけでもないから。

「魔石も手ごろ手に入りますけど…やっぱり自分で作れると違いますから。」

昔は高額だったのだけど、今は値段は手ごろだ。
作れない人は買えばいい。
教会が無料配布しているものもある。
ただ、教会のものは質はそこまで良くないらしいけど。

「この前、リオン様がくれた教会のものを試したらすぐ壊れちゃいました。」

マールが、魔石と言えばとそう頭をかいた。
リオンに謝らないととため息をついている。

「それは仕方ないよ。リオンだってわかっていてマールに渡したのだから…謝るより、どのくらい持ったかを教えてあげたほうが喜ぶよ。」

僕の言葉にマールは、そうでしょうかと少し気分が上がったようだ
教会が預かっている孤児や幼児期の教育用に子供たちが作った練習用のモノだから脆いらしい。
魔石の作り方は簡単に言えば、魔石の元になる石に魔力を注いでその石に魔法言語を組み込む。
教会は、石に魔法を注ぐ部分を魔力のある子供たちにさせている。
この工程は、子供でもやっていいことになっている。
だから、魔力がある子供たちには、生活費稼ぎの方法として教えている。
預かっている貴族の子供達には魔力の扱いの初歩の初歩として教えているのだという。
無料配布しているのは、教会は利益目的ではないということを表したいようだとリオンが言っていた。

「子供たちの練習用の無料配布している魔石だったのでしょう?」

マールはそうですねと頷いている。
リオンは、無料配布分にもならなかったという魔石を試してほしいとノルンに渡していた。
今回はマールが使えるようになったということでマールに渡したとのこと。

「リオン様は、軽いようで責任感が強いですね。」

そうだねと頷く。
責任感は強いと思う。
けれど、前世の『俺』は多少リオンに呆れていることでもある。
責任感というのは責任がとれる者が持つものというのが『俺』の考えだ。
責任を持つなんて簡単に言えるが、そもそも責任をとれない者が持っても何ができるのかという疑問がある。
責任をとれないものが、言う『責任を持つ』程無責任な発言は無いだろう。

前世で『俺』の死の原因になった同僚の顔が浮かんだ。
あいつもそんな感じだった。
責任をもって仕事します!!という無駄な責任感を振りかざしていた。
結局何かあって後始末するのは『俺』だった。
憎めない奴だったが、どうしようもない奴だなとも思う。
どこか…リオンには、あいつの匂いがするのだ。

「ラスティ様?」

マールが僕の顔を覗き込んでいる。
ああ、ダメだなと思う。
最近どうも前世の記憶もちらつく。

「ううん、ちょっと考え事してたよ。」

ともかくだ…。
魔石自体は、以前の生の時でもあったけど、ここまで発達したのは今回が初めてのことだ。
この国覆ってい防御結界の要、核となっている宝玉を作る過程で簡単に魔力を込める方法が編み出されたという。
だから、教会で子供たちが安全にその工程を行えるし大量生産も可能になった。
順序を守って魔力を注いだらほぼ自動で充電するらしい。
電力ではないから充魔か??
ごろ悪いな。

ともかく、魔石の扱いを習ってそれから、魔石の作り方を習う。
それから、魔石を使っての実技。
初歩の初歩だから心配はしていない。

「どんな魔石を作ろうかな~」




もし、僕が回復系の魔法が使えるようになるのだったら…魔石にその魔法を込める方法もあるのだろうか。
そんなことを少し思ったのだった。



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