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第三章 学園生活の始まり
55 小鳥
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結局、夕食になっても陛下は帰ってこなかった。
僕は、お風呂に入ってから寝室で陛下を待っていた。
待っている間、薬学の本を読む。
陛下は、王宮にも寝室があるし忙しいときは後宮に来ないこともある。
そう言う時は、夕食の時に知らせてくれるけれど、たまに知らせが来ないことも。
今日は来ないかなぁ思い始めた時だった、陛下が寝室にそっと顔をのぞかせた。
「あれ?ラスティ起きてたの?」
ダメだろうと言われてあれ?と思う。
いつもはとっくに寝ている時間だった。
はやく寝なさいと苦笑され、僕は返事をしつつ本を本棚に返す。
「今日は、遅かったのですね。」
陛下は、そうだねぇと頷きつつベットに転がっている。
疲れた~と枕に顔をうずめている陛下を眺めつつベットに戻る。
「そういえば、陛下に言っておかないとと思っていたのですが…」
陛下は、枕に顔をうずめたまま頷いている。
「僕のクラスに聖者リオン様がいました。」
陛下が、はぁ??と顔をあげた。
「あの子、教会から出ているの??聖者は14まで教会の中で過ごすって決まりがあるのに?」
陛下が、少し考えてから、なるほど…とつぶやいた。
「学園の位置を考えると教会の持っている土地に挟まれているから、聖者の行動範囲内としたということか?屁理屈に近いけど…まぁ…あの子がすでに屁理屈的な聖者だから仕方ないか…。」
陛下の言葉に僕は首を傾げた。
「屁理屈的な聖者?」
そうと陛下は頷いた。
「聖者リオンは、聖者に必要な神力がない。…いや…6歳の時に神力が消えた。通常はその時点で新しい聖者が現れるのだけど…聖者が現れたという報告が無くてね。代わりに彼は夢という形で世界の滅亡の夢を見始めたという。教会は神力の代わりに予言の力を手に入れたのだというけれども…私は違うと思っている。教会も新たな聖者を見つけるまでの繋ぎとしか思っていないのだろう。聖者リオンを、自由にさせているようだね。」
陛下は、困ったねぇとため息をついた。
「私としては…ラスティにあの子に近寄っては欲しくないんだけど…自由は奪いたくないし…」
うーんと陛下は悩んでからそうだとつぶやいた。
空中に指をくるくると回しながら呪文を囁く。
いつもより長い呪文だけど、陛下が伝令用の小鳥を生み出すときの呪文だ。
僕もはやく使えるようになったら陛下は少しは安心するかな…。
と思っていたら白い小鳥が陛下の手の平に生み出された。
小鳥の紫色のつぶらな瞳が僕を見る。
お腹の所に金色の王家の紋が浮かんでいる小鳥が僕の頭の上に乗った。
ちちち…と鳴くと姿を消した。
「ラスティから私に連絡が取れるように使い魔を作ったよ。」
使い魔…と僕はぽかんとする。
高等魔術をっぽんと使わないように陛下。
「ラスティの命令を聞くと思うから、話しかけてごらん。」
僕は、少し考えて、人差し指を前に出すと、おいでと言ってみた。
ちょんと姿が現れて僕の人差し指に小鳥がとまった。
「名前を付けておけば、呼びやすいかもね?」
陛下の言葉に僕は少し考えて、ちらりと陛下を見る。
陛下と同じ紫の瞳の小鳥。
「なら…君はディーね?」
小鳥、ディーは、チチと鳴くとパタパタと羽を動かした。
陛下は、苦笑している。
「陛下と同じ紫の瞳だったので…。」
僕がそういうと陛下は嬉しそうに目を細めた。
「そうだね…私の魔力を受けて生み出された使い魔は紫になるかな…瞳が。」
そう陛下は微笑むと小鳥を自分の方に呼びもどしていくつかまた呪文を重ねている。
「そんな可愛いことをされてしまうと…消すのが忍びないから強化しておいたよ。ラスティが魔術を使えるようになるまでは、この子が助けてくれるだろう。」
ありがとうございます、と言いながら先ほど陛下が使っていた呪文を思い出す。
いくつかわからないものもあったけれど、わかるものの中に少々怖いものがあったが…まぁいいかと流した。
僕のためにと考えてくれた結果…だと思うので…。
……だよね…僕のこと考えてだよね???
小鳥をなでつつ陛下の様子を見ていて、ふっと思い出したことを
「陛下…リオン君が聖者では無くなったらどうなるのですか?」
彼は陛下の認識では、聖者でないのに聖者を名乗っていることになっていないか?と思う。
彼のことはそこまで好きなわけではないけれど…やはり心配にはなる。
「どうだろうね。そこは教会が決めることだ。彼に人とは違う特徴があることは確かなのだから、問題はないと思っているよ…まぁ…教会が一番、罰したいのは…私だろうけれどね。」
僕が首をかしげると陛下は、微笑んだ。
「まぁ…もしリオンが聖者か聖者でないか気になるなら…胸の所に六つの小さな花の紋章があるか見てみたらいい。聖者にはそこに紋章が浮かぶそうだよ。かなり小さなものらしいけど、六角形になっていると聞いたことがあるな。これは教会の大神官や王族の一部しか知らないことだから、内緒だよ?」
僕は、はいと頷きながら、陛下が何故教会に罰を受けなければならないんだ?と首をかしげた。
僕は、お風呂に入ってから寝室で陛下を待っていた。
待っている間、薬学の本を読む。
陛下は、王宮にも寝室があるし忙しいときは後宮に来ないこともある。
そう言う時は、夕食の時に知らせてくれるけれど、たまに知らせが来ないことも。
今日は来ないかなぁ思い始めた時だった、陛下が寝室にそっと顔をのぞかせた。
「あれ?ラスティ起きてたの?」
ダメだろうと言われてあれ?と思う。
いつもはとっくに寝ている時間だった。
はやく寝なさいと苦笑され、僕は返事をしつつ本を本棚に返す。
「今日は、遅かったのですね。」
陛下は、そうだねぇと頷きつつベットに転がっている。
疲れた~と枕に顔をうずめている陛下を眺めつつベットに戻る。
「そういえば、陛下に言っておかないとと思っていたのですが…」
陛下は、枕に顔をうずめたまま頷いている。
「僕のクラスに聖者リオン様がいました。」
陛下が、はぁ??と顔をあげた。
「あの子、教会から出ているの??聖者は14まで教会の中で過ごすって決まりがあるのに?」
陛下が、少し考えてから、なるほど…とつぶやいた。
「学園の位置を考えると教会の持っている土地に挟まれているから、聖者の行動範囲内としたということか?屁理屈に近いけど…まぁ…あの子がすでに屁理屈的な聖者だから仕方ないか…。」
陛下の言葉に僕は首を傾げた。
「屁理屈的な聖者?」
そうと陛下は頷いた。
「聖者リオンは、聖者に必要な神力がない。…いや…6歳の時に神力が消えた。通常はその時点で新しい聖者が現れるのだけど…聖者が現れたという報告が無くてね。代わりに彼は夢という形で世界の滅亡の夢を見始めたという。教会は神力の代わりに予言の力を手に入れたのだというけれども…私は違うと思っている。教会も新たな聖者を見つけるまでの繋ぎとしか思っていないのだろう。聖者リオンを、自由にさせているようだね。」
陛下は、困ったねぇとため息をついた。
「私としては…ラスティにあの子に近寄っては欲しくないんだけど…自由は奪いたくないし…」
うーんと陛下は悩んでからそうだとつぶやいた。
空中に指をくるくると回しながら呪文を囁く。
いつもより長い呪文だけど、陛下が伝令用の小鳥を生み出すときの呪文だ。
僕もはやく使えるようになったら陛下は少しは安心するかな…。
と思っていたら白い小鳥が陛下の手の平に生み出された。
小鳥の紫色のつぶらな瞳が僕を見る。
お腹の所に金色の王家の紋が浮かんでいる小鳥が僕の頭の上に乗った。
ちちち…と鳴くと姿を消した。
「ラスティから私に連絡が取れるように使い魔を作ったよ。」
使い魔…と僕はぽかんとする。
高等魔術をっぽんと使わないように陛下。
「ラスティの命令を聞くと思うから、話しかけてごらん。」
僕は、少し考えて、人差し指を前に出すと、おいでと言ってみた。
ちょんと姿が現れて僕の人差し指に小鳥がとまった。
「名前を付けておけば、呼びやすいかもね?」
陛下の言葉に僕は少し考えて、ちらりと陛下を見る。
陛下と同じ紫の瞳の小鳥。
「なら…君はディーね?」
小鳥、ディーは、チチと鳴くとパタパタと羽を動かした。
陛下は、苦笑している。
「陛下と同じ紫の瞳だったので…。」
僕がそういうと陛下は嬉しそうに目を細めた。
「そうだね…私の魔力を受けて生み出された使い魔は紫になるかな…瞳が。」
そう陛下は微笑むと小鳥を自分の方に呼びもどしていくつかまた呪文を重ねている。
「そんな可愛いことをされてしまうと…消すのが忍びないから強化しておいたよ。ラスティが魔術を使えるようになるまでは、この子が助けてくれるだろう。」
ありがとうございます、と言いながら先ほど陛下が使っていた呪文を思い出す。
いくつかわからないものもあったけれど、わかるものの中に少々怖いものがあったが…まぁいいかと流した。
僕のためにと考えてくれた結果…だと思うので…。
……だよね…僕のこと考えてだよね???
小鳥をなでつつ陛下の様子を見ていて、ふっと思い出したことを
「陛下…リオン君が聖者では無くなったらどうなるのですか?」
彼は陛下の認識では、聖者でないのに聖者を名乗っていることになっていないか?と思う。
彼のことはそこまで好きなわけではないけれど…やはり心配にはなる。
「どうだろうね。そこは教会が決めることだ。彼に人とは違う特徴があることは確かなのだから、問題はないと思っているよ…まぁ…教会が一番、罰したいのは…私だろうけれどね。」
僕が首をかしげると陛下は、微笑んだ。
「まぁ…もしリオンが聖者か聖者でないか気になるなら…胸の所に六つの小さな花の紋章があるか見てみたらいい。聖者にはそこに紋章が浮かぶそうだよ。かなり小さなものらしいけど、六角形になっていると聞いたことがあるな。これは教会の大神官や王族の一部しか知らないことだから、内緒だよ?」
僕は、はいと頷きながら、陛下が何故教会に罰を受けなければならないんだ?と首をかしげた。
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