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第三章 学園生活の始まり
53 陛下の悪戯
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陛下は僕の下腹あたりで円を描く。
くすぐったいと笑う僕に楽しそうに目を細めた。
「ふふ…まだまだ小さいねぇ~。」
陛下は、楽し気に目を細める。
くるくると下腹に円を描く陛下にくすぐったいと笑いながら抗議する。
陛下はうんうんと頷いているけどやめる気配がない。
すごく楽しそうだ。
「も…へ…いかぁ…くふふ…やめ…」
流石に陛下を蹴るわけにもいかず、ぱたぱたと足を動かす。
けれども、陛下にはわずかな抵抗だろう。
すごく楽しそうな陛下に困ってしまう。
仕事のストレス溜まっているだろう。
僕で遊んでいるだけだ。
とはいっても僕で遊ばないでほしい。
「も~くふふぅ~……んぅ~」
くすぐったいと手もぱたぱたしてみるが効果なし。
このままだとノルンとジークハルトが帰るまでこのまま遊ばれるのだろうか。
それはちょっときついかもしれない。
そんなことを思っていると陛下の手が止まった。
流石にそこまではしなかったかと内心苦笑する。
背中にソファのふわふわの感覚を感じながら息を整えていると陛下がまた下腹に円を描く。
またか…と思ったが一回だけで陛下は、口を開いた。
「紋章が、このあたりに移動するんだよ。」
もしや…さっそくの教育でしょうか。
このままだと僕のほうが子供産むことになるよなぁ。
などと思っていると陛下は苦笑している。
「ねぇ…ラスティは危機感とか無いのかな?」
陛下に危機を感じろと言うことでしょうか?と僕は首を傾げた。
目を丸くする陛下に言う。
「僕は陛下の妃でしょう?陛下は僕がいらなくなりました?」
陛下が本気で僕に何かしようとしたら、僕は止めれない。
実力差がどれだけあると思うんだ。
陛下は顔をゆがめるとため息をついた。
いらなくなるはずないでしょ?と。
「そこまで信用されると…ちょっと…からかおうとした私の良心が痛むんだが…」
まいったなぁと陛下は、またくるりと僕の下腹に円を描く。
くすぐったいですと抗議する僕にうんと陛下は頷いた。
「ここにね…いつか受け入れてくれたらいいなと思うけど…嫌なら本当に言ってほしい。」
陛下の暖かい大きな手が僕の下腹を覆う。
「ここに…私を受け入れてくれたら…赤ちゃんができるんだ。」
僕の体はまだまだ小さいなぁと陛下の手の大きさを感じて改めて思う。
「もう少ししたら…きちんと方法も教えないとだね…でも…ごめんね…まだ君には…子供でいてほしいかな。」
陛下は寂しそうに微笑みながら僕の服を整えている。
違和感。
そう違和感だ。
陛下は、何かと比べながら言葉を紡いでいる。
君にはといった陛下は誰と比べているのか。
もしかしたら、陛下自身と?
おそらくすぐにでも教育されそうな、ジークハルトという可能性もある。
王族は早々に色々教育されるから、子供時代は短いだろう。
けど…何か違うと思う。
「……君の意思で…決めてほしい。」
陛下の眼が僕ではない何かを見ている。
そんな風に感じた。
「そう…君の意思で。」
陛下の瞳に暗い影がよぎる。
「私のものになるかどうか…。」
何かを思い出しているような陛下に心臓が跳ねた。
もしかしたら…あの時のこと?
本当に陛下は、繰り返しの世界のことをわかっている?
知っているから王妃にしたのだろうか。
僕が、王子だと死んでしまうから?
でも、僕はそのことを口にしようとしてやめた。
もし、そうだとして…陛下が僕がそのことを覚えていると知ったら…。
僕が覚えていると知って陛下は喜ぶかな。
僕がエスターに言われるがままに毒を飲んでいたことを?
ふらふら出歩いて冒険者に殺されたことを?
薬の所為だとしても…僕を助けるためでも…自我の無い僕を抱いていたことを?
そんなことを僕が覚えていると知って陛下は喜ぶだろうか。
僕だったら嫌だな。
陛下が覚えていたとしても…僕には覚えていてほしくないと思う。
僕も陛下に覚えていてほしくない。
それに、今の言葉に当てはまる人は、過去の僕とは別に、陛下の周りには、二人いる。
僕の知っている範囲だけど。
一人は、陛下の前の王妃様。
彼は、自分の意思で陛下の妻になったわけではない。
政略結婚でうまく行っていないわけだし。
陛下は、自分の子供でないエスターを育てることになった。
もう一人は陛下の弟君。
自分の意思と言えない政略結婚の末に亡くなった。
陛下の家族。
暗い瞳の陛下を思い出す。
あの時の陛下と今の陛下は同じ瞳の色だ。
そんな瞳をさせる人は僕は陛下の弟君の話の時くらいしか見ていないと思う。
たまに暗い瞳を見せるときはあるけど…ここまで暗い瞳の陛下を見たのはあの時だろう。
そうか…たぶん…弟君のことを陛下は思い出したんだ。
僕は、起き上がると陛下の膝の上に収まった。
陛下は首をかしげつつ僕の行動を見守っていた。
「陛下」
僕は陛下を呼ぶと自分の口を陛下の口に押し付ける。
軽くだけども。
陛下は目を丸くした。
「違いました?」
かわいらしく首をかしげて何も知らないふりをする。
このくらいの反撃をしてもいいよね。
陛下は、苦笑すると僕の頭を撫でた。
「ラスティ…それは別の人にしないこと。パートナー同士しかしてはダメだからね?」
はいと頷きつつ、僕は陛下大好きと笑顔を向ける。
僕の陛下への好きという感情は家族…なのかなと少し疑問に持ったけど…。
陛下がまだ子供でいいというから見ないことにした。
くすぐったいと笑う僕に楽しそうに目を細めた。
「ふふ…まだまだ小さいねぇ~。」
陛下は、楽し気に目を細める。
くるくると下腹に円を描く陛下にくすぐったいと笑いながら抗議する。
陛下はうんうんと頷いているけどやめる気配がない。
すごく楽しそうだ。
「も…へ…いかぁ…くふふ…やめ…」
流石に陛下を蹴るわけにもいかず、ぱたぱたと足を動かす。
けれども、陛下にはわずかな抵抗だろう。
すごく楽しそうな陛下に困ってしまう。
仕事のストレス溜まっているだろう。
僕で遊んでいるだけだ。
とはいっても僕で遊ばないでほしい。
「も~くふふぅ~……んぅ~」
くすぐったいと手もぱたぱたしてみるが効果なし。
このままだとノルンとジークハルトが帰るまでこのまま遊ばれるのだろうか。
それはちょっときついかもしれない。
そんなことを思っていると陛下の手が止まった。
流石にそこまではしなかったかと内心苦笑する。
背中にソファのふわふわの感覚を感じながら息を整えていると陛下がまた下腹に円を描く。
またか…と思ったが一回だけで陛下は、口を開いた。
「紋章が、このあたりに移動するんだよ。」
もしや…さっそくの教育でしょうか。
このままだと僕のほうが子供産むことになるよなぁ。
などと思っていると陛下は苦笑している。
「ねぇ…ラスティは危機感とか無いのかな?」
陛下に危機を感じろと言うことでしょうか?と僕は首を傾げた。
目を丸くする陛下に言う。
「僕は陛下の妃でしょう?陛下は僕がいらなくなりました?」
陛下が本気で僕に何かしようとしたら、僕は止めれない。
実力差がどれだけあると思うんだ。
陛下は顔をゆがめるとため息をついた。
いらなくなるはずないでしょ?と。
「そこまで信用されると…ちょっと…からかおうとした私の良心が痛むんだが…」
まいったなぁと陛下は、またくるりと僕の下腹に円を描く。
くすぐったいですと抗議する僕にうんと陛下は頷いた。
「ここにね…いつか受け入れてくれたらいいなと思うけど…嫌なら本当に言ってほしい。」
陛下の暖かい大きな手が僕の下腹を覆う。
「ここに…私を受け入れてくれたら…赤ちゃんができるんだ。」
僕の体はまだまだ小さいなぁと陛下の手の大きさを感じて改めて思う。
「もう少ししたら…きちんと方法も教えないとだね…でも…ごめんね…まだ君には…子供でいてほしいかな。」
陛下は寂しそうに微笑みながら僕の服を整えている。
違和感。
そう違和感だ。
陛下は、何かと比べながら言葉を紡いでいる。
君にはといった陛下は誰と比べているのか。
もしかしたら、陛下自身と?
おそらくすぐにでも教育されそうな、ジークハルトという可能性もある。
王族は早々に色々教育されるから、子供時代は短いだろう。
けど…何か違うと思う。
「……君の意思で…決めてほしい。」
陛下の眼が僕ではない何かを見ている。
そんな風に感じた。
「そう…君の意思で。」
陛下の瞳に暗い影がよぎる。
「私のものになるかどうか…。」
何かを思い出しているような陛下に心臓が跳ねた。
もしかしたら…あの時のこと?
本当に陛下は、繰り返しの世界のことをわかっている?
知っているから王妃にしたのだろうか。
僕が、王子だと死んでしまうから?
でも、僕はそのことを口にしようとしてやめた。
もし、そうだとして…陛下が僕がそのことを覚えていると知ったら…。
僕が覚えていると知って陛下は喜ぶかな。
僕がエスターに言われるがままに毒を飲んでいたことを?
ふらふら出歩いて冒険者に殺されたことを?
薬の所為だとしても…僕を助けるためでも…自我の無い僕を抱いていたことを?
そんなことを僕が覚えていると知って陛下は喜ぶだろうか。
僕だったら嫌だな。
陛下が覚えていたとしても…僕には覚えていてほしくないと思う。
僕も陛下に覚えていてほしくない。
それに、今の言葉に当てはまる人は、過去の僕とは別に、陛下の周りには、二人いる。
僕の知っている範囲だけど。
一人は、陛下の前の王妃様。
彼は、自分の意思で陛下の妻になったわけではない。
政略結婚でうまく行っていないわけだし。
陛下は、自分の子供でないエスターを育てることになった。
もう一人は陛下の弟君。
自分の意思と言えない政略結婚の末に亡くなった。
陛下の家族。
暗い瞳の陛下を思い出す。
あの時の陛下と今の陛下は同じ瞳の色だ。
そんな瞳をさせる人は僕は陛下の弟君の話の時くらいしか見ていないと思う。
たまに暗い瞳を見せるときはあるけど…ここまで暗い瞳の陛下を見たのはあの時だろう。
そうか…たぶん…弟君のことを陛下は思い出したんだ。
僕は、起き上がると陛下の膝の上に収まった。
陛下は首をかしげつつ僕の行動を見守っていた。
「陛下」
僕は陛下を呼ぶと自分の口を陛下の口に押し付ける。
軽くだけども。
陛下は目を丸くした。
「違いました?」
かわいらしく首をかしげて何も知らないふりをする。
このくらいの反撃をしてもいいよね。
陛下は、苦笑すると僕の頭を撫でた。
「ラスティ…それは別の人にしないこと。パートナー同士しかしてはダメだからね?」
はいと頷きつつ、僕は陛下大好きと笑顔を向ける。
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