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第三章 学園生活の始まり
51 聖者の予言
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迎えの騎士は、僕の前に跪き僕の手を取った
「お初にお目にかかります。ラスティ様。我が名は、ロイス・ヘリオトロープ。本日より御身の護衛騎士としてお仕えいたします。」
そこまで言うと顔を上げた。
綺麗なハシバミ色の瞳が僕の瞳を見ている。
「本当に金色なんだな…。綺麗だ…。」
彼は小さく呟いて、しまったと顔をゆがめる。
僕は、彼の手の上に置いていた手をゆっくりと外して微笑む。
「騎士ロイス様、お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。」
僕の言葉に、ロイスは頷いた。
「あと、僕は普段は普通に話してほしいので…ご無理でなければ敬語はやめてほしいです。」
少し考えてからロイスは頷く。
「それは…助かる…俺は下級の出でな…まだマナーなどは勉強中なんだ…。もちろん公的の場ではキチンっとするつもりだが…ラスティ様が、気分を害されないならマナーを習得するまでは大目に見てもらえると助かる…。」
僕のはいという返事にロイスが、ほっとしている。
そんなロイスにリオンが、にこにこと話しかけてきた。
「はじめまして、僕はリオン。ラスティ様とお友達になりたい同級生。教会で聖者やってるんだ。」
ロイスは、どうしたらいいかと僕を見る。
それはそうだろう。
同級生は正解。
まだ、友達ではない。
ここも正解。
なら、追い払う対象なのかとロイスは思っただろうが、聖者だ。
しかし、軽い。
この子扱いはどうしたら…、真面目そうなロイスの視線が言っている。
「まぁ…リオン様とはこれから仲良くなれたらなという感じです……。」
僕の複雑な表情を読み取ったのだろう、ロイスは、はぁ…と困惑を含んだ声色の返事をした。
「お待たせしました。」
マールが走って戻ってきた。
先生に怒られたと肩を落とすマールに僕は苦笑する。
「では、帰りましょうか。馬車は少し離れたところに待たせています。お買い物を希望しているとの連絡をジークハルトから聞いていますが、いかがいたしますか?」
ロイスは、聖者の前だからと口調を改めたようだ。
昼休みにジークハルトは彼に連絡を入れていたらしい。
できれば、止めてくれと。
ロイスは、少しジークハルトが苦手なのだとマールが耳打ちしてくれた。
ジークハルトからのロイスへのあたりが強いらしく、他の者も首をかしげているという。
基本的に紳士なジークハルトがそうなるのは、ロイスをライバル視でもしているのかもしれない。
優秀な聖騎士だというから。
リオンが、それを聞いて、そういえばと首を傾げた。
「ねぇ…ロイスさん。色は見えてるの?ラスティ様の金の瞳を綺麗って言ってたけど。」
ロイスが首をかしげる。
変な質問だなと思う。
「え?はい…見えているが…。」
リオンは、紙をカバンから引っ張り出すと何色かのインクをたらしてロイスに見せた。
「これ!何色?」
ロイスは、不思議そうに答える。
特に問題ないようだ。
リオンはその結果に、ふむ…と首を傾げた。
「あのさ…ロイスさんは、目を気を付けて。何かで戦う時に目の組織がやられて色がわからなくなって…大変なことを起こしてしまうかもしれないから。あと、ラスティ様のお顔は絶対に覚えておくこと。」
よい?とリオンは首をかしげた。
ロイスは、少し考えたが、これが聖者の予言なのか??とぽつりとつぶやき、必ず…と頷く。
「はい。分かりました。」
マールが、ぽかんと口を開けていたが、少し興奮気味に僕の腕をつかんだ。
「すごいです。初めて見ました。聖者の予言。」
予言?と僕は首をかしげる。
リオンは、うんと頷いた。
「予言っていうことではないんだけど…ぼくね、夢で見ることが正夢になることがあるんだ。くりかえし、いろいろなことで…世界が終わってしまう夢。」
僕の心臓がどくりと音を立てた。
リオンは、繰り返しの世界を夢で見て知っている?
ロイスの眼の色が判別できるかどうかの確認を行ったのは…以前の生で僕を殺した時の状況だ。
僕は一目見て王家のものだとわかる色を持っている。
なのに、冒険者の時のロイスにはわからなかった。
それは…冒険者になったロイスの眼が色を見る力を失っていたからだ。
リオンは、やはりこの世界が繰り返していることを知っている?
僕は、リオンを見た。
彼はとても…不安そうな表情をしていた。
「夢だって…笑わないでね?でも…僕はその夢で世界が終わるのは…神様が怒った所為って知ってる。」
リオンは、ぎゅうと僕の手を握ってきた。
まっすぐに僕の眼を見つめて微笑む。
「その夢で、神様が怒った理由も知ってる。僕が今も聖者だって言うなら、この夢は神様が注意しなさいって見せてくれてるものだと思う。だから…僕の見た夢の範囲のことは原因をつぶそうって思ってるんだ。ねぇ、ラスティ様。ラスティ様の瞳は本物の神様の窓なんだ。ラスティ様が幸せだと神様も幸せなんだ。だから…だからだよ。陛下との婚姻が嫌だったら言って?ぼくが攫ってあげる。教会で守ってあげる。紋章は消せないけど…絶対に幸せにするから。本当に嫌だったら絶対に言って…絶対だよ。ラスティ様は、知らないだろけど……。」
リオンは僕にだけ聞こえるような小さな声でつぶやいた。
「陛下は…とても…おそろしい人だから……。」
僕は、リオンの言葉に首を傾げつつ微笑む。
まぁ…陛下はラスボスだものな…。
彼にとっては恐ろしいだろう。
あの強さは敵であるなら、怖くないわけはない。
「お初にお目にかかります。ラスティ様。我が名は、ロイス・ヘリオトロープ。本日より御身の護衛騎士としてお仕えいたします。」
そこまで言うと顔を上げた。
綺麗なハシバミ色の瞳が僕の瞳を見ている。
「本当に金色なんだな…。綺麗だ…。」
彼は小さく呟いて、しまったと顔をゆがめる。
僕は、彼の手の上に置いていた手をゆっくりと外して微笑む。
「騎士ロイス様、お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。」
僕の言葉に、ロイスは頷いた。
「あと、僕は普段は普通に話してほしいので…ご無理でなければ敬語はやめてほしいです。」
少し考えてからロイスは頷く。
「それは…助かる…俺は下級の出でな…まだマナーなどは勉強中なんだ…。もちろん公的の場ではキチンっとするつもりだが…ラスティ様が、気分を害されないならマナーを習得するまでは大目に見てもらえると助かる…。」
僕のはいという返事にロイスが、ほっとしている。
そんなロイスにリオンが、にこにこと話しかけてきた。
「はじめまして、僕はリオン。ラスティ様とお友達になりたい同級生。教会で聖者やってるんだ。」
ロイスは、どうしたらいいかと僕を見る。
それはそうだろう。
同級生は正解。
まだ、友達ではない。
ここも正解。
なら、追い払う対象なのかとロイスは思っただろうが、聖者だ。
しかし、軽い。
この子扱いはどうしたら…、真面目そうなロイスの視線が言っている。
「まぁ…リオン様とはこれから仲良くなれたらなという感じです……。」
僕の複雑な表情を読み取ったのだろう、ロイスは、はぁ…と困惑を含んだ声色の返事をした。
「お待たせしました。」
マールが走って戻ってきた。
先生に怒られたと肩を落とすマールに僕は苦笑する。
「では、帰りましょうか。馬車は少し離れたところに待たせています。お買い物を希望しているとの連絡をジークハルトから聞いていますが、いかがいたしますか?」
ロイスは、聖者の前だからと口調を改めたようだ。
昼休みにジークハルトは彼に連絡を入れていたらしい。
できれば、止めてくれと。
ロイスは、少しジークハルトが苦手なのだとマールが耳打ちしてくれた。
ジークハルトからのロイスへのあたりが強いらしく、他の者も首をかしげているという。
基本的に紳士なジークハルトがそうなるのは、ロイスをライバル視でもしているのかもしれない。
優秀な聖騎士だというから。
リオンが、それを聞いて、そういえばと首を傾げた。
「ねぇ…ロイスさん。色は見えてるの?ラスティ様の金の瞳を綺麗って言ってたけど。」
ロイスが首をかしげる。
変な質問だなと思う。
「え?はい…見えているが…。」
リオンは、紙をカバンから引っ張り出すと何色かのインクをたらしてロイスに見せた。
「これ!何色?」
ロイスは、不思議そうに答える。
特に問題ないようだ。
リオンはその結果に、ふむ…と首を傾げた。
「あのさ…ロイスさんは、目を気を付けて。何かで戦う時に目の組織がやられて色がわからなくなって…大変なことを起こしてしまうかもしれないから。あと、ラスティ様のお顔は絶対に覚えておくこと。」
よい?とリオンは首をかしげた。
ロイスは、少し考えたが、これが聖者の予言なのか??とぽつりとつぶやき、必ず…と頷く。
「はい。分かりました。」
マールが、ぽかんと口を開けていたが、少し興奮気味に僕の腕をつかんだ。
「すごいです。初めて見ました。聖者の予言。」
予言?と僕は首をかしげる。
リオンは、うんと頷いた。
「予言っていうことではないんだけど…ぼくね、夢で見ることが正夢になることがあるんだ。くりかえし、いろいろなことで…世界が終わってしまう夢。」
僕の心臓がどくりと音を立てた。
リオンは、繰り返しの世界を夢で見て知っている?
ロイスの眼の色が判別できるかどうかの確認を行ったのは…以前の生で僕を殺した時の状況だ。
僕は一目見て王家のものだとわかる色を持っている。
なのに、冒険者の時のロイスにはわからなかった。
それは…冒険者になったロイスの眼が色を見る力を失っていたからだ。
リオンは、やはりこの世界が繰り返していることを知っている?
僕は、リオンを見た。
彼はとても…不安そうな表情をしていた。
「夢だって…笑わないでね?でも…僕はその夢で世界が終わるのは…神様が怒った所為って知ってる。」
リオンは、ぎゅうと僕の手を握ってきた。
まっすぐに僕の眼を見つめて微笑む。
「その夢で、神様が怒った理由も知ってる。僕が今も聖者だって言うなら、この夢は神様が注意しなさいって見せてくれてるものだと思う。だから…僕の見た夢の範囲のことは原因をつぶそうって思ってるんだ。ねぇ、ラスティ様。ラスティ様の瞳は本物の神様の窓なんだ。ラスティ様が幸せだと神様も幸せなんだ。だから…だからだよ。陛下との婚姻が嫌だったら言って?ぼくが攫ってあげる。教会で守ってあげる。紋章は消せないけど…絶対に幸せにするから。本当に嫌だったら絶対に言って…絶対だよ。ラスティ様は、知らないだろけど……。」
リオンは僕にだけ聞こえるような小さな声でつぶやいた。
「陛下は…とても…おそろしい人だから……。」
僕は、リオンの言葉に首を傾げつつ微笑む。
まぁ…陛下はラスボスだものな…。
彼にとっては恐ろしいだろう。
あの強さは敵であるなら、怖くないわけはない。
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