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第三章 学園生活の始まり
50 迎えの騎士
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本日の授業が終わり、僕とマールは迎えの騎士を待つ。
学生たちが楽し気に校門をくぐっていく。
「また、明日。」
クラスメイトの子がにこやかに笑って横切っていく。
ジークハルト達は、自分たちの授業中。
授業をサボって一緒に帰ろうとはしてくれたけど、しっかり勉強しなさいと断った。
校門には、警護の騎士が立っているので、安心だろうと二人で待つ。
一応、王都は安全だろうけども念のために…と迎えに騎士が来る。
僕とマールは校門の近くのベンチに座って迎えの騎士を待っていた。
「授業はどうでしたか?」
マールの質問に、楽しかったよと答える。
久しぶりの学校という空気が新鮮だった。
「友人は…もう少し見極めてからとジークハルト様が…過保護な…こほん…申し訳ないです。」
ジークハルトに僕もそれは言われていた。
学友ぐらい好きに作らせてやれよとトリスティは言ってくれたがジークハルトがダメだという。
頑ななジークハルトに皆、疑問を持った。
護衛騎士の任務も持っているジークハルトには何か考えがあるのだろうと、トリスティが折れた。
ノルンとマールは、いつもの過保護と苦笑していただけだけど。
でも、頑ななジークハルトも気にかかる。
「それは…確かに少しね。」
ジークハルトの言い分もわかる。
リオンの質問の合間だけど。
話しかけてきてくれた子も多い。
純粋に友人になりたいと思っている子もいるようだった。
でも…やっぱり圧倒的に下心のある子が多いのは感じた。
金の瞳ということで侮蔑の視線を持った子も。
リオンのように、どういうつもりかさっぱりな子もいるけども。
でも、リオンについては僕の思い込みの所為もあると思う。
彼からも多少の下心は感じるけども。
それは、彼の立場上仕方ないだろう。
でも、親しくなりたいということも本当のようだ。
すぐには、ちょっと無理だけれど…、少しずつでも彼と仲良くなれたらなと僕は考え始めていた。
それに…もしかしたらという考えもあった。
もしかしたら…彼はこの世界が繰り返しているということに気が付いていないだろうかと。
今のところ、この世界が繰り返してるということに気が付いてそうな人は、いなさそう。
…正直いうと…陛下は怪しいけども。
王妃にしたり、過保護ぶりもちょっと異常。
でも、それならトリスティとかに合わせるか?という疑問もある。
もしかして?と思うけれど陛下は保留中だ。
マールと話していたら、今、顔を思い浮かべていたリオンがやってきた。
「ラスティ様、マールくん。」
にこにことリオンは僕らの所に来る。
いっしょに帰らないかと言われたが、迎えの騎士が来るからと断る。
少し残念そうに、リオンは、そっかとだけ言うと、ああと声を上げた。
「マールくん、さっき先生が探してたよ?提出課題がって…。」
マールは、はっとしたように持っていたカバンの中を探す。
それは、僕は午後の授業で提出した課題だった。
どうやらマールは、提出し忘れたらしい。
「待っているから行っておいで。」
僕の言葉にマールは眉をよせた。
マールは、でも…と戸惑っている。
僕を一人にしておけないと思っているのだろう。
「あ…。」
マールが、通りの方に顔を向けた。
校門の騎士に許可書を見せてから、校門を潜り一人の騎士が近づいてくる。
「騎士さんが来たみたいだ。ぼくもラスティ様といっしょに待ってるから行っておいで。」
リオンの言葉にマールは少し戸惑ってから僕を見る。
僕は、苦笑しつつ頷いた。
マールは、騎士の方を再度見てぱぁっと笑顔になった。
知っている騎士のようだ。
ここからでは顔が見えないが、チョコレート色の髪の小柄な騎士だ。
……小柄というよりはまだ成長途中というところだろうか。
説明は受けていた。
僕より4歳年上で騎士団長が目をかけている騎士だという。
マールは騎士の方に駆け寄り話しかけている。
彼らの様子から親しい間柄のようだ。
マールは騎士に憧れているから、よく警護の騎士に話しかけている。
休日には騎士の訓練も見に行っているから、その時に知り合ったのかもしれない。
事情を説明したのだろう。
頷く騎士にお願いしますと言ってから、僕とリオンに謝ってから慌てて校舎の方に走っていく。
「マールくんも、かわいいなぁ」
くすくすとリオンは楽し気に笑った。
「でも、ラスティ様のほうが可愛いかな?」
そう言ってリオンは悪戯っぽく笑う。
僕がくすくす笑っているとリオンは頬を膨らませた。
「もう…本気にしてないでしょ。ぼくは本気でそうおもってるんだよ。」
ころころと変わる彼の表情に苦笑しつつ、僕は騎士の方に振り返る。
「お迎えの騎士さんか~」
リオンも興味深そうに騎士の方を見た。
やはり、若い騎士のようだ。
ゆっくりと近づいてくる騎士の顔を見て僕は軽く目を見開いた。
見覚えがある。
リオンは騎士の顔を見ていぶかし気に首をひねった。
その騎士は、僕を殺した冒険者と同じ顔をしていた。
学生たちが楽し気に校門をくぐっていく。
「また、明日。」
クラスメイトの子がにこやかに笑って横切っていく。
ジークハルト達は、自分たちの授業中。
授業をサボって一緒に帰ろうとはしてくれたけど、しっかり勉強しなさいと断った。
校門には、警護の騎士が立っているので、安心だろうと二人で待つ。
一応、王都は安全だろうけども念のために…と迎えに騎士が来る。
僕とマールは校門の近くのベンチに座って迎えの騎士を待っていた。
「授業はどうでしたか?」
マールの質問に、楽しかったよと答える。
久しぶりの学校という空気が新鮮だった。
「友人は…もう少し見極めてからとジークハルト様が…過保護な…こほん…申し訳ないです。」
ジークハルトに僕もそれは言われていた。
学友ぐらい好きに作らせてやれよとトリスティは言ってくれたがジークハルトがダメだという。
頑ななジークハルトに皆、疑問を持った。
護衛騎士の任務も持っているジークハルトには何か考えがあるのだろうと、トリスティが折れた。
ノルンとマールは、いつもの過保護と苦笑していただけだけど。
でも、頑ななジークハルトも気にかかる。
「それは…確かに少しね。」
ジークハルトの言い分もわかる。
リオンの質問の合間だけど。
話しかけてきてくれた子も多い。
純粋に友人になりたいと思っている子もいるようだった。
でも…やっぱり圧倒的に下心のある子が多いのは感じた。
金の瞳ということで侮蔑の視線を持った子も。
リオンのように、どういうつもりかさっぱりな子もいるけども。
でも、リオンについては僕の思い込みの所為もあると思う。
彼からも多少の下心は感じるけども。
それは、彼の立場上仕方ないだろう。
でも、親しくなりたいということも本当のようだ。
すぐには、ちょっと無理だけれど…、少しずつでも彼と仲良くなれたらなと僕は考え始めていた。
それに…もしかしたらという考えもあった。
もしかしたら…彼はこの世界が繰り返しているということに気が付いていないだろうかと。
今のところ、この世界が繰り返してるということに気が付いてそうな人は、いなさそう。
…正直いうと…陛下は怪しいけども。
王妃にしたり、過保護ぶりもちょっと異常。
でも、それならトリスティとかに合わせるか?という疑問もある。
もしかして?と思うけれど陛下は保留中だ。
マールと話していたら、今、顔を思い浮かべていたリオンがやってきた。
「ラスティ様、マールくん。」
にこにことリオンは僕らの所に来る。
いっしょに帰らないかと言われたが、迎えの騎士が来るからと断る。
少し残念そうに、リオンは、そっかとだけ言うと、ああと声を上げた。
「マールくん、さっき先生が探してたよ?提出課題がって…。」
マールは、はっとしたように持っていたカバンの中を探す。
それは、僕は午後の授業で提出した課題だった。
どうやらマールは、提出し忘れたらしい。
「待っているから行っておいで。」
僕の言葉にマールは眉をよせた。
マールは、でも…と戸惑っている。
僕を一人にしておけないと思っているのだろう。
「あ…。」
マールが、通りの方に顔を向けた。
校門の騎士に許可書を見せてから、校門を潜り一人の騎士が近づいてくる。
「騎士さんが来たみたいだ。ぼくもラスティ様といっしょに待ってるから行っておいで。」
リオンの言葉にマールは少し戸惑ってから僕を見る。
僕は、苦笑しつつ頷いた。
マールは、騎士の方を再度見てぱぁっと笑顔になった。
知っている騎士のようだ。
ここからでは顔が見えないが、チョコレート色の髪の小柄な騎士だ。
……小柄というよりはまだ成長途中というところだろうか。
説明は受けていた。
僕より4歳年上で騎士団長が目をかけている騎士だという。
マールは騎士の方に駆け寄り話しかけている。
彼らの様子から親しい間柄のようだ。
マールは騎士に憧れているから、よく警護の騎士に話しかけている。
休日には騎士の訓練も見に行っているから、その時に知り合ったのかもしれない。
事情を説明したのだろう。
頷く騎士にお願いしますと言ってから、僕とリオンに謝ってから慌てて校舎の方に走っていく。
「マールくんも、かわいいなぁ」
くすくすとリオンは楽し気に笑った。
「でも、ラスティ様のほうが可愛いかな?」
そう言ってリオンは悪戯っぽく笑う。
僕がくすくす笑っているとリオンは頬を膨らませた。
「もう…本気にしてないでしょ。ぼくは本気でそうおもってるんだよ。」
ころころと変わる彼の表情に苦笑しつつ、僕は騎士の方に振り返る。
「お迎えの騎士さんか~」
リオンも興味深そうに騎士の方を見た。
やはり、若い騎士のようだ。
ゆっくりと近づいてくる騎士の顔を見て僕は軽く目を見開いた。
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その騎士は、僕を殺した冒険者と同じ顔をしていた。
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