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第二章 運命を壊す方法
35 薬草の使い道
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マールの指導を受けて奥の間の普段は使われていない厨房で乾燥した薬草を選んでお茶にする。
前世のハーブティーのようなものだ。
「スッキリしたほうがいいかな。陛下はきっとお疲れになって帰ってくると思うから。」
スッキリとした飲み物とくりかえしつつマールは薬草を取り出す。
「これは…手でもんでみましょう。そうしたらよい香りがするんです。」
僕はマールに言われたように手で薬草をこするようにもむ。
ちょっと薬っぽい匂いがしている。
手についた匂いを嗅いでいると二人に笑われた。
マールの教えられつつ薬草を調合する。
といっても、ほとんど僕は言われるまま混ぜるだけだけど。
「ちょっと味見してみます?」
多めに混ぜているので少し取り分けて三人で味見。
「…甘くないか?陛下には…。」
ノルンの言葉にマールはそうだねぇと眉を寄せた。
僕らには美味しけど、陛下には甘いかも。
一回目にちょっと失敗ということになった。
失敗というか、少し甘めの匂いのするもの。
これは、これで美味しいので自分たち様に取っておくことにした。
「次は私のレシピで作ってみますか?」
ノルンがそう言って薬草を準備してくれる。
僕は、薬草の名前と分量を覚えつつノルンの言う通りに混ぜていく。
出来上がったものをまた、三人で飲んでみる。
「うん、すっきりするね。甘さも控えめ。」
二回目にはきちんとスッキリとした甘さ控えめのものが出来た。
マールが口をとがらせてノルンがどうだと胸を張った。
拗ねえるふりをしていたマールが噴き出して三人で笑ってしまう。
陛下は、その日によって甘いものを好む時と好まない時がある。
疲れている時は甘めがいいようだが、そこまで疲れていない普段は、甘くないものを好む。
そのために甘さは、蜂蜜で調整できるようにしている。
ちなみにこの世界の蜂は魔物だ。
とは言っても育てられる魔物で、奥の間でもノルンが飼っている。
温室の奥に居て夜の間に薬草畑の虫の駆除や花の蜜を集めるのだという。
授粉もしてくれるので助かっている。
なので、僕が使っている蜂蜜は少し甘さ控えめで、若干苦みもある。
薬草の花の蜜だからだとノルンは言った。
それもあって虫よけの花を追加してみた。
蜂は魔物なので、今日植えた花の蜜は嫌いではなく、大好物らしい。
美味しい蜂蜜が出来たらいいなと思う。
出来上がった薬草茶を持って居間で陛下を話しながら待っていると、ようやく陛下がぐったりして帰ってきた。
これは、さっきの一回目の甘めのお茶でもよかったかなと思うが、まずは出迎える。
「おかえりなさい。陛下」
陛下は、ほっとしたような若干情けなさそうな表情で僕を見た。
どうかしたのだろうか?
何か問題でもあったのかな?
どうやら僕が絡みで何かあったなとは察した。
「うん…ただいま~ラスティ。」
抱き上げられて頬に口づけされたので僕も同じように返す。
最近の陛下のお気に入りのあいさつだ。
…ノルンにそそのかされた僕が、それを真に受けて陛下に、仕掛けて……。
それ以来、陛下に行ってきますとお帰りのあいさつとして追加された。
けっこう恥ずかしい。
とりあえずと、今に陛下を座らせて薬草茶を準備する。
「陛下、今日は甘めがいいですか?」
そうだねと頷く陛下に頷き返して少し多めに蜂蜜を入れたお茶を陛下の前に置いた。
陛下は、ありがと~と言いながら美味しそうに飲んでくれる。
僕は陛下の隣に座って陛下が話だすのを待った。
多分…言いにくいことなのだろう。
陛下は、いつもよりゆっくりとお茶を楽しんでいる。
ノルンとマールは、お茶請けにと手絵作りの薬草入りのクッキーを準備していた。
陛下は二人にありがとうと言ってから少し考えていた。
たぶん、これからする話を二人を交えてするかどうかを考えているのだろう。
「ジークハルトは帰ったよね?」
はいと返事をすると陛下は、そうか~と少し考えて、くるりと指で空中に文字を書いた。
可愛らしい小鳥がその場に出現する。
「バルハルトにジークハルトを連れてきてほしいと伝言して。」
小鳥は、ふわりと消えた。
バルハルト公の元に陛下の言葉を伝えるために向かったのだろう。
陛下は、居間を出て、さっき入ってきた扉の方へ行く。
僕は思わず居間の扉まで行き、陛下の背中を見ていた。
陛下は、扉を開けて、奥の間の門の所にいる警護の騎士を手招きした。
騎士が走って駆けつけてくる。
「すまないが、これからバルがジークを連れてくる。通してやってくれ。」
バルハルト公がジークハルトとこれから来ると騎士に陛下は伝えた。
警護の騎士は、いかに上司のバルハルト公でも陛下の許可がないとここには近寄らせないからだ。
警護の騎士は頷くと、ふと僕の方を見て優しく微笑んでくれた。
陛下に何か耳打ちして、陛下は苦笑しつつ騎士をたしなめていた。
陛下は、やれやれとまた居間に戻ってきた。
「まったく…」
陛下が居間のソファに座りなおしたので僕はさっきの騎士が何を言ったのか聞いてみた。
「ああ…まぁ…彼は前の戦で一緒に戦った騎士でね…ラスティを見たのはさっきが初めてだったらしい。」
そこで陛下は少し困っていたがため息をつきつつ言った。
「陛下が、正妃をなかなか娶らなかったのは可愛い系が趣味だったからですか?と言ってきた。」
あとで読唇術が使えるマールが、可愛い系ではなくて幼児趣味かって言われていたと苦笑していた。
……なんだかごめんなさい。陛下。
前世のハーブティーのようなものだ。
「スッキリしたほうがいいかな。陛下はきっとお疲れになって帰ってくると思うから。」
スッキリとした飲み物とくりかえしつつマールは薬草を取り出す。
「これは…手でもんでみましょう。そうしたらよい香りがするんです。」
僕はマールに言われたように手で薬草をこするようにもむ。
ちょっと薬っぽい匂いがしている。
手についた匂いを嗅いでいると二人に笑われた。
マールの教えられつつ薬草を調合する。
といっても、ほとんど僕は言われるまま混ぜるだけだけど。
「ちょっと味見してみます?」
多めに混ぜているので少し取り分けて三人で味見。
「…甘くないか?陛下には…。」
ノルンの言葉にマールはそうだねぇと眉を寄せた。
僕らには美味しけど、陛下には甘いかも。
一回目にちょっと失敗ということになった。
失敗というか、少し甘めの匂いのするもの。
これは、これで美味しいので自分たち様に取っておくことにした。
「次は私のレシピで作ってみますか?」
ノルンがそう言って薬草を準備してくれる。
僕は、薬草の名前と分量を覚えつつノルンの言う通りに混ぜていく。
出来上がったものをまた、三人で飲んでみる。
「うん、すっきりするね。甘さも控えめ。」
二回目にはきちんとスッキリとした甘さ控えめのものが出来た。
マールが口をとがらせてノルンがどうだと胸を張った。
拗ねえるふりをしていたマールが噴き出して三人で笑ってしまう。
陛下は、その日によって甘いものを好む時と好まない時がある。
疲れている時は甘めがいいようだが、そこまで疲れていない普段は、甘くないものを好む。
そのために甘さは、蜂蜜で調整できるようにしている。
ちなみにこの世界の蜂は魔物だ。
とは言っても育てられる魔物で、奥の間でもノルンが飼っている。
温室の奥に居て夜の間に薬草畑の虫の駆除や花の蜜を集めるのだという。
授粉もしてくれるので助かっている。
なので、僕が使っている蜂蜜は少し甘さ控えめで、若干苦みもある。
薬草の花の蜜だからだとノルンは言った。
それもあって虫よけの花を追加してみた。
蜂は魔物なので、今日植えた花の蜜は嫌いではなく、大好物らしい。
美味しい蜂蜜が出来たらいいなと思う。
出来上がった薬草茶を持って居間で陛下を話しながら待っていると、ようやく陛下がぐったりして帰ってきた。
これは、さっきの一回目の甘めのお茶でもよかったかなと思うが、まずは出迎える。
「おかえりなさい。陛下」
陛下は、ほっとしたような若干情けなさそうな表情で僕を見た。
どうかしたのだろうか?
何か問題でもあったのかな?
どうやら僕が絡みで何かあったなとは察した。
「うん…ただいま~ラスティ。」
抱き上げられて頬に口づけされたので僕も同じように返す。
最近の陛下のお気に入りのあいさつだ。
…ノルンにそそのかされた僕が、それを真に受けて陛下に、仕掛けて……。
それ以来、陛下に行ってきますとお帰りのあいさつとして追加された。
けっこう恥ずかしい。
とりあえずと、今に陛下を座らせて薬草茶を準備する。
「陛下、今日は甘めがいいですか?」
そうだねと頷く陛下に頷き返して少し多めに蜂蜜を入れたお茶を陛下の前に置いた。
陛下は、ありがと~と言いながら美味しそうに飲んでくれる。
僕は陛下の隣に座って陛下が話だすのを待った。
多分…言いにくいことなのだろう。
陛下は、いつもよりゆっくりとお茶を楽しんでいる。
ノルンとマールは、お茶請けにと手絵作りの薬草入りのクッキーを準備していた。
陛下は二人にありがとうと言ってから少し考えていた。
たぶん、これからする話を二人を交えてするかどうかを考えているのだろう。
「ジークハルトは帰ったよね?」
はいと返事をすると陛下は、そうか~と少し考えて、くるりと指で空中に文字を書いた。
可愛らしい小鳥がその場に出現する。
「バルハルトにジークハルトを連れてきてほしいと伝言して。」
小鳥は、ふわりと消えた。
バルハルト公の元に陛下の言葉を伝えるために向かったのだろう。
陛下は、居間を出て、さっき入ってきた扉の方へ行く。
僕は思わず居間の扉まで行き、陛下の背中を見ていた。
陛下は、扉を開けて、奥の間の門の所にいる警護の騎士を手招きした。
騎士が走って駆けつけてくる。
「すまないが、これからバルがジークを連れてくる。通してやってくれ。」
バルハルト公がジークハルトとこれから来ると騎士に陛下は伝えた。
警護の騎士は、いかに上司のバルハルト公でも陛下の許可がないとここには近寄らせないからだ。
警護の騎士は頷くと、ふと僕の方を見て優しく微笑んでくれた。
陛下に何か耳打ちして、陛下は苦笑しつつ騎士をたしなめていた。
陛下は、やれやれとまた居間に戻ってきた。
「まったく…」
陛下が居間のソファに座りなおしたので僕はさっきの騎士が何を言ったのか聞いてみた。
「ああ…まぁ…彼は前の戦で一緒に戦った騎士でね…ラスティを見たのはさっきが初めてだったらしい。」
そこで陛下は少し困っていたがため息をつきつつ言った。
「陛下が、正妃をなかなか娶らなかったのは可愛い系が趣味だったからですか?と言ってきた。」
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……なんだかごめんなさい。陛下。
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