上 下
31 / 233
第二章 運命を壊す方法

29 今できること

しおりを挟む
ともかくだ…僕の活動は午後からだ。
午前中は、のんびり読書とか自主的に勉強してたりしている。
教師が来る時には、護衛騎士が一緒という決まりがあるので。
だから、僕の授業は常にジークハルトがいる午後から。

今日は、ダンスの授業と行儀作法を終えた。

「疲れたか?ラスティ。」

気遣ってくれるジークハルトに、大丈夫だよと笑って見せる。
後宮では「様」も取ってくれている。
流石に陛下がいる前では、様をつけてるみたいだけど、砕けた口調はそのまま。
陛下も容認しているし、同じ王子称号を持ってるから問題はないし。

最初は、ぎこちなかった彼も今は前の僕が覚えている冷静で優しい彼になっていた。
なんだか変な言い方だけど、本当にそんな感じだからそう言うしかないか。

少し…いやかなり違うところがあるとすれば、距離が近くなったこと。
その所為かちょっと意地悪度は増していると思うけど。

「どうしたのか?ラスティ。」

以前の生と比べると立場的に彼も王子の称号があるせいだろう。
一応、陛下に確認していたみたいだけど、いつの間にかため口になってた。
以前の生では、ずっと敬語を使われてたから、うれしいような違和感を感じるような。

「なんでもないです。」

ちょっと慣れないのだけれども、前以上に仲良くなれた感じがしてうれしい。

何事も無く、平和な日々。
前の生だとエスターが毎日意地悪を言っていておびえて生きていた。
今回は日々のんびりモードだ。

とは言ってもあと4年。
僕が何らかの方法で死ぬ運命の日までに何とか原因は全部、排除したい。

今会出来ることを考えて僕なりに頑張っている。
けれど、外に出ることのできない僕は動きようがない部分も多い。
でも、外に出ることが出来ないということは、僕にはいいことでもある。

だって、僕の死の原因の聖者を会う機会は減るからだ。
今までの生では、僕は教会にこの時期から行って奉仕活動をしていた。
それで賢者のリオンと仲良くなって頻繁に行っていた。
それが原因でいろいろ憶測がでて、まずエスターに北の塔に閉じ込められるという流れになる。

そのきっかけであるリオンと仲良くなるということが今のところかけらもない。

そう、籠の鳥にすると言っていた陛下の言葉は、嘘ではなかった。
お妃さまの僕は、行動範囲は後宮のみだ。

とは言っても前の生よりは自由だという矛盾もあるけれど。
前の生は、ほとんど部屋に閉じこもっていた。
諦めてたところもあったし。

でも、ようやく僕は立ち向かう勇気が出たという感じだろうか。
ここまで違ったらって希望がもてるよね。

とりあえず、できることをと僕は、やっている。
まずは、教会に行かないこと。
これは、意外に今のところは簡単だ。
一応、教師の中に神学を学ぶための神官はいるけど、お妃さまは後宮に居ないとならないから。

エスターは、後宮には入れない。
このまま、籠城していたら運命覆せるかな?

というかそれだったら楽なのだけれども。

でも、油断はしない。
無い知恵を絞って思いつく限りの対策をするんだ。

冒険者に襲われても逃げれるように、…なさけないけど、彼も結構強いからね…逃げ足と体と魔法を鍛える。
それと、薬対策。

陛下にお願いして後宮に温室を作ってもらった。
薬草を育てるためだ。
あとは、薬学の授業の追加。

宰相の息子に飲まされた変な薬の解毒剤。
それは、宰相の息子ルートで見つかりはしている。
けど、先に飲まないと意味の無いものだった。

原因は、飲んだ時点で色々体の機能も壊されてるということ。
後から飲んでも、薬の効果はなくなっても、その壊されているところが治ることはない。
飲む前に、なんとかしないとならないのだ。
一応、ゲームでの作り方は覚えている。
けども…所詮はゲーム知識。
材料を鍋にいれて、チキチキチーンという感じだ。

役に立たないなこの知識…。

一応材料は、もしかしたら…あってるのかもな。
というのは、薬学の本を読んでから。
効果が結構、当てはまってるから。
けど、鍋にいれてチキチキチーンで出来るはずもない。
乾燥させるとか生とか…それでも効果は変わるし、魔力を入れたら効果が変わったり…。
生半可な知識では、太刀打ちできない。
きちんと薬学を習って調合のスキルを手に入れてからと今は勉強中。

簡単な回復役とか毒消しは作れるようになった。
もうすぐ、上級の回復役とか特殊な解毒剤も作れそう。

それから、ジークハルトにお願いして、僕は彼に剣術の訓練をしていた。
ステータスは、それはありますけども。

やっぱり技術はそのまま身についているわけでもない。
剣術は、以前の生では基本ばかり。
実際に打ち合いとかしていないから使えていなかった。

以前は、ジークハルトも遠慮しててそこまで打ち合いとかなかったから。
気安くなった分、今回の生では、結構きちんと相手してくれている。

前の生より僕はいろいろ育っていると思う。
今までは動いてなかったから小食だったし、筋肉なんかついてなかった。
エスターが怖くて、部屋に閉じこもって本ばかり読んでたから。
でも今回の生では結構動いてるからよくお腹がすくので普通に食べてる。
今までと比べると体つきもしっかりしてきていると思う。

まぁ…当社比でジークハルトとか陛下とかと比べると貧弱だけどもね。

しっかり食べるという、陛下との約束もあるし。

なので、ともかく…以前と比較したら体格が少しよくなったかなと思う。
このまま、何事もなく過ごしたい。






うん、16歳で死ぬ運命を避けるための準備は進んでいると思うんだけども…自信はない。







しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】別れ……ますよね?

325号室の住人
BL
☆全3話、完結済 僕の恋人は、テレビドラマに数多く出演する俳優を生業としている。 ある朝、テレビから流れてきたニュースに、僕は恋人との別れを決意した。

悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!

梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!? 【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】 ▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。 ▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。 ▼毎日18時投稿予定

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

主人公の兄になったなんて知らない

さつき
BL
レインは知らない弟があるゲームの主人公だったという事を レインは知らないゲームでは自分が登場しなかった事を レインは知らない自分が神に愛されている事を 表紙イラストは マサキさんの「キミの世界メーカー」で作成してお借りしています⬇ https://picrew.me/image_maker/54346

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。

小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。 そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。 先輩×後輩 攻略キャラ×当て馬キャラ 総受けではありません。 嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。 ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。 だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。 え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。 でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!! ……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。 本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。 こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~

朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」 普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。 史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。 その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。 外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。 いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。 領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。 彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。 やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。 無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。 (この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)

突然異世界転移させられたと思ったら騎士に拾われて執事にされて愛されています

ブラフ
BL
学校からの帰宅中、突然マンホールが光って知らない場所にいた神田伊織は森の中を彷徨っていた 魔獣に襲われ通りかかった騎士に助けてもらったところ、なぜだか騎士にいたく気に入られて屋敷に連れて帰られて執事となった。 そこまではよかったがなぜだか騎士に別の意味で気に入られていたのだった。 だがその騎士にも秘密があった―――。 その秘密を知り、伊織はどう決断していくのか。

処理中です...