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閑章 聖者リオンside 繰り返す
閑話 02 堕ちた聖者 ※
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扉を開けて入ってきたのは、エスターだった。
リオンは、窓のふちにもたれかかって彼をみる。
ここも何度も繰り返したなと、思いながらリオンは口を開いた。
「なんだ…エスターか…。」
エスターは、無表情でリオンに近づいてきた。
「ジークハルトに聞いた。」
リオンは、エスターの言葉にそう…と頷く。
「でも…俺をジークハルトに売ったのは君でしょう?」
エスターの肩が揺れる。
リオンは、仕方ないなぁと笑う。
「お前は…こうなっても俺を見ないんだな。」
エスターの言葉にリオンは首をかしげた。
「見てるよ?」
エスターはゆっくりと、リオンに近づき横に立った。
小さく、見てねぇよと囁く。
それから、空を見上げた。
「あれを止める手立てはもう無くなった?」
リオンは頷く。
「もうないね。いや…もともと無いのかもしれない。ラスティを君が殺したから。」
エスターは、唇を噛みしめる。
勘違いで飲ませた毒薬。
目の前の、リオンの言葉を愚かにも信じた。
エスターは、深い息を吐く。
地の底から響くような低い声で、つぶやいた。
「誰の所為だと…。」
リオンは、首をかしげる。
「この期に及んで…まだ人の所為にするの?」
エスターは言葉を失った。
そう…目の前の変わってしまった聖者は、おびえて言えなかっただけだ。
あの時の自分は、彼の否定の言葉を耳に入れていたとしても同じことをしていただろう。
思い込みで、ラスティを悪者にして…毒薬を渡して死ねと命じた。
結果はこのざまだ…エスターは、深い息を吐く。
「俺も愚かだ。それは認めるよ。その愚かさを何とかしようと思って旅にでたんだから。でも、それ以上に君は愚かだ。未だに過去の自分に向き合えていないのだから。」
リオンは、窓から離れる。
あと数時間しか、今回の生は無いというのにここで言い争って終わるのは辛いとリオンは感じた。
シャツしか羽織っていないが、別にいいだろうと扉に向かう。
「そんな恰好でどこに行く気だ。」
リオンは、そうだねとつぶやく。
別に、どこへ行こうともリオンは考えていなかった。
「あと…数時間しかないでしょ?」
エスターは、ああと頷く。
「言い争って終わりって俺は嫌だと思っただけ。」
この格好で歩いていたら誰か襲ってくれるかな。そんなことをリオンは言う。
「……なら、俺が襲ってやるよ。」
そういってエスターは大股で近づきリオンの細い腕をつかんだ。
「それも…いいかもね…」
そういってリオンはエスターを連れてベットに戻り、シャツを脱いでベットの下へと投げた。
足を広げて、両手をエスターに向かって広げる。
「はやく、俺を狂わせてよ。」
エスターは、舌打ちするとリオンの胸に手を置きを押し倒す。
「…紋章は…いるか?」
エスターの言葉にリオンは首を横にふる。
「必要ないよ。どうせ未来はないんだ。」
そうかとエスターは、リオンの唇を己の口で塞ぐ。
リオンは、ぼんやりとそれを受けながらふと気が付いた。
そういえば、ジークハルトとは口づけはなかったな、とリオンは思う。
互いの舌を絡めながら、エスターの手はリオンの肌の上を巧みに這って行く。
リオンは、エスターは結局娼館ばかり通っていたからなぁと、彼の愛撫を受けながら思う。
「はぁ…こんなことばっか…上手くなって…ほんと、最低おーじさまぁ…ああっ…」
口が離れた瞬間にリオンは悪態をついたが、その瞬間に熱い杭を体が貫いた。
「は…くそっ…もってかれるかと思った。」
エスターは、そう言うとリオンを見た。
リオンの細い体に、ジークハルトが付けたのだろう青あざがいくつもある。
先ほどまでは、それらはシャツで隠れていた。
ジークハルトは、リオンをただ痛めつけて弄んだだけなのだなとエスターは思う。
殺した弟を愛していたジークハルト。
変わってしまったジークハルトは憎しみしか残っていなかった。
あいつを救えるのはこの世にはもういない。
それは、エスターが父と慕う王も同じだった。
朗らかに笑っていた笑顔はなくなった。
面倒そうに、他国へと侵略を繰り返して、国を大きくしていく。
狂王。
そう呼ばれるようになった彼をエスターは止めることすらできなかった。
全ての悲劇は、己の所為だとエスターは思う。
己たちの所為だと、共犯者であるリオンを見る。
狂ったジークハルトよりも…きっとこいつはラスティを愛している。
おそらくは…リオンが誰よりもラスティを愛して憎んでいる。
エスターはゆっくりと腰を使いながらリオンを見る。
リオンは気が付いているのだろうかと思う。
お前は、すでに狂っているんだよ。
そう、エスターは、声を出さずにリオンに言う。
リオンは、喘ぎながら赤い舌で己の舌を舐めた。
「あ…うぁ…は…はは、何…みて…いる…の?…ん…」
揺さぶられながら、リオンは不思議そうにエスターに問いかける。
「あ…貧相だなと思っただけだ。…っ…」
リオンが苦笑した所為で、エスターの欲望を締め付けた。
その所為でリオンは、快楽を余計に感じたのだろう。
大きく身じろぎすると、自ら腰を動かす。
「ねぇ…もっとぉ…もっと動いて……あ…ん…んぅ…」
言葉通りに、エスターは大きく腰を振った。
リオンは、満足気に笑う。
「ああ…いい…いい…よぉ…もっと…もっとだ…俺を…狂わせて…堕として…」
自らも腰を振りながらリオンは快楽を追う。
エスターも、もう何も考えずにただ目の前の快楽に縋りついた。
彼らは、炎の星が落ちるまで、ただ快楽を追い続けていた。
リオンは、窓のふちにもたれかかって彼をみる。
ここも何度も繰り返したなと、思いながらリオンは口を開いた。
「なんだ…エスターか…。」
エスターは、無表情でリオンに近づいてきた。
「ジークハルトに聞いた。」
リオンは、エスターの言葉にそう…と頷く。
「でも…俺をジークハルトに売ったのは君でしょう?」
エスターの肩が揺れる。
リオンは、仕方ないなぁと笑う。
「お前は…こうなっても俺を見ないんだな。」
エスターの言葉にリオンは首をかしげた。
「見てるよ?」
エスターはゆっくりと、リオンに近づき横に立った。
小さく、見てねぇよと囁く。
それから、空を見上げた。
「あれを止める手立てはもう無くなった?」
リオンは頷く。
「もうないね。いや…もともと無いのかもしれない。ラスティを君が殺したから。」
エスターは、唇を噛みしめる。
勘違いで飲ませた毒薬。
目の前の、リオンの言葉を愚かにも信じた。
エスターは、深い息を吐く。
地の底から響くような低い声で、つぶやいた。
「誰の所為だと…。」
リオンは、首をかしげる。
「この期に及んで…まだ人の所為にするの?」
エスターは言葉を失った。
そう…目の前の変わってしまった聖者は、おびえて言えなかっただけだ。
あの時の自分は、彼の否定の言葉を耳に入れていたとしても同じことをしていただろう。
思い込みで、ラスティを悪者にして…毒薬を渡して死ねと命じた。
結果はこのざまだ…エスターは、深い息を吐く。
「俺も愚かだ。それは認めるよ。その愚かさを何とかしようと思って旅にでたんだから。でも、それ以上に君は愚かだ。未だに過去の自分に向き合えていないのだから。」
リオンは、窓から離れる。
あと数時間しか、今回の生は無いというのにここで言い争って終わるのは辛いとリオンは感じた。
シャツしか羽織っていないが、別にいいだろうと扉に向かう。
「そんな恰好でどこに行く気だ。」
リオンは、そうだねとつぶやく。
別に、どこへ行こうともリオンは考えていなかった。
「あと…数時間しかないでしょ?」
エスターは、ああと頷く。
「言い争って終わりって俺は嫌だと思っただけ。」
この格好で歩いていたら誰か襲ってくれるかな。そんなことをリオンは言う。
「……なら、俺が襲ってやるよ。」
そういってエスターは大股で近づきリオンの細い腕をつかんだ。
「それも…いいかもね…」
そういってリオンはエスターを連れてベットに戻り、シャツを脱いでベットの下へと投げた。
足を広げて、両手をエスターに向かって広げる。
「はやく、俺を狂わせてよ。」
エスターは、舌打ちするとリオンの胸に手を置きを押し倒す。
「…紋章は…いるか?」
エスターの言葉にリオンは首を横にふる。
「必要ないよ。どうせ未来はないんだ。」
そうかとエスターは、リオンの唇を己の口で塞ぐ。
リオンは、ぼんやりとそれを受けながらふと気が付いた。
そういえば、ジークハルトとは口づけはなかったな、とリオンは思う。
互いの舌を絡めながら、エスターの手はリオンの肌の上を巧みに這って行く。
リオンは、エスターは結局娼館ばかり通っていたからなぁと、彼の愛撫を受けながら思う。
「はぁ…こんなことばっか…上手くなって…ほんと、最低おーじさまぁ…ああっ…」
口が離れた瞬間にリオンは悪態をついたが、その瞬間に熱い杭を体が貫いた。
「は…くそっ…もってかれるかと思った。」
エスターは、そう言うとリオンを見た。
リオンの細い体に、ジークハルトが付けたのだろう青あざがいくつもある。
先ほどまでは、それらはシャツで隠れていた。
ジークハルトは、リオンをただ痛めつけて弄んだだけなのだなとエスターは思う。
殺した弟を愛していたジークハルト。
変わってしまったジークハルトは憎しみしか残っていなかった。
あいつを救えるのはこの世にはもういない。
それは、エスターが父と慕う王も同じだった。
朗らかに笑っていた笑顔はなくなった。
面倒そうに、他国へと侵略を繰り返して、国を大きくしていく。
狂王。
そう呼ばれるようになった彼をエスターは止めることすらできなかった。
全ての悲劇は、己の所為だとエスターは思う。
己たちの所為だと、共犯者であるリオンを見る。
狂ったジークハルトよりも…きっとこいつはラスティを愛している。
おそらくは…リオンが誰よりもラスティを愛して憎んでいる。
エスターはゆっくりと腰を使いながらリオンを見る。
リオンは気が付いているのだろうかと思う。
お前は、すでに狂っているんだよ。
そう、エスターは、声を出さずにリオンに言う。
リオンは、喘ぎながら赤い舌で己の舌を舐めた。
「あ…うぁ…は…はは、何…みて…いる…の?…ん…」
揺さぶられながら、リオンは不思議そうにエスターに問いかける。
「あ…貧相だなと思っただけだ。…っ…」
リオンが苦笑した所為で、エスターの欲望を締め付けた。
その所為でリオンは、快楽を余計に感じたのだろう。
大きく身じろぎすると、自ら腰を動かす。
「ねぇ…もっとぉ…もっと動いて……あ…ん…んぅ…」
言葉通りに、エスターは大きく腰を振った。
リオンは、満足気に笑う。
「ああ…いい…いい…よぉ…もっと…もっとだ…俺を…狂わせて…堕として…」
自らも腰を振りながらリオンは快楽を追う。
エスターも、もう何も考えずにただ目の前の快楽に縋りついた。
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