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第一章 終わりと始まり

22 大教会の扉の前の聖者

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僕を見下ろす聖者リオン。
その表情は、嫌悪感満載だ。

いや…最初からそうなの??
ちょっと僕は怖くなって陛下の服を握ってしまった。
陛下は、リオンの方に目を向けてから少し眉をよせる。

「あの子が聖者だとは思うのだけど…前に見た時とはずいぶん印象が違うな。」

陛下が僕の耳元でそう囁いた。

「怖いかい?馬車で待っていても良いよ?」

陛下の言葉に僕は、大丈夫と答えた。

うん。たぶん彼の態度は仕方ないのだ。

嫌悪度Maxだものなと思う。
陛下は、不快そうに彼を見ている。
老神官が、そんな陛下と僕を見て、慌てて声をかけてきた。
たぶん聖者の態度から目をそらそうとしているのだろう。
少しオーバーリアクションで老神官は声を張った。

「国王陛下、お久しぶりでございます。それにそのかわいらしい方が新しいお妃さまでしょうか?そちらの少年は、騎士団長のお子息だったかと思われますが…」

老神官が、多少急ぎつつ、それでも静かに階段を降り陛下の元へと歩いてきた。
聖者リオンは、扉の前で立ったまま陛下まで見下ろしている。

ずいぶん偉そうだなと思う。
確かに、聖者は尊いものだ。
だが、だからと言って一国の王を見下ろすのは失礼だろう。

上から見下ろしたまま。

いや…そもそも、聖者が…人を見下すような態度を取るのはどうなのか。
それとも、これが教会の教育の賜物だろうか。
この国の王家自体を彼が蔑むように育てているなら大問題だが。

老神官はあわてている。
もう一人の厳めしい顔の神官も聖者の態度に少し疑問を持っている様子だ。

「リオン…国王陛下にご挨拶を…」

厳めしい顔の神官が、小声で聖者に言っているのが聞こえた。

「嫌です。だってあれは金の瞳の一族でしょう?」

一応小声で答える理性はあるのだなぁとぼんやりと思う。

しかし、今回はイレギュラーが大きいなぁと思う。
そもそもの感情値が嫌悪値Maxの所為だろうか。

いや…嫌悪値Maxの理由はこの金の瞳の一族への嫌悪感の所為だろうか。
僕は、ちらりと聖者リオンを見る。

鑑定をそっと使った。

聖者 リオン
職業 子供 聖者見習い

HP(体力) 10 MP(魔力) 5 SP(神力) 0
特殊能力 無

スキル 無

感情値【0/250】

ラスティ:好感度  0  嫌悪値  0 
     ← 好感度 200 嫌悪値 max
ディオス:好感度 ‐∞ 嫌悪値 ∞ 
     ← 好感度 Max 嫌悪値 Max
ジーク :好感度 ‐∞ 嫌悪値 ∞ 
     ← 好感度 150 嫌悪値 Max


エスター:好感度 50 嫌悪値 180 
     ← 好感度 15 嫌悪値 200

リノ  :好感度 30 嫌悪値 200 
     ← 好感度  0 嫌悪値 200

??? :好感度 0   嫌悪値 0 
     ← 好感度 0 嫌悪値 0

??? :好感度 0   嫌悪値 0 
     ← 好感度 0 嫌悪値 0

??? :好感度 0   嫌悪値 0 
     ← 好感度 0 嫌悪値 0

……うっかり鑑定しちゃったよ。
というか…何これ。
え???
リノって言うのは、エスターの従者の子。
僕は会ってないけど…というか…嫌悪値が高いな!!!
陛下とジークハルトの値おかしくない???
やっぱり僕の鑑定スキルおかしいな!!
なんで、リオンの好感度僕の200あるの???
嫌悪値Maxはやっぱり金の瞳の一族は高めなのかな?

ううーん…聖者と金の瞳の一族は最初は実は嫌悪値Max…陛下とジークの値はどうしたって感じだけど。
もうほっとく。
ラスボスだもん。
ヒーローヒロイン?とは決定的に何か違うのだろうということにしとく。
陛下とジークの…僕への値は…そうだな…強制力かなにか???
ということに。

というか…あれ…?
神力が…0?

おかしいな…初期は50くらいはあるはずなのに。
ゲームの知識だけど。
やっぱりまだ僕の鑑定スキルは穴だらけで見えていないのだろう。

ちなみに、僕の神力は840ある。
とはいっても…特に僕は使わないと思うのだけど。

聖者のスキル、回復とか祝福とか、祈りとか、奇跡とかそういうのに使う力。
このSPは確か聖者特有の力のはずだけど。

でもこのSPは陛下もジークハルトもあるから王家もあるのかな?

値がめちゃくちゃだ。
僕の鑑定スキルの所為かな?

…、聖者リオンはまだまだ子供。
僕と同じ年だし、これからなのだろう…けど。






なんだかおかしい…
あの子本当に聖者なのかなってちょっと思っちゃうよ。






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